歌うと咳が出るときは?歌っている最中にせきこむときの考え方と工夫
「歌っていると、とちゅうで咳が出てしまう」 「高い音や長くのばすところで、せきこんで止まってしまう」 「ふだんは平気なのに、歌うときだけ咳が出る」
歌うと咳が出る、歌の最中にせきこんでしまう。こんななやみをかかえている方もいらっしゃると思います。せっかく気持ちよく歌っていたのに、とちゅうで止まってしまうと、くやしいですし、「人前で歌うのがこわい」と感じることもあるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌っている最中に出るせきにしぼって、どんなときに出やすいのかのふりかえり方と、息や声の使い方、歌う前・歌っている最中にできる工夫をまとめました。歌う前についしてしまう咳払いについては、べつの記事でくわしくお話ししています。咳払いは歌によくない?歌う前の咳払いのかわりにできる、のどのととのえ方
はじめにお伝えしておきたいのは、この記事は、せきの原因を決めつけるものではない、ということです。せきが出る理由は、人によって、また日によってもちがいます。せきが長く続くとき、つらいとき、歌っていないときにも出るときは、ひとりで判断せず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
歌うと咳が出るのは、どんなとき?
まずは「いつ出るか」をふりかえってみる
歌っている最中のせきは、いつも同じところで出る方もいれば、日によってちがう方もいます。まずは、どんなときに出やすいかを、そっとふりかえってみてください。
- 歌いはじめてすぐに出るのか、しばらく歌ってから出るのか
- 高い音、低い音、長くのばす音など、どんなところで出るのか
- 大きな声を出したときか、小さな声のときか
- 息をすったあとか、息をはききるころか
- 朝か、夜か。部屋がかわいているときか
メモに書いておくと、自分なりのパターンが見えてくることがあります。レッスンの先生や、お医者さんに相談するときにも、メモがあると話しやすくなります。
のどがかわいているとき
のどや口の中がかわいていると、むずむずして、せきが出やすく感じることがあります。冬や、エアコンのきいた部屋、長い時間しゃべったあとなどは、とくにかわきやすいかもしれません。
息をいきおいよく出しすぎているとき
大きな声を出そうとして、息をいっぺんに強く出すと、のどに負担がかかり、せきにつながることがあります。「声を大きくしよう」と思うほど、息を押し出してしまう方もいらっしゃいます。
のどや首に力が入っているとき
高い音を出そうとして、のどをしめたり、首やあごに力が入ったりすると、のどがきゅっとせまくなり、むせるように感じることがあります。
息をすうときに、むせてしまうとき
あわてて息をすうと、空気がいきおいよく入って、むせてしまうことがあります。とくに、息つぎの時間が短いところでは、急いで大きくすおうとしがちです。
息と声の使い方を見直す
息は「押し出す」より「流す」イメージで
歌うとき、息は強く押し出すより、ゆっくり流しつづけるイメージをもつと、のどがらくになることがあります。
- ろうそくの火をゆらすくらいの、やさしい息をはいてみる
- その息に、そっと声をのせるように歌ってみる
- 声が小さくなってもいいので、まずはのどがらくな感じをさがす
声の大きさは、息のいきおいだけで出すものではありません。体のひびきを使うと、強く押さなくても、声がとおることがあります。体のひびきについては、レッスンの先生に聞いてみるのもよい方法です。
息つぎは、早めに、静かに
息つぎで急いでたくさんすおうとすると、むせやすくなります。
- 息つぎの場所を、楽譜に書きこんでおく
- フレーズのおわりで、少し早めに口をひらいて、静かにすう
- 「たくさんすわなきゃ」と思わず、必要なぶんだけすう
鼻から静かにすうか、口からすうかは、曲の速さや場面によってちがいます。ブレスのすい方は、こちらの記事でもまとめています。歌の息は鼻から吸う?口から吸う?ブレスの吸い方を場面ごとに考える
声の出はじめを、やわらかく
歌いはじめの声を「ぐっ」と強く出すと、のどに負担がかかることがあります。声の出はじめは、ため息のように、ふわっとはじめるイメージで出してみてください。「は」の音から声を出す練習をしてみるのもひとつの方法です。
高い音で、むりをしない
せきが出やすいのが高い音のところなら、しばらくのあいだ、曲のキーを下げて歌ってみるのもよい方法です。のどがらくな高さで練習をかさねてから、少しずつもとの高さにもどしていくと、むりがありません。
歌う前にできる工夫
のどと口をうるおしておく
- 歌う前に、常温か、少しあたたかい水を少しずつのむ
- 部屋がかわいているときは、加湿器を使ったり、ぬれタオルをほしたりする
- マスクをして、のどのかわきをふせぐ
つめたすぎる飲み物は、人によってはのどがきゅっとする感じがすることもあります。自分にとって、のどがらくな温度をさがしてみてください。冬の乾燥とのどのケアについては、こちらの記事にもまとめています。冬の乾燥からのどを守る|歌う人のための加湿・水分・すごし方
体と息をほぐしてから歌う
いきなり大きな声で歌いはじめると、のどもびっくりしてしまいます。
- 肩をゆっくりまわして、首や肩の力をぬく
- 口をとじて、ハミングで小さく声を出す
- 「スー」と、細く長く息をはく
体と息がほぐれてから歌いはじめると、のどへの負担が少なくなることがあります。
しゃべりすぎたあとは、少し休む
長い時間しゃべったあとや、大きな声を出したあとは、のどがつかれていることがあります。すぐに歌わず、少し静かにすごしてから歌うようにすると、らくに感じることがあります。
歌っている最中に咳が出そうなときは
むりに歌いつづけない
練習中にせきが出そうになったら、むりに歌いつづけず、いったん止まってかまいません。がまんして歌いつづけると、のどにさらに負担がかかってしまうかもしれません。
落ちついて、ゆっくり息をする
- いったん歌を止めて、鼻からゆっくり息をする
- 水を少しずつのむ
- つばをごくんとのみこむ
あわてずに、のどが落ちつくのを待ってみてください。
つよい咳払いを、くりかえさない
のどのむずむずが気になって、「ゴホン」と強い咳払いをくりかえすと、のどにかえって負担がかかることがあります。軽く息をはく、水をのむ、つばをのみこむなど、やさしい方法をためしてみてください。
本番で出そうになったら
発表会やコンクールの本番で、せきが出そうになることもあるかもしれません。
- 息つぎのときに、つばをのみこんでみる
- 声を少しやわらかくして、のどのしめつけをゆるめる
- どうしても出てしまったら、あわてずに、つぎのフレーズから歌いなおす
せきが出てしまっても、そこで歌がだめになるわけではありません。落ちついて、つぎのフレーズに向かえば大丈夫です。本番前に水を用意しておけるかどうかは、会場や主催者によってちがうので、前もってたしかめておくと安心です。
ふだんの生活でできること
のどをかわかせない毎日を
- こまめに水分をとる
- ねるときに部屋がかわきすぎないようにする
- 口をあけてねてしまうときは、のどのかわきに気をつける
体調がよくない日は、歌を休む
かぜぎみのとき、のどに違和感があるときは、むりに歌わず、休むことも大切です。休むことで、練習がむだになるわけではありません。
歌い方は、先生に見てもらう
自分ではなかなか気づけない、息の使い方やのどの力みもあります。教室の先生に「歌うと咳が出ることがある」と伝えて、歌い方を見てもらうのもよい方法です。息の使い方を、いっしょに見直してくれることもあります。歌の教室さがし
お医者さんに相談したいとき
つぎのようなときは、歌い方の工夫だけで何とかしようとせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
- せきが長く続いている
- 歌っていないときにも、せきが出る
- せきといっしょに、のどの痛みや、声のかすれが続く
- 息苦しさや、胸の苦しさがある
- 夜、せきでねむれない
のどが痛いときの歌い方の見直しについては、こちらの記事でもまとめています。歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
まとめ
- 歌うと咳が出るときは、まず「いつ、どこで出るか」をふりかえってみる
- のどのかわき、息の出しすぎ、のどや首の力み、あわてた息つぎなどが、きっかけになることもある
- 息は「押し出す」より「流す」イメージで。息つぎは早めに、静かに
- 歌う前は、のどをうるおし、体と息をほぐしてから歌いはじめる
- 歌っている最中にせきが出そうなときは、むりをせず、いったん止まってかまわない
- せきが続くとき、つらいときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
のどにやさしい歌い方を身につけると、歌う時間が、もっと気持ちのよいものになるかもしれません。息の使い方を見てくれる先生をさがしたいときは、教室さがしのページも使ってみてください。歌を楽しむ目標として、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ