歌の息は鼻から吸う?口から吸う?ブレスの吸い方を場面ごとに考える
「歌の息は、鼻から吸うのが正しいの?それとも口から?」 「先生によって言うことがちがって、どちらがいいのかわからない」
歌を習いはじめると、こんな疑問を持つ方は多いと思います。インターネットで調べても、「鼻から吸いましょう」という説明もあれば、「口から吸いましょう」という説明もあって、まよってしまいますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌の息を鼻から吸うか、口から吸うかについて、「どちらか1つが正しい」という考え方ではなく、場面ごとにえらぶという考え方でお話しします。ブレスの鼻と口のちがいを知っておくと、歌いながら息つぎをするときに、少し気持ちがらくになると思います。
息の音が気になる方や、息が長く続かない方のための練習は、べつの記事でくわしく書いています。ここでは「どこから吸うか」の考え方にしぼってお伝えします。
歌の息は鼻から?口から?まず知っておきたいこと
どちらか1つだけが正しいわけではない
歌の息は、鼻から吸っても、口から吸っても、まちがいではありません。多くの先生は、曲や場面によって、鼻と口を使い分けることをすすめています。
どちらか1つにこだわりすぎると、かえって体に力が入ってしまうことがあります。「こうしなければいけない」と思うより、「いまはどちらが吸いやすいかな」と考えるくらいが、ちょうどよいと思います。
先生によって言い方がちがう理由
先生によって「鼻から」「口から」と言い方がちがうのは、その先生が大切にしていることがちがうからです。
- 落ちついた息を身につけてほしい先生は、鼻から吸う練習をすすめることがある
- 曲の中でさっと息を吸ってほしい先生は、口から吸う練習をすすめることがある
- 両方を合わせて「鼻と口の両方から」と教える先生もいる
どれも、生徒さんの声やいまの課題に合わせた教え方です。習っている先生の言うことにまよったときは、「この曲では、どちらから吸うとよいですか」と聞いてみるのがいちばんです。
鼻から吸う息の特徴
ゆったりと、落ちついて吸いやすい
鼻から息を吸うと、空気がゆっくり入ってくるので、気持ちが落ちつきやすいと感じる方が多いです。肩が上がりにくく、体の下のほうに息が入っていく感じをつかみやすい、という声もあります。
空気がやわらかくなって、のどにやさしい
鼻を通る空気は、口から吸う空気より、しめり気があってやわらかいと言われます。空気がかわいている部屋で歌うときなどは、鼻から吸うほうがのどが楽に感じることもあります。
時間がかかるので、急いだ息つぎには向きにくい
鼻から吸う息は、ゆっくり入るぶん、たくさんの息を短い時間で吸うのはむずかしいことがあります。はやい曲や、息つぎの間がとても短いところでは、鼻だけで吸おうとすると、息がたりなくなることがあります。
また、かぜや花粉の季節など、鼻がつまっているときは、むりに鼻から吸おうとしなくてだいじょうぶです。
口から吸う息の特徴
たくさんの息を、さっと吸える
口から吸う息は、鼻よりも空気の通り道が広いので、短い時間でたくさん吸うことができます。曲の中の息つぎは、ほんの少しの間しかないことが多いので、口から吸う場面はとても多いです。
歌う口の形のまま吸える
歌っているときは、口が開いていることが多いですよね。口から吸えば、口をとじたり開けたりしなくてよいので、次のことばにすっと入りやすくなります。
のどがかわきやすく、音が出やすい
口から吸う息は、空気がそのままのどに入ってくるので、のどがかわきやすいと感じる方もいます。また、あわてて吸うと「ヒュッ」と音が出やすくなります。息つぎの音が気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。歌の息つぎの音がうるさい?ブレスの音を静かにするコツと練習
鼻と口の両方から吸うという考え方
鼻と口を「半分ずつ」のイメージで
先生によっては、「鼻と口の両方から吸いましょう」と教えることがあります。鼻から吸うときの落ちつきと、口から吸うときのはやさを、両方取り入れる考え方です。
はじめは、口を少しだけ開けて、鼻と口の両方から、しずかに空気が入ってくるのを感じてみてください。どちらか一方に意識が集まりすぎないので、体の力が抜けやすいと感じる方もいます。
「吸う」より「入ってくる」イメージ
息を「吸おう」とがんばると、肩やのどに力が入りやすくなります。歌った息をはき切ったあと、体の力をふっとゆるめると、空気は自然に入ってきます。
鼻からでも口からでも、「空気が入ってくるのを待つ」ような気持ちで息つぎをすると、音も出にくく、体もかたくなりにくいです。
場面ごとの考え方
歌いはじめる前の息
前奏の間など、歌いはじめる前は、時間に少しよゆうがあることが多いです。こういうときは、鼻から、または鼻と口の両方から、ゆっくり吸ってみてください。気持ちも落ちつき、歌い出しの声が安定しやすくなります。
ゆっくりした曲の息つぎ
ゆったりした曲や、フレーズとフレーズの間が長めのところでは、鼻から吸う息も使いやすいです。しずかな曲では、息の音が目立ちやすいので、鼻からやわらかく吸うと、曲のふんいきをこわしにくくなります。
はやい曲・息つぎが短いところ
テンポのはやい曲や、ことばがつまっているところでは、口から吸うほうが間に合いやすいです。口を大きく動かさず、次のことばの口の形のまま、すっと吸うイメージです。
長いフレーズの前
長くのばす音や、長いフレーズの前では、ふだんより多めに息がほしくなりますね。こういうところでは、鼻と口の両方から吸うと、落ちついたまま、しっかり息を入れやすくなります。ただし、吸いすぎると体がかたくなるので、「少し多め」くらいで十分です。
本番で緊張しているとき
本番では、緊張して息が浅くなりがちです。いつもはできている息つぎが、急いだものになってしまうこともあります。
そんなときは、歌いはじめる前に、鼻からゆっくり息を吸って、口から長くはいてみてください。それだけでも、気持ちが少し落ちつくことがあります。曲の中では、練習で決めておいた吸い方を、そのまま使うのがおすすめです。本番だけ吸い方をかえると、かえってあわててしまうことがあります。
子どもと大人で、考え方はちがう?
小さなお子様は、細かく考えすぎなくてよい
小さなお子様の場合、「鼻から」「口から」を細かく教えすぎると、歌うこと自体が楽しくなくなってしまうことがあります。まずは、楽しく歌えることがいちばんです。
お父様・お母様からは、「肩を上げないで吸えたね」「息つぎのところで、ちゃんと休めたね」など、できていることを伝えてあげてください。鼻と口の使い分けは、習っている先生におまかせしてだいじょうぶです。
大人の方は、録音で聞いてたしかめる
大人の方は、自分の歌を録音して、息つぎの場所と吸い方を聞いてみるのがおすすめです。「ここは間に合っていない」「ここは音が大きい」など、鼻と口をどう使い分ければよいかが見えてきます。
鼻と口の使い分けを身につける練習
曲の中で、吸う場所と吸い方を決める
楽譜や歌詞のコピーに、息つぎの場所をしるしておきましょう。そのとき、「ここは鼻」「ここは口」「ここは両方」と、吸い方も小さく書いておくと、練習のたびにまよわなくなります。
声を出さずに、息つぎだけ練習する
伴奏や音源に合わせて、声は出さずに、息つぎのところだけ吸ってみる練習もあります。歌わないぶん、吸い方に気持ちを向けやすくなります。
むりのない範囲で
息の練習をしていて、頭がくらくらしたり、のどが痛くなったりしたら、すぐに休んでください。のどの痛みやかすれが続くときや、鼻のつまりがなかなか治らないときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
息が長く続かないときの練習は、こちらにまとめています。歌で息が続かないときの練習。肺活量より大事な、息のつかい方
まとめ
- 歌の息は、鼻からでも口からでもまちがいではない
- 鼻から吸う息は落ちつきやすく、のどにやさしいが、急いだ息つぎには向きにくい
- 口から吸う息は、短い時間でたくさん吸えるが、のどがかわきやすく、音が出やすい
- 鼻と口の両方から、「空気が入ってくる」イメージで吸う方法もある
- 歌いはじめる前やゆっくりした曲は鼻、はやい曲や短い息つぎは口、長いフレーズの前は両方、と場面で考える
- 本番では、練習で決めた吸い方をそのまま使う
- 小さなお子様は細かく考えすぎず、楽しく歌うことを大切に
- のどの痛みや鼻のつまりが続くときは、お医者さんに相談する
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