歌の息つぎの音がうるさい?ブレスの音を静かにするコツと練習
「録音を聞いたら、息つぎの音がとても大きくて、びっくりした」 「歌のブレスの音がうるさい気がする。どうしたら静かになるの?」
自分の歌を録音してみて、こんなふうに感じたことはありませんか。歌っているときは気にならなくても、あとで聞きかえすと、「ヒュッ」「スーッ」という息継ぎの音が、思っていたより目立つことがあります。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。いまは動画で審査をするコンクールもあり、録音で自分の歌を聞く機会がふえています。そのぶん、ブレスの音が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、歌の息つぎの音にしぼってお話しします。音が大きくなる理由と、静かに息をすうためのコツ、おうちでできる練習、録音やマイクをつかうときの気をつけ方をまとめました。
息が続かないなやみについては、べつの記事でくわしく書いています。あわせて読んでみてください。歌で息が続かないときの練習。肺活量より大事な、息のつかい方
そもそも、ブレスの音はあってもいいの?
息の音は、まったくなくならなくてだいじょうぶ
さいしょにお伝えしたいのは、息つぎの音は、ゼロにしなくてもいいということです。歌は、息をすって、はいて歌うものです。どんなに上手な歌い手でも、息をすう音は、少しは聞こえます。
むしろ、やさしい曲では、そっと息をすう音が、歌のふんいきをつくることもあります。気にしすぎて、息を小さくすいすぎると、こんどは息が足りなくなり、声がふるえたり、語尾が短くなったりすることがあります。
「うるさい」と感じるのは、どんなとき?
ブレスの音が気になるのは、たとえばこんなときです。
- 「ヒュッ」と高い音がして、すきま風のように聞こえる
- 息をすうたびに、肩がぐっと上がる
- 歌のことばより、息の音のほうが耳にのこる
- 息をすったあと、声の出だしがかたくなる
こうした音は、すい方を少しかえるだけで、やわらかくなることが多いです。
息つぎの音が大きくなる理由
口やのどのすき間が、せまくなっている
息の音は、空気がせまいすき間を通るときに大きくなります。ストローで勢いよく空気をすうと、音が出るのと同じです。口が少ししか開いていなかったり、のどに力が入ってせまくなっていたりすると、「ヒュッ」という高い音が出やすくなります。
あわてて、いっぺんにすっている
息つぎの時間が短いところで、あわてて一気にすうと、空気のいきおいが強くなり、音も大きくなります。とくに、フレーズのさいごまで息をつかいきってしまうと、つぎの息を急いですうことになりがちです。
肩や胸だけで、すおうとしている
肩を上げて、胸のあたりだけで息をすうと、のどのまわりにも力が入りやすくなります。体の下のほうまで息が入っていく感じがないと、どうしても強くすいこむような形になってしまいます。
鼻だけで、強くすっている
鼻からすう息は静かだと思われがちですが、鼻だけで急いですうと、「スンッ」という音が出ることがあります。かぜや花粉の時期など、鼻がつまりぎみのときは、とくに音が出やすくなります。
静かなブレスのための5つのコツ
1 口とのどを、あくびの前のように開く
息をすうときは、口を少し開けて、のどのおくを広くするイメージをもってみましょう。あくびが出そうになる、はじめのところの感じに近いです。すき間が広くなると、空気が通るときの音が、やわらかくなります。
2 「すう」より「入ってくる」と考える
「息をすわなきゃ」と思うと、つい強くすいこんでしまいます。そこで、歌いおわった体の力を、ふっとぬくと、息が自然に入ってくる、と考えてみてください。風船の口をはなすと、もとの形にもどるようなイメージです。
3 おなかのまわりがふくらむように
息が入るとき、肩ではなく、おなかや背中、わきばらのあたりが広がる感じをさがしてみましょう。体の下のほうに息が入ると、強くすいこまなくても、たっぷり息が入ります。腹式呼吸のきほんについては、こちらの記事も参考になります。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
4 息をつかいきる前に、すう
フレーズのさいごまで息をしぼり出すと、つぎの息を急いでとることになります。少し息をのこして歌いおえるくらいの気持ちでいると、つぎの息つぎに、ゆとりが生まれます。
5 口と鼻を、いっしょにつかう
口だけ、鼻だけにこだわらず、両方から少しずつ入るようにすると、音が小さくなりやすいです。どちらがすいやすいかは人によってちがうので、先生に見てもらいながら、自分に合う形をさがしてみてください。
おうちでできる、静かなブレスの練習
鏡の前で、肩の動きを見る
鏡の前に立って、ふつうに息をすってみましょう。肩が大きく上がっていたら、少し力をぬいて、もう一度。肩はそのままで、おなかのまわりが広がるようになれば、のどの力もぬけやすくなります。
「ハー」とはいて、ふっとゆるめる
- 口を少し開けて、「ハー」と小さく息をはく
- はききったら、おなかの力をふっとゆるめる
- 息が自然に入ってくるのを感じる
- これを5回くらいくりかえす
音を立てずに息が入ってくる感じを、体でおぼえる練習です。むりに長くはいたり、苦しくなるまでつづけたりしなくてだいじょうぶです。
4つ数えて、ゆっくりすう
心の中で「1、2、3、4」と数えながら、ゆっくり息をすいます。つぎに、2つ数えるあいだにすう練習、さいごは1つでさっとすう練習、とだんだん短くしていきます。短い時間でも、のどをせまくしないですえるようになると、歌の中の息つぎも静かになっていきます。
曲の中で、息つぎの場所を決めておく
歌の練習では、どこで息をすうかを、先に決めておくのがおすすめです。楽譜や歌詞カードに、小さく「V」などのしるしをつけておくと、あわてずに息をとれます。
- ことばのとちゅうで切らない場所をえらぶ
- 長くのばす音の前には、少し早めに息をとる
- 息つぎの時間が短いところは、浅めにすって次でたっぷりとる
録音して、聞きくらべる
練習のはじめと、さいごに、同じところを録音してみましょう。息の音がどうかわったかを聞きくらべると、自分に合ったすい方が見つかりやすくなります。
録音やマイクをつかうときの気をつけ方
マイクやスマホとの距離
マイクやスマホが口に近すぎると、息の音をひろいやすくなります。動画でとるときは、口の正面から少しはなして、少しななめの位置におくと、息の音がやわらぐことがあります。どのくらいはなすとよいかは、部屋の広さや機械によってちがうので、何度かためしてみてください。
息をすうときは、顔を少しそらす
マイクを手でもって歌うときは、息をすう一瞬だけ、口をマイクの正面から少しずらす歌い手もいます。ただ、やりすぎると声がとぎれて聞こえることもあるので、自然にできるはんいでためしてみましょう。
編集で消しすぎない
録音したあとに、アプリなどで息の音をけずることもできます。でも、息の音を全部消してしまうと、歌が切れぎれに聞こえて、かえって不自然になることがあります。コンクールの動画審査では、編集についてのきまりがあることも多いので、応募の前に、かならず要項をたしかめてください。
のどにやさしく練習するために
息つぎの練習は、むずかしいことはありませんが、何度も強く息をすいこむと、のどがかわいたり、つかれたりすることがあります。
- 練習の合間に、水を少しずつのむ
- 部屋がかわいているときは、加湿をする
- のどがつかれたと感じたら、その日は休む
息をすうときに、のどに痛みを感じる、息が苦しくなる、声のかすれが何日も続く、といったときは、むりをしないでください。耳鼻科などのお医者さんに相談してみましょう。
お子様が練習するときは、お父様・お母様が、「息の音がうるさいよ」と言うより、「いまのブレス、やわらかかったね」と、できたところを伝えてあげると、楽しくつづけやすくなります。
まとめ
- 息つぎの音は、まったくなくさなくてもいい
- 音が大きくなるのは、すき間がせまい、あわてている、肩だけですっている、などが理由
- 口とのどを広く、「すう」より「入ってくる」イメージで
- 息をつかいきる前に、ゆとりをもってすう
- 鏡、「ハー」とゆるめる練習、数をかぞえる練習、息つぎの場所決め、録音で少しずつ
- マイクやスマホとの距離を見直し、編集で消しすぎない
- のどの痛みや、かすれが続くときは、お医者さんに相談する
静かなブレスが身についてくると、歌のことばや気持ちが、聞く人にまっすぐ届きやすくなります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ