おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法
「レッスンの日以外にも、おうちで何かできないかな」
そんなときにおすすめなのが、簡単な発声練習です。ここで紹介するのは、特別な道具もいらず、遊びのようにできるものばかりです。
ただし、子どもののどは、まだそだっているとちゅうです。むりはせず、楽しく続けることをいちばんにしてください。習っている先生がいる場合は、先生のやり方をいちばん大切にしましょう。
発声練習をすると、どんなよいことがある?
発声練習というと、むずかしそうに聞こえるかもしれません。でも、目的はとてもシンプルです。
- 体の力がぬけて、のびのびした声が出やすくなる
- 息を長く続けられるようになり、ことばのとちゅうで切れにくくなる
- のどだけでなく、体全体で声を出す感覚がわかってくる
- 歌う前の「じゅんび体操」になり、のどをいためにくくなる
いきなり歌いはじめるより、ほんの数分、体と声をあたためてから歌うほうが、お子様も楽に歌えます。
はじめる前に:3つの約束
- 1回5〜10分で十分
- のどがいたい、かすれるときはお休み
- 大きな声をむりに出さない
練習1:まっすぐ立つ(姿勢)
歌の基本は、姿勢です。
- 足を肩のはばぐらいにひらく
- 頭のてっぺんから、糸でつり上げられているように
- 肩の力をふっとぬく
「木になってみよう」「おひめさまみたいに立とう」など、たとえを使うと小さなお子様も楽しくできます。
練習2:のびのび息をはく
口をすぼめて、「すー」と細く長く息をはきます。どれだけ長く続くか、数えながらやると遊びになります。
ティッシュを一枚、口の前にぶら下げて、「ずっとゆらゆらさせられるかな?」とやるのもおすすめです。
練習3:おなかをふくらませて吸う
あおむけにねて、おなかにぬいぐるみをのせます。息を吸うと、ぬいぐるみが上がり、はくと下がります。「ぬいぐるみをエレベーターにのせよう」と言うと、楽しくおなかの息を感じられます。
練習4:くちびるをぶるぶる(リップロール)
くちびるを軽くとじて、「ぶるるる…」とふるわせながら声を出します。車のエンジンのまねのような感じです。
のどに力が入りにくく、声を出す前の「じゅんび運動」になります。うまくふるえないときは、ほっぺを指で少しおさえるとやりやすくなります。
練習5:ハミング
口をとじて「んー」と、鼻でひびかせるように声を出します。鼻やくちびるがむずむずするのが、うまくひびいているサインです。
知っている童謡を、ハミングで歌ってみるのもよい練習です。
練習6:あくびの口で「ほー」
あくびをするときのように、口の中をたてに大きくあけて、ふくろうのように「ほー」とやさしく声を出します。高いところから低いところへ、すべり台をすべるように声を下げていくと、楽しくできます。
練習7:ことばをはっきり(早口ことば)
「あえいうえおあお」を口を大きく動かして言ったり、かんたんな早口ことばをゆっくり言ったりします。歌詞がはっきり聞こえるようになります。
童謡のコンクールでは、ことばのひびきがとても大切にされます。審査で見られているポイントはこちら。歌のコンクール、審査員はどこを見ている?点数につながる7つのポイント
5分メニューの例
| 順番 | 練習 | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | まっすぐ立つ | 30秒 |
| 2 | のびのび息をはく | 1分 |
| 3 | くちびるぶるぶる | 1分 |
| 4 | ハミング | 1分 |
| 5 | あくびの口で「ほー」 | 30秒 |
| 6 | 好きな曲を1曲 | 1分 |
毎日全部やらなくても大丈夫です。お子様が好きな練習を2〜3こえらんで、続けることが大切です。
年れい別:すすめ方のちがい
同じ練習でも、年れいによって、すすめ方を少しかえるとうまくいきます。
幼児のお子様
「練習」ということばは使わず、遊びの中にまぜます。ぬいぐるみのエレベーター、ティッシュゆらゆら、ふくろうの「ほー」など、まねっこ遊びとして親もいっしょにやりましょう。1つの遊びが1分続けば十分です。
小学校の低学年のお子様
「何秒『すー』が続いたか」をカレンダーに書くなど、目に見える形にすると楽しく続きます。きのうの自分とくらべて「のびたね」とほめるのがポイントです。
小学校の高学年のお子様
自分で考えて練習できる年れいです。「今日はどの練習をする?」と、本人にえらんでもらいましょう。高学年は声がかわりはじめる時期でもあるので、高い音をむりに出させないように気をつけます。
よくあるまちがいと、なおし方
| よくあるまちがい | なおし方 |
|---|---|
| 息を吸うとき、肩が上がる | 鏡の前で肩に手をおいて、肩が上がらないように吸ってみる |
| 大きな声を出そうとして、どなり声になる | 「となりの部屋の人にとどくくらい」と、ちょうどよい大きさを伝える |
| 高い音を出そうと、あごが上がる | 頭のてっぺんの糸を思い出し、あごは軽く引いたままにする |
| 毎日長い時間やろうとして、あきてしまう | 5分で終わりにして、「もっとやりたい」で終わらせる |
とくに「どなり声」は、元気よく歌っているように見えて、のどに負担がかかりやすい声です。お子様が「大きい声=上手」と思っていたら、「やさしい声のほうが、遠くまできれいにひびくんだよ」と伝えてみてください。
まちがいを見つけても、「ちがう!」と言うより、「こうするともっと楽になるよ」と伝えるほうが、お子様は前向きにとりくめます。
続けるためのコツ
- 時間を決める(おふろの前、ごはんの前など、生活の流れの中に入れる)
- 親もいっしょにやる(見ているだけより、ずっと楽しくなります)
- できたことをカレンダーにシールではる
- ときどき動画にとって、前とくらべてみる
おうちでとった動画は、成長の記録にもなります。スマホでのとり方のコツはこちら。歌の動画審査、スマホでのきれいなとり方。おうちでできる10のコツ
練習のあとは「クールダウン」を
運動のあとに体をゆっくりもどすように、声にもクールダウンがあると、のどがらくになります。
- さいごに、ハミングで低めの音をやさしく出す
- 肩をまわしたり、首をゆっくりかたむけたりして、力をぬく
- 常温の水を少しのむ
歌い終わってすぐに大声でさわいだり、冷たいものを一気にのんだりするのは、さけたほうが安心です。
よくある質問
毎日やったほうがいいの?
毎日でなくても大丈夫です。週に何回か、楽しくできる日にやるだけでも、体はだんだん声の出し方をおぼえていきます。「やらなきゃ」になると、歌そのものがいやになってしまうこともあるので、気がるに続けましょう。お休みした日があっても、また次の日から始めればいいのです。
マンションで声を出すのが気になります
ハミング、リップロール、息をはく練習は、大きな音が出ないので、時間帯を気にせずできます。声を出す練習は、昼間の時間にまとめるなど、ご家庭のルールを決めておくと安心です。
先生のやり方とちがうときは?
この記事の練習は、あくまで一つの例です。習っている先生がいる場合は、先生のやり方をいちばんに。「おうちでもできる練習はありますか」と先生に聞いてみると、お子様にあったメニューを教えてもらえることもあります。
のどを大切にするために
- たくさん水をのむ(冷たすぎないものを)
- どなるような大声を、ふだんから出しすぎない
- かぜのときや、声がかすれているときは、練習をお休みする
- かすれが長く続くときは、お医者さんに相談する
声のことで心配なことがあるときは、耳鼻科で一度みてもらうと安心です。発声練習は、いたみをがまんしてやるものではありません。
まとめ
- おうちの発声練習は、1回5〜10分で十分
- 姿勢、息、くちびるぶるぶる、ハミングなど、遊びのように
- 年れいにあわせて、すすめ方をかえる
- まちがいは「こうすると楽になるよ」で伝える
- 生活の流れに入れて、親もいっしょに
- のどがいたいときはお休み
- 先生がいる場合は、先生のやり方をいちばんに
毎日少しずつの練習が、お子様の声をのびのびと育ててくれます。