歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
「カラオケで何曲か歌うと、のどが痛くなる」 「高い音を出そうとすると、のどがキュッとしめつけられる感じがする」
歌が好きな大人の方から、こんななやみをよく聞きます。楽しく歌っていたはずなのに、あとからのどがヒリヒリしたり、声がかすれたりすると、少し不安になりますよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。そのなかで、歌は「のどだけで歌うもの」ではなく、体全体をつかうものなのだと感じるようになりました。
この記事では、歌うとのどが痛いと感じる大人の方に向けて、考えられる理由や、見直したい歌い方、歌う前とあとのケアをまとめます。とくに「高音でのどが痛い」というなやみについても、ふれていきます。
ただし、のどの痛みには、かぜや体の不調など、歌い方とは別の理由があることもあります。この記事は、歌い方を見直すためのヒントです。痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻咽喉科のお医者さんに相談してください。
なお、お子様ののどの守り方は、別の記事でまとめています。ここでは、大人の方にしぼってお話しします。
歌うとのどが痛いと感じるのは、どんなとき?
まずは、どんなときに痛みを感じるのか、ふりかえってみましょう。いつ痛くなるのかによって、見直したいところが少しずつちがいます。
- 歌いはじめてすぐに痛くなる
- 何曲か歌ったあとに、だんだん痛くなる
- 高い音を出すときだけ痛い
- 大きな声で歌ったあと、次の日まで痛い
- 歌っていないときも、ずっと痛い
歌っていないときも痛みがある場合や、熱があるときは、歌い方よりも体の不調が考えられます。まずは声を休めて、お医者さんに相談してください。
歌うときだけ痛い、歌ったあとに痛くなるという場合は、歌い方のくせが関係していることがあります。次のところから、よくあるくせを見ていきましょう。
のどに力が入りやすい、よくある歌い方のくせ
のどで声をおし出している
声を大きくしようとして、のどにぐっと力を入れていることがあります。自分では気づきにくいのですが、首のまわりがかたくなったり、あごに力が入ったりしていたら、のどでがんばっているサインかもしれません。
声の大きさは、のどの力よりも、息の流れや、体のひびきで出していくものです。のどだけでがんばると、つかれやすくなります。
息が足りないまま歌っている
フレーズの終わりで息が足りなくなり、のこりの息をしぼり出すように歌っていませんか。息が足りないと、のどでなんとか声を出そうとして、力が入りやすくなります。
息つぎの場所を決めておくだけでも、歌いやすくなることがあります。
高い音で、あごや首が上がっている
高い音を出すとき、あごが上がったり、首がのびたりする方は多いです。音が高いから、体も上に向かおうとしてしまうのですね。
でも、あごが上がると、のどのまわりがはりつめて、声が出しにくくなることがあります。高い音ほど、あごは軽く引いたまま、体は下にどっしりおちつけるイメージをもつと、らくに出しやすくなります。
自分に合わない高さで歌っている
好きな歌手の曲を、原曲のまま歌おうとして、むりに高い声を出していることもあります。とくにカラオケでは、高さを自分で変えられることを知らずに、いつも同じ高さで歌っている方も少なくありません。
自分の声に合った高さで歌うことは、はずかしいことではありません。のどを守るための、大切な工夫です。
高音でのどが痛いときに見直したいこと
「高い音=強い声」と思わない
高い音を出そうとすると、つい声を強くしてしまいがちです。でも、高い音は、強くしなくても出せることが多いです。まずは、小さめの声で、ふわっと高い音を出してみましょう。
息をたっぷり、でもいきおいよくしすぎない
高い音には、ある程度の息の量が必要です。ただし、いきおいよくはき出しすぎると、かえってのどに負担がかかることもあります。細く長く、安定した息を出すイメージで練習してみてください。
口の中を、たてに広げる
高い音を出すとき、口が横に広がっていると、声がひらべったくなり、のどがしまりやすくなることがあります。あくびをするときのように、口の中をたてに広げるイメージをもつと、声の通り道ができやすくなります。
少しずつ高さを上げていく
いきなり一番高い音を出そうとせず、出しやすい高さから、少しずつ上げていきましょう。「ここから先は苦しい」と感じたら、その日はそこでやめてかまいません。むりをして高い音を出しつづけることは、さけてください。
見直したい姿勢と息のつかい方
立ち方をととのえる
姿勢がくずれていると、のどや肩に力が入りやすくなります。
- 足は肩はばくらいに開く
- ひざを軽くゆるめる
- 背中をのばして、頭を上から引っぱられるイメージ
- 肩の力をぬいて、すとんと下げる
鏡の前に立って、横からもたしかめてみると、くせに気づきやすくなります。
肩を上げずに息をすう
息をすうとき、肩が上がっていませんか。肩が上がると、首やのどのまわりもかたくなりがちです。肩はそのままで、おなかや背中のまわりがふくらむように、ゆっくり息をすってみましょう。
息をはく練習をする
声は、はく息にのせて出すものです。「スー」と細く長く息をはく練習は、声を出さなくてもできるので、のどが少しつかれているときにもやりやすい練習です。ただし、苦しくなるまでがんばる必要はありません。
歌う前とあとのケア
歌う前は、体と声をほぐす
いきなり大きな声で歌いはじめると、のどがびっくりしてしまいます。歌う前に、少しだけ体と声の準備をしましょう。
- 首や肩をゆっくり回す
- 口をとじて「んー」とハミングする
- くちびるをふるわせる「ブルブル」をする
- 低めの音から、やさしく声を出す
歌う前の準備運動については、こちらの記事でもくわしくまとめています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ
歌っている間は、こまめに水分をとる
のどがかわくと、声が出しにくくなります。歌っている間も、ひとくちずつ水やお茶をのむようにしましょう。冷たすぎるものより、常温くらいの飲み物のほうが、のどにやさしいと感じる方が多いです。
歌ったあとは、声を休める
たくさん歌ったあとは、しばらく大きな声で話すのをひかえて、のどを休ませましょう。
- 大きな声でのおしゃべりをひかえる
- 部屋がかわいているときは、加湿をする
- ゆっくりねむる
歌ったあとに声がかすれる場合は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。大人の声がかすれる・出にくいとき|話し声と歌声の見直し方
歌う時間を区切る
長い時間、休まずに歌いつづけると、のどはつかれます。たとえば、何曲か歌ったら少し休むなど、自分なりの区切りをつくってみましょう。カラオケでも、合間にひと休みを入れると、のどがらくになります。
お医者さんに相談したいサイン
次のようなときは、歌い方を見直すだけでなく、耳鼻咽喉科のお医者さんに相談してください。
- のどの痛みが、何日も続いている
- 声のかすれが、なかなかもどらない
- 声が出にくい、声がわれる状態が続いている
- 飲みこむときにも痛みがある
- 熱や、ほかの体の不調がある
「歌いすぎただけだから」と思って、がまんしてしまう方もいます。でも、早めに相談することで、安心して歌を続けられることも多いです。自分で判断せず、気になるときはお医者さんに見てもらいましょう。
歌い方を見直すために、先生に習うのもひとつの方法
自分の歌い方のくせは、自分ではなかなか気づきにくいものです。声の先生に見てもらうと、「肩に力が入っている」「あごが上がっている」など、気づいていなかったところを教えてもらえることがあります。
体験レッスンのときに、「歌うとのどが痛くなる」と伝えてみてください。いまの声に合わせて、むりのないところから練習をすすめてくれる先生だと、安心して通えます。
近くの教室や、オンラインで受けられる教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- のどの痛みが、いつ出るのかをふりかえってみる
- のどでおし出す、息が足りない、あごが上がるなどのくせを見直す
- 高音は「強く」より「ふわっと」、少しずつ高さを上げていく
- 自分に合った高さで歌うことも、のどを守る大切な工夫
- 歌う前は体と声をほぐし、歌ったあとは声を休める
- 痛みやかすれが続くときは、耳鼻咽喉科のお医者さんに相談する
のどが痛くなりにくい歌い方が身につくと、歌はもっと楽しくなります。むりをせず、自分の声と仲よくしながら続けてみてください。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌を見つめなおすきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ