大人の声がかすれる・出にくいとき|話し声と歌声の見直し方
「夕方になると、声がかすれてくる」 「カラオケのあと、声ががらがらになってしまう」 「前より、歌うときに声が出にくくなった気がする」
大人になってから、こんなふうに声のことで気になることがふえた、という方は少なくありません。仕事でたくさん話す方、家で小さなお子様と大きな声で話す方、趣味で歌をつづけている方など、のどをよくつかう方ほど、声の変化に気づきやすいものです。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。その中で、お子様だけでなく、つきそいのお父様・お母様や、大人の部に出る方が、声の調子を気にしている姿もよく見てきました。声は、毎日の話し方や、くらし方とふかくつながっています。
この記事では、大人の声がかすれる・出にくいときに、まず見直したい話し声と歌声のくせ、くらしの中でできること、のどを休めるコツをまとめます。
はじめにお伝えしておきたいのは、この記事は、お医者さんの代わりになるものではない、ということです。声の変化には、いろいろな原因が考えられます。気になることがあるときは、ひとりで決めつけず、耳鼻咽喉科で相談してください。
まず知っておきたいこと:こんなときは耳鼻咽喉科へ
声のかすれは、かぜをひいたときや、たくさん話した日のあとなど、だれにでもおこることです。少し休むと、もとにもどることも多いです。
でも、次のようなときは、がまんせずに耳鼻咽喉科で相談してみてください。
- 声のかすれが、2週間ほどつづいている
- のどにいたみがある
- 飲みこむときに、いたい・つかえる感じがある
- 声がほとんど出ない
- 休んでも、だんだん悪くなっている気がする
- 息苦しさがある
「このくらいで病院に行っていいのかな」と思う方もいるかもしれません。でも、声のことは、早めにみてもらうと安心につながります。とくに歌をつづけている方は、自分の声の状態を知っておくことが、長く楽しく歌うための近道です。
話し声を見直してみる
声のかすれというと、歌うときのことを考えがちですが、じつは、1日の中でいちばん長くつかっているのは話し声です。まずは、ふだんの話し方を見直してみましょう。
1. 大きな声を出しつづけていないか
にぎやかな場所での会話や、電話、遠くにいる家族をよぶときなど、知らないうちに大きな声を出していることがあります。大きな声を長くつづけると、のどにはそれだけ負担がかかります。
- 遠くの人には、近くまで行って話す
- にぎやかな場所では、長話をひかえる
- 人前で話すときは、マイクを使えるならつかう
小さなことですが、こうした工夫で、のどの負担はかわってきます。
2. ふだんより低すぎる・高すぎる声で話していないか
自分に合わない高さの声で話しつづけると、のどがつかれやすくなることがあります。電話に出るときだけ高い声になる、まじめな話になると声を低くおさえる、というくせがある方もいます。
自分がらくに出せる高さは、「うーん」と、うなずくように声を出したときの高さが、ひとつのめやすになるといわれています。むりに声の高さをかえようとせず、らくに出せる声で話すことを意識してみてください。
3. 早口で、息つぎをわすれていないか
早口で話すと、息が足りないまま声を出しつづけることになります。息がなくなっても話しつづけると、のどをしめるような出し方になりがちです。
文のくぎりで、少し間をとってみてください。ゆっくり話すと、聞く人にも伝わりやすくなります。
4. せきばらいがくせになっていないか
のどに何かがつまった感じがすると、つい「えへん」とせきばらいをしたくなります。でも、強いせきばらいをくり返すと、のどに負担がかかることがあります。せきばらいをしたくなったら、水をひと口のむ、つばをのみこむなど、やさしい方法にかえてみるのもひとつです。
歌声を見直してみる
歌うと声がかすれる、歌ったあとに声ががらがらになる、というときは、歌い方を見直してみましょう。
1. 高い音を、のどで押し上げていないか
高い音を出そうとして、首に力が入ったり、あごが上がったりしていないでしょうか。のどをしめつけるようにして高い声を出すと、のどがつかれやすくなります。
- 鏡を見て、首やあごに力が入っていないかたしかめる
- 出しにくい高さの曲は、キーを下げてみる
- 高い音の前に、しっかり息をすっておく
カラオケなら、キーを下げることはかんたんにできます。「原曲のキーで歌わなければ」と思わず、自分の声に合ったキーで歌うことを大切にしてみてください。
2. 息の流れが止まっていないか
声は、息の流れにのって出るものです。息を止めて、力で声を出そうとすると、のどに負担がかかります。歌う前に、肩の力をぬいて、ゆっくり息をはく練習をしておくと、声が出やすくなることがあります。
息のつかい方については、こちらの記事でくわしく紹介しています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
3. 長い時間、歌いつづけていないか
カラオケで何時間も歌いつづける、休まずに練習をつづける、というのは、のどにとってはたいへんな負担です。
- 30分〜1時間ごとに、少し休む
- 歌のあいだに、水をのむ
- 声がかすれてきたら、その日はやめる
「まだ歌いたい」と思うところでやめるのが、長く歌をつづけるコツです。
4. ウォーミングアップをしているか
いきなり大きな声で歌い始めると、のどがびっくりしてしまいます。ハミングや、くちびるをぶるぶるふるわせる練習など、かるいウォーミングアップをしてから歌うと、声が出やすくなります。
くらしの中で見直したいこと
声の調子は、くらし方にも左右されます。次のようなことも、ふり返ってみてください。
乾燥に気をつける
空気が乾燥していると、のどもかわきやすくなります。
- 部屋の湿度をたもつ(加湿器や、ぬれタオルをほすなど)
- こまめに水やお茶をのむ
- 寝るときに、口が開いていないか気をつける
- 外ではマスクをつかう
冬の乾燥とのどについては、こちらの記事にまとめています。冬の乾燥からのどを守る|歌う人のための加湿・水分・すごし方
つかれや、ねぶそくをためない
体がつかれていると、声もつかれやすくなります。いそがしい毎日の中でも、しっかりねむる時間をとることを大切にしてください。
お酒やたばこ、刺激の強い食べ物
お酒をたくさんのんだ次の日に、声ががらがらになった、という経験がある方もいるかもしれません。たばこのけむりも、のどにはやさしくありません。歌を大切にしたい方は、のどにやさしいくらし方を意識してみるのもよいと思います。
のどを休めるコツ
声がかすれているときは、のどを休めることがいちばんです。
- できるだけ話す量をへらす
- 大きな声や、歌うのはひかえる
- ひそひそ声も、のどに負担がかかることがあるので、たくさんつかわない
- あたたかい飲み物で、のどをうるおす
- ゆっくりおふろに入って、体をあたためる
「ひそひそ声ならだいじょうぶ」と思いがちですが、ひそひそ声は、ふつうの声よりのどにむりをかけることもあるといわれています。休むときは、話す回数そのものをへらしてみてください。
休んでもよくならないとき、2週間ほどかすれがつづくとき、いたみがあるときは、先にお伝えしたとおり、耳鼻咽喉科で相談しましょう。
年齢による声の変化について
年をかさねると、声が出にくくなったり、高い声が出しにくくなったりすると感じる方もいます。声のことで気になることがあっても、歌うことをあきらめる必要はありません。自分に合ったキーや曲をえらび、むりのない歌い方を身につけることで、楽しく歌いつづけている方はたくさんいます。
先生に見てもらうのもひとつの方法
自分の話し方や歌い方のくせは、なかなか自分では気づきにくいものです。ボイトレや声楽の先生に見てもらうと、「首に力が入っていますね」「息がとちゅうで止まっていますね」など、自分では気づかなかったくせを教えてもらえることがあります。
ただし、いたみやかすれがつづいているときは、まずお医者さんに相談してからにしましょう。そのうえで、むりのない声の出し方を、先生といっしょに身につけていくのがおすすめです。
まとめ
- 声のかすれが2週間ほどつづくとき、いたみがあるときは、耳鼻咽喉科で相談する
- 話し声では、大きな声、合わない高さ、早口、せきばらいのくせを見直す
- 歌声では、のどで押し上げる高い声、息の止まり、歌いすぎに気をつける
- くらしの中では、乾燥、つかれ、お酒やたばこにも気をつける
- かすれているときは、話す量をへらして、のどを休める
- 自分のくせは、先生に見てもらうと気づきやすい
むりのない声の出し方を身につけたいときは、近くの歌の教室をさがしてみるのもよいと思います。体験レッスンで、自分の声の悩みを相談してみてください。歌の教室さがし
また、こどもの歌声グランプリには、お子様だけでなく、大人やシニア(65歳以上)の方が出られる部門もあります。オンラインの動画審査だけで出られ、幼児からシニアまでの8部門、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、声の調子がととのったら、練習の成果をためしてみるのもすてきです。こどもの歌声グランプリ