声楽家とは?どんな仕事をしているの?声楽家になるまでの道をやさしく
「声楽家とは、どんな人のことをいうの?」 「声楽家って、ふだんはどんな仕事をしているの?」 「声楽家になるには、何をすればいいの?」
声楽を習いはじめた方や、歌が好きで将来のことを考えはじめた高校生・大学生の方から、こんな声を聞くことがあります。テレビや舞台で見る歌い手の姿は知っていても、その人がふだん何をしているのかは、なかなか見えにくいものです。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、声楽家とはどんな仕事なのか、どんな場で歌っているのか、そして声楽家になるにはどんな道があるのかを、やさしくまとめました。声楽家の働き方は、人によって本当にさまざまです。ここに書くのは「こういう形もある」という例として、読んでいただけたらうれしいです。
声楽家とは?
クラシックの歌い方で、歌を仕事にしている人
声楽家とは、ふつう、クラシック音楽の発声で歌うことを仕事にしている人のことをいいます。オペラの歌、日本歌曲、外国の歌曲、宗教音楽など、マイクを使わずにホールいっぱいに声をひびかせる歌い方を、長い時間をかけて身につけた人たちです。
「オペラ歌手」「声楽家」「歌い手」など、よび方はいろいろあります。オペラを中心に歌う人もいれば、演奏会や歌曲を中心にする人、合唱の世界で歌う人もいます。どれも、声楽という同じ土台の上にある仕事です。
声の種類によって、歌う役や曲がかわる
声楽家は、自分の声の種類に合わせて歌う曲や役をえらびます。ソプラノやテノールのように高い声の人、アルトやバスのように低い声の人など、声によって向いている曲がちがいます。声の種類は、年をかさねる中でかわっていくこともあり、そのときどきの自分の声と向き合いながら歌っていきます。
「資格」があるわけではない
声楽家には、これをとれば声楽家、という決まった資格はありません。音楽の学校を出た人もいれば、べつの道から歌の世界に入った人もいます。歌う場があり、その歌で人に聴いてもらえていることが、声楽家としての毎日を形づくっていきます。
声楽家はどんな仕事をしているの?
声楽家の仕事は、ひとつだけではありません。いくつかの仕事を組み合わせて活動している人もいます。
オペラや演奏会で歌う
声楽家の仕事として思いうかべやすいのが、オペラの舞台です。役になりきって、歌いながら演技もします。ほかにも、オーケストラといっしょに歌う演奏会、ピアノ伴奏と歌うリサイタル(ひとりの演奏会)、何人かで歌うアンサンブルの演奏会などがあります。
合唱団で歌う
仕事として歌う合唱団に入り、そのメンバーとして歌う声楽家もいます。まわりの声と合わせる力や、楽譜をすばやく読む力が大切になる仕事です。
式典やイベントで歌う
結婚式、記念の式典、教会での行事、地域のイベントなどで歌う仕事もあります。会場の広さや雰囲気に合わせて、曲や歌い方を考えます。
録音や放送の仕事
CDや動画のための録音、テレビやラジオの番組、ゲームやアニメの音楽の中で歌う仕事もあります。ホールで歌うときとはちがう、マイクの前での歌い方が求められることもあります。
教える仕事
自分の教室をひらいたり、音楽教室や学校で教えたりする声楽家もいます。舞台に立ちながら教える人もいれば、教えることを中心にする人もいます。教える仕事のはじめ方については、こちらの記事にまとめています。歌の先生になるには。ボイストレーナーなど、教える仕事のはじめ方と身につけたいこと
声楽家のふだんの毎日
舞台の上の姿は、声楽家の仕事のほんの一部です。ふだんは、こんなことに時間を使っています。
練習と、楽譜の読みこみ
毎日の発声練習や、本番で歌う曲の練習をします。新しい曲をもらったら、楽譜を読み、音をとり、歌詞の意味をしらべます。外国語の歌なら、ことばの発音や意味をひとつずつたしかめていきます。
伴奏者や共演者との合わせ
ピアノの伴奏者や、いっしょに歌う人たち、指揮者との練習も大切な時間です。テンポや息つぎの場所、曲の表情などを話し合いながら、ひとつの音楽を作っていきます。
体と声の調子をととのえる
声楽家にとって、体は楽器そのものです。ねる時間、食事、のどのしめり気、体力づくりなど、ふだんの生活の中で声を守る工夫をしています。のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しながら、無理をしないようにしています。
次の仕事につなげる活動
演奏会の準備や宣伝、オーディションを受けること、自分の活動を知ってもらうための発信なども、声楽家の仕事のうちです。歌うこと以外のことにも、時間と手間をかけています。
声楽家になるには?どんな道があるの?
声楽家になるまでの道は、人によってちがいます。ここでは、考えられる道の例をいくつか紹介します。
先生について、声楽を学ぶ
道の出発点のひとつになるのが、声楽の先生について習うことです。発声のきほん、曲の歌い方、外国語の発音などを、先生といっしょに少しずつ身につけていきます。先生との相性も大切なので、体験レッスンなどで、話しやすさや教え方をたしかめてみるとよいでしょう。
音楽の学校で学ぶ
音楽高校や音楽大学の声楽科で学ぶ道もあります。声楽のレッスンのほか、楽譜を読む力、ピアノ、音楽の歴史、外国語などを、まとまって学ぶことができます。声楽科で何を学ぶのかは、こちらの記事でくわしく書いています。声楽科とは?何を学ぶの?ピアノが弾けなくてもだいじょうぶ?
学校を出たあとに、さらに学ぶ
大学を出たあとに、大学院や、歌い手を育てる研修の場で学びを深める人もいます。外国へ行って学ぶ人もいます。留学について考えるときのポイントは、こちらにまとめています。声楽を学びに留学したい。準備しておきたいことと、考えておきたいこと
コンクールやオーディションに出る
コンクールで歌を聴いてもらったり、オペラや合唱団のオーディションを受けたりすることも、歌う場を広げるきっかけになることがあります。結果だけでなく、講評をもらえたり、ほかの人の歌を聴けたりすることも、学びになります。どんなコンクールがあるかは、こちらの記事で紹介しています。声楽コンクール2026-2027まとめ。小学生・中学生・高校生・大人(アマチュア)・シニアが出られるコンクール
道はひとつではない
音楽の学校を出ていなくても、歌の世界で活動している人もいますし、べつの仕事をしながら歌う人もいます。「この道を通らないと声楽家になれない」というものはありません。自分に合った学び方や、歌い方の場を、少しずつさがしていくことが大切です。
声楽家に求められること
声と、それを育てつづける力
声楽家には、ひびく声が求められます。ただ、声は生まれつきのものだけで決まるわけではなく、練習の中で育っていくものでもあります。毎日の練習をこつこつと続け、自分の声の変化に気づいていく力が大切です。
楽譜を読む力と、音楽の知識
楽譜を読み、音やリズムを正しくとらえる力は、声楽家の仕事をささえる土台です。曲が作られた時代や、作曲した人の考えを知ることも、歌に深みを出す手助けになります。
ことばを大切にする力
声楽の歌は、イタリア語、ドイツ語、フランス語など、外国語で歌うことがあります。発音だけでなく、ことばの意味をわかったうえで歌うことで、聴く人に気持ちが伝わりやすくなります。もちろん、日本語の歌でも、ことばをていねいにあつかうことは大切です。
人といっしょに音楽を作る力
声楽家は、ひとりで歌うだけでなく、伴奏者、指揮者、共演者、スタッフなど、たくさんの人と仕事をします。相手の話を聞き、自分の考えを伝える力も、舞台を作るうえで欠かせません。
体と心を守る力
本番前の緊張や、思うように声が出ない日もあります。そんなときに、自分の体と心の調子を見つめ、無理をしすぎないことも、長く歌い続けるための大切な力です。
声楽家をめざす方が、いまからできること
自分に合う先生をさがす
まだ先生についていない方は、まず声楽の先生をさがすところからはじめてみてください。高校生・大学生の方も、大人の方も、自分の声や目標を話せる先生と出会えると、学びがぐっと進みやすくなります。
生の歌をたくさん聴く
ホールで声楽の演奏会を聴くと、声のひびき方や、舞台での立ち方など、たくさんのことに気づけます。録音で聴くのとはちがう体験ができるので、できるときに足を運んでみてください。
人前で歌う場をもつ
発表会、合唱、コンクールなど、人前で歌う場をもつことも大切です。人に聴いてもらうことで、練習だけではわからなかった自分の歌に気づけることがあります。
のどと体を大切にする
声をたくさん使う人ほど、のどを休ませる時間が大切です。かぜをひいたときや、のどに違和感があるときは、無理に歌わずに休み、つらさが続くときはお医者さんに相談してください。
大人になってから声楽を学ぶ方へ
声楽家という仕事にあこがれても、「いまから仕事にするのはむずかしいかな」と思う方もいるかもしれません。声楽は、仕事にしなくても、生涯の楽しみとして深めていける世界です。
先生について学び、演奏会やコンクールに出て、自分の歌をみがいていく。そうした歩みそのものに、大きなよろこびがあります。仕事にするかどうかにかかわらず、声楽を学ぶことには、たくさんの楽しさがあります。
まとめ
- 声楽家とは、クラシックの発声で歌うことを仕事にしている人のこと
- オペラ、演奏会、合唱団、式典、録音、教える仕事など、働き方は人によってさまざま
- 舞台の外では、練習、楽譜の読みこみ、合わせ、体の調子をととのえることに時間を使っている
- 声楽家になるための決まった資格はなく、道は人によってちがう
- 先生について学ぶ、音楽の学校で学ぶ、コンクールやオーディションに出るなど、いろいろな道がある
- 声、楽譜を読む力、ことば、人と音楽を作る力、体と心を守る力が大切になる
- 仕事にしなくても、声楽は長く楽しめる世界
声楽家をめざす方も、趣味として声楽を深めたい方も、まずは自分に合う先生と出会うことが、はじめの一歩になります。お住まいの地域やオンラインで、声楽の先生をさがしてみてください。歌の教室さがしまた、人前で歌う経験をつむ場として、こんなコンクールもあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ