声楽を学びに留学したい。準備しておきたいことと、考えておきたいこと
「いつか、声楽を学びに留学してみたい」 「声楽の留学には、どんな準備がいるのだろう。イタリアに行くなら、何からはじめればいいのかな」
声楽を習っていると、本場の国で学んでみたいという気持ちがわいてくることがあります。オペラの生まれた国、歌曲がたくさん生まれた国のことばや空気にふれてみたい。そう思うのは、とても自然なことです。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、声楽の留学にしぼって、行く前に準備しておきたいことと、考えておきたいことをまとめます。学校の名前や費用の話はしません。かわりに、どこへ行くにしても役に立つ「準備の考え方」をお伝えします。ビザなどの手続きは国や時期によってかわるので、かならず大使館や公式の案内でたしかめてください。
まず「なぜ留学したいのか」を考える
目的によって、えらぶ道がかわる
声楽の留学といっても、目的は人によってさまざまです。
- 音楽の学校で、長い時間をかけて学びたい
- 夏などの短い講習会に参加してみたい
- 本場の先生に、いまの歌をみてもらいたい
- その国のことばや暮らしの中で、歌の背景を知りたい
長く学ぶのか、短い期間で体験するのかで、準備の内容も、必要な手続きも大きくかわります。まずは、自分がいちばん大切にしたいことを、ことばにしてみましょう。
「いつ行くか」も考えておく
高校を出てから、大学で学んでから、社会人になってから。声楽の留学をする時期も、人それぞれです。声は年れいとともにかわっていくものなので、いまの声の状態や、先生の意見も聞きながら考えると安心です。
いまの先生に相談する
先生は、いちばん身近な相談相手
留学を考えはじめたら、まずはいまの先生に話してみましょう。先生は、いまの声のよさや、のばしたいところをよく知っています。
- いまの声で、どんな曲を中心に学ぶとよいか
- 留学の前に、身につけておいたほうがよいこと
- 行き先の国の音楽の特ちょう
- 知っている人や、情報をもらえる場所
先生自身が留学の経験をもっていることもあります。経験のある先生からの話は、とても参考になります。
国内でできることを先にやる
留学の前に、国内で声楽科や音楽の学校で学ぶ道もあります。声楽科で何を学ぶのかは、こちらの記事でまとめています。声楽科とは?何を学ぶの?ピアノが弾けなくてもだいじょうぶ?
国内でしっかり基礎をつくってから行くと、向こうでの学びがより深くなることも多いです。
ことばの準備
歌のことばと、暮らしのことば
声楽の留学で、とても大切なのがことばです。ことばには、2つの面があります。
- 歌のことば:歌詞を正しく発音し、意味を知って歌うためのことば
- 暮らしのことば:買い物や手続き、レッスンで先生と話すためのことば
歌のことばは、声楽を習っていれば少しずつふれていると思います。でも、暮らしの中で使うことばは、また別に練習が必要です。
イタリアへの声楽留学なら
イタリアは、オペラや、ベルカントとよばれる歌い方の生まれた国として知られています。イタリアへの留学を考えるなら、イタリア語の勉強は早めにはじめておきたいところです。
- あいさつや数字など、かんたんな会話から
- レッスンでよく使われることば(息、ひびき、声、など)をおぼえる
- 歌っている曲の歌詞を、1語ずつ意味をしらべる
- イタリア語の音を、たくさん耳で聞く
歌のためのイタリア語の発音は、こちらの記事でもまとめています。イタリア歌曲の発音のきほん。声楽をならう子ども・大人のために
ドイツ語やフランス語の国なら
ドイツ語やフランス語の国へ行く場合も、考え方は同じです。暮らしのことばと、歌のことばの両方を、少しずつ身につけていきましょう。どの国でも、ことばが少しわかるだけで、先生の話がずっと聞きとりやすくなります。
曲の準備
自分の「名刺」になる曲をもつ
留学先で先生にみてもらうときや、学校の試験、講習会の申しこみでは、歌える曲をいくつか用意しておくことが多いです。
- 自分の声に合っていて、安心して歌える曲
- ちがう時代やことばの曲を、何曲か
- オペラのアリアと、歌曲の両方
何曲必要か、どんな曲を用意するかは、行き先や目的によってちがいます。くわしいことは、申しこみ先の案内をよく読み、先生とも相談しながら決めましょう。
暗譜と、ことばの意味
用意する曲は、楽譜を見ずに歌えるようにしておくと安心です。そして、歌詞の意味を自分のことばで説明できるようにしておきましょう。「この曲は、どんな気持ちの歌ですか」と聞かれたときに答えられると、レッスンがぐっと深まります。
録音や動画を用意しておく
申しこみのときに、歌っている録音や動画を出すように言われることもあります。ふだんから、ていねいに録音しておくと、いざというときにあわてずにすみます。
体と心の準備
のどと体を守る
ちがう国で暮らすと、気候や食べ物、水がかわります。空気がかわいている地域や、寒さのきびしい季節もあるので、のどの守り方を考えておきましょう。
- 部屋の空気がかわいているときの工夫を知っておく
- 体調をくずしたときに、どこへ行けばよいかしらべておく
- 必要な薬は、持ちこめるかどうかたしかめておく
のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。留学先でも、相談できるところを早めに見つけておくと安心です。
気持ちが落ちこんだとき
ことばがうまく通じない、思ったように歌えない、家族や友だちに会えない。留学中は、気持ちが落ちこむ日もあると思います。そんなときに話せる人や、気分を切りかえる方法を、行く前から考えておくとよいでしょう。
手続きと情報のたしかめ方
公式の案内でたしかめる
留学には、ビザや住む場所、保険など、いろいろな手続きがあります。きまりは国によってちがい、時期によってかわることもあります。
- ビザのことは、行き先の国の大使館や領事館の案内でたしかめる
- 学校や講習会のことは、その学校の公式の案内でたしかめる
- ネットの体験談は参考にとどめ、さいごは公式の情報でたしかめる
スケジュールをはやめに立てる
申しこみのしめきりや、書類をそろえる時間、ことばの勉強の時間など、留学の準備には思った以上に時間がかかることがあります。行きたい時期から逆算して、何をいつまでにするか、表にしておくと安心です。
まずは短い期間で「ためしてみる」という考え方
夏の講習会などで、雰囲気を知る
いきなり長い留学を決めるのが不安なときは、短い講習会などに参加して、その国の雰囲気を知るという考え方もあります。数日から数週間の講習会では、ふだんとはちがう先生のレッスンを受けたり、ほかの国から来た人たちの歌を聞いたりできることがあります。
- その国の気候や食べ物が、自分の体に合うか
- ことばがどのくらい通じるか
- 先生の教え方が、自分に合いそうか
こうしたことを短い期間でたしかめておくと、長い留学をするかどうかを考える材料になります。講習会の内容や申しこみ方は、主催するところの公式の案内でたしかめてください。
レッスンでの心がまえ
留学先のレッスンでは、日本とはちがう教え方に出会うこともあります。はじめはとまどうかもしれませんが、すぐに「合わない」と決めずに、まずは言われたことをためしてみる気持ちが大切です。わからないことは、かんたんなことばでもよいので、その場で聞いてみましょう。レッスンの内容は、ノートに書いたり、ゆるされていれば録音したりしておくと、あとでふりかえることができます。
日本の歌も持っていく
留学先で、自分の国の歌を歌ってほしいと言われることもあります。日本の歌曲や、日本でよく歌われてきた歌を1曲か2曲、歌えるようにしておくと、自己紹介がわりにもなります。
留学のあとのことも、少しだけ考えておく
留学から帰ってきたあと、どんなふうに歌をつづけたいかを考えておくのも大切です。
- 演奏の活動をしたい
- 歌を教える仕事をしたい
- 学んだことを、趣味としてゆっくり深めたい
いまはっきりしていなくても、だいじょうぶです。ただ、「どんな自分になりたいか」を思いうかべておくと、留学中の学びにも、目当てが生まれます。
まとめ
- まず「なぜ留学したいのか」「いつ行くのか」を考える
- いまの先生に相談し、国内でできることを先にやる
- 歌のことばと、暮らしのことばの両方を準備する
- イタリアへ行くなら、イタリア語は早めにはじめる
- 自分の声に合う曲を用意し、歌詞の意味も説明できるようにする
- のどと心の守り方を考えておく
- ビザなどの手続きは、大使館や公式の案内でたしかめる
留学は、いまの自分の歌を見つめなおす、よいきっかけにもなります。まずは国内で先生をさがしたいときは、こちらのページも使ってみてください。歌の教室さがしいまの歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、いまの自分の歌をふりかえる材料にもなると思います。こどもの歌声グランプリ