声楽科とは?何を学ぶの?ピアノが弾けなくてもだいじょうぶ?
「声楽科って、どんなところなんだろう」 「歌は好きだけど、ピアノが弾けない。声楽科は、むりなのかな」
歌が大好きなお子様が、進路を考えはじめたとき、こんな疑問がうかぶことがあると思います。お父様・お母様も、音楽の学校のことはよくわからず、どう声をかけたらいいか、まよってしまうかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌の道を考える親子にとって、「声楽科とは何か」を知っておくことは、安心につながると感じています。
この記事では、声楽科とはどんなところか、何を学ぶのか、そして「ピアノが弾けないけれど、声楽科に行けるの?」という、よくある心配について、やさしくまとめます。学校ごとのくわしい入試の内容は、学校によってちがうので、かならず募集要項でたしかめてください。
声楽科とは
歌を、専門に学ぶところ
声楽科とは、音楽の学校の中で、歌を専門に学ぶところです。音楽大学や、大学の音楽学部、音楽の科がある高校などにおかれていることが多いです。
声楽科では、マイクをつかわずに、自分の体をひびかせて歌う「声楽」の歌い方を、何年もかけて学びます。オペラの歌や、ドイツ語・イタリア語などの歌、日本の歌など、いろいろな歌をあつかいます。
「歌が好き」から、もう一歩ふみこむ場所
声楽科は、ただ歌を楽しむだけのところではありません。声のしくみ、ことばの発音、楽譜の読み方、音楽の歴史など、歌を深く知るための勉強をたくさんします。
そのぶん、「歌のことを、もっと知りたい」「ずっと歌とかかわっていたい」という気持ちのある人にとっては、とても楽しい場所になると思います。
高校の声楽科と、大学の声楽科
高校の音楽の科では、ふつうの教科の勉強をしながら、音楽の授業も受けることが多いです。声楽のほかに、ピアノや楽器をえらぶ人といっしょに学ぶ学校もあります。
大学の声楽科では、もっと専門的に、歌の勉強に多くの時間をつかいます。どちらも、学校によって、授業の内容や時間はちがいます。
声楽科では何を学ぶの?
声楽科で学ぶことは、学校によってちがいますが、多くの学校では、次のような授業があります。
声楽の個人レッスン
声楽科の中心は、先生とマンツーマンで受ける歌のレッスンです。
- 体の使い方や、息の使い方
- 声のひびかせ方
- 一人ひとりの声に合った曲の練習
- 外国語の歌の発音
自分の声と、じっくりむき合う時間です。先生と相談しながら、少しずつ歌える曲をふやしていきます。
ソルフェージュ
ソルフェージュは、楽譜を見て歌ったり、聞いた音を楽譜に書いたりする練習です。音楽の「読み・書き」のような勉強だと思うと、わかりやすいかもしれません。
ソルフェージュについては、こちらの記事でくわしく書いています。ドレミで歌う練習。ソルフェージュとは?子どもにも大人にもやさしく
外国語と発音
声楽では、イタリア語、ドイツ語、フランス語などの歌をよく歌います。そのため、ことばの意味や発音を学ぶ授業があることが多いです。
すらすら話せるようになることより、歌うときに正しく発音できることを大切にします。
音楽の歴史や、しくみの勉強
むかしの作曲家がどんな時代に生きたのか、曲がどんなしくみでできているのかなども学びます。歌う曲のうしろにある物語を知ると、歌い方もかわってきます。
合唱やオペラの授業
ひとりで歌うだけでなく、みんなで声を合わせる合唱や、劇のように演じながら歌うオペラの授業がある学校もあります。舞台での立ち方や、ほかの人と息を合わせることも学べます。
ピアノの授業
声楽科でも、ピアノの授業があることが多いです。これは、ピアニストになるためではなく、音楽の勉強に役立てるためです。くわしくは、次の章でお話しします。
声楽科は、ピアノが弾けなくてもだいじょうぶ?
まず知っておきたいこと
「声楽科に行きたいけれど、ピアノが弾けない」という心配は、とてもよく聞きます。
結論から言うと、ピアノが上手に弾けなくても、声楽科を目指すことはできます。ただし、入試でピアノの試験があるかどうか、どのくらい弾ければいいのかは、学校によってちがいます。かならず、行きたい学校の募集要項でたしかめてください。
なぜ声楽科でピアノを学ぶの?
声楽科でピアノを学ぶのには、こんな理由があります。
- 歌う曲の音を、自分でたしかめられる
- 和音(いくつかの音を同時に鳴らした音)を知ることで、音程がとりやすくなる
- 伴奏のピアノが、どんな動きをしているかわかる
- ひとりで練習するときに、音をとる助けになる
つまり、ピアノは「歌をささえる道具」のようなものです。上手に弾けることよりも、音楽を理解するために使えることが大切にされることが多いです。
ピアノが弾けない人が、今からできること
ピアノがまったく弾けなくても、あせらなくてだいじょうぶです。少しずつ、できることからはじめてみましょう。
- かんたんな曲を、片手からゆっくり弾いてみる
- 歌う曲のメロディーを、ピアノで1音ずつたしかめる
- ドレミの場所を、けんばんでおぼえる
- 声楽の先生に、ピアノも見てもらえるか相談する
- ピアノの先生に、「声楽科を考えている」と伝えて習う
家にピアノがなくても、電子ピアノやキーボードで練習をはじめる人もいます。まずは、けんばんにさわることになれるところからでじゅうぶんです。
早めにはじめると、気持ちが楽になる
ピアノは、急に上手になるものではありません。声楽科を少しでも考えているなら、早めにピアノにふれておくと、あとで気持ちが楽になると思います。
声楽科に向けて、今からできる準備
声楽の先生に習う
声楽科を目指すなら、声楽の先生について習うのが近道です。声楽の歌い方は、ひとりで身につけるのがむずかしいところもあるからです。
先生をさがすときは、声楽科の受験について相談にのってもらえるかどうかも、聞いてみるとよいと思います。近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
楽譜を読むことに、なれておく
声楽科では、楽譜を見て歌うことがとても多いです。音の高さやリズムを楽譜から読みとる練習を、少しずつしておくと安心です。
いろいろな歌を聞いてみる
声楽の歌を、たくさん聞いてみましょう。オペラの歌、日本の歌、外国の歌など、いろいろな歌を聞くうちに、「こんなふうに歌ってみたい」という気持ちが育っていきます。
人前で歌う経験をつむ
発表会やコンクールなど、人前で歌う経験は、声楽科を目指すうえでも大きな力になります。きんちょうしながらも歌いきった経験は、本番でのおちつきにつながります。
学校の情報は、早めにたしかめる
声楽科の入試では、歌の試験のほかに、楽譜を読む試験や、ピアノの試験などがある場合があります。どんな試験があるのか、何を歌えばよいのかは、学校によってちがいます。行きたい学校が決まったら、募集要項を早めに見ておきましょう。
体とのどを大切にする
声楽科を目指すと、練習の時間が長くなりがちです。でも、のどはとても大切な楽器です。たくさん練習すればいいわけではありません。
痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お父様・お母様にできること
お子様の「好き」を大切にする
声楽科を目指すかどうかは、お子様の気持ちがいちばん大切です。「せっかく習ってきたのだから」と、まわりが決めてしまうのではなく、お子様が歌のどんなところが好きなのか、ゆっくり聞いてみてください。
情報をいっしょに集める
学校の説明会や、オープンキャンパス、学校のホームページなどで、情報を集めることができます。親子でいっしょに見に行くと、お子様も将来のイメージがわきやすくなります。
声楽科の先の道も、知っておく
声楽科で学んだあとの道は、ひとつではありません。歌の仕事だけでなく、音楽の先生、音楽にかかわる会社など、いろいろな道があります。
歌が好きなお子様の進路については、こちらの記事でくわしくまとめています。歌が好きな子の進路|中学・高校の部活、音楽科、音大、それ以外の道
まとめ
- 声楽科とは、マイクを使わない「声楽」の歌い方を、専門に学ぶところ
- 個人レッスン、ソルフェージュ、外国語の発音、音楽の歴史などを学ぶことが多い
- ピアノが弾けなくても、声楽科を目指すことはできる
- ただし、入試でのピアノの試験などは、学校によってちがうので募集要項でたしかめる
- ピアノは、歌をささえる道具として、早めにふれておくと安心
- 声楽の先生に習い、楽譜に慣れ、人前で歌う経験をつんでおく
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
声楽科を考えはじめたら、まずは人前で歌う経験を、少しずつふやしていくのもおすすめです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、遠くの会場に行かなくても、おうちでとった歌で参加できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、今の歌のよいところや、これからの練習のヒントを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ