子どもの歌の練習、親はどこまで口を出す?見守る距離のコツ
「そこ、音がちがうよ」 「もっと大きな声で歌って」
お子様が歌の練習をしていると、つい口を出したくなることがありますよね。でも、言ったあとにお子様がふきげんになったり、練習をやめてしまったりして、「言いすぎたかな」とまようこともあるのではないでしょうか。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、習い事の練習に親がどこまで口出しをしてよいのか、子どもの練習を見守るときの距離について考えます。練習をいやがるときの向き合い方は子どもが歌の練習をいやがるとき。お父様・お母様の声かけと、楽しくつづける工夫に、言い方のくわしいコツは子供に歌を教えるときの親の教え方。言い方のコツと、教えすぎない工夫にまとめていますので、ここでは「どのくらい関わるか」という距離にしぼってお話しします。
練習に口を出したくなるのは、なぜ?
気づいたことを伝えたくなる
お子様の歌を聞いていると、音程やリズム、声の大きさなど、気になるところが耳に入ってきます。「教えてあげたら、もっとよくなるのに」と思うのは、しぜんなことです。
本番や結果が気になる
発表会やコンクールがせまってくると、「このままでだいじょうぶかな」という気持ちが強くなります。あせりから、ついあれこれと言ってしまうこともあります。
練習を見るのが、親の役目だと感じる
「せっかく習っているのだから、家でもしっかり見てあげないと」と思うお父様・お母様もいらっしゃると思います。お子様を思う気持ちから、関わりたくなるのですね。
口出しが続きすぎると、どうなる?
関わることそのものは、わるいことではありません。ただ、口出しが続きすぎると、こんなことが起きることがあります。
- 歌うたびに注意されると感じて、歌うのが楽しくなくなる
- 自分で考えずに、親の指示を待つようになる
- 先生のことばと親のことばがちがって、まよってしまう
- 親の前で歌うのをいやがるようになる
とくに、先生とちがうことを言ってしまうと、お子様はどちらに合わせたらよいのかわからなくなることがあります。歌い方の中身については、先生のことばを大切にするのが安心です。
口を出したほうがよいとき、見守るほうがよいとき
声をかけたほうがよいとき
- のどをいたがっている、声がかすれているのに歌いつづけている
- さけぶような大きな声で、むりに歌っている
- 先生から、家で見てほしいことを言われている
- お子様から「聞いて」「どうだった?」と言われた
のどのいたみやかすれが続くときは、練習を休ませて、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。こうしたときは、見守るより、やさしく声をかけて止めることが大切です。
見守るほうがよいとき
- お子様が、自分なりに考えながら歌っている
- まちがえても、自分で気づいて歌いなおしている
- 楽しそうに、のびのびと歌っている
- 先生から出された課題に、ひとりでとり組んでいる
こうしたときは、少しくらい音がずれていても、あえて何も言わずに聞いているほうが、お子様の「自分でできた」という気持ちが育ちやすくなります。
見守る距離をたもつためのコツ
役わりを「先生」「親」でわける
歌い方を教えるのは先生、家で練習しやすい環境をととのえるのは親、と役わりをわけて考えると、口出しをしすぎずにすみます。
親ができることの例 - 練習しやすい時間と場所をつくる - 楽譜や音源を用意しておく - 練習のあと、「聞いていて楽しかったよ」と伝える - レッスンで先生に言われたことを、いっしょにメモしておく
言うことは、ひとつにしぼる
どうしても伝えたいことがあるときは、ひとつだけにしぼりましょう。たくさんのことを一度に言われると、お子様はどれを直せばよいのかわからなくなることがあります。
「今日は、さいごの音をていねいにのばせたらいいね」のように、ひとつだけ、できそうなことを伝えるのがコツです。
先によいところを伝える
気になるところを伝えるときも、その前に、よかったところをひとこと伝えてみてください。
- 「はじまりの声、きれいだったね」
- 「歌詞を見ないで歌えるようになったね」
よいところをみとめてもらえると、そのあとのことばも受けとりやすくなります。
「どうだった?」とお子様に聞く
親が先に感想を言う前に、「自分ではどうだった?」とたずねてみるのもよい方法です。お子様が自分の歌をふりかえるきっかけにもなりますし、親が言おうとしていたことに、お子様が自分で気づくこともあります。
少しはなれた場所から聞く
練習のあいだずっととなりにいると、お子様は見られているように感じることがあります。キッチンやとなりの部屋など、少しはなれた場所から耳をかたむけるくらいの距離が、ちょうどよいこともあります。
お子様が「聞いてほしい」と言ったときには、手を止めて、ちゃんと向き合って聞いてあげてください。
練習の時間と中身は、お子様といっしょにきめる
いつ練習するか、どの曲を練習するかを、親がすべてきめてしまうと、お子様は「やらされている」と感じやすくなります。「今日は、どの歌から歌う?」「夕ごはんの前と後、どっちにする?」のように、お子様がえらべる部分をつくってみてください。自分でえらんだことは、続けやすくなることがあります。
年れいや時期によって、距離をかえる
小さなお子様のとき
小さなお子様は、ひとりで練習するのがむずかしいこともあります。この時期は、親がいっしょに歌ったり、歌あそびのように楽しんだりする関わり方が合っていることがあります。注意するよりも、いっしょに楽しむことを大切にしましょう。
少し大きくなってきたら
自分で考えて練習できるようになってきたら、少しずつ手をはなしていく時期です。練習の時間や内容を、お子様自身にきめてもらうのもよいと思います。
練習のようすを、カードやシールで記録するのも、親が口を出さずに見守るための工夫になります。子どもの歌の練習カードの作り方。シールで楽しくつづける、習い事の練習カードの使い方
本番が近いとき
発表会やコンクールの前は、親のほうが気持ちがあせりがちです。でも、本番が近いときほど、お子様には安心して歌える空気が大切です。細かい注意より、「ここまでよくがんばったね」ということばを、たっぷりかけてあげてください。
口を出したくなったときの、自分の気持ちのととのえ方
見守ろうときめていても、つい言いたくなる日はあります。そんなときは、口を開く前に、少しだけ立ち止まってみてください。
- いま言いたいのは、お子様のためか、自分の不安からか
- いま言わないと、こまることか
- 先生に聞いてからでも、おそくないことか
こう考えてみると、いますぐ言わなくてもよいことに気づく場合もあります。気になったことは、メモに書いておいて、つぎのレッスンで先生に聞いてみるのもよい方法です。
言いすぎてしまったときは
つい言いすぎてしまった日もあると思います。そんなときは、あとから「さっきは言いすぎたね。いっしょうけんめい歌っていたのにね」と伝えてみてください。親があやまるすがたを見せることは、お子様にとっても安心につながることがあります。
見守ることも、りっぱな応援
口を出さずに見守ることは、何もしていないように感じるかもしれません。でも、お子様が自分で考え、自分で歌をつくっていく時間を守ることは、とても大切な応援です。
練習のあとに、「最後まで歌えたね」「楽しそうだったね」と声をかけるだけでも、お子様は「見てくれている」と感じることができます。歌い方を教えなくても、聞いてくれる人がいることが、お子様の歌う力になっていくこともあります。
先生と気持ちを合わせる
家での関わり方にまよったときは、先生に相談してみましょう。
- 「家では、どのくらい練習を見たらいいですか」
- 「家で気をつけて見ておくことはありますか」
- 「親が言わないほうがいいことはありますか」
先生の考えを聞いておくと、家での口出しの量を調整しやすくなります。講評や先生からのアドバイスを、家でどう生かすかは、こちらの記事も参考にしてみてください。コンクールの講評の読み方と、つぎの練習への生かし方。お父様・お母様ができること
まとめ
- 練習に口を出したくなるのは、お子様を思う気持ちから
- 口出しが続きすぎると、歌うのが楽しくなくなったり、自分で考えなくなったりすることがある
- のどのいたみやむりな歌い方のときは、やさしく声をかけて止める
- 自分なりに考えて、のびのび歌っているときは、見守る
- 歌い方は先生、環境づくりは親と、役わりをわける
- 伝えることはひとつにしぼり、先によいところを伝える
- 年れいや時期によって、関わる距離をかえていく
お子様が自分の力で練習をかさねてきた歌は、ご家族にとっても大切なものです。その歌を、だれかに聞いてもらう場として、こんなコンクールもあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ