練習・発声のコツ

保育の歌の時間のねらいとは?保育園・幼稚園で歌を楽しむ活動の考え方とすすめ方

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「歌の時間のねらいを、どう考えたらいいのかわからない」 「行事の前の歌の練習が、子どもたちにとって楽しい時間になっているか心配」 「歌の活動で、何を大切にすればいいのだろう」

保育園や幼稚園では、朝の会や帰りの会、季節の行事、発表会など、さまざまな場面で歌を歌います。毎日のように歌っているからこそ、「この歌の時間には、どんなねらいがあるのだろう」と立ち止まって考えたくなることもあると思います。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、保育の歌の時間や歌の練習のねらいを考えるときのヒントと、歌を楽しむ活動のすすめ方をまとめました。ねらいの立て方は、それぞれの園の方針や指導計画によってちがいます。ここで紹介するのは、考えるときの手がかりのひとつとして読んでいただけたらうれしいです。

歌が苦手だと感じている先生へのコツは、こちらの記事でまとめています。保育士・幼稚園の先生で歌が苦手なとき。声が出ない人でも、子どもの前で楽しく歌うコツ

保育の歌の時間で、ねらいを考えるわけ

「なんとなく歌う」から一歩進むために

歌は、子どもたちにとって身近な楽しみです。とくに目的を決めなくても、歌えば場がなごみ、笑顔が生まれます。それ自体が、とても大切なことです。

そのうえで、「今日の歌の時間で、子どもたちにどんな経験をしてほしいか」を少し考えておくと、声のかけ方や歌のえらび方、すすめ方が見えやすくなります。

先生どうしで、思いをそろえるために

ひとつのクラスを何人かの先生で見ているときは、歌の時間のねらいを話しあっておくと、声かけの方向がそろいやすくなります。「今日は声の大きさより、みんなで歌う楽しさを大切にしよう」など、短いことばでもかまいません。

ふりかえりの手がかりになる

ねらいがあると、歌の時間のあとに「どうだったかな」とふりかえりやすくなります。うまくいかなかった日も、「次はこうしてみよう」と考えるきっかけになります。

保育園・幼稚園の歌の活動で考えられる、ねらいの例

ねらいは、園の方針や子どもたちのようすに合わせて考えるものです。ここでは、考えるときのヒントになる視点を紹介します。

歌うことを楽しむ

まずは、歌うことそのものを「楽しい」と感じてほしい、という視点です。上手に歌えるかどうかよりも、声を出す気持ちよさや、歌に合わせて体を動かす楽しさを味わえることを大切にします。

友だちといっしょに歌う心地よさを感じる

ひとりで歌うのとはちがう、みんなで声を合わせるうれしさに目を向ける視点です。友だちの声を聞いたり、いっしょに歌い終わったときの気持ちを分かちあったりすることも、歌の時間ならではの経験です。

ことばやリズムにふれる

歌には、日ごろの会話では出てこないことばや、くり返しのリズムが入っています。歌を通して新しいことばを知ったり、リズムにのって体を動かしたりすることも、ねらいの視点のひとつになります。

季節や行事を感じる

季節の歌や行事の歌を歌うことで、まわりの自然や、くらしの中の行事に気づくきっかけになります。たとえば、春に「ちょうちょう」、秋に「どんぐりころころ」を歌いながら、外で見つけた生きものや木の実の話をするのもよいでしょう。

自分なりに表現する

歌に合わせて手を動かしたり、歌の中の動物になりきったりと、自分なりに表現する楽しさを味わう視点です。みんな同じ動きでなくてもよい場面をつくると、ひとりひとりのよさが見えてきます。

年齢によって、目を向けたいところ

子どもたちの育ちには、ひとりひとりちがいがあります。ここでは、クラスごとに目を向けやすいところを、ゆるやかな手がかりとして紹介します。

0・1・2歳児クラス

このクラスでは、先生の歌を聞いたり、歌に合わせて体をゆらしたり、手をたたいたりすることが、歌の時間の中心になることがあります。声を出さなくても、じっと聞いている時間も、大切な歌の経験です。

先生がお子様の目を見て、ゆっくり歌いかけることを大切にしたいところです。ふれあい遊びのある歌もとり入れやすいでしょう。

3歳児クラス

知っている歌を、自分から口ずさむ姿が見られることがあります。歌詞をまちがえたり、ところどころだけ歌ったりしても、そのまま受けとめてあげてください。

動きのついた歌や、くり返しのある歌は、子どもたちが参加しやすいことがあります。

4・5歳児クラス

友だちと声を合わせることや、歌の意味を考えることにも、少しずつ目を向けやすくなってきます。発表会などで、みんなでひとつの歌を仕上げる経験をすることもあるかもしれません。

ただ、行事に向けた歌の練習でも、「みんなで歌うのが楽しい」という気持ちを、土台にしておきたいところです。

園での年中・年長さんの合唱について、おうちでのサポートの視点からまとめた記事もあります。年中・年長さんの合唱。園でみんなで歌うときの、おうちでのサポート

歌の時間の、すすめ方の例

はじめに、気持ちを向ける

いきなり歌いはじめるより、手あそびや、歌に出てくるものの話から入ると、子どもたちの気持ちが歌に向きやすくなります。「かえるさんは、どんな声で鳴くかな」と聞いてから「かえるの合唱」を歌うなど、ちょっとした問いかけも役に立ちます。

先生が、楽しそうに歌ってみせる

新しい歌を伝えるときは、まず先生が楽しそうに歌ってみせることが大切です。上手に歌うことよりも、表情や体の動きで「この歌、楽しいよ」という気持ちを伝えることを大事にしてみてください。

みんなで歌う

子どもたちがなれてきたら、いっしょに歌ってみましょう。はじめから全部を歌えなくても大丈夫です。くり返しの部分だけ歌う、手の動きだけまねする、など、参加のしかたはいろいろあってよいのです。

終わりに、ひとこと気持ちを分かちあう

歌い終わったら、「楽しかったね」「みんなの声が、きれいにそろっていたね」などと、ひとこと伝えてから次の活動へうつりましょう。子どもたちから「もう一回歌いたい」という声が出たら、その気持ちを大切にしてあげてください。

朝の会や帰りの会など、毎日の流れの中で歌をとり入れる工夫は、こちらの記事でも紹介しています。朝の会・帰りの会の歌。保育園や家で、1日のはじまりとおわりを歌でつくる工夫

行事に向けた歌の練習で、気をつけたいこと

「できた・できない」にしばられすぎない

発表会や卒園式などの行事が近づくと、どうしても「ちゃんと歌えるように」と力が入ってしまうことがあります。練習をくり返すことは大切ですが、子どもたちが「歌の時間はしかられる時間」と感じてしまわないように、気をつけたいところです。

大きな声を、むりにもとめない

「もっと大きな声で」と声をかけると、子どもたちがどなるような声を出してしまうことがあります。のどに負担がかかることもあるので、やさしい声で、のびのびと歌えることを大切にしましょう。のどの痛みやかすれが続くお子様がいるときは、おうちの方と話し、耳鼻科などのお医者さんへの相談をすすめてください。

歌わない子も、受けとめる

みんなが歌っていても、じっと聞いているだけの子や、口を動かさない子がいることもあります。歌わないからといって、歌の時間を楽しんでいないとはかぎりません。その子なりの参加のしかたを、あたたかく見守ってあげてください。

ふりかえりのときに、見てみたい視点

歌の時間のあとは、次のような視点でふりかえってみると、次の活動のヒントが見つかることがあります。

  • 子どもたちは、どんな表情で歌っていたか
  • 自分から歌いだしたり、体を動かしたりする姿はあったか
  • 友だちの声を聞いたり、顔を見合わせたりする姿はあったか
  • 歌の高さや速さは、子どもたちに合っていたか
  • 先生の声かけは、子どもたちに伝わりやすかったか

ふりかえりの書き方は、それぞれの園の方針や指導計画にあわせて考えてください。ここであげた視点は、あくまで子どもたちのようすを見るときの手がかりのひとつです。

先生自身も、歌を楽しむ

子どもたちは、先生の気持ちを感じとっていることがあります。先生が歌を楽しんでいると、その気持ちは子どもたちにも伝わりやすくなります。

ピアノを弾きながら歌うことにとり組みたい先生は、こちらの記事も参考にしてみてください。保育士・先生のピアノの弾き歌い。歌とピアノをいっしょにする練習のしかたとコツ

まとめ

  • 歌の時間のねらいを考えると、歌のえらび方や声のかけ方が見えやすくなる
  • ねらいの視点には、歌うことを楽しむ、友だちと歌う心地よさ、ことばやリズム、季節や行事、自分なりの表現などがある
  • 年齢によって目を向けたいところはちがうが、育ちはひとりひとりちがう
  • 歌の時間は、気持ちを向ける、先生が歌ってみせる、みんなで歌う、気持ちを分かちあう、という流れですすめやすい
  • 行事の練習でも、「みんなで歌うのが楽しい」という気持ちを土台にする
  • ねらいやふりかえりの書き方は、園の方針や指導計画にあわせる

歌を楽しむ気持ちは、園での毎日の中で少しずつ育っていきます。先生ご自身が歌をもっと学びたいときは、大人向けの教室をさがしてみるのもひとつの方法です。歌の教室さがし

園で歌が好きになったお子様が、おうちの方といっしょに目標をもって歌う場として、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ

幼児童謡

つぎの一歩を さがす

あわせて読みたい