保育士・幼稚園の先生で歌が苦手なとき。声が出ない人でも、子どもの前で楽しく歌うコツ
「保育士になったけれど、じつは歌が苦手」 「子どもたちの前で歌うと、声が出ない。高いところがかすれてしまう」
保育園や幼稚園では、朝の会、手あそび、季節の歌、帰りの会と、1日のなかで歌う時間がたくさんあります。だからこそ、歌に自信がないと、毎日少しずつ気持ちが重くなってしまうことがあると思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌は「上手か、下手か」だけで決まるものではなく、歌う人の表情や、楽しそうな気持ちが、聞いている人にとどくものだと感じています。
この記事では、保育士や幼稚園の先生で歌が苦手な方、声が出ないとなやんでいる方に向けて、子どもの前で楽しく歌うためのコツをまとめました。お遊戯会の練習の話ではなく、ふだんの保育のなかで、先生ご自身が歌いやすくなることにしぼってお話しします。
保育士が歌を苦手と感じる理由
「上手に歌わなければ」と思いすぎている
歌が苦手と感じる先生の多くは、「音をはずしてはいけない」「きれいな声で歌わなければ」と、自分にきびしくなっていることがあります。
でも、子どもたちが先生に求めているのは、プロのような歌声ではありません。いっしょに歌ってくれること、楽しそうな顔を見せてくれることが、子どもたちにとっては、なによりうれしいことです。
声の高さが自分に合っていない
子ども向けの歌は、子どもの声に合わせて、少し高めにつくられていることが多いです。大人の声、とくに低めの声の先生にとっては、高すぎて声が出ないと感じるのは、ふしぎなことではありません。
声が出ないのは、歌が苦手だからではなく、高さが合っていないだけ、ということもよくあります。
1日に何回も歌って、のどがつかれている
保育の仕事は、歌うだけでなく、子どもに声をかけたり、名前をよんだりと、1日中声をつかいます。夕方になると声がかすれる、というのは、多くの先生が感じていることだと思います。
子どもの前で歌うときの気持ちの持ち方
先生は「歌い手」ではなく「いっしょに歌う人」
子どもの前で歌うとき、先生は舞台の上の歌い手ではありません。子どもたちといっしょに歌う、なかまの1人です。
そう考えるだけで、「聞かせなければ」というプレッシャーが、少しかるくなります。先生が楽しそうにしていると、子どもたちも自然に声を出しやすくなります。
表情と体の動きで、歌を伝える
声に自信がないときこそ、表情と体の動きを大切にしてみてください。
- 口を大きくあけて、にこっとした顔で歌う
- 手あそびや、ふりつけを大きめに動かす
- 子どもたちの顔を見ながら歌う
- 歌の前に「次は何の歌かな」と、わくわくするひとことを入れる
子どもたちは、先生の顔と動きをよく見ています。声が少し小さくても、楽しそうな気持ちはしっかりとどきます。
まちがえても、そのまま続ける
歌詞をまちがえたり、音がずれたりしても、止まらずに続けて大丈夫です。子どもたちは、そこまで気にしていないことがほとんどです。先生がにこにこしていれば、歌の時間は楽しいまま進みます。
声が出ないときに見直したい体の使い方
姿勢をととのえる
声は、体全体でつくるものです。まず、姿勢を見直してみましょう。
- 足を肩はばくらいにひらいて立つ
- 頭を上からひもで引っぱられているようなイメージで、背中をのばす
- 肩の力をぬく
- あごを前につき出さない
すわって歌うときも、背もたれによりかからず、こしを立てるようにすると、声が出しやすくなります。子どもと目線を合わせるために、かがんだり、ひざをついたりすることも多いと思いますが、そのときも背中は丸めすぎないようにすると、らくに声が出ます。
息を先にすう
声が出ないと感じるとき、息が足りていないことがあります。歌いはじめる前に、ゆっくり鼻から息をすってから、声を出してみてください。
おなかのまわりがふくらむようにすうと、息が長く続きやすくなります。くわしいやり方は、こちらの記事にもまとめています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
のどに力を入れない
高い声を出そうとして、のどをしめつけてしまうと、声がかすれたり、つかれやすくなったりします。あくびをするときのように、口のおくを少し広げるイメージで歌うと、のどがらくになることがあります。
毎日の保育で歌いやすくする工夫
歌う高さを少し下げる
ピアノやキーボードをつかえる場合は、歌の高さを少し下げてみるのも1つの方法です。子どもたちにとっても、少し低めのほうが歌いやすいことがあります。
園によって決まりがあることもあるので、まわりの先生に相談しながらすすめると安心です。
声の大きさで勝負しない
大きな声で子どもたちを引っぱろうとすると、のどに負担がかかります。
- 子どもたちを近くに集めてから歌う
- 歌の前に「みんなの声を聞かせてね」と声をかける
- 先生は少し小さめの声で、子どもたちの声を引き出す
- 手びょうしや、すずなどの楽器をつかって、リズムで引っぱる
先生の声が主役にならなくても、子どもたちの歌声が元気に聞こえれば、それで十分です。
よく歌う歌を、家で少し練習しておく
毎月の歌や、季節の歌など、よく歌う歌がわかっているときは、家で少しだけ練習しておくと安心です。
- 音源を聞きながら、小さな声でいっしょに歌う
- 歌詞をおぼえておく(歌詞を見ないで歌えると、子どもの顔を見て歌える)
- 息つぎの場所を決めておく
- スマホで録音して、聞いてみる
自分の声を録音で聞くのは、はじめははずかしいかもしれません。でも、思っているより悪くない、と感じることも多いものです。
ほかの先生と分担する
歌が得意な先生がいる場合は、ピアノと歌を分担したり、手あそびと歌を分けたりと、役わりを分けるのも1つの方法です。苦手なことをひとりでかかえこまず、まわりにたよることも大切です。
のどを守るためにできること
声をつかう前と後のケア
- 朝、仕事の前に、軽くハミングをしてのどをならす
- こまめに水やお茶をのむ
- 部屋の空気がかわいているときは、加湿を心がける
- 仕事のあとは、できるだけ声を休める
のどのケアについては、こちらの記事もあわせて読んでみてください。歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
痛みやかすれが続くときは
声がかすれる、のどが痛いという状態が何日も続くときは、むりをしないでください。耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。声をつかう仕事だからこそ、早めに相談することが大切です。
もっと歌に自信をつけたいときは
大人向けのボイトレをためしてみる
「歌が苦手」という気持ちが強い場合は、大人向けのボイトレや歌の教室で、声の出し方を習ってみるのもよい方法です。
先生にいまの声を聞いてもらうと、自分に合った高さや、声を出しやすい体の使い方を教えてもらえることがあります。保育の歌を練習したい、と伝えると、それに合わせてレッスンを考えてくれる教室もあります。教室によって、すすめ方はちがいます。
仕事のあとに通いやすい教室や、オンラインで受けられる教室もあるので、むりのない形をさがしてみてください。歌の教室さがし
「楽しかった」を積み重ねる
自信は、1回で大きくつくものではありません。「今日は子どもたちがよく歌ってくれた」「手あそびがもり上がった」という小さな「楽しかった」を積み重ねていくことで、少しずつ歌の時間がこわくなくなっていきます。
うまくいった日は、どんな歌を、どんなふうに歌ったのかを、1行だけメモしておくのもおすすめです。あとで読み返すと、「わたしにもできている」と気づくきっかけになります。
まとめ
- 保育士が歌を苦手と感じるのは、声の高さや、のどのつかれが理由のことも多い
- 先生は「歌い手」ではなく「いっしょに歌う人」と考える
- 表情と体の動きで、楽しい気持ちを伝える
- 姿勢、息、のどの力のぬき方を見直すと、声が出やすくなることがある
- 歌う高さを下げる、声の大きさで勝負しない、分担するなどの工夫をする
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
歌が苦手でも、子どもたちといっしょに歌う時間は、きっとすてきなものにできます。先生の楽しそうな顔が、子どもたちの「歌が好き」を育てていきます。歌が大好きな子どもたちが、もっと歌う場を持てるように、こどもの歌声グランプリも開いています。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、園の子どもたちのご家庭や、先生ご自身にも、歌を楽しむきっかけのひとつにしていただけたらうれしいです。こどもの歌声グランプリ