中学生のボイトレ。歌を習う前に知っておきたい、声変わり・部活・好きな歌とのつきあい方
「もっと歌がうまくなりたい」
中学生になると、こう思う人がぐっとふえます。好きなアーティストの歌を歌いたい、合唱コンクールでいい声を出したい、ミュージカルに出てみたい。きっかけは人それぞれです。
でも、中学生の時期は、声が大きくかわる時期でもあります。部活や勉強もいそがしくなって、「習いたいけれど、時間があるかな」と思っている人もいるかもしれません。
わたしは、息子といっしょに声楽や童謡のコンクールにたくさん出てきました。コンクールの会場や教室では、声変わりの時期に「急に高い声が出なくなった」となやむお友だちを、近くで見てきました。そのときのことも思い出しながら、中学生が歌を習うときに知っておきたいことをまとめます。この記事は、中学生のみなさんと、お父様・お母様の両方に読んでいただけたらうれしいです。
中学生の声は、いま大きくかわっている
声変わりは、男子だけではない
声変わりというと、男子の声が低くなることを思いうかべる人が多いと思います。たしかに、男子は声が大きくかわりやすいです。
でも、女子の声も、この時期に少しずつかわります。
- 声が少しかすれる日がある
- 高い声が、前より出しにくい
- 声が安定しない日がある
こうしたことは、男子にも女子にも起こることがあります。「前みたいに歌えない」と落ちこむ必要はありません。体が大人になっていくとちゅうの、自然な変化です。
声変わりについては、こちらの記事でもくわしく書いています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
むりをしないことが、いちばん大切
声変わりの時期に、いちばん気をつけたいのは、むりに声を出しすぎないことです。
- 出しにくい高い声を、むりに出しつづけない
- のどがいたいときは、歌う量をへらす
- 大きな声で、長い時間さけばない
声がかすれる日がつづいたり、のどのいたみが長くつづいたりするときは、ひとりでがまんしないで、耳鼻科で相談してみてください。のどのケアについては、こちらの記事にまとめています。子どもののどを守るためにできること。歌をがんばる子の毎日のケア
ボイトレでは、どんなことをするの?
ボイトレ(ボイストレーニング)は、声の出し方を練習するレッスンです。中学生向けのレッスンでは、たとえばこんなことをすることが多いです。
- 姿勢をととのえる
- おなかや背中をつかった、息のすい方・はき方
- 口の開け方や、ことばをはっきり言う練習
- 音程をとる練習
- じっさいの曲をつかった練習
声変わりの時期は、その日の声のようすを見ながら、出しやすい高さで練習することが多いです。「ボイトレ」と聞くと、きびしいトレーニングを想像するかもしれませんが、むりに声を広げるより、いまの声をらくに出すことを大切にする先生が多いと思います。
好きな歌から始めていい
中学生が歌を習うとき、「クラシックをやらないといけないのかな」と思う人もいます。でも、さいしょは好きな歌から始めてかまいません。
- 好きなアーティストのポップス
- アニソンやボーカロイドの曲
- ミュージカルの歌
- 合唱で歌った曲
好きな歌だと、練習が楽しくなります。楽しいと、つづけやすくなります。これはとても大切なことです。
ただ、声変わりの時期は、原曲のキーが高すぎることもあります。そのときは、キーを下げて歌ってもいいのです。カラオケのキー変更のように、自分の声に合う高さにすることは、まったくはずかしいことではありません。
ジャンルによる歌い方のちがいは、こちらの記事にまとめています。声楽・ミュージカル・ボーカル、子どもにはどれ?3つのちがいをやさしく解説
部活や勉強との両立
週1回、短い時間からでもいい
中学生は、部活や塾、テスト勉強など、毎日がいそがしいですよね。歌のレッスンを始めるときは、むりのない回数から考えてみましょう。
- 週に1回、または月に2〜3回から始める
- テスト前は、お休みやふりかえができるか先生に聞いておく
- 部活のない曜日に、レッスンを入れる
家での練習は「すきま時間」で
毎日長い時間練習しなくても、歌は少しずつ上手になります。
- 朝、学校に行く前に5分だけ発声をする
- おふろで、好きな歌を口ずさむ
- 寝る前に、レッスンで習ったことを思い出す
ただし、夜おそくに大きな声を出すと、家族やご近所に気をつかうこともあります。時間と声の大きさには、少しだけ気をつけてみてください。
運動部の人も、歌に役立つことがある
運動部で体をきたえている人は、息を長くつづけるのが得意なこともあります。いっぽうで、試合や練習で大きな声を出しすぎて、のどがつかれていることもあります。部活で声をたくさんつかった日は、歌の練習をひかえめにするなど、のどを休ませる日もつくりましょう。
教室やボイトレのえらび方
いくつかの習い方がある
- 音楽教室のボイトレコース
- 個人で教えている先生のレッスン
- 声楽の先生のレッスン
- オンラインのレッスン
- 合唱団に入る
どれがいいかは、何を歌いたいか、どれくらい時間があるかでかわります。オンラインのレッスンなら、送りむかえがいらず、部活のあとでも受けやすいことがあります。
体験レッスンで見ておきたいこと
- 声変わりのことを、わかってくれる先生か
- むりに高い声を出させないか
- 好きな歌を歌いたい気持ちを、大切にしてくれるか
- 質問しやすいふんいきか
中学生は、先生との相性もとても大切です。「この先生には、なんでも話せそう」と思えるかどうかを、ぜひ見てみてください。
お父様・お母様は、かかるお金やレッスンの回数、ふりかえのしくみなどを、さいしょに聞いておくと安心です。かかるお金は、教室や先生によって大きくちがいます。
近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
レッスンの前に、自分の「好き」を書き出してみる
先生のレッスンを受ける前に、自分がどんな歌を歌いたいのか、少しだけ書き出しておくのもおすすめです。
- いま、いちばん歌ってみたい曲
- 好きな歌手や、あこがれている声
- 歌っていて、苦しいと感じるところ
- 歌のことで、なやんでいること
はじめてのレッスンでは、緊張して、うまく話せないこともあります。メモがあれば、先生にも伝えやすくなります。先生も、あなたの「好き」がわかると、どんな練習をすればいいか考えやすくなります。
また、いまの自分の歌をスマホで録音しておくと、習い始めてからの変化がわかります。数か月後に聞きくらべてみると、「前より声が出るようになった」と気づけて、うれしくなるはずです。
お父様・お母様にお願いしたいこと
中学生の時期は、自分の声に自信をなくしやすい時期でもあります。
- 声がかわっても、「へんになった」と言わない
- 好きな歌をばかにしない
- 上手かどうかより、つづけていることをみとめる
家族のひとことは、思っている以上に心にのこります。「いい声になってきたね」「楽しそうに歌ってるね」と、あたたかいことばをかけていただけたらと思います。
目標があると、練習がもっと楽しくなる
目標は、大きなものでなくてかまいません。中学生なら、たとえばこんな目標があります。
- 合唱コンクールで、自信をもって歌う
- 好きな歌を、1曲さいごまで歌いきる
- 自分の歌を動画にとって、聞いてみる
- コンクールに出てみる
自分の歌を動画にとって聞くと、自分では気づかなかったよいところや、直したいところが見えてきます。動画のとり方のコツは、こちらの記事にまとめています。歌の動画をきれいにとるコツ。スマホ・マイク・部屋の音と、安心して公開するための注意点
まとめ
- 中学生の声は、男子も女子もかわる時期。むりをしないことがいちばん大切
- のどのいたみやかすれが長くつづくときは、耳鼻科で相談する
- ボイトレでは、その日の声に合わせて、むりのない高さで練習する
- 好きな歌から始めていい。キーを下げてもだいじょうぶ
- 部活や勉強とは、回数やすきま時間で上手に両立する
- 先生は、声変わりのことをわかってくれる人をえらぶと安心
声がかわっていく中学生の時期は、いまの自分の声を知る、とてもいいタイミングでもあります。こどもの歌声グランプリには中学生の部があり、ポップスやアニソン、ミュージカルなど、どのジャンルでも応募できます。出場した全員に講評が届くので、いまの自分の声のよいところを知るきっかけに、よかったらのぞいてみてください。こどもの歌声グランプリ