歌うことと体の健康。シニアの方が楽しく歌うために知っておきたいこと
「歌うことは体にいいと聞いたけれど、本当かしら」 「年をとってから歌を始めても、体に負担はないだろうか」 「健康のために、何か楽しく続けられることをしたい」
歌と健康について、こんな疑問をもっている高齢者の方や、そのご家族もいらっしゃると思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、「歌は健康にいいの?」という気になるところを、むずかしい話はさけて、やさしくお話しします。はじめにお伝えしておきたいのは、歌は病気を治したり、ふせいだりするためのものではない、ということです。そのうえで、歌うことが毎日のたのしみになり、気持ちや体を動かすきっかけになることは、じゅうぶんにあると思います。
シニアの方が、むりをせず、楽しく歌を続けるために知っておきたいことをまとめました。
歌うことは体にいい?知っておきたい考え方
「体にいい」と言われる理由
歌うことが体にいいと言われる理由には、いくつかのものがあります。
- 歌うときは、ふだんよりも深く息をすったり、はいたりする
- 口や顔、のどのまわりを大きく動かす
- 立ったり、背すじをのばしたりして、姿勢を意識する
- 声を出すことで、気分がすっきりすると感じる方もいる
こうしたことから、歌うことは体を動かすきっかけになる、と言われることもあります。ただ、感じ方や体への影響は、人によってちがいます。
歌は「治すもの」ではなく「楽しむもの」
テレビや本などで、歌と健康の話を見かけることがあるかもしれません。でも、歌えば病気がよくなる、病気にならない、ということではありません。
体の調子が気になるときや、持病があるときは、歌だけにたよらず、お医者さんの話を大切にしてください。そのうえで、歌は「毎日を楽しくするもの」として、気軽につきあうのがよいと思います。
気持ちが明るくなることも、大切な健康の一部
歌っていると、なつかしい思い出がよみがえったり、楽しい気分になったりすることがあります。なかまと歌えば、会話がはずんだり、出かける楽しみができたりもします。
体の数字だけでなく、「楽しい」「また歌いたい」と思える気持ちも、毎日を元気にすごすための大切な一部です。シニアの方が歌うことで感じられる楽しみについては、こちらの記事でもまとめています。シニアが歌うことで感じられる楽しみ。ひとりでも、なかまとでも
シニアの方の、体にやさしい歌い方
むりのない高さで歌う
若いころに歌えた高さが、いまは出しにくいと感じることもあります。高い声をむりに出そうとすると、のどや首に力が入ってしまうことがあります。
- 曲のキーを下げて、楽な高さで歌う
- 高いところは、声を小さくしてもいいと考える
- 出しにくいところは、ハミングでなぞるだけにする
カラオケなら、キーをかえるボタンを使ってみてください。楽な高さで気持ちよく歌うことが、いちばん大切です。
大きな声を出しすぎない
大きな声で歌うと気持ちがいいものですが、出しすぎると、のどがつかれたり、息が苦しくなったりすることがあります。
「となりの人に、気持ちよくとどくくらい」の声を目安にしてみてください。声の大きさよりも、ことばをはっきり、ていねいに歌うことを意識すると、聞いている人にも気持ちが伝わります。
座って歌ってもいい
歌は立って歌うもの、と思っている方もいるかもしれませんが、座って歌ってもかまいません。足腰が気になる方や、長く立っているとつかれる方は、いすに座って歌ってください。
座るときは、いすに浅めに腰かけて、背すじを軽くのばすと、息がすいやすくなります。背もたれによりかかってもかまいませんので、楽な姿勢をさがしてみてください。
息つぎを、こまめにする
一息で長いフレーズを歌おうとすると、苦しくなってしまうことがあります。楽譜どおりでなくても、苦しくなる前に息つぎをしてかまいません。
歌っていて、頭がくらくらする、息苦しいと感じたときは、すぐに歌うのをやめて、座って休んでください。
歌う前と歌ったあとに気をつけたいこと
歌う前に、体と顔をほぐす
いきなり歌い始めるより、少し体をほぐしてからのほうが、楽に声が出ることがあります。
- 肩を、ゆっくり前と後ろに回す
- 首を、むりのないはんいで左右にかたむける
- 口を大きくあけたり、とじたりする
- ほおを、手で軽くさするように、ほぐす
どれも、痛みを感じない、むりのないはんいで行ってください。準備運動のくわしいやり方は、こちらでも紹介しています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ
こまめに水分をとる
歌っていると、口やのどがかわきやすくなります。歌う前や、曲と曲のあいだに、少しずつお水やお茶を飲むようにしてください。
冷たすぎる飲みものより、常温やあたたかいもののほうが、のどにやさしいと感じる方もいます。
歌ったあとは、のどを休める
たくさん歌ったあとは、大きな声で話しつづけたりせず、のどを休める時間をとりましょう。部屋が乾燥しているときは、加湿器を使ったり、ぬれタオルを干したりするのもよいでしょう。
長い時間、歌いつづけない
楽しくて、ついつい長く歌ってしまうこともあります。とちゅうで休けいをはさみ、「つかれたな」と感じる前に、ひと休みしてください。
体調が気になるときの考え方
こんなときは、歌うのをひかえる
- かぜをひいている、熱がある
- のどが痛い、声がかすれている
- 体がだるい、ねむれていない
- お医者さんから、むりをしないように言われている
こんなときは、むりに歌わず、体を休めることを大切にしてください。歌は、元気になってから、また楽しめます。
痛みやかすれが続くときは、お医者さんに
のどの痛みや声のかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。また、歌っているときに胸が苦しい、息切れがする、めまいがするなど、体の調子がいつもとちがうと感じたときも、歌うのをやめて、お医者さんに相談してください。
持病がある方や、通院中の方は、歌を始める前に、かかりつけのお医者さんに「歌を習ってみたい」と話しておくと安心です。
声が出にくくなったと感じたら
年をとると、声が出にくくなったと感じることもあります。そんなときは、やさしい発声練習から始めてみるのもよいでしょう。声が出にくいと感じたときの練習は、こちらにまとめています。年をとって声が出にくいと感じたら。歌がすきな方のための、やさしい発声練習
楽しく続けるための、歌の楽しみ方
ひとりでも、なかまとでも
歌は、ひとりでも、なかまといっしょでも楽しめます。
- 家で、好きな歌をかけながら口ずさむ
- カラオケで、思い出の歌を歌う
- 地域の歌の会や合唱のサークルに参加する
- 歌の教室で、先生に習う
自分に合った楽しみ方を見つけると、むりなく続けやすくなります。
先生やなかまに、体のことを伝えておく
教室やサークルに通うときは、先生や世話役の方に、「足腰が弱いので座って歌いたい」「高い声が出しにくい」など、体のことを伝えておくと安心です。
シニアの方に合わせたレッスンをしてくれる教室もあります。体にやさしく歌える教室をさがしたいときは、こちらから見てみてください。歌の教室さがし
「上手に」より「楽しく」
歌は、上手に歌えることよりも、楽しく歌えることのほうが大切です。音がずれても、歌詞をまちがえても、気にしすぎなくてだいじょうぶです。
「今日も歌えて楽しかった」と思える時間が重なっていくことが、歌を長く続けるいちばんのコツかもしれません。
ご家族ができること
いっしょに歌う、聞き役になる
ご家族が、おじいさま・おばあさまの歌をいっしょに楽しむことも、大きな応援になります。
- なつかしい歌を、いっしょに口ずさむ
- 歌ってくれたら、「いい声だね」と声をかける
- 歌の会やサークルへの送りむかえを手伝う
だれかが聞いてくれる、楽しみにしてくれると思うだけで、歌う気持ちがわいてくることもあります。
体のようすを、そっと気にかける
歌っているときに、いつもより息が上がっている、声がかすれているなど、気になることがあれば、むりをしないように声をかけてあげてください。「歌うのをやめて」と強く言うより、「少し休もうか」とやさしくさそうと、受け入れやすくなります。
まとめ
- 歌うことは、体を動かしたり、気持ちを明るくしたりするきっかけになると言われることもある
- 歌は病気を治したり、ふせいだりするものではなく、毎日を楽しくするもの
- むりのない高さ、ほどよい声の大きさで歌い、座って歌ってもよい
- 歌う前は体と顔をほぐし、こまめに水分をとる
- 長く歌いつづけず、歌ったあとはのどを休める
- 体調が悪いときはひかえ、痛みやかすれが続くときはお医者さんに相談する
- 「上手に」より「楽しく」を大切に、自分に合った楽しみ方を見つける
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