心のこと・声かけ

歌うことと体の健康。シニアの方が楽しく歌うために知っておきたいこと

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「歌うことは体にいいと聞いたけれど、本当かしら」 「年をとってから歌を始めても、体に負担はないだろうか」 「健康のために、何か楽しく続けられることをしたい」

歌と健康について、こんな疑問をもっている高齢者の方や、そのご家族もいらっしゃると思います。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、「歌は健康にいいの?」という気になるところを、むずかしい話はさけて、やさしくお話しします。はじめにお伝えしておきたいのは、歌は病気を治したり、ふせいだりするためのものではない、ということです。そのうえで、歌うことが毎日のたのしみになり、気持ちや体を動かすきっかけになることは、じゅうぶんにあると思います。

シニアの方が、むりをせず、楽しく歌を続けるために知っておきたいことをまとめました。

歌うことは体にいい?知っておきたい考え方

「体にいい」と言われる理由

歌うことが体にいいと言われる理由には、いくつかのものがあります。

  • 歌うときは、ふだんよりも深く息をすったり、はいたりする
  • 口や顔、のどのまわりを大きく動かす
  • 立ったり、背すじをのばしたりして、姿勢を意識する
  • 声を出すことで、気分がすっきりすると感じる方もいる

こうしたことから、歌うことは体を動かすきっかけになる、と言われることもあります。ただ、感じ方や体への影響は、人によってちがいます。

歌は「治すもの」ではなく「楽しむもの」

テレビや本などで、歌と健康の話を見かけることがあるかもしれません。でも、歌えば病気がよくなる、病気にならない、ということではありません。

体の調子が気になるときや、持病があるときは、歌だけにたよらず、お医者さんの話を大切にしてください。そのうえで、歌は「毎日を楽しくするもの」として、気軽につきあうのがよいと思います。

気持ちが明るくなることも、大切な健康の一部

歌っていると、なつかしい思い出がよみがえったり、楽しい気分になったりすることがあります。なかまと歌えば、会話がはずんだり、出かける楽しみができたりもします。

体の数字だけでなく、「楽しい」「また歌いたい」と思える気持ちも、毎日を元気にすごすための大切な一部です。シニアの方が歌うことで感じられる楽しみについては、こちらの記事でもまとめています。シニアが歌うことで感じられる楽しみ。ひとりでも、なかまとでも

シニアの方の、体にやさしい歌い方

むりのない高さで歌う

若いころに歌えた高さが、いまは出しにくいと感じることもあります。高い声をむりに出そうとすると、のどや首に力が入ってしまうことがあります。

  • 曲のキーを下げて、楽な高さで歌う
  • 高いところは、声を小さくしてもいいと考える
  • 出しにくいところは、ハミングでなぞるだけにする

カラオケなら、キーをかえるボタンを使ってみてください。楽な高さで気持ちよく歌うことが、いちばん大切です。

大きな声を出しすぎない

大きな声で歌うと気持ちがいいものですが、出しすぎると、のどがつかれたり、息が苦しくなったりすることがあります。

「となりの人に、気持ちよくとどくくらい」の声を目安にしてみてください。声の大きさよりも、ことばをはっきり、ていねいに歌うことを意識すると、聞いている人にも気持ちが伝わります。

座って歌ってもいい

歌は立って歌うもの、と思っている方もいるかもしれませんが、座って歌ってもかまいません。足腰が気になる方や、長く立っているとつかれる方は、いすに座って歌ってください。

座るときは、いすに浅めに腰かけて、背すじを軽くのばすと、息がすいやすくなります。背もたれによりかかってもかまいませんので、楽な姿勢をさがしてみてください。

息つぎを、こまめにする

一息で長いフレーズを歌おうとすると、苦しくなってしまうことがあります。楽譜どおりでなくても、苦しくなる前に息つぎをしてかまいません。

歌っていて、頭がくらくらする、息苦しいと感じたときは、すぐに歌うのをやめて、座って休んでください。

歌う前と歌ったあとに気をつけたいこと

歌う前に、体と顔をほぐす

いきなり歌い始めるより、少し体をほぐしてからのほうが、楽に声が出ることがあります。

  • 肩を、ゆっくり前と後ろに回す
  • 首を、むりのないはんいで左右にかたむける
  • 口を大きくあけたり、とじたりする
  • ほおを、手で軽くさするように、ほぐす

どれも、痛みを感じない、むりのないはんいで行ってください。準備運動のくわしいやり方は、こちらでも紹介しています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ

こまめに水分をとる

歌っていると、口やのどがかわきやすくなります。歌う前や、曲と曲のあいだに、少しずつお水やお茶を飲むようにしてください。

冷たすぎる飲みものより、常温やあたたかいもののほうが、のどにやさしいと感じる方もいます。

歌ったあとは、のどを休める

たくさん歌ったあとは、大きな声で話しつづけたりせず、のどを休める時間をとりましょう。部屋が乾燥しているときは、加湿器を使ったり、ぬれタオルを干したりするのもよいでしょう。

長い時間、歌いつづけない

楽しくて、ついつい長く歌ってしまうこともあります。とちゅうで休けいをはさみ、「つかれたな」と感じる前に、ひと休みしてください。

体調が気になるときの考え方

こんなときは、歌うのをひかえる

  • かぜをひいている、熱がある
  • のどが痛い、声がかすれている
  • 体がだるい、ねむれていない
  • お医者さんから、むりをしないように言われている

こんなときは、むりに歌わず、体を休めることを大切にしてください。歌は、元気になってから、また楽しめます。

痛みやかすれが続くときは、お医者さんに

のどの痛みや声のかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。また、歌っているときに胸が苦しい、息切れがする、めまいがするなど、体の調子がいつもとちがうと感じたときも、歌うのをやめて、お医者さんに相談してください。

持病がある方や、通院中の方は、歌を始める前に、かかりつけのお医者さんに「歌を習ってみたい」と話しておくと安心です。

声が出にくくなったと感じたら

年をとると、声が出にくくなったと感じることもあります。そんなときは、やさしい発声練習から始めてみるのもよいでしょう。声が出にくいと感じたときの練習は、こちらにまとめています。年をとって声が出にくいと感じたら。歌がすきな方のための、やさしい発声練習

楽しく続けるための、歌の楽しみ方

ひとりでも、なかまとでも

歌は、ひとりでも、なかまといっしょでも楽しめます。

  • 家で、好きな歌をかけながら口ずさむ
  • カラオケで、思い出の歌を歌う
  • 地域の歌の会や合唱のサークルに参加する
  • 歌の教室で、先生に習う

自分に合った楽しみ方を見つけると、むりなく続けやすくなります。

先生やなかまに、体のことを伝えておく

教室やサークルに通うときは、先生や世話役の方に、「足腰が弱いので座って歌いたい」「高い声が出しにくい」など、体のことを伝えておくと安心です。

シニアの方に合わせたレッスンをしてくれる教室もあります。体にやさしく歌える教室をさがしたいときは、こちらから見てみてください。歌の教室さがし

「上手に」より「楽しく」

歌は、上手に歌えることよりも、楽しく歌えることのほうが大切です。音がずれても、歌詞をまちがえても、気にしすぎなくてだいじょうぶです。

「今日も歌えて楽しかった」と思える時間が重なっていくことが、歌を長く続けるいちばんのコツかもしれません。

ご家族ができること

いっしょに歌う、聞き役になる

ご家族が、おじいさま・おばあさまの歌をいっしょに楽しむことも、大きな応援になります。

  • なつかしい歌を、いっしょに口ずさむ
  • 歌ってくれたら、「いい声だね」と声をかける
  • 歌の会やサークルへの送りむかえを手伝う

だれかが聞いてくれる、楽しみにしてくれると思うだけで、歌う気持ちがわいてくることもあります。

体のようすを、そっと気にかける

歌っているときに、いつもより息が上がっている、声がかすれているなど、気になることがあれば、むりをしないように声をかけてあげてください。「歌うのをやめて」と強く言うより、「少し休もうか」とやさしくさそうと、受け入れやすくなります。

まとめ

  • 歌うことは、体を動かしたり、気持ちを明るくしたりするきっかけになると言われることもある
  • 歌は病気を治したり、ふせいだりするものではなく、毎日を楽しくするもの
  • むりのない高さ、ほどよい声の大きさで歌い、座って歌ってもよい
  • 歌う前は体と顔をほぐし、こまめに水分をとる
  • 長く歌いつづけず、歌ったあとはのどを休める
  • 体調が悪いときはひかえ、痛みやかすれが続くときはお医者さんに相談する
  • 「上手に」より「楽しく」を大切に、自分に合った楽しみ方を見つける

楽しく歌う時間をもつことは、毎日のはりあいにもなります。歌うことを目標にしてみたい方には、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ

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