練習・発声のコツ

年をとって声が出にくいと感じたら。歌がすきな方のための、やさしい発声練習

更新日:2026年11月4日 ・ 書いた人:うみ

「むかしは、もっと高い声が出たのに」 「歌っていると、すぐに声がかすれてしまう」

年を重ねると、声の出かたがかわってきたと感じることがあります。歌がすきな方ほど、そのかわりに気づいて、少しさびしい気持ちになるかもしれません。

わたしは、息子の歌の習い事をとおして、声というものは、その日の体の調子や、気持ちによっても、とてもかわるものだと感じてきました。そして、ちょっとした体のつかい方で、声がふっと出しやすくなることがあるのも、何度も見てきました。

この記事では、声が出にくくなったと感じたときに、おうちでできるやさしい発声練習をまとめます。むりをせず、自分のペースでためしてみてください。

まず知っておきたいこと

声のかわりは、だれにでもある

年を重ねると、声の高さや、ひびき方がかわってくるのは、とても自然なことです。若いころと同じ声を目ざすより、いまの声を、いちばん気持ちよく出せるようにすることを考えてみましょう。

気になるときは、お医者さんに相談を

この記事で紹介するのは、あくまで、歌を楽しむための、やさしい練習です。つぎのようなときは、練習の前に、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

  • 声のかすれが、長くつづいている
  • のどにいたみや、つかえる感じがある
  • 声がとつぜん、出にくくなった
  • 食べものや、のみものが、のみこみにくい

持病のある方や、体調に不安がある方も、かかりつけのお医者さんに聞いてから始めると安心です。

練習の前の、3つの約束

  1. 1回5〜10分くらいで、じゅうぶん
  2. のどがいたい、かすれる、くらっとするときは、すぐにお休み
  3. 大きな声や高い声を、むりに出さない

練習は、「がんばる」より「ほぐす」くらいの気持ちで行ってください。

練習1:姿勢をととのえる

声を出しやすくするために、まずは姿勢をととのえます。立っても、いすにすわってもかまいません。

  • 足のうらを、しっかり床につける
  • 頭のてっぺんから、糸でかるく引っぱられているように
  • 肩の力を、ふっとぬく
  • あごを、少しだけ引く

いすにすわるときは、背もたれから少しはなれてすわると、息がすいやすくなります。キャスターのついたいすではなく、動かない、しっかりしたいすをえらんでください。ひざや腰が気になる方は、すわったままで練習してだいじょうぶです。

練習2:肩と首をほぐす

体がかたくなっていると、声も出にくくなります。歌う前に、やさしく体をほぐしましょう。

  • 肩を、ゆっくり上にあげて、すとんと下ろす
  • 肩を、うしろにゆっくり回す
  • 首を、左右にゆっくりかたむける

首を大きくぐるぐる回したり、うしろに強くそらしたりするのは、さけてください。いたみを感じるところまでは、動かさないでください。「気持ちいい」と感じるくらいで、じゅうぶんです。

練習3:ゆっくり息をはく

口を少しすぼめて、「すー」と細く長く息をはきます。

  • はじめに、鼻からゆっくり息をすう
  • おなかのあたりが、少しふくらむのを感じる
  • 口から、「すー」と細く長くはく

長くはこうと、がんばる必要はありません。くるしくなる前にやめて、息を止めたり、がまんしたりしないでください。3回ほどくりかえしたら、ふつうの呼吸にもどして休みましょう。もし、くらっとしたり、気分がわるくなったりしたら、すぐに練習をやめて、すわって休んでください。

長さより、息がやさしく、まっすぐ出ることを大切にしてください。

練習4:くちびるをぶるぶる(リップロール)

くちびるをかるくとじて、「ぶるるる…」とふるわせながら、声を出します。

のどに力が入りにくく、声を出す前の準備運動になります。うまくふるえないときは、両方のほっぺを、指でかるくおさえるとやりやすくなります。

なれてきたら、低い音から少し高い音へ、すべり台のように、なめらかに声を動かしてみましょう。高いほうは、らくに出せるところまでで止めてください。

練習5:ハミング

口をとじて「んー」と、鼻のあたりでひびかせるように声を出します。

  • 鼻やくちびるが、むずむずするのを感じる
  • 大きな声でなくていい
  • ハミングで、すきな歌を口ずさんでみる

ハミングは、しずかにできるので、大きな声を出しにくい家でも練習しやすい方法です。

練習6:口と舌(した)の体操

ことばをはっきり出すために、口のまわりもほぐしておきましょう。

  • 「あ・い・う・え・お」を、口を大きく動かして言う
  • 口をとじたまま、舌で、ほっぺの内がわをぐるりとなぞる
  • 「パ・タ・カ・ラ」を、ゆっくりはっきり言う

歌のことばが、聞きとりやすくなります。

練習7:話す声で歌ってみる

いきなり高い声で歌おうとせず、まずは、ふだん話している声の高さで、すきな歌を口ずさんでみましょう。

「この高さだと、らくに出せる」というところが見つかったら、そのあたりを大切にしてください。曲の高さ(キー)を下げて歌うのも、まったくはずかしいことではありません。カラオケでも、キーをかえて歌えることがあります。

5分メニューの例

順番 練習 時間
1 姿勢をととのえる 30秒
2 肩と首をほぐす 1分
3 ゆっくり息をはく 1分
4 くちびるぶるぶる 1分
5 ハミング 1分
6 話す声で1曲口ずさむ 30秒

毎日ぜんぶやらなくてもだいじょうぶです。すきな練習を2つか3つえらんで、つづけてみてください。

子ども向けの発声練習の記事ですが、こちらも参考になると思います。おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法

のどをいたわる毎日のコツ

  • こまめに水をのむ(冷たすぎないもの)
  • 部屋がかわきすぎないようにする
  • 大きな声を、長い時間出しつづけない
  • よくねむって、体を休める
  • かぜのときや、声がかすれているときは、歌をお休みする

のどのケアについては、こちらの記事でもまとめています。子どもののどを守るためにできること。歌をがんばる子の毎日のケア

つづけるための工夫

発声練習は、少しずつでも、つづけることが大切です。でも、ひとりでつづけるのは、なかなかむずかしいものですよね。

  • 朝のお茶の前など、練習する時間を決めておく
  • カレンダーに、練習した日にしるしをつける
  • 1か月に1回くらい、すきな歌を録音してきいてみる
  • できなかった日があっても、気にしない

録音をきくときは、うまいかどうかより、「きょうは息がらくそうだな」「この高さは気持ちよさそう」と、声の調子をたしかめるつもりできいてみてください。自分の声の「ちょうどいいところ」が、少しずつわかってきます。

声が出やすい日、出にくい日がある

同じように練習していても、声が出やすい日と、出にくい日があります。朝おきてすぐは、まだ体が目ざめていないので、声が出にくいことも多いです。

天気や、部屋のかわき具合、その日のつかれによっても、声はかわります。歌う前に、あたたかいのみものをのんだり、かるく体を動かしたりしてから練習すると、声が出しやすくなることもあります。「きょうは出にくいな」と感じた日は、息の練習やハミングだけにして、早めにやめてしまってもかまいません。

声の調子に、まいにち一喜一憂しなくてだいじょうぶです。長い目で見て、「歌うのが楽しい」と思えていれば、それでじゅうぶんです。

人と話すことも、声の練習になる

歌の練習だけでなく、ふだんから人と話すことも、声をつかう大切な時間です。家族やお友だちと電話で話したり、すきな歌の話をしたりするのも、楽しい「声の時間」になります。

ひとりで練習するのがさびしいときは、教室や合唱団に入って、仲間といっしょに歌うのもいいと思います。大人から合唱団に入る方法は、こちらの記事にまとめています。大人から合唱団に入るには。はじめての方が知っておきたい、さがし方と見学のポイント

先生に見てもらうのも安心

ひとりで練習していると、「これで合っているのかな」と不安になることもあります。そんなときは、歌の先生に見てもらうのもひとつの方法です。

先生は、声の出し方のくせや、体のつかい方を見て、その方に合った練習を教えてくれます。家から受けられるオンラインのレッスンもあります。おうちでできるオンラインの歌のレッスン。スマホが少し不安なシニアの方へ

まとめ

  • 声のかわりは、だれにでもある自然なこと
  • かすれやいたみが長くつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
  • 練習は1回5〜10分、むりをせず「ほぐす」気持ちで
  • 姿勢、息、くちびるぶるぶる、ハミング、口の体操などをためしてみる
  • 高い声にこだわらず、らくに出せる高さで歌う
  • 水をのむ、よくねむるなど、毎日のいたわりも大切に

いまの自分の声で、すきな歌を気持ちよく歌えたら、それはとてもすてきなことです。こどもの歌声グランプリには、シニア(65歳以上)の部もあり、おうちでとった動画で応募できます。いつかためしてみたくなったら、のぞいてみてください。こどもの歌声グランプリ

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