心のこと・声かけ

本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること

更新日:2026年11月4日 ・ 書いた人:うみ

「練習ではあんなに上手に歌えていたのに、本番では声がふるえてしまった」

コンクールや発表会でよくあることです。大人でも緊張するのですから、子どもが緊張するのは当たり前です。

この記事では、息子をたくさんのコンクールに出してきたわたしが、緊張するお子様に親ができることをまとめます。

緊張は「わるいもの」ではない

まずお子様に伝えたいのは、「緊張するのは、がんばってきた証拠だよ」ということです。

どうでもいいと思っていたら、緊張はしません。緊張するのは、「うまく歌いたい」という気持ちがあるからです。緊張を「なくす」のではなく、「緊張しても歌える」をめざしましょう。

緊張すると、体にどんなことが起きる?

緊張すると、体にはいろいろなサインが出ます。前もって知っておくと、お子様も「あ、きたきた」と落ち着いて受けとめられます。

  • 手や足がつめたくなる、ふるえる
  • 口の中がかわく
  • おなかがいたくなる、お手洗いに何度も行きたくなる
  • 心臓がどきどきする
  • 息が浅くなり、声がふるえたり、のびなくなったりする

「どきどきしたら、体が『がんばるよ』とじゅんびをしている合図だよ」と伝えておくと、こわいものではなくなります。サインが出ても、「みんなそうなるんだよ」と言ってもらえるだけで、子どもはほっとするものです。

年れい別:緊張との向き合い方

緊張のしかたは、年れいによってもかわります。

年れい よくあるようす 親ができること
幼児 会場のふんいきに圧倒されて、泣いたり、かたまったりする 舞台の場所を先に見せる。「ここから手をふるね」と、親のいる場所を伝える
小学校の低学年 「まちがえたらどうしよう」と、失敗が気になりはじめる 「まちがえても、さいごまで歌えたら100点」と、ゴールを小さくする
小学校の高学年 まわりとくらべたり、結果を気にしたりする 結果の話をしない。本人が話したいときに、だまって聞く

小さなお子様は、「何が起きるかわからない」ことに緊張します。大きなお子様は、「どう見られるか」に緊張します。同じ「緊張」でも、かけることばは少しずつちがってきます。

前の日にできること

練習は「いつもどおり」で

前の日にたくさん練習すると、のどがつかれてしまいます。通して歌うのは1〜2回にして、「今日も上手に歌えたね」で終わりましょう。

持ち物はいっしょに用意する

衣装、くつ、楽譜、のみ物などを、お子様といっしょにそろえます。「準備ができた」という安心が、当日の落ち着きにつながります。

早めにねる

緊張でなかなかねられないこともあります。そんなときは、「ねられなくても、目をとじているだけで体はやすまるよ」と伝えると、お子様も安心します。

当日の朝にできること

  • 朝ごはんは、いつも食べなれているものを
  • 会場には余裕をもってつくように出かける
  • 移動中は、歌の話ばかりしない(好きなことを話す)
  • 会場についたら、お手洗いの場所をいっしょにたしかめる

親があせっていると、お子様にもうつります。当日は「ゆったり」をいちばんにしましょう。

会場での待ち時間のすごし方

コンクールでは、出番までの待ち時間が長くなることがあります。この時間に緊張がどんどん大きくなる子も多いので、すごし方を決めておくと安心です。

  • ほかの出場者の歌をずっと聞きつづけない(くらべてしまうので、ときどき外に出る)
  • 小さな本やおりがみなど、しずかに楽しめるものを持っていく
  • のみ物は少しずつ。冷たすぎないものを
  • 出番の少し前に、ハミングなどで軽く声を出しておく(会場の決まりにしたがって)
  • 親は、スマホばかり見ずに、お子様のそばでゆったりすごす

「何もしないで待つ」のが、いちばん緊張を大きくします。ちょうどよく気がまぎれることを、ひとつ用意しておきましょう。

出番の前にかけたいことば

  • 「いつもどおりでいいよ」
  • 「楽しんできてね。ここから聞いてるよ」
  • 「どんな結果でも、歌っているあなたが大好き」
  • 「どきどきしているのは、がんばってきたからだよ」

さけたいことば

  • 「緊張しないでね」(かえって緊張を意識してしまう)
  • 「まちがえないでね」(まちがえることばかり考えてしまう)
  • 「入賞してね」「ここまでがんばったんだから」(結果のプレッシャーになる)

「しないでね」より「こうしようね」。してほしいことをことばにすると、お子様はそのすがたを思いうかべられます。

緊張をやわらげる小さな工夫

ゆっくり息をはく

緊張すると、息が浅くなります。「吸う」より「はく」を大切にして、口をすぼめて「ふー」と長くはきます。そのあと自然に息が入ってきます。何度かくりかえすと、少し落ち着きます。

「いつものおまじない」をつくる

手をにぎってひらく、肩を上げてストンと落とす、など、練習のときから歌う前にする「おまじない」を決めておくと、本番でも「いつもの自分」を思い出しやすくなります。

「だれに歌うか」を決める

「審査員に聞かせる」と思うとこわくなります。「おばあちゃんにとどける」など、大好きな人に歌うつもりになると、気持ちがやわらぎます。

親自身の緊張もととのえよう

じつは、お子様より緊張しているのがお父様・お母様、ということもよくあります。親の顔がこわばっていると、お子様は「やっぱりたいへんなことなんだ」と感じてしまいます。

  • 親も、お子様といっしょに「ふー」と息をはく
  • 客席では、笑顔でお子様のほうを見る
  • 結果のことは、帰りの道まで考えない
  • 「聞けるのがうれしい」という気持ちを思い出す

親が楽しんで聞いていることが、お子様にとっていちばんの安心になります。

ふだんからできる「本番の練習」

緊張になれるいちばんの方法は、人前で歌う経験をふやすことです。

  • 家族の前で「発表会ごっこ」をする(入場からお辞儀まで)
  • おじいちゃん・おばあちゃんに、ビデオ通話で聞いてもらう
  • 動画をとってみる(「とられている」だけでもちょうどよい緊張になる)
  • 動画で出られるコンクールに出てみる

動画のコンクールは、会場のコンクールの前の「本番の練習」にもなります。動画で出られる子どもの歌のコンクールまとめ。おうちから挑戦できます

動画で出るときも、緊張はする?

動画のコンクールでも、「録画ボタンをおすと急に緊張する」というお子様はたくさんいます。そんなときは、さいしょの1回を「練習だよ」と言ってとり、何回かとるうちに、いちばんのびのびした1本をえらべばよいのです。とりなおせる安心感があるので、会場より気持ちが楽になる子も多いです。

よくある質問

本番の直前に「おなかがいたい」と言いだしたら?

緊張でおなかがいたくなるのは、よくあることです。まずはお手洗いに行き、ゆっくり息をはく時間をとりましょう。ただし、熱がある、いたみが強いなど、いつもとちがうようすのときは、むりに出ないことも大切です。体のほうがずっと大事です。

本番前に泣いてしまったら?

泣くのは、気持ちを外に出しているサインです。「泣いてもいいよ」と受けとめて、少しだまってそばにいてあげてください。泣きやんだあとに、すっきりした顔で歌えることもあります。どうしても舞台に立てないときは、それも経験のひとつです。

緊張すると声がかすれる、のどがいたいと言うときは?

口がかわいているだけなら、少し水をのむと楽になります。ふだんからかすれやすい、のどのいたみが続くなどのときは、むりに歌わせず、耳鼻科で相談しておくと安心です。

うまくいかなかったら

緊張して思うように歌えなかったときも、「さいごまで歌えたね」と受けとめてあげてください。落ちた日の声かけは、こちらの記事にまとめています。コンクールで落ちた日に、親ができること。かけたいことば、さけたいことば

まとめ

  • 緊張は、がんばってきた証拠
  • 体のサインを先に知っておくと、こわくなくなる
  • 前の日は、練習しすぎず「いつもどおり」
  • 待ち時間は、ちょうどよく気がまぎれることを用意する
  • 「しないでね」より「楽しんでね」
  • 息をはく、おまじない、だれに歌うかを決める
  • 親も笑顔で、ゆったりと
  • ふだんから人前で歌う経験をふやす

緊張しながらもさいごまで歌いきった経験は、お子様の大きな自信になります。

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