裏拍のとり方。ノリのいい歌のリズムを感じる練習
「裏拍をとって、と言われても、よくわからない」 「歌うと、なんだかリズムがかたく聞こえる」 「ノリのいい曲を、もっと気持ちよく歌いたい」
ポップスやジャズ、ダンスの音楽のような、はずむ感じの曲を歌うとき、「裏拍」ということばを耳にすることがあります。裏拍を感じられるようになると、同じ曲でも、歌のノリがかわって聞こえることがあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、裏拍のとり方にしぼって、裏拍とは何か、からだで感じる練習、歌に生かすコツをまとめました。リズム感全体をよくする練習は、こちらの記事にまとめています。リズム感をよくする歌の練習。子どもも大人もできる手拍子・メトロノーム練習
裏拍とは
表拍と裏拍
音楽には、「いち、に、さん、し」とかぞえられる、拍があります。この「いち、に、さん、し」にあたるところを、表拍といいます。
そして、拍と拍のあいだにある、「と」のところが裏拍です。「いち、と、に、と、さん、と、し、と」とかぞえたときの、「と」の部分です。
手拍子でいうと
手拍子でたとえると、手をたたくところが表拍、手と手がはなれているところが裏拍です。ふだんの手拍子は、表拍でたたいていることもあると思います。
ここで、手をたたくところを「と」のほうにずらすと、裏拍の手拍子になります。
裏拍を感じると、なにがかわるのか
裏拍を感じながら歌うと、歌に、はずむような感じや、前にすすむような感じが出てくることがあります。
反対に、表拍だけを感じて歌っていると、どっしりとして、少しかたい印象になることもあります。どちらがよい・悪いということではなく、曲に合わせてつかい分けられると、表現の幅が広がります。
裏拍がとりにくいと感じる理由
表拍で手拍子をする場面になれている
学校の歌や、行事でみんなで歌う場面では、表拍で手拍子をすることがあります。そのため、表拍のほうが、からだになじんでいる方もいらっしゃると思います。
なれていないものは、はじめはとりにくくて当たり前です。練習で少しずつ、からだになじませていきましょう。
拍を、頭でかぞえすぎている
「いち、と、に、と」と頭でかぞえることに集中しすぎると、かえってからだが固くなり、リズムがぎこちなくなることがあります。
かぞえるのは、はじめのうちだけ。なれてきたら、からだでゆれる感じを大切にしてみてください。
からだで裏拍を感じる練習
声に出してかぞえる
まずは、ゆっくりの速さで「いち、と、に、と、さん、と、し、と」と声に出してかぞえてみてください。
なれてきたら、「と」のところだけ、少し大きな声でかぞえます。表拍は小さく、裏拍は大きく。これだけでも、裏拍を意識しやすくなります。
足は表、手は裏
足で表拍をふみながら、手拍子で裏拍をたたく練習です。
- 足を「いち、に、さん、し」でふむ
- 足が床についたあと、足が上がるところで手をたたく
- 足と手が、こうごになるようにする
はじめはむずかしく感じるかもしれません。ゆっくりの速さから、あせらずにためしてみてください。
ひざで、はずむ
その場に立って、ひざを軽くまげのばしします。ひざがのびて、からだが上がるところを裏拍と感じてみてください。
上にはずむ感じがつかめると、裏拍のノリが、からだに入りやすくなります。
音楽に合わせて、裏で手をたたく
好きな、はずむ感じの曲を流して、裏拍で手をたたいてみてください。表拍で一度たたいてから、「と」のほうにずらしていくと、わかりやすくなります。
メトロノームをつかう方法もあります。メトロノームの音を表拍として、そのあいだで手をたたく練習です。メトロノームの使い方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。メトロノームを使った歌の練習。リズムが安定するコツと、速さの決め方
「ん・タ」で口ずさむ
表拍を「ん」、裏拍を「タ」として、「ん・タ・ん・タ」と口ずさんでみてください。表拍で休んで、裏拍で声を出す練習です。
裏拍で声を出す感じになれると、歌の中で裏拍からはじまるフレーズにも、入りやすくなります。
歌に裏拍を生かすコツ
まずは聞くことから
歌いはじめる前に、曲をよく聞いてみてください。ドラムやギター、ピアノなどの伴奏が、どこで音を鳴らしているかに耳をすませると、裏拍で鳴っている音に気づくことがあります。
伴奏の中の裏拍を感じながら歌うと、歌と伴奏がなじみやすくなります。
からだを、軽くゆらしながら歌う
歌っているときに、からだがまったく動かないと、リズムもかたくなりやすいことがあります。足でリズムをとったり、からだを軽くゆらしたりしながら歌ってみてください。
ゆれは、大きくなくてかまいません。裏拍でからだが少し上がるような感じを、心の中でもっておくだけでもちがいます。
ことばの入りを、ていねいに
歌の中には、表拍ではなく、裏拍からことばがはじまるところがあります。そういうところで、ことばが早く出すぎたり、おそくなったりすることがあります。
楽譜を見られる方は、どこからことばがはじまるかを、たしかめておくと安心です。楽譜がないときは、伴奏をよく聞いて、入るところを口ずさんで練習してみてください。
母音をのばしすぎない
ことばの母音を長くのばしすぎると、次の音に入るのがおくれて、リズムがもたつくことがあります。はずむ曲では、音を少し短めに切るようにすると、ノリが出やすくなることもあります。
どのくらい切るかは、曲によってちがいます。原曲をよく聞いて、まねしてみるのがわかりやすい方法です。
ジャンルによる、ノリのちがいも楽しむ
同じ裏拍でも、ジャンルによって感じ方は少しずつちがいます。軽くはずむもの、ゆったりとゆれるもの、ねばりのあるもの。いろいろな曲を聞いて、ちがいを楽しんでみてください。
なめらかでゆれるノリについては、R&Bの歌い方の記事でもふれています。R&Bの歌い方のコツ。リズムのノリと、なめらかな声のつかい方
裏拍を意識しすぎたときに、起こりやすいこと
裏拍を、強くしすぎてしまう
裏拍を感じようとするあまり、「と」のところで声をぐっと強く出してしまうことがあります。そうすると、歌がでこぼこして聞こえたり、ことばが不自然に聞こえたりすることもあります。
裏拍は、声を強くする場所というより、からだの中で感じておく場所、と考えてみてください。声はなめらかなまま、心の中で「と」を感じているくらいが、ちょうどよいこともあります。
だんだん速くなってしまう
はずむ感じを出そうとして、気づいたら歌がどんどん速くなっていることがあります。とくに、楽しくなってきたときや、緊張しているときに起こりやすいものです。
速くなっていないか気になるときは、伴奏やメトロノームに合わせて歌い、ずれていないかをたしかめてみてください。
表拍を、わすれてしまう
裏拍ばかりに気をとられると、反対に、表拍がどこかわからなくなってしまうこともあります。裏拍は、表拍があってこその裏拍です。
まよったときは、足で表拍をふみなおしてみてください。表拍がわかると、裏拍もまたとりやすくなります。
練習するときに気をつけたいこと
ゆっくりの速さからはじめる
速い曲でいきなり裏拍をとろうとすると、むずかしく感じてしまうことがあります。はじめは、ゆっくりの速さで練習し、なれてきたら少しずつ速くしていきましょう。
うまくいかなくても、あせらない
裏拍は、なれるまでに時間がかかることもあります。今日できなくても、何回かくりかえすうちに、ふっとからだが分かるようになることもあります。
お子様といっしょに、遊びながら
お子様と練習するときは、手拍子やステップのゲームのようにして、楽しみながらためしてみてください。「足と手でこうごにたたけるかな」と、遊びの形にすると、取り組みやすくなります。
うまくできなくても、せめないことが大切です。楽しかった、という気持ちをのこしてあげてください。
録音して、聞いてみる
歌を録音して聞いてみると、自分のリズムがかたいところや、ことばの入りがずれているところに気づきやすくなります。ただし、気になるところを全部なおそうとせず、ひとつずつためしていきましょう。
まとめ
- 表拍は「いち、に、さん、し」、裏拍はそのあいだの「と」のところ
- 裏拍を感じると、歌にはずむ感じや、前にすすむ感じが出てくることがある
- 声に出してかぞえ、「と」を大きくすることからはじめる
- 足で表拍、手で裏拍をたたく練習や、ひざではずむ練習がある
- 伴奏の中の裏拍に耳をすませ、からだを軽くゆらしながら歌う
- 裏拍から入るところは、ことばの入りをていねいにたしかめる
- ゆっくりの速さから、あせらずに練習する
リズムのくせは、自分ではなかなか気づきにくいものです。先生に見てもらうと、自分に合った練習を教えてもらえることもあります。お近くの教室や、オンラインで習える教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがし練習したノリのいい歌を、だれかに聞いてもらいたくなったときには、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ