練習・発声のコツ

メトロノームを使った歌の練習。リズムが安定するコツと、速さの決め方

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「歌っているうちに、だんだん速くなってしまう」 「伴奏と合わせると、ずれてしまう」

歌の練習をしていると、こんななやみが出てくることがあります。自分では合っているつもりでも、録音して聞いてみると、テンポがゆれていることに気づく方も多いと思います。

そんなときに役立つのが、メトロノームです。メトロノームは、決まった速さで「カチ、カチ」と音を鳴らしてくれる道具です。置いて使う機械のほかに、スマホで使えるものもあります。

わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌はメロディや声に目がいきやすいですが、リズムが安定すると、歌全体がぐっと聞きやすくなります。

この記事では、メトロノームを使った歌の練習にしぼって、速さの決め方、具体的な練習のしかた、お子様と使うときの工夫をまとめます。手拍子などをつかったリズム感の練習は、こちらの記事でまとめています。リズム感をよくする歌の練習。子どもも大人もできる手拍子・メトロノーム練習

メトロノームを使うと、どんなよさがある?

自分のくせに気づける

人は、歌っているうちに、知らず知らず速さがかわっていることがあります。

  • 高い音や、むずかしいところで、おそくなる
  • 歌いなれたところで、速くなる
  • 長くのばす音を、みじかく切ってしまう
  • 休符を待たずに、次を歌いはじめてしまう

メトロノームに合わせて歌うと、「どこでずれるのか」がわかりやすくなります。くせがわかれば、そこを集中して練習できます。

伴奏と合わせやすくなる

ピアノの伴奏や伴奏音源は、決まった速さで進んでいきます。ふだんからメトロノームで練習しておくと、伴奏と合わせたときに、ずれにくくなります。

練習の目安になる

「今日は、この速さで歌えた」と記録しておくと、少しずつ速さを上げていくときの目安になります。できたことが目に見えるので、練習がつづけやすくなる方もいます。

メトロノームの速さの決め方

楽譜に書いてある速さをたしかめる

楽譜のはじめに、音符と「=」と数字が書かれていることがあります。たとえば「四分音符=88」なら、1分間に四分音符を88回打つ速さです。メトロノームの数字を88に合わせれば、その曲の速さになります。

数字ではなく、「Andante(歩くような速さで)」などのことばだけが書かれているときは、先生に目安を聞いてみましょう。伴奏音源があるときは、音源に合わせて手をたたき、近い数字をさがす方法もあります。

はじめは、ゆっくりから

メトロノームの練習で、いちばん大切なのは、はじめから曲の速さで歌わないことです。

  • まずは、楽譜の速さより少しおそくする
  • その速さで、むりなく歌えるようになったら、少しずつ上げる
  • 上げるときは、数字を4から8くらいずつにする

ゆっくりの速さで正しく歌えると、速くしたときも、くずれにくくなります。むずかしいところほど、ゆっくりからはじめてみてください。

メトロノームを使った歌の練習のしかた

練習1 まずは聞くだけ、手をたたくだけ

いきなり歌いはじめずに、まずはメトロノームの音を聞いてみましょう。

  1. 曲の速さにメトロノームを合わせる
  2. しばらく、音を聞くだけにする
  3. 音に合わせて、手をたたいたり、ひざを軽くたたいたりする
  4. 「1、2、3、4」と、声に出して数える

体で速さを感じてから歌いはじめると、合わせやすくなります。

練習2 歌詞をリズムだけで読む

次に、メロディをつけずに、歌詞をリズムだけで読んでみます。メトロノームに合わせて、音符の長さどおりに、ことばを言っていく練習です。

音の高さを考えなくてよいので、リズムだけに集中できます。のばす音の長さや、休符の長さも、ここでたしかめておきましょう。

練習3 メロディをつけて歌う

リズムが読めたら、メロディをつけて歌います。はじめは、小さめの声で、ゆっくりの速さからにしましょう。

むずかしいところだけをぬき出して、何回かくりかえすのもおすすめです。1曲を通して歌うより、短いところを集中して練習したほうが、ずれに気づきやすくなります。

練習4 鳴らす場所をかえてみる

メトロノームは、ふつうは1拍ごとに鳴らしますが、鳴らし方をかえると、ちがう練習になります。

  • 1小節に1回だけ鳴らす:自分で拍を感じる力をつける
  • 2拍目と4拍目で鳴らす:ポップスなど、はずむ曲のノリをつかむ
  • 1拍を2つに分けて鳴らす:細かいリズムや、速い曲の練習に

2拍目と4拍目で鳴らす練習は、ポップスやジャズを歌う方によくつかわれます。数字を半分にして、鳴った音を「2」と「4」だと思って歌うやり方です。はじめは少しむずかしいので、なれてからためしてみてください。

練習5 音を少しずつ消していく

メトロノームに合わせて歌えるようになったら、次は、音にたよらずに速さをたもつ練習です。

  1. メトロノームといっしょに、4小節歌う
  2. メトロノームの音を小さくする、または止める
  3. そのまま、同じ速さで歌いつづける
  4. もう一度鳴らして、ずれていないかたしかめる

メトロノームによっては、何小節か鳴らして、何小節か音を消す設定ができるものもあります。本番では、メトロノームはありません。自分の中に速さを持てるようになることが、この練習の目標です。

練習6 録音して聞いてみる

メトロノームを鳴らしたまま、自分の歌を録音してみましょう。聞きなおすと、どこでずれているかが、よくわかります。歌いながらでは気づかなかったところが見つかることも多いです。

メトロノームを使うときに気をつけたいこと

音量と置き場所

メトロノームの音が小さすぎると、自分の声で聞こえなくなります。大きすぎると、歌に集中しにくくなります。少しはなれたところに置いて、聞こえやすい音量にしてみてください。イヤホンで聞く方法もありますが、自分の声が聞こえにくくならないように気をつけましょう。

機械のような歌にならないように

メトロノームはとても正確ですが、歌はいつも機械のように進むわけではありません。曲の終わりで少しおそくなるところや、フェルマータで音をのばすところもあります。

メトロノームは、あくまで「土台の速さ」をつかむための道具です。速さが安定してきたら、メトロノームを止めて、歌詞の気持ちや、ことばの流れを大切にして歌ってみましょう。

長い時間つづけない

メトロノームに合わせる練習は、思ったより集中力をつかいます。のども、気持ちもつかれやすいので、10分ほどでひと休みするなど、短い時間で区切るのがおすすめです。

のどがつかれたと感じたら、歌うのをやめて、リズム読みや手拍子だけの練習に切りかえてもだいじょうぶです。痛みやかすれが何日もつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

練習時間の目安は、こちらの記事でもまとめています。歌の習い事、家での練習は何分がいい?時間の目安と、むりなくつづけるコツ

お子様とメトロノームを使うときの工夫

あそびから入る

小さなお子様にとって、メトロノームの「カチ、カチ」は、少しつまらなく感じることがあります。はじめは、あそびの形にすると楽しめます。

  • メトロノームに合わせて、足ぶみをする
  • 音に合わせて、ぬいぐるみをとんとんする
  • 速さをかえて、「ゆっくり」「はやい」を体であらわす

歌の一部分だけで使う

1曲まるごとメトロノームで歌うのは、お子様にはたいへんです。「ここだけ、速くなっちゃうね」というところだけを、メトロノームといっしょに練習してみましょう。

できたことをほめる

「さっきより、ずれなかったね」「最後まで同じ速さで歌えたね」と、できたことを具体的に伝えてあげてください。メトロノームに合わせるのは、大人でもむずかしいことです。少しでもできたら、たくさんほめてあげましょう。

メトロノームの練習が向いているとき

  • 歌っているうちに、速くなったり、おそくなったりする
  • 伴奏と合わせると、ずれやすい
  • 合唱で、まわりと声がそろわない
  • 速い曲や、ことばが多い曲を練習している
  • コンクールや発表会の前に、歌を安定させたい

反対に、歌いはじめたばかりで、まずは歌うことを楽しみたい時期には、むりに使わなくてもだいじょうぶです。お子様のようすを見ながら、取り入れてみてください。

まとめ

  • メトロノームを使うと、自分の歌の速さのくせに気づける
  • 速さは楽譜の数字をたしかめ、はじめはゆっくりから
  • 聞く、手をたたく、リズム読み、歌う、の順にすすめる
  • 鳴らす場所をかえたり、音を消したりして、自分の中に速さを持つ
  • 速さが安定したら、メトロノームを止めて、歌の気持ちを大切にする
  • 長い時間つづけず、のどがつかれたら休む

メトロノームは、歌の土台をととのえてくれる、心強い道具です。リズムが安定してきたら、練習の成果をだれかに聞いてもらうのもおすすめです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、練習をふりかえるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ

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