声帯のしくみをやさしく。声はどうやって出るの?歌うときに知っておきたいこと
「声って、体のどこから出ているの?」 「声帯ということばは聞くけれど、どんなしくみなのか、よくわからない」
歌を習っていると、先生から「声帯」ということばを聞くことがあると思います。でも、声帯は自分の目では見えないので、どんなものなのか、ぴんとこない方も多いのではないでしょうか。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌の練習を続けていると、「声はどうやって出ているんだろう」と、ふしぎに思う場面もあります。しくみを少し知っておくと、先生の話がわかりやすくなったり、のどを大切にしようと思えたりします。
この記事では、声帯のしくみと、声が出る仕組みを、歌う人向けにやさしくまとめます。むずかしい体の話はできるだけさけて、一般的に知られていることだけをお話しします。お子様といっしょに読めるように、やさしいことばで書いていきます。
声帯ってどこにあるの?
のどぼとけのあたりにある
声帯は、のどの中にあります。首の前をさわってみると、少しかたい、出っぱったところがありますよね。そのあたりの奥に、声帯があります。
声帯は、左右にひとつずつ、ならんでいる、やわらかいひだのようなものです。ふだんはこの2まいのひだが開いていて、そのあいだを息が通っています。
息の通り道のとちゅうにある
わたしたちが息をすうと、空気は鼻や口から入って、のどを通り、肺へと運ばれます。はくときは、その反対の道を通って、外へ出ていきます。声帯は、この息の通り道のとちゅうにあります。
つまり、声帯は、息が行ったり来たりする「とびら」のような場所にあるのです。
声が出る仕組みを、3つに分けて考える
声が出るまでの流れは、大きく分けると、次の3つで考えるとわかりやすくなります。
- 息を送り出す
- 声帯がふるえて、音が生まれる
- 体の中でひびいて、声になる
ひとつずつ見ていきましょう。
1 息を送り出す
声のもとになるのは、息です。肺から送り出された息が、のどを通っていくことで、声を出す準備がととのいます。
歌の先生が、「息をたっぷりすって」「息をささえて」と言うのは、この息が声のもとになっているからです。息が足りなかったり、とぎれとぎれになったりすると、声も安定しにくくなります。
2 声帯がふるえて、音が生まれる
息をしているときは、声帯は開いています。声を出そうとすると、声帯がそっと近づいて、とじるような形になります。そこに息が通ると、声帯がこまかくふるえて、音が生まれます。
紙を2まいならべて、そのあいだに息をふきかけると、ぶるぶるとふるえて音が出ることがあります。声帯のはたらきは、それに少しにています。
このときに生まれる音は、まだ小さな、ブーというような音だといわれています。それが、次のひびきの場所で、わたしたちの知っている「声」になっていきます。
3 体の中でひびいて、声になる
声帯で生まれた音は、のどや口、鼻のまわりの空間でひびいて、大きく、ゆたかな声になります。
楽器でたとえると、ギターの弦だけをはじいても、音はあまり大きくありません。でも、ギターの胴の部分でひびくことで、きれいな音が広がります。声も同じように、声帯で生まれた音が、体の中の空間でひびくことで、聞きとりやすい声になります。
ことばは、口や舌でつくられる
「あ」「い」「う」などのことばのちがいは、口の開け方や、舌やくちびるの形でつくられます。声帯で生まれた音に、口の形でちがいをつけることで、わたしたちは話したり、歌詞を歌ったりできるのです。
高い声と低い声は、どうちがうの?
声帯のふるえ方がかわる
高い声を出すときと、低い声を出すときでは、声帯のふるえ方がちがいます。一般的には、声帯がうすく、ぴんとはったようになると高い声に、声帯がゆるんで、あつみがあるようになると低い声になるといわれています。
輪ゴムをのばしてはじくと、のばしたときほど高い音が出ますよね。声帯も、それに少しにたしくみで、声の高さをかえています。
人によって声の高さがちがうわけ
声の高さは、人によってちがいます。これは、声帯の長さやあつみ、体の大きさなどが、一人ひとりちがうためだと考えられています。
- お子様の声が高いのは、声帯がまだ小さいため
- 大人になると、声帯が成長して、声が低くなることが多い
- 男性と女性でも、声帯の大きさにちがいがある
成長期には、声がかわりやすい時期もあります。声がわりのころの歌い方については、こちらの記事でくわしくお話ししています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
地声と裏声も、声帯のつかい方のちがい
歌でよく聞く「地声」と「裏声」も、声帯のつかい方のちがいから生まれるといわれています。どちらがよい、わるいということではなく、歌によってつかい分けることが大切です。くわしくは、こちらの記事をごらんください。地声と裏声の違いとは?切り替えのコツと、境目をなめらかにする練習
大きな声と小さな声のちがい
大きな声を出そうとすると、ついのどに力を入れてしまいがちです。でも、声の大きさは、のどの力だけで決まるわけではありません。
- 息の送り方
- 体の中でのひびかせ方
- 姿勢や、体の力のぬき方
こうしたことが組み合わさって、声の大きさが変わります。のどだけでむりに大きな声を出そうとすると、声帯に負担がかかりやすくなるので、気をつけたいところです。
声帯は年れいとともに変わる
声帯は、一生同じではありません。お子様のころから大人になるまでのあいだに大きく成長し、年をかさねると、また少しずつ変化していくといわれています。
年をかさねて「声が出にくくなった」と感じる方もいますが、息の練習や、むりのない発声を続けることで、歌を楽しんでいる方もたくさんいます。年れいに合わせて、そのときの声とつきあっていくことが大切です。
声帯を大切にするための毎日の心がけ
声帯は、とてもやわらかく、こまかい部分です。歌う人にとっては、大切な楽器のようなものです。ふだんの生活の中で、やさしくあつかってあげましょう。
のどをうるおす
声帯は、かわいているより、うるおっているほうが、なめらかにふるえやすいといわれています。
- 水やお茶を、こまめに少しずつのむ
- 部屋がかわいていると感じたら、湿度をととのえる
- 外から帰ったら、うがいをする
さけびすぎない、むりをしない
大きな声でさけびつづけたり、長い時間むりに歌いつづけたりすると、のどがつかれてしまいます。
- 歌う前に、体をほぐして、軽い声から始める
- 練習のとちゅうで、ひと休みを入れる
- 声がかすれている日は、歌うのをお休みにする
つかれたら、声を休める
のどがつかれたと感じたら、声を休めることがいちばんです。話す時間を少しへらしたり、早めにねたりして、体ごと休ませてあげましょう。
のどの痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
しくみを知ると、練習がわかりやすくなる
声帯のしくみを知っておくと、先生の言っていることが、少しわかりやすくなることがあります。
- 「息をささえて」は、声のもとになる息を安定させるため
- 「のどに力を入れないで」は、声帯がらくにふるえられるようにするため
- 「ひびきを感じて」は、体の中の空間で声を広げるため
もちろん、しくみを知っているだけで、すぐに上手に歌えるわけではありません。でも、「なぜこの練習をするのか」がわかると、毎日の練習に気持ちをこめやすくなると思います。声楽の発声のきほんについては、こちらの記事でもまとめています。声楽の発声のきほん。はじめての人がおさえたいコツと練習
お子様に伝えるときは
お子様に声のしくみを伝えるときは、むずかしいことばより、身近なものにたとえると伝わりやすくなります。
- 「のどの中に、小さなふえみたいなものがあるんだよ」
- 「息がふえを通ると、ぶるぶるふるえて声になるよ」
- 「大切なふえだから、さけびすぎないようにしようね」
のどぼとけのあたりに手をあてて、「あー」と声を出してみると、ふるえを感じられることもあります。体のふしぎを知ることで、自分の声を大切にしようという気持ちが育つと思います。
まとめ
- 声帯は、のどぼとけのあたりの奥にある、左右2まいのやわらかいひだ
- 声は「息を送り出す」「声帯がふるえる」「体の中でひびく」の流れで生まれる
- ことばのちがいは、口の開け方や、舌やくちびるの形でつくられる
- 声の高さは、声帯のふるえ方や、声帯の長さ・あつみのちがいでかわる
- 声帯を大切にするために、のどをうるおし、むりをしない
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
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