生理のときの歌の練習。声が出にくい・体がつらい日のすごし方と、レッスンや本番の考え方
「生理の前やあいだは、なんだか声が出にくい」 「おなかや腰がつらくて、歌の練習に集中できない」 「生理中に歌の練習をしても、だいじょうぶなのかな」
歌を習っている女性や、中学生・高校生の女の子の中には、こんなふうに感じる方もいます。体のことなので、だれにも相談できずに、ひとりでなやんでしまうこともあるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、生理のときの歌の練習について、体がつらい日のすごし方と、レッスンや本番の考え方をまとめます。中学生・高校生のお子様と、そのお父様・お母様、そして大人の女性の方、どなたにも読んでいただけるように、やさしくお伝えします。
はじめにお伝えしたいのは、生理のときの体や声のようすは、人によって大きくちがう、ということです。とくに何も感じない方もいれば、つらさを強く感じる方もいます。この記事では、体のことを言い切ることはしません。つらさが強いときや、気になることが続くときは、お医者さんに相談することを大切にしてください。
生理のときに、声や体はどう感じられることがあるか
声について感じることがある変化
生理の前やあいだに、歌っていてこんなことを感じる方もいます。
- 高い音が出にくい、声がのびにくい
- 声がかすれる、すっきり出ない感じがする
- 声が重く、ひびきにくい感じがする
- のどがはれぼったい感じがする
生理の前後の体の変化が、声にかかわることもあると言われています。ただ、どのくらい声に変化を感じるかは人によってちがい、とくに変化を感じない方もいます。
体について感じることがあるつらさ
声のほかに、体のつらさが、歌の練習に影響することもあります。
- おなかや腰が痛い、重い
- 体がだるい、ねむい
- 頭が痛い
- 気持ちが落ちこみやすい、イライラしやすい
- 集中しにくい
こうしたつらさがあると、歌うために息を深くすったり、おなかで息を支えたりするのが、いつもよりしんどく感じることもあるでしょう。
「歌ってはいけない」わけではない
生理中だからといって、歌ってはいけないということではありません。体がらくな日は、いつもどおり歌ってかまいません。大切なのは、その日の体と声のようすを感じながら、むりをしないことです。
体がつらい日の、練習の考え方
「歌うか、休むか」は、体と相談して決める
生理中の練習は、「こうしなければいけない」という決まりはありません。その日の体のようすを見て、決めてよいのです。
- 体がらくな日 → いつもどおり練習する
- 少しつらい日 → 時間を短くしたり、軽い練習にしたりする
- とてもつらい日 → 練習はお休みにして、体をやすめる
「休むと練習が遅れる」と心配になるかもしれません。でも、つらい日にむりをして歌うより、休んで体をととのえたほうが、次に気持ちよく歌えることもあります。
体をあたため、楽な姿勢で
体がひえていると、つらさを強く感じることもあると言われます。練習の前に、あたたかい飲みものを飲む、ひざかけや上着をつかうなど、体をひやさない工夫をしてみてください。
立って歌うのがつらいときは、いすに座って歌ってもかまいません。背すじをやさしくのばし、肩の力をぬいて、らくな姿勢で声を出してみましょう。
おなかに強い力を入れる練習は、ひかえめに
腹式呼吸の練習などで、おなかに強く力を入れることがつらいと感じるときは、その日はひかえめにしてみてください。息をゆったりはく、らくな高さでハミングをする、など、体に負担がかかりにくい練習を中心にするのもよい方法です。
つらい日にできる、軽い練習メニュー
ハミングや小さな声で
声を出せそうなときは、口をとじて「んー」と、らくな高さでハミングをしてみてください。ひびきを感じながら、やさしく声を出します。高い音や大きな声は、むりに出さなくてかまいません。
曲を歌うときも、キーを下げたり、小さめの声で歌ったりして、のどと体に負担がかからないようにしてみましょう。
声を出さない練習にきりかえる
声を出すのもつらい日は、声を出さない練習にきりかえるのも、ひとつの方法です。
- 楽譜を見ながら、心の中でメロディをたどる
- 歌詞のことばの意味を、ゆっくり考える
- 先生のお手本や、自分の録音を聞いて、気づいたことを書く
- 息つぎの場所や、気持ちのこめ方を楽譜に書きこむ
横になったままでもできる練習もあります。くわしくは、こちらの記事でも紹介しています。声を出さない歌の練習。通勤中や家族がいるときにもできること
体と気持ちのメモをつける
生理の時期と、声や体の調子を、かんたんにメモしておくのもよい方法です。
- 「声が重い。おなかが少しつらい」
- 「高い音が出にくい。ねむい」
- 「いつもどおり歌えた」
しばらくつづけると、自分の体と声のリズムが見えてくることもあります。そうすると、本番やレッスンの予定を考えるときの、手がかりにもなります。
レッスンの日に、つらいとき
先生への伝え方
レッスンの日に体がつらいときは、先生に伝えておくと、むりのない練習にしてもらいやすくなります。生理のことを、くわしく話す必要はありません。
- 「今日は体調が少しよくないので、軽めにお願いできますか」
- 「おなかが少しつらいので、座って歌ってもいいですか」
- 「高い音が出にくい感じがします」
こう伝えるだけでも、じゅうぶんです。話しやすい先生であれば、生理のことを伝えてもかまいません。どこまで話すかは、ご自身が決めてよいのです。
レッスンをお休みするときも
とてもつらいときは、レッスンをお休みしたり、日にちをかえてもらったりすることも考えてみてください。教室によって、お休みやふりかえのきまりはちがうので、前もってたしかめておくと安心です。
本番やコンクールの日と重なりそうなとき
前もって、できる準備をしておく
本番やコンクールの日と生理が重なりそうなときは、前もってできる準備をしておくと、気持ちが少し楽になります。
- 衣装の下に着るものや、着がえやすい服を考えておく
- あたたかい飲みものや、ひざかけを用意しておく
- 楽屋やひかえ室で、座ってやすめる場所をたしかめておく
- 体がつらいときに、だれに伝えるかを決めておく
コンクール前のすごし方については、こちらの記事でもまとめています。コンクール前の1週間のすごし方。練習・体調・こころの準備
当日は「その日の体で歌う」と考える
本番の日に、思うように声が出ないこともあるかもしれません。そんなときは、いつもの声とくらべすぎず、「今日の体と声で、ていねいに歌う」と考えてみてください。ことばを大切に、気持ちをこめて歌うことに目を向けると、緊張もやわらぐことがあります。
体がとてもつらい日に、本番に出るか休むかで迷うときの考え方は、こちらの記事にまとめています。コンクール当日に体調がわるいとき。出るか休むかの考え方と、その日にできること
生理の時期をずらすことについて
本番の日に合わせて、生理の時期を調整する方法があると聞いたことがある方もいるかもしれません。こうしたことは、自分だけで判断せず、婦人科のお医者さんに相談してください。中学生・高校生のお子様の場合は、お父様・お母様といっしょに相談すると安心です。
中学生・高校生のお子様と、お父様・お母様へ
お子様へ
生理のことは、はずかしいことではありません。体がつらいときは、がまんしすぎず、おうちの人や、信頼できる大人に伝えてください。歌の先生に伝えにくいときは、「体調がよくない」とだけ伝えても、じゅうぶんです。
お父様・お母様へ
お子様が、生理のつらさを言い出しにくいこともあります。
- 「つらいときは、練習を休んでもいいよ」と伝えておく
- レッスンや本番の前に、体のようすをさりげなく聞いてみる
- 先生にどう伝えるかを、いっしょに考える
- 必要なものを、カバンに入れておけるように用意する
お子様が「言っても、だいじょうぶ」と思えるような声かけがあるだけで、安心して歌にとりくめることもあります。お父様が話しにくいと感じるときは、ほかの家族の手を借りてもかまいません。
お医者さんに相談したいときのめやす
次のようなことがあるときは、ひとりでがまんせず、お医者さんに相談してください。
- 生理のときの痛みが強く、毎回、生活や練習にさしつかえるとき(婦人科など)
- 体のだるさや、気持ちの落ちこみが強いとき(婦人科など)
- 生理の時期や体のようすで、気になることがあるとき(婦人科など)
- 声のかすれ、のどの痛み、声の出にくさが続くとき(耳鼻科など)
中学生・高校生のお子様でも、婦人科で相談することができます。お父様・お母様がいっしょに行くと、お子様も安心しやすいかもしれません。
まとめ
- 生理のときの体や声のようすは、人によって大きくちがう
- 生理の前後の体の変化が声にかかわると言われることもあるが、言い切れることではない
- 生理中でも歌ってはいけないわけではなく、体と相談しながらむりをしない
- つらい日は、時間を短くする、座って歌う、ハミングや声を出さない練習にきりかえる
- レッスンでは「体調がよくない」と伝えるだけでもよい
- 本番と重なりそうなときは、前もって準備し、「その日の体で歌う」と考える
- お子様には、つらいときに言える声かけを。強い痛みや気になることがあれば、婦人科などに相談する
自分の体とつきあいながら、むりなく歌をつづけていけるとよいですね。体のことも相談しやすい先生をさがしたいときは、歌の教室さがしもつかってみてください。そして、歌をつづける目標のひとつとして、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ