声を出さない歌の練習。通勤中や家族がいるときにもできること
「歌の練習をしたいけれど、家族がいて声を出しにくい」 「通勤の時間がもったいない。歌の練習につかえないかな」
歌を習っている方や、コンクールや発表会をめざしている方にとって、よくあるなやみです。歌の練習というと、声を出して歌うことを思いうかべますよね。でも、声を出さない歌の練習も、じつはたくさんあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、声を出さないでできる歌の練習にしぼってお話しします。通勤の電車やバスの中、家族がねている夜、まわりに人がいる場所でもできる方法をあつめました。お部屋の音をへらす工夫ではなく、「声を出さないまま、歌を上手にしていく」ための練習です。
声を出せない時間を、歌のための時間にかえていきましょう。
声を出さない練習で、のびる力
歌は「声」だけでできているわけではない
歌は、声を出すことだけでなく、いろいろな力が合わさってできています。
- メロディやリズムを正しくおぼえる力
- 歌詞の意味やことばの流れを知る力
- 息をすう場所や、強く・弱くの場所を決める力
- 自分の歌を思いうかべる力
- 体の力をぬいて、らくに立つ力
このうち、声を出さなくてものばせるものが、じつはたくさんあります。声を出す練習の時間が少なくても、ほかの力を育てておくと、声を出したときに歌いやすくなります。
のどを休めながら練習できる
声を出す練習ばかりだと、のどがつかれてしまうことがあります。声を出さない練習なら、のどを休めながら、歌のことを考えたり、おぼえたりできます。
かぜのあとや、たくさん話した日など、のどを休めたいときにも向いています。ただ、のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
通勤中にできる「聞く」練習
イヤホンで、くりかえし聞く
通勤の時間にいちばんやりやすいのが、「聞く」練習です。練習している曲を、イヤホンでくりかえし聞きましょう。
ただ流して聞くのではなく、聞くところをしぼると、練習になります。
- 今日は、メロディの高さの動きだけを聞く
- 今日は、伴奏のリズムだけを聞く
- 今日は、歌い手がどこで息をすっているかを聞く
- 今日は、ことばの切れ目を聞く
「今日はここを聞く」と決めると、同じ曲でも、毎回ちがう発見があります。
伴奏だけを聞いてみる
歌の入っていない伴奏の音源があれば、それも聞いておきましょう。歌い出しの前の部分や、間奏の長さがわかるようになると、本番でも入りやすくなります。
伴奏を聞きながら、「ここで歌がはじまる」「ここで息をすう」と、頭の中で歌をのせてみてください。
いろいろな人の歌を聞きくらべる
同じ曲を、ちがう歌い手の歌で聞きくらべるのもおすすめです。テンポや強さ、ことばの伝え方が、人によってちがうことに気づけます。
「この歌い方はすてきだな」「ここは自分ならこう歌いたい」と感じたことは、あとでメモにのこしておくと、練習のヒントになります。聞く練習については、こちらの記事にもくわしくまとめています。歌が上手くなる「聞く」練習。耳コピで歌を練習するコツと、耳をそだてる方法
頭の中で歌う練習
声を出さずに、心の中で歌う
声を出さずに、頭の中で歌ってみましょう。イヤホンで曲を流しながらでも、何も流さずにでもかまいません。
頭の中で歌うときは、なんとなくではなく、ていねいに歌うのがコツです。
- はじめの音の高さを、しっかり思いうかべる
- ことばを、ひとつずつはっきり思いうかべる
- 息をすう場所で、ほんとうに少し息をすってみる
- のばす音の長さを、きちんとかぞえる
頭の中でとちゅうでつまるところは、まだしっかりおぼえていないところです。そこが、次に声を出して練習するときの「重点ポイント」になります。
歌詞だけを、頭の中でとなえる
メロディをつけずに、歌詞だけを頭の中でとなえる練習もあります。歌詞をことばとして、すらすら言えるようになると、歌ったときにもことばが出やすくなります。
歌詞をおぼえるコツは、こちらの記事でも紹介しています。大人が歌詞を早くおぼえるコツ。覚えられないときに、仕事や家事のあいまにできる方法
口だけ動かしてみる
まわりの目が気にならない場所なら、声を出さずに、口の形だけ動かしてみるのもよい練習です。
- 「あ」「い」「う」「え」「お」の口の形を、ていねいに作る
- 早いことばのところを、口だけでゆっくり動かす
- あごや舌に、力が入っていないかを感じる
マスクをしていれば、電車の中でも小さく口を動かしやすいと思います。むりのないはんいで、やってみてください。
息の練習
音を立てずに、ゆっくり息をはく
息の練習は、声を出さなくてもできます。家族がいる部屋でも、音を立てずにできるのでおすすめです。
- 肩の力をぬいて、らくに立つか、すわる
- 鼻からしずかに息をすう
- 口から、細く長く、しずかに息をはく
息をはくときに、おなかのまわりがゆっくり動くのを感じてみましょう。強くはこうとするより、細く、なめらかにはくことを大切にしてください。
歌のフレーズに合わせて、息をはく
曲を頭の中で流しながら、歌うかわりに、息だけをはいてみる練習もあります。ひとつのまとまりを歌うあいだ、息がもつかどうかをたしかめられます。
「ここで息がたりなくなる」とわかったら、息をすう場所を見なおしたり、先生に相談したりするきっかけになります。
息をすう音にも気をつける
しずかに息をすう練習は、本番で息つぎの音が大きくならないためにも役立ちます。口と鼻の両方から、らくにすうイメージで、何回かくりかえしてみましょう。
息の練習のとちゅうで、頭がくらくらしたり、気分がわるくなったりしたら、すぐにやめて休んでください。
体の練習
姿勢をととのえる
歌うときの姿勢は、ふだんから意識しておくことができます。通勤で立っているときも、姿勢の練習の時間になります。
- 足のうらに、体の重さが等しくのっているか
- 肩が上がっていないか
- 首や背中に、よけいな力が入っていないか
- あごが前に出すぎていないか
電車の中では、ゆれにそなえて、むりのない姿勢でいてください。安全がいちばんです。
首や肩の力をぬく
デスクワークやスマホを見る時間が長いと、首や肩がかたくなりやすいです。声を出す前に、首や肩をゆっくり回したり、肩を上げてストンと落としたりすると、体の力がぬけやすくなります。
これも、声を出さずにできる、大切な準備のひとつです。
顔のまわりをほぐす
ほおや口のまわりを、指でやさしくほぐすのもよい方法です。表情がやわらかくなると、歌うときにも口が動きやすくなります。
楽譜をつかう練習
楽譜を見ながら、頭の中で歌う
楽譜を持ち歩ける方は、楽譜を見ながら頭の中で歌ってみましょう。音の高さや長さ、記号を、目でたしかめながら歌えます。
気づいたことを書きこむ
聞く練習や、頭の中で歌う練習で気づいたことは、楽譜に書きこんでおきましょう。
- 息をすう場所
- 強く歌いたいところ、弱く歌いたいところ
- 歌い出しのタイミング
- まちがえやすいところ
声を出して練習するときに、この書きこみを見ながら歌うと、短い時間でも、やりたいことにしぼって練習できます。
ことばの意味を考える
歌詞の意味を、もう一度考えてみるのも、声を出さない練習です。だれに向けた歌なのか、どんな景色の歌なのかを思いうかべると、歌ったときの気持ちのこめ方がかわってきます。
声を出す練習と、どう組み合わせるか
声を出さない練習だけでは、たりないこともある
声を出さない練習は、とても役に立ちます。でも、実さいに声を出してみないと、わからないこともあります。
- 高い音や低い音が、らくに出るか
- 声の大きさや、ひびきがどうか
- 息と声が、うまく合っているか
こうしたことは、声を出して、たしかめる時間も大切です。
「声を出せる時間」をむだにしない
声を出さない練習で、曲をおぼえたり、むずかしいところを見つけたりしておくと、声を出せる時間を、もっと大切につかえます。
- 声を出せない時間:聞く・頭の中で歌う・息・体・楽譜
- 声を出せる時間:むずかしいところを、しぼって歌う
このように分けて考えると、限られた時間でも、練習がすすみやすくなります。
先生に相談してみる
「家ではあまり声を出せない」という事情は、先生に伝えておきましょう。家でできる練習を、いっしょに考えてくれることが多いです。レッスンの時間に声を出す練習を多めにする、など、教室によってやり方はちがいます。
声を出せる場所が近くにないときは、教室をさがすのも、ひとつの方法です。
まとめ
- 歌の練習は、声を出すことだけではない
- 通勤中は、聞くところをしぼって、イヤホンでくりかえし聞く
- 頭の中で、ていねいに歌うと、おぼえていないところが見つかる
- 息の練習は、音を立てずに、家族がいる部屋でもできる
- 姿勢や首・肩の力をぬく練習も、声を出さずにできる
- 気づいたことは楽譜に書きこみ、声を出せる時間にしぼって練習する
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
声を出さない練習をつみかさねると、声を出したときの歌が、少しずつかわっていきます。声を出して練習できる場所や、相談できる先生をさがしたいときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし練習した歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、これからの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ