歌が上手くなる「聞く」練習。耳コピで歌を練習するコツと、耳をそだてる方法
「たくさん歌っているのに、なかなか上手くならない」 「耳コピで歌を覚えているけれど、なんだか元の歌とちがって聞こえる」
こんなふうに感じている方は、「聞く」練習をとり入れてみると、変化が出るかもしれません。歌が上手くなるためには、声を出す練習だけでなく、音をよく聞く力がとても大切です。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。いろいろな方の歌を聞くなかで、よく聞いている人ほど、歌の細かいところまで気づけるのだと感じています。
この記事では、歌が上手くなる「聞く」練習について、耳コピのすすめ方や、聞くところをしぼる聞き方、自分の声を聞く練習などをまとめました。子どもから大人まで、だれでもできる方法です。
なぜ「聞く」と歌が上手くなるの?
聞けないものは、歌えない
歌は、耳で聞いた音を、声でまねすることから始まります。音の高さ、長さ、ことばの切り方、強さや弱さなど、聞きとれていないところは、歌でも表しにくいものです。
反対に、細かいところまで聞きとれるようになると、「ここは少しのばしている」「ここで声をやわらかくしている」など、歌い方のヒントがたくさん見つかります。
ぼんやり聞くのと、意識して聞くのはちがう
ふだん音楽を流しているだけでは、なかなか細かいところまでは聞こえません。「今日はここを聞こう」と決めて聞くだけで、同じ曲でも、聞こえ方がかわってきます。これが、耳をそだてる練習です。
聞くところをしぼる聞き方
1つの曲には、たくさんの音がふくまれています。いっぺんに全部を聞こうとすると、大切なところを聞きのがしてしまいます。そこで、1回ごとに聞くところをしぼってみましょう。
1 メロディーの動きを聞く
音が上がっているのか、下がっているのか、同じ高さが続いているのかを聞きます。手を上げ下げしながら聞くと、音の動きがわかりやすくなります。
2 リズムとことばの切り方を聞く
ことばが、どこで区切られているか、どの音が長く、どの音が短いかを聞きます。歌詞を見ながら、長くのばすところに線を引いておくのもおすすめです。
3 息つぎの場所を聞く
歌っている人が、どこで息をすっているかを聞きます。小さく息をすう音が聞こえることもあります。息つぎの場所を知ると、自分が歌うときの参考になります。
4 強さと弱さを聞く
だんだん大きくなるところ、急にやわらかくなるところなど、声の強さの変化を聞きます。歌の表情は、この強弱から生まれることが多いです。
5 声の色を聞く
明るい声、くらい声、息が多い声、まっすぐな声など、声の感じがどうかわっているかを聞きます。少しむずかしいので、ほかのところが聞けるようになってからでだいじょうぶです。
6 伴奏を聞く
歌だけでなく、ピアノやギター、ドラムなどの伴奏も聞いてみましょう。伴奏のリズムや和音を感じられると、歌うときに音がとりやすくなります。
耳コピで歌を練習するコツ
耳コピとは、楽譜を見ずに、耳で聞いて歌や曲を覚えることです。歌の練習では、とても役に立つ方法です。
短く区切って聞く
1曲を通して何回も聞くより、1フレーズずつ区切って聞くほうが、細かいところまで覚えやすくなります。
- 1フレーズを聞く
- 声を出さずに、心の中で歌ってみる
- 小さな声で歌ってみる
- もう一度聞いて、ちがうところをたしかめる
この流れを、フレーズごとにくりかえします。
すぐに歌わず、まず聞く
耳コピをするとき、すぐにいっしょに歌いたくなりますが、まずはだまって聞くことが大切です。いっしょに歌っていると、自分の声で元の歌が聞こえにくくなり、ちがうところに気づきにくくなります。
速さをかえて聞く
音楽アプリなどで、再生の速さをおそくできるものもあります。速いところや、ことばが多いところは、おそくして聞くと、聞きとりやすくなります。
むずかしいところは、印をつける
聞いてもよくわからないところは、歌詞に印をつけておきましょう。あとで先生に聞いたり、楽譜でたしかめたりすると、まちがって覚えてしまうのをふせげます。
上手な人の歌をまねして学ぶ方法については、こちらの記事でくわしく書いています。声まね・モノマネで歌は上手くなる?まねして学ぶよさと気をつけたいこと
自分の声を聞く練習
歌っている自分の声は、聞こえにくい
歌っているとき、自分の声は、体の中からもひびいて聞こえます。そのため、外からどう聞こえているかは、自分ではわかりにくいものです。
録音して、元の歌と聞きくらべる
自分の歌を録音して、元の歌と聞きくらべてみましょう。このときも、聞くところをしぼるのがコツです。
- 今日は、ことばの切り方だけをくらべる
- 次は、息つぎの場所だけをくらべる
- その次は、強さと弱さだけをくらべる
一度に全部くらべようとすると、ちがうところが多すぎて、つかれてしまいます。1つずつ、たしかめていきましょう。
片耳で自分の声を聞く
イヤホンで伴奏を聞きながら歌うとき、片方の耳だけにイヤホンをつけると、自分の声も聞きやすくなります。音量を大きくしすぎないことも大切です。イヤホンをつかった練習は、こちらの記事でくわしく書いています。歌の練習でイヤホン・ヘッドホンを使うコツ。音量・片耳・録音との組み合わせ方
毎日できる、耳をそだてるコツ
1日1曲、「ここを聞く」と決めて聞く
通勤や通学、家事のあいだなど、音楽を聞く時間に、1つだけテーマを決めて聞いてみましょう。「今日は息つぎ」「今日は伴奏」など、テーマをかえると、毎日新しい発見があります。
いろいろなジャンルを聞く
ふだん聞かないジャンルの歌を聞くと、声のつかい方やリズムのちがいに気づきやすくなります。合唱、童謡、ポップス、ジャズなど、少しずつ聞く幅を広げてみてください。
生の歌を聞く
発表会や演奏会、合唱の集まりなどで、生の歌を聞くのもおすすめです。録音とはちがう、声のひびきや、息づかいを感じることができます。
聞いたことをことばにする
「この人は、さいごの音をやさしく消していた」など、聞いて気づいたことを、ノートに1行書いておきましょう。ことばにすると、聞く力がよりはっきりしてきます。
聞く練習と歌う練習の組み合わせ方
聞く練習は、歌う練習とセットにすると、より身につきやすくなります。たとえば、こんな順番で練習してみましょう。
- はじめの5分 今日のテーマを決めて、お手本の歌を聞く
- つぎの10分 テーマのところに気をつけて、歌ってみる
- さいごの5分 録音を聞いて、お手本とくらべる
声を出す時間がとれない日は、聞く練習だけでもだいじょうぶです。のどを休めたい日にも、耳の練習ならつづけられます。歌う時間と聞く時間を上手に組み合わせると、のどに負担をかけすぎずに、練習の量をふやすことができます。
お子様と「聞く」練習をするとき
お子様といっしょに練習するときは、あそびのように楽しむのがいちばんです。
- 「音が上がったら手を上げてね」と、体をつかって聞く
- 「いま、どこで息をすったかな」と、クイズにする
- 同じ曲を、ゆっくりと速くで聞きくらべる
できたときは、たくさんほめてあげてください。聞くことが楽しくなると、歌うことも、もっと楽しくなります。
聞くときに気をつけたいこと
- イヤホンやヘッドホンの音量は、大きくしすぎない
- 長い時間、つづけて聞きすぎない
- 耳がつかれたら、静かな時間をつくって休む
耳の聞こえにくさや、耳鳴りなどが気になるときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 歌が上手くなるには、歌うことと同じくらい「聞く」ことが大切
- 1回ごとに、メロディー、リズム、息つぎ、強弱など、聞くところをしぼる
- 耳コピは、短く区切って、まずだまって聞いてから歌う
- 自分の歌は録音して、テーマを1つずつ決めて聞きくらべる
- 毎日1曲、「ここを聞く」と決めて聞くと、耳がそだっていく
- イヤホンの音量に気をつけ、耳を休める時間もつくる
聞く力がそだってくると、先生のお手本からも、たくさんのことを受けとれるようになります。先生にみてもらいながら練習したい方は、近くの教室やオンラインの教室をさがしてみてください。歌の教室さがしまた、聞く練習で気づいたことを生かして歌った歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ