声まね・モノマネで歌は上手くなる?まねして学ぶよさと気をつけたいこと
「好きな歌手の歌い方をまねしていたら、歌が上手くなるのかな」 「声真似ばかりしていると、自分の声がわからなくなりそう」
歌が好きな方なら、一度は好きな歌手の歌い方をまねしたことがあると思います。お子様が、テレビや動画で見た歌を、そっくりにまねして歌っている姿を見ることもありますよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌を学ぶうえで「まねをする」ことは、むかしから大切にされてきた練習のひとつです。でも、やり方によっては、のどにむりをさせてしまうこともあります。
この記事では、「歌はモノマネで上手くなるの?」という疑問について、まねして学ぶよさ、まねするときに見るポイント、気をつけたいこと、そして自分らしい声を見つけていく考え方をまとめます。
歌はモノマネで上手くなる?
「まねる」は「学ぶ」のはじまり
「学ぶ」ということばは、「まねぶ(まねる)」から来ている、という説があります。歌にかぎらず、何かを身につけるとき、まずは上手な人のやり方をまねしてみるのは、とても自然なことです。
歌でも、好きな歌手の歌をよく聞いて、まねして歌ってみると、次のようなことに気づきやすくなります。
- どこで息をすっているか
- ことばを、どんなふうに発音しているか
- どこで声を強く、どこでやさしくしているか
- 音をどのくらいのばしているか
ただ聞いているだけでは気づかないことも、まねしようとすると、耳をすませてよく聞くようになります。この「よく聞く」ことが、歌の上達につながります。
ただし、「声そのもの」をまねるのとはちがう
モノマネで気をつけたいのは、「歌い方をまねる」ことと、「声そのものをまねる」ことは、少しちがうということです。
声は、のどや口の形、体の大きさなど、その人の体からつくられます。人によって体がちがうので、まったく同じ声を出すのは、もともとむずかしいことです。声の音色までそっくりにしようとすると、のどに力が入ったり、むりな出し方をしたりしやすくなります。
歌の練習としては、「声をそっくりにする」ことより、「歌い方の工夫をまねる」ことを中心にするのがおすすめです。
まねして学ぶよさ
1. 耳が育つ
まねして歌うためには、お手本をよく聞かなければなりません。音の高さ、リズム、ことばの区切りなどを、くりかえし聞くことで、音を聞きとる力が少しずつ育っていきます。
2. 表現のはばが広がる
ふだん自分では思いつかない歌い方も、まねしてみると、「こんな歌い方もあるんだ」と気づくことがあります。息をまぜたやわらかい声、ことばをはっきり立てる歌い方、語りかけるような歌い方など、いろいろな表現を知ることができます。
3. 歌うことが楽しくなる
好きな歌手のように歌えた、と感じられると、歌うことがもっと楽しくなります。「楽しい」という気持ちは、練習を続けるための大切な力です。お子様にとっても、好きな歌をまねして歌うことは、歌を好きになるよいきっかけになります。
4. 自分の声とのちがいに気づける
まねしてみると、「ここは同じように歌えるけれど、ここはどうしてもちがう」という部分が見えてきます。そのちがいこそが、自分の声の特ちょうです。まねをとおして、自分の声を知ることにもつながります。
まねするときに見るポイント
声の大きさより「息」と「ことば」を見る
まねするときは、声の大きさや、声のかすれ具合などをまねするより、次のようなところに目をむけてみましょう。
- 息つぎの場所とタイミング
- ことばのはじめの音の出し方
- 音をのばすときの長さと、のばしおわりの処理
- 強弱のつけ方
こうした工夫は、どんな声の人でもまねしやすく、のどにも負担がかかりにくい部分です。
ひとくぎりずつ、まねしてみる
1曲を通してまねするより、短く区切って、少しずつまねするほうが、ちがいに気づきやすくなります。お手本を少し聞いて、とめて、自分で歌ってみる。これをくりかえしてみてください。
録音してくらべる
自分の歌をスマホで録音して、お手本と聞きくらべてみましょう。「思っていたより、ことばがはっきりしていない」「息つぎの場所がちがう」など、歌っているときにはわからなかったことに気づけます。録音した自分の声の聞き方は、こちらの記事でもまとめています。録音した自分の声がへんに聞こえるのはなぜ?自分の声とのつきあい方
いろいろな人の歌をまねしてみる
ひとりの歌手だけをまねしていると、その人のくせまでうつってしまうことがあります。男性・女性、ジャンルのちがう歌手など、いろいろな人の歌い方にふれてみると、かたよりにくくなり、自分に合う歌い方も見つけやすくなります。
気をつけたいこと
のどにむりをさせない
声真似で、いちばん気をつけたいのが、のどへの負担です。
- 自分の声よりずっと低い声や高い声を、むりに出す
- しゃがれた声や、かすれた声をつくって出す
- のどをしめつけて、声の音色をかえようとする
こうした出し方を長く続けると、のどがつかれやすくなります。まねしていて、のどがきゅっとしまる感じや、いがいがする感じがしたら、すぐに休みましょう。のどに力が入る歌い方については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。喉声とは?治し方と、のどに力が入らない歌い方の練習
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
キーは、自分に合う高さにする
好きな歌手の曲を、そのままの高さで歌うと、自分には高すぎたり、低すぎたりすることがあります。カラオケや音源のキーを上げ下げして、らくに歌える高さにしてから、まねしてみましょう。歌い方の工夫は、キーをかえてもまねすることができます。
お子様の場合は、とくにやさしく
お子様は、大人の歌手の声を、そのまままねしようとすることがあります。大人の低い声や、はげしい声をまねすると、まだやわらかいお子様ののどには負担になることがあります。
お子様が楽しそうにまねしているときは、止めなくてもだいじょうぶです。ただ、長い時間続けていたり、声がかれてきたりしたら、「ちょっとお休みしようか」と声をかけてあげてください。お父様・お母様が、少し気にかけてあげるだけで、のどを守ることにつながります。
まねが「目標」にならないようにする
まねは、あくまで上達のための「手段」です。そっくりに歌えることがゴールになってしまうと、自分の声のよさに目がむかなくなってしまいます。まねで学んだことを、自分の声で、自分らしく歌うことにつなげていきましょう。
まねから、自分の声へ
自分の声のよさを見つける
まねを続けていると、「自分の声は、この歌い方のほうが合っている」と感じる場面が出てきます。それは、自分の声のよさに気づきはじめたしるしです。
まねした歌い方を、自分の声で歌いなおす
お手本をまねして歌えるようになったら、次は、同じ曲を「自分の声で、らくに」歌いなおしてみましょう。息つぎの場所や、ことばの立て方など、まねで学んだ工夫はそのまま残します。声の音色は、むりにかえず、自分のいちばん出しやすい声で歌います。
こうすると、まねで身につけた工夫が、少しずつ自分の歌い方になっていきます。録音して、まねしたときの歌と、自分の声で歌いなおした歌を聞きくらべてみるのもおすすめです。どちらが自分に合っているか、聞いてみるとわかることがあります。
歌の先生に聞いてみる
自分の声に合う歌い方がわからないときは、歌の先生に相談してみるのもよい方法です。先生は、いまの声のよさや、むりのない出し方を、いっしょに考えてくれることが多いです。
発表の場で、自分の歌をとどけてみる
まねで学んだことを生かして、自分の声で歌った歌を、だれかに聞いてもらうのもおすすめです。人に聞いてもらうことで、自分では気づかなかった、歌のよさに気づけることもあります。
まとめ
- まねは「学ぶ」のはじまりで、よく聞く力や表現のはばを育てる
- 声そのものより、息つぎ・ことば・強弱など「歌い方の工夫」をまねるのがおすすめ
- 短く区切ってまねし、録音してお手本とくらべると、ちがいに気づきやすい
- むりに低い声や高い声、かすれた声をつくらない。のどがつかれたら休む
- キーは自分に合う高さにかえてから、まねする
- お子様の声真似は、長くなりすぎないよう、お父様・お母様が見守る
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
まねから学んだことを、自分の声でとどけられるようになると、歌はもっと楽しくなります。自分らしい歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ