録音した自分の声がへんに聞こえるのはなぜ?自分の声とのつきあい方
「録音した自分の声を聞いたら、思っていた声とぜんぜんちがった」 「動画にうつった自分の歌声が、なんだかはずかしい」
こんな経験をしたことがある方は、とても多いと思います。じつは、これはあなただけのことではありません。大人でも子どもでも、はじめて録音した自分の声を聞くと、多くの人が「へんな声」と感じるものです。
わたしは、息子といっしょにたくさんの歌のコンクールに出てきました。録音した声とのつきあい方は、歌を続けるうえで、とても大切なことだと感じています。
この記事では、録音した声がへんに聞こえるわけを、できるだけかんたんにお話しします。そのうえで、録音になれるコツや、歌の練習に録音を生かす方法、お子様への声のかけ方もまとめました。
録音した声がちがって聞こえるわけ
ふだん聞いている声は、2つの道から入ってくる
わたしたちが話したり歌ったりするとき、自分の声は、2つの道を通って耳にとどいています。
- 口から出た声が、空気を通って耳に入る道
- 声を出すときのふるえが、頭や顔の中を通って、内側から伝わる道
ふだん自分で聞いている声は、この2つがまざったものです。内側から伝わる音は、ひくい音が少しゆたかに聞こえやすいといわれています。そのため、自分の声は、じっさいより少し深く、落ちついた声に聞こえていることが多いのです。
録音の声は、まわりの人が聞いている声に近い
いっぽう、録音した声は、空気を通った音だけです。内側から伝わる音は入っていません。つまり、録音の声は、まわりの人がふだん聞いているあなたの声に、近いものといえます。
いつも聞いている声とちがうので、「高い」「うすい」「へん」と感じやすいのです。声がわるいわけではありません。聞こえ方の道がちがうだけです。
機械によっても聞こえ方はかわる
スマホやレコーダーのマイク、とる場所、まわりの音などによっても、録音した声の聞こえ方はかわります。せまい部屋とひろい部屋では、ひびき方もちがいます。
1回の録音だけで、「わたしの声はこうなんだ」と決めつけなくてもだいじょうぶです。
「へんな声」と感じるのは、ふつうのこと
なれていない音に、人はとまどう
人は、なれている音を「ふつう」と感じます。何十年も聞いてきた自分の声と、はじめて聞く録音の声がちがえば、とまどうのは自然なことです。
録音をくりかえして聞いていると、少しずつ耳がなれてきます。はじめはいやだった声も、何回か聞くうちに、「これが自分の声なんだな」と受けとめられるようになる方が多いです。
まわりの人は、その声になれている
自分では気になる声でも、家族や友だちにとっては、いつも聞いている声です。録音の声を聞いて「いつもの声だね」と言われることも、よくあります。
自分がいやだと思っている部分を、まわりの人は気にしていないことも多いのです。
録音になれるためのコツ
1. 短い録音からはじめる
いきなり1曲ぜんぶを録音すると、聞くのがつらくなることがあります。はじめは、10秒くらいの短い録音から試してみましょう。
- 自分の名前を言ってみる
- 好きな歌の、1フレーズだけ歌う
- 「あー」と声をのばしてみる
短い録音なら、聞くときの気持ちも、少しらくになります。
2. 何回か聞く
1回聞いただけでは、とまどいが大きいものです。同じ録音を、少し時間をあけて2回、3回と聞いてみてください。だんだん、声そのものより、歌い方に耳がむくようになってきます。
3. いいところから聞く
録音を聞くと、つい、できていないところばかりが気になります。まずは、「この部分はきれいに聞こえた」「ここは気持ちよく歌えている」と、いいところをさがしてみましょう。
4. イヤホンと、スピーカーの両方で聞く
イヤホンで聞くと、細かいところまでよく聞こえます。スピーカーで聞くと、まわりの人が聞いている感じに近くなります。両方で聞いてみると、自分の声の感じがつかみやすくなります。
歌の練習に録音を生かす
歌っているときには気づかないことがわかる
歌っている最中は、自分の声を正しく聞くのはむずかしいものです。録音して聞くと、こんなことに気づきやすくなります。
- 音の高さが、ずれているところ
- ことばが、はっきり聞こえないところ
- 息つぎで、歌がとぎれているところ
- 声が、急に大きくなったり小さくなったりするところ
一度にぜんぶを直そうとしなくてだいじょうぶです。1回の練習で、気になるところを1つだけえらんで、ためしてみましょう。
前の録音と聞きくらべる
録音を日付ごとにのこしておくと、前の自分と聞きくらべることができます。1か月前、3か月前の声と聞きくらべると、少しずつかわっていることに気づけるかもしれません。
上達の記録のつけ方は、こちらの記事でくわしく書いています。歌の上達を記録しよう|録音・録画・練習ノートのつけ方と、成長の見つけ方
動画もつかってみる
声だけでなく、動画で姿勢や口の形も見てみると、新しい発見があります。動画をつかった練習のしかたは、こちらの記事にまとめています。動画をつかった歌の練習のしかた。お子様が楽しくつづけられるコツと注意点
聞きやすい録音をとるためのちょっとした工夫
録音の声が気になる理由のひとつに、とり方の問題があることもあります。少し工夫するだけで、聞きやすい録音になることがあります。
- スマホは、口から少しはなしたところにおく
- エアコンやテレビなど、まわりの音をできるだけ消す
- カーテンやクッションがある部屋でとると、ひびきすぎにくい
- 歌う前に、何回か声を出して、のどをならしておく
- とったあとは、音量を上げすぎずに聞く
口にマイクを近づけすぎると、息の音が大きく入ったり、声がわれたりすることがあります。何回か場所をかえて、いちばん自然に聞こえるところをさがしてみてください。
同じ場所、同じおき方でとるようにすると、前の録音と聞きくらべるときにも、ちがいがわかりやすくなります。
自分の声を好きになるために
「いい声」はひとつではない
歌の世界には、いろいろな声の人がいます。高くすんだ声、ひくくあたたかい声、少しハスキーな声。どれも、その人らしいよさがあります。
録音した自分の声が、思っていた声とちがっても、それがあなたの声のよさかもしれません。
声は、練習でかわっていく
声の高さや声の性質そのものは、生まれもったものもあります。でも、姿勢や息のつかい方、口の開け方などで、ひびき方はかわっていきます。
「この声がいや」と思ったら、「どうしたら、もっと気持ちよく聞こえるかな」と考えてみてください。それが、練習の目標になります。
人と、くらべすぎない
好きな歌手の声と、自分の声をくらべてしまうこともあると思います。でも、歌手の歌は、たくさんの機械や、ていねいな仕上げを通していることも多いです。スマホでとった自分の声とくらべて、がっかりしなくてだいじょうぶです。
お子様が自分の声をいやがったら
お子様も、録音した自分の声を聞いて、「へんな声」「聞きたくない」と言うことがあります。そんなときは、こんなふうに声をかけてみてください。
- 「みんな、録音の声はちがって聞こえるんだよ」
- 「お母さんにはいつもの声に聞こえるよ」
- 「ここ、とてもきれいに歌えていたね」
むりに聞かせなくてもだいじょうぶです。お父様・お母様がいっしょに録音してみて、「お母さんの声もへんに聞こえるね」と笑いあうのも、いいきっかけになります。
動画で応募するコンクールに出るときも、はじめは録音をいやがるお子様は少なくありません。くりかえすうちに、だんだんなれていくことが多いです。
録音を聞いて、のどが気になったら
録音を聞いて、「声がかすれている」「前より出にくい」と感じることもあるかもしれません。少しのかすれなら、声を休めたり、水をのんだりして、ようすを見てください。かすれや痛みが続くときは、むりに歌わず、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
まとめ
- 録音した声がへんに聞こえるのは、多くの人が感じるふつうのこと
- ふだんの声は、空気を通る音と、内側から伝わる音がまざって聞こえている
- 録音の声は、まわりの人が聞いている声に近い
- 短い録音から、くりかえし聞いて、なれていく
- 録音は、歌っているときに気づけないことを知る道具になる
- お子様がいやがったら、むりに聞かせず、いいところを伝える
録音した声になれてくると、自分の歌を「聞いてもらう」ことも、少しずつこわくなくなります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。応募した方には講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけに、よかったらのぞいてみてください。こどもの歌声グランプリ