練習・発声のコツ

声楽のことば(用語)集。ベルカント・レガート・パッサージョなどをやさしく

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「先生に『もっとレガートで』と言われたけれど、どういう意味だろう」 「ベルカントってよく聞くけれど、何のこと?」

声楽を習いはじめると、レッスンや本の中で、はじめて聞くことばがたくさん出てきます。イタリア語から来たことばが多いので、なんとなくむずかしく感じてしまう方も多いと思います。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、声楽の用語の中から、レッスンや楽譜、コンサートでよく出てくることばをえらんで、1語ずつ短く、やさしく説明します。ぜんぶを一度におぼえなくてもだいじょうぶです。わからないことばが出てきたときに、辞書のようにつかってみてください。

歌い方・発声のことば

ベルカント

ベルカントとは、イタリア語で「美しい歌」という意味のことばです。声楽では、なめらかで美しい声と、ゆたかなひびきを大切にする、イタリアの伝統的な歌い方のことを指します。

とくに、18世紀から19世紀前半ごろのイタリアのオペラの歌い方と、むすびつけて語られることが多いです。ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティといった作曲家の作品は、「ベルカント・オペラ」とよばれることがあります。

ベルカントの考え方は、今の声楽の発声の土台にもなっています。声楽の発声のきほんについては、こちらの記事にまとめています。声楽の発声のきほん。はじめての人がおさえたいコツと練習

レガート

レガートとは、音と音を切らずに、なめらかにつないで歌うことです。楽譜では、音符と音符をむすぶ曲線(スラー)で書かれることがあります。

声楽では、とてもよくつかわれることばです。息を流しつづけ、ことばが変わっても声のひびきがとぎれないように歌うことを、「レガートで歌う」と言います。

スタッカート

スタッカートとは、音を短く切って、はずむように歌うことです。楽譜では、音符の上や下に小さな点を書いてあらわします。レガートとは反対の歌い方だと考えるとわかりやすいと思います。

ポルタメント

ポルタメントとは、ある音からつぎの音へうつるとき、そのあいだを声ですべるようにつないで歌うことです。気持ちをこめたいところでつかわれることがありますが、つかいすぎると、だらしなく聞こえることもあるので、先生の指示にしたがってつかいます。

アジリタ

アジリタとは、こまかい音を速く、軽やかに歌う力や、その歌い方のことです。イタリア語で「すばやさ」という意味があります。こまかい音でメロディをかざる歌い方は、「コロラトゥーラ」ともよばれます。

メッサ・ディ・ヴォーチェ

メッサ・ディ・ヴォーチェとは、1つの音をのばしながら、小さな声からだんだん大きくし、またしだいに小さくもどしていく歌い方です。息と声をうまくつかえているかがあらわれるので、むかしから大切な練習とされてきました。

ソット・ヴォーチェ

ソット・ヴォーチェとは、「声をひそめて」という意味のことばで、おさえた、やわらかい声で歌うことです。ささやくように、でもひびきはたもったまま歌います。

体と声のしくみのことば

アッポッジョ

アッポッジョとは、イタリア語で「ささえ」という意味のことばです。声楽では、息を声にかえるときの、体のささえのことを指します。「おなかでささえて」と言われるときの「ささえ」に近い考え方です。

パッサージョ

パッサージョとは、声の出し方がかわりやすい、音の高さの「うつりめ」のことです。イタリア語で「通りみち」「うつりかわり」という意味があります。

低い音から高い音へ歌っていくと、ある高さで、声がひっくり返りそうになったり、出しにくくなったりすることがあります。そのあたりをパッサージョとよび、なめらかに通りぬけることが、声楽の大切な練習の一つになっています。パッサージョの高さは、声種や一人ひとりの声によってちがいます。

声区(せいく)

声区とは、声の出し方によって分けた、声のまとまりのことです。低い音のほうを「胸声」、高い音のほうを「頭声」とよぶことがあります。声区と声区のつなぎ目が、パッサージョにあたります。

胸声と頭声について、くわしくはこちらの記事を読んでみてください。胸声と頭声とは?違いと「声区」の考え方を、やさしく

マスケラ

マスケラとは、イタリア語で「仮面」という意味のことばです。声楽のレッスンでは、顔の前のほう、目や鼻のまわりに声がひびいている感じのことを、「マスケラにひびかせる」と言うことがあります。感じ方をあらわすことばなので、先生によってつかい方が少しちがいます。

ブレス

ブレスとは、歌うときの息つぎのことです。楽譜では、息つぎをする場所に、コンマのような記号が書かれていることがあります。どこでブレスをするかを決めておくと、フレーズを安定して歌いやすくなります。

声の高さ・声種のことば

声種(せいしゅ)

声種とは、声の高さや声の色によって分けた、声の種類のことです。女性はソプラノ、メゾソプラノ、アルト、男性はテノール、バリトン、バスなどに分けられます。

テッシトゥーラ

テッシトゥーラとは、その曲の中で、メロディがいちばん多くつかう音の高さのはんいのことです。いちばん高い音や低い音だけでなく、「どのあたりの高さを長く歌うか」をあらわします。

同じ最高音の曲でも、テッシトゥーラが高い曲は、歌っていてつかれやすいことがあります。曲えらびのときに、先生がよく気にすることばです。

ヴィブラート(ビブラート)

ヴィブラートとは、のばしている音の中で、声が自然に、こまかくゆれることです。声楽では、むりにゆらすのではなく、らくに声が出ているときに自然に生まれるものと考えられることが多いです。

ファルセット

ファルセットとは、男性が、ふだんの声よりも高い音を、軽い裏声で出す声のことを言うことが多いです。歌のジャンルや先生によって、つかい方が少しちがうことばです。

曲や舞台のことば

アリア

アリアとは、オペラなどの中で、登場人物が自分の気持ちをじっくり歌う、まとまった歌のことです。メロディが美しく、歌い手の見せ場になることが多いです。アリアの楽しみ方は、こちらの記事にまとめています。アリアとは?オペラの歌の楽しみ方と、歌ってみたいときのえらび方

レチタティーヴォ

レチタティーヴォとは、オペラなどの中で、話すようなリズムで、お話を先にすすめる部分のことです。アリアが「気持ちを歌う」部分だとすると、レチタティーヴォは「お話をすすめる」部分と考えるとわかりやすいと思います。

カデンツァ

カデンツァとは、曲の終わりちかくなどで、歌い手が技術や表現を見せるために歌う、かざりの多い部分のことです。伴奏が止まって、歌い手がひとりで自由に歌うように聞こえることが多いです。

フェルマータ

フェルマータとは、その音や休みを、ふだんよりも長くのばすという意味の記号です。半円の中に点を書いた形をしています。どのくらいのばすかは、曲や指揮者、先生との話し合いで決めます。

ア・カペラ

ア・カペラとは、楽器の伴奏なしで、声だけで歌うことです。合唱やアンサンブルでよくつかわれることばです。

暗譜(あんぷ)

暗譜とは、楽譜を見ないで歌えるように、曲をおぼえることです。声楽のコンクールや発表会では、暗譜で歌うことが多いです。

ディクション

ディクションとは、歌のことばの発音や、ことばの伝え方のことです。イタリア語、ドイツ語、フランス語など、外国語の歌を歌うときに、とくに大切にされます。

用語をおぼえるときのコツ

  • 一度にぜんぶおぼえようとしない
  • レッスンで聞いたことばを、楽譜のはしにメモしておく
  • 意味がわからないときは、その場で先生に聞いてみる
  • ことばだけでなく、先生のお手本の声といっしょにおぼえる

ことばの意味がわかると、先生のアドバイスが、ぐっと理解しやすくなります。

まとめ

  • ベルカントは「美しい歌」という意味で、イタリアの伝統的な歌い方のこと
  • レガートは、音と音を切らずに、なめらかにつないで歌うこと
  • パッサージョは、声の出し方がかわりやすい音の高さの「うつりめ」のこと
  • アッポッジョは、息を声にかえるときの体の「ささえ」のこと
  • テッシトゥーラは、曲の中でよくつかう音の高さのはんい
  • アリアは気持ちを歌う部分、レチタティーヴォはお話をすすめる部分

声楽のことばは、はじめはむずかしく感じても、レッスンで何度も聞くうちに、しぜんと身についていきます。習ってきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎのレッスンのヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ

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