アリアとは?オペラの歌の楽しみ方と、歌ってみたいときのえらび方
「アリアって、よく聞くけれど、どういう意味なんだろう」 「オペラのアリアを歌ってみたいけれど、初心者でもできるのかな」
声楽を習っていると、「アリア」ということばを耳にすることがよくあります。でも、あらためて「アリアとは何か」と聞かれると、うまく説明できない方も多いかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。コンクールでも、オペラのアリアを歌う方は多く、その場の空気がぱっとかわるような力があると感じます。
この記事では、アリアとは何か、オペラの中でどんな役わりをしているのか、初心者の方がアリアを楽しむコツ、そして、歌ってみたいときの曲のえらび方をまとめました。
アリアとは
オペラの中で、気持ちを歌いあげる歌
アリアとは、オペラの中で、登場人物が自分の気持ちを歌いあげる歌のことです。もとはイタリア語で、「空気」や「歌のふし」といった意味をもつことばです。
オペラは、音楽と歌でお話をすすめていく劇です。その中で、うれしい、かなしい、こいしい、くやしいといった気持ちが高まったとき、登場人物がひとりで、たっぷりと歌うのがアリアです。
レチタティーヴォとのちがい
オペラには、アリアのほかに「レチタティーヴォ」という歌い方があります。
- レチタティーヴォ 話すように歌い、お話をすすめる部分
- アリア お話の流れを少し止めて、気持ちをじっくり歌う部分
たとえるなら、レチタティーヴォは「せりふ」、アリアは「心の声」のようなものです。レチタティーヴォでお話がすすみ、アリアで気持ちが大きく広がる。この組み合わせが、オペラの楽しさのひとつです。
アリアに近いことば
声楽の世界では、アリアに近いことばもいくつかあります。
- アリエッタ 小さなアリア、短めのアリア
- カヴァティーナ 登場人物がはじめて出てきたときに歌う、しずかなアリアをさすことが多い
はじめは、すべておぼえなくてもだいじょうぶです。「オペラの中の、気持ちを歌う歌がアリア」と知っておくだけで、オペラがぐっと身近になります。
初心者がアリアを楽しむコツ
まずは、あらすじを知る
アリアは、お話の中の一場面です。どんなお話の、どんな場面で歌われるのかを知ってから聞くと、歌の気持ちが伝わりやすくなります。
オペラのあらすじは、本やインターネットで、かんたんにしらべられます。長いお話でも、まずはざっくりとした流れがわかればじゅうぶんです。
歌詞の意味を、だいたい知っておく
アリアの多くは、イタリア語やドイツ語など、外国語で歌われます。ことばがわからなくても、音楽だけで心がうごくこともありますが、だいたいの意味を知っておくと、さらに楽しめます。
日本語の訳がついたCDや楽譜、解説の本などを見てみるのもおすすめです。
1曲だけ、くりかえし聞いてみる
オペラは、全部聞くととても長いものが多いです。初心者の方は、まず気になるアリアを1曲えらんで、何度か聞いてみましょう。
- いちばん高くなるところは、どこか
- 声がやさしくなるところ、強くなるところはどこか
- 同じふしが、もう一度出てくるところはあるか
こんなことを気にしながら聞くと、アリアの形が少しずつ見えてきます。
いろいろな歌手の歌をくらべる
同じアリアでも、歌う人によって、ずいぶん印象がかわります。ゆっくり歌う人、明るく歌う人、しっとり歌う人。くらべて聞くと、「わたしはこの歌い方が好き」という発見があって楽しいです。
生の舞台や、映像で見てみる
アリアは、本当はオペラの舞台の中で歌われる歌です。衣装を着た歌い手が、表情や動きといっしょに歌う姿を見ると、音だけで聞くときとはちがう感動があります。
いきなりオペラを最後まで見るのはたいへんなら、アリアを集めたコンサートや、短い映像から見てみるのもよい方法です。声楽のコンサートでは、ピアノの伴奏でアリアを歌うことも多く、歌い手の声を近くで楽しめます。
アリアの形を知ると、もっとおもしろい
むかしのアリアには、「はじめの部分」「ちがう感じの真ん中の部分」「はじめの部分にもどる」という形をもつものがあります。もどってきたところで、歌い手が音を少しかざって歌うこともあり、そこが聞きどころになります。
「さっきと同じふしだけど、少しちがう」と気づけると、アリアを聞く楽しみがひとつふえます。
よく知られているアリアの例
初心者の方にも聞きやすく、声楽を習う人のあいだでもよく知られているアリアを、いくつか紹介します。どれも、むかしから歌いつがれている曲です。
ヘンデルのアリア
ヘンデルは、今から300年ほど前に活やくした作曲家です。
- 「オンブラ・マイ・フ」 オペラ「セルセ」の中のアリア。木かげへの思いを、ゆったりと歌う曲で、とても有名です
- 「私を泣かせてください」 オペラ「リナルド」の中のアリア。かなしみを、しずかに歌いあげる曲です
ヘンデルのアリアは、ゆったりとしたテンポの曲も多く、声楽を学ぶ人がよく練習にとり入れています。
モーツァルトのアリア
モーツァルトのオペラにも、たくさんの有名なアリアがあります。
- 「恋とはどんなものかしら」 オペラ「フィガロの結婚」の中のアリア。恋をしはじめた少年の、どきどきする気持ちを歌う曲です
- 「自分で自分がわからない」 同じく「フィガロの結婚」の中のアリア。気持ちがおさえられない様子を、はやいテンポで歌います
- 「夜の女王のアリア」 オペラ「魔笛」の中のアリア。とても高い音が出てくることで知られています
モーツァルトのアリアは、明るく、登場人物の気持ちがいきいきと伝わってくるのが魅力です。
プッチーニのアリア
- 「私のお父さん」 オペラ「ジャンニ・スキッキ」の中のアリア。むすめがお父さんにお願いをする、やさしいふしの曲です
ここで紹介したのは、ほんの一部です。気になる曲があれば、まずは聞いてみてください。
アリアを歌ってみたいときのえらび方
いきなりむずかしい曲をえらばない
アリアの中には、とても高い音や、はやく細かい動きが出てくる曲もあります。先ほどの「夜の女王のアリア」のように、長い年月練習してきた人でもむずかしい曲もあります。
はじめてアリアを歌うときは、むりなく歌える高さで、テンポがゆったりした曲からえらぶのがおすすめです。
自分の声の種類に合った曲をえらぶ
アリアは、オペラの役ごとに、ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンなど、歌う声の種類が決まっていることが多いです。自分の声に合った役のアリアをえらぶと、むりなく歌いやすくなります。
先にイタリア語の歌になれておく
声楽を習いはじめたばかりの方は、アリアの前に、イタリア語の短い歌曲で練習することも多いです。イタリア語の発音になれておくと、アリアにも入りやすくなります。
イタリア語の発音については、こちらの記事でくわしく書いています。イタリア歌曲の発音のきほん。声楽をならう子ども・大人のために
お子様がアリアを歌うとき
お子様がアリアを歌ってみたいときも、まずは声に合った、むりのない曲をえらぶことが大切です。大人の役の、とても高い音や低い音が続く曲は、小さなのどには負担になることがあります。
お子様の声楽の曲えらびについては、こちらの記事も参考にしてください。子どもの声楽で歌われることが多い曲のジャンル。日本歌曲・イタリア歌曲・童謡のちがいと、えらび方
先生と相談して決める
どのアリアを歌うかは、声楽の先生と相談して決めるのがいちばん安心です。今の声に合っているか、どのくらいの時間で歌えるようになりそうかを、いっしょに考えてもらえます。
のどに負担をかけない
アリアは、気持ちが高まる歌なので、つい力が入りがちです。練習のときは、毎回全力で歌わず、小さめの声でふしをたしかめる日をつくるのもよい方法です。痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- アリアとは、オペラの中で、登場人物が気持ちを歌いあげる歌のこと
- 話すように歌うレチタティーヴォでお話がすすみ、アリアで気持ちが広がる
- 初心者は、あらすじと歌詞のだいたいの意味を知ってから、1曲をくりかえし聞くと楽しみやすい
- ヘンデルやモーツァルトなどの、むかしから歌いつがれているアリアから聞いてみる
- 歌ってみたいときは、むりなく歌える高さで、ゆったりした曲から。声の種類も合わせる
- 曲えらびは先生と相談し、のどに負担をかけない練習をする
アリアは、聞くだけでも、歌うだけでも、オペラの世界を身近に感じさせてくれる歌です。練習してきたアリアを、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ