合唱の音取りのやり方。自分のパートを早くおぼえる練習のコツ
「合唱の楽譜をもらったけれど、自分のパートの音がなかなかおぼえられない」 「練習で歌いはじめると、となりのパートの音につられてしまう」
合唱をはじめると、多くの方がこんななやみにぶつかります。合唱では、メロディーではないパートを歌うことも多いので、ひとりで音をおぼえるのはむずかしく感じますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。そのなかで、歌は「しっかり音が入っているかどうか」で、本番の安心感が大きくかわるものだと感じています。
この記事では、合唱の音取りのやり方にしぼってお話しします。音取りとは、自分のパートの音の高さやリズムをおぼえて、正しく歌えるようにする練習のことです。音取り練習の前の準備から、段階ごとのすすめ方、つまずきやすいところの練習まで、順番にまとめました。
合唱の音取りとは?はじめに知っておきたいこと
音取りは「自分のパートの地図」をつくる練習
合唱では、ソプラノ、アルト、テノール、バスなど、いくつかのパートに分かれて歌います。それぞれのパートには、ちがう音の流れがあります。
音取りは、その中から自分のパートの流れだけをとり出して、頭と体におぼえさせる練習です。地図を見ないで道を歩けるようになるのと、少しにています。はじめは楽譜や音源をたよりに、少しずつ「見なくても歌える」ところをふやしていきます。
パートのちがいや、自分に合うパートの見つけ方は、こちらの記事にまとめています。合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
音取りは早く終わらせるほど、全体練習が楽しくなる
みんなで合わせる練習のときに、まだ自分の音があやふやだと、どうしても不安になります。声も小さくなりがちです。
反対に、音取りがすんでいると、まわりの声を聞く余裕が生まれます。「ハモってる」と感じられるのは、自分の音が入っているからこそです。合唱の楽しさを味わうためにも、音取りはとても大切な練習です。
音取り練習の前に用意しておきたいこと
楽譜に自分のパートの印をつける
合唱の楽譜は、いくつものパートが上下にならんで書かれていることが多いです。歌いはじめる前に、自分のパートの段に、えんぴつで線や印をつけておきましょう。
- 自分のパートの段の左はしに、印をつける
- ページがかわるところに、矢印を書いておく
- くりかえしの記号や、とぶところに、まるをつける
これだけで、歌いながら「いまどこ?」とまよう時間がぐっとへります。楽譜への書きこみ方は、こちらの記事も参考にしてみてください。楽譜への書きこみ方。息つぎ・強弱・先生のアドバイスのメモ
音源や鍵盤を用意する
音取りには、正しい音を聞ける道具があると安心です。
- 指導者やパートリーダーが用意してくれたパート別の音源
- ピアノやキーボードなどの鍵盤
- 練習中に録音した、指導者の歌やピアノの音
どれをつかうかは、団や先生の方針によってちがいます。配られた音源があるときは、まずはそれをつかうのがいちばんです。
練習する場所と時間を決める
音取りは、少しずつ毎日続けると身につきやすい練習です。長い時間でなくてもよいので、「夜ごはんのあとに10分」など、決まった時間をつくっておくと続けやすくなります。大きな声を出しにくい場所では、小さめの声やハミングでもじゅうぶん練習できます。
合唱の音取りのやり方。4つの段階に分けてすすめる
音取りは、いきなり歌詞で歌おうとすると、むずかしく感じます。リズム、音の高さ、歌詞と、分けて練習するのがコツです。
段階1 まずは全体を聞いて、曲の形をつかむ
はじめに、曲全体を何回か聞いてみましょう。全パートが入った音源があれば、それを聞きます。
- どこが静かで、どこがもり上がるのか
- 自分のパートが目立つところはどこか
- ほかのパートと同じ動きをするところはあるか
楽譜を目で追いながら聞くと、「この形の音のならびは、こんなふうに聞こえるんだ」と、少しずつわかってきます。
段階2 リズムだけを、ことばでたたく
つぎに、音の高さは気にせず、リズムだけを練習します。歌詞をリズムに合わせて読んだり、「タン、タン、タタ」と口でとなえたりします。
手をたたきながらやると、のばす音や休みの長さに気づきやすくなります。リズムがあやふやなまま音を乗せると、あとで直すのに時間がかかります。ここを先にかためておくと、そのあとがぐっと楽になります。
段階3 音の高さを「ら」などで歌う
リズムが入ったら、音の高さをおぼえます。歌詞ではなく、「ら」や「る」など、歌いやすい1つの音で歌うのがおすすめです。ドレミの音の名前で歌える方は、それもよい練習になります。
ドレミで歌う練習については、こちらの記事にまとめています。ドレミで歌う練習。ソルフェージュとは?子どもにも大人にもやさしく
このとき、曲のはじめから終わりまでを一気に歌おうとしないことが大切です。
- 2小節から4小節くらいの短い区切りで練習する
- 音源を聞いて、まねして歌う
- 音源を止めて、自分だけで歌ってみる
- もう一度音源を流して、合っているかたしかめる
この「聞く、歌う、たしかめる」をくりかえすと、音が少しずつ体に入っていきます。
段階4 歌詞をつけて歌う
音の高さとリズムが歌えるようになったら、歌詞をつけます。ことばがつくと、急に音がずれることがあります。そのときは、もう一度「ら」にもどって、音をたしかめてから歌詞にもどりましょう。
歌詞をつけたら、区切りを少しずつ長くして、さいごに曲全体を通して歌います。
音取りがむずかしいところの練習のしかた
音がとぶところ
となりの音から大きくはなれた音にとぶところは、音がずれやすい場所です。とぶ前の音と、とんだあとの音の2つだけを、何回かくりかえして歌ってみましょう。2つの音のはなれ方を体でおぼえると、歌の中でも出しやすくなります。
半音で動くところ
少しだけ音が上がったり下がったりするところも、まちがえやすい場所です。鍵盤で1音ずつたしかめながら、ゆっくり歌います。楽譜に「上がる」「下がる」と矢印を書いておくのもよい方法です。
ほかのパートにつられるところ
合唱でいちばん多いなやみが、「となりのパートにつられる」ことです。とくに、メロディーではないパートを歌う方は、つられやすいものです。
- まずは自分のパートだけの音源で、しっかり歌えるようにする
- つぎに、ほかのパートの音源を小さめに流して、いっしょに歌う
- なれてきたら、ほかのパートの音を少しずつ大きくする
いきなり全部のパートと合わせるのではなく、少しずつ「まわりの音がある中で歌う」練習をしていくと、つられにくくなります。
はじめの音がとれないところ
休みのあとに歌いはじめるところは、音がとりにくい場所です。そのすぐ前に、ほかのパートやピアノがどんな音を出しているかを聞いておくと、手がかりになります。「ピアノのこの音と同じ高さから入る」など、楽譜にメモしておくと安心です。
音取りを早く身につけるための工夫
自分の歌を録音してたしかめる
自分では合っているつもりでも、録音して聞いてみると、ずれていることに気づくことがあります。スマホで短く録音して、音源とくらべてみましょう。ずれていたところに印をつけて、つぎの練習で重点的にくりかえします。
毎日少しずつ、くりかえす
音取りは、1日に長い時間練習するより、短い時間でも毎日続けるほうが身につきやすいといわれています。「きのう練習したところを1回歌ってから、新しいところに進む」と決めておくと、おぼえたことをわすれにくくなります。
声を出せない時間は、聞くだけでもいい
通勤や家事の時間など、声を出せないときは、音源を聞くだけでも練習になります。頭の中で自分のパートを追いかけるように聞くと、音の流れがなじんでいきます。
のどをつかれさせない
音取りは、同じところを何回もくりかえすので、のどがつかれやすい練習です。小さめの声で歌う、こまめに水をのむ、休けいをはさむなど、のどをいたわりながらすすめましょう。痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様の音取りをおうちで見守るとき
学校や合唱団で、お子様が合唱の練習をしていることもあると思います。おうちでできることは、むずかしいことではありません。
- 配られた音源を、いっしょに聞く時間をつくる
- 「どこがむずかしい?」と聞いて、そこだけをいっしょに練習する
- お父様・お母様が、ほかのパートを口ずさんであげる
- 歌えたところを見つけて、ことばにしてほめる
まちがいを何回も指摘すると、お子様は歌うのがいやになってしまうことがあります。「きのうより、ここが歌えるようになったね」と、できたところに目をむけてあげてください。
まとめ
- 合唱の音取りは、自分のパートの音の高さとリズムをおぼえる練習
- 楽譜に印をつけ、音源や鍵盤を用意してからはじめる
- 全体を聞く、リズム、音の高さ、歌詞の4つの段階に分けて練習する
- 短い区切りで「聞く、歌う、たしかめる」をくりかえす
- ほかのパートにつられるときは、少しずつまわりの音を入れて練習する
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
音取りがしっかりできると、合唱の練習がもっと楽しくなります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ