楽譜への書きこみ方。息つぎ・強弱・先生のアドバイスのメモ
「先生に言われたことを、次の練習ではわすれてしまう」 「楽譜にいろいろ書いたら、ごちゃごちゃして見にくくなった」
歌のレッスンを受けていると、先生からたくさんのアドバイスをもらいます。その場では「なるほど」と思っても、家に帰って練習するころには、何を言われたのか、思い出せないこともありますよね。
そんなときに役立つのが、楽譜への書きこみです。楽譜に書いておけば、歌いながら、すぐに思い出すことができます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。楽譜は、ただ音を読むためのものではなく、先生と自分の練習をつなぐ、大切なノートにもなります。
この記事では、歌の楽譜に、どんなことを、どのように書きこめばよいのかをまとめました。お子様の楽譜を見ているお父様・お母様にも、自分で歌を習っている大人の方にも、役立ててもらえたらうれしいです。
楽譜に書きこむと、何がいいの?
練習で、まよわなくなる
「どこで息をすうのか」「どこを強く歌うのか」が楽譜に書いてあると、練習のたびにまよわずにすみます。毎回同じように歌えるので、少しずつ歌が安定していきます。
先生のアドバイスを、わすれにくい
レッスンで言われたことを、その場で楽譜に書いておくと、家での練習でもすぐに思い出せます。次のレッスンで、「この前言われたところ、できるようになったかな」と、たしかめることもできます。
自分の成長が見える
書きこみがふえていくと、「こんなにたくさん練習してきたんだ」と、目で見てわかります。少し前の書きこみを見返すと、できるようになったことにも気づきやすくなります。
楽譜の読み方そのものについては、こちらの記事にくわしくまとめています。楽譜が読めなくても歌える?楽譜のよみ方のはじめの一歩
書きこむ前の準備
楽譜はコピーをつかう
もとの楽譜には書きこまず、コピーをとって、そこに書きこむのがおすすめです。書きこみが多くなりすぎたときに、新しいコピーに書き直すこともできます。
コピーをとるときは、少し大きめにすると、書きこむすきまができて、見やすくなります。
えんぴつで書く
書きこみは、えんぴつで書くのが基本です。練習をすすめるうちに、息つぎの場所や歌い方がかわることもあるので、消して書き直せるほうが便利です。
- やわらかめのえんぴつ(Bや2Bなど)
- 消しゴム
- 必要なら、色えんぴつ
ボールペンやマーカーは、消せないので、大事なところだけにしておくとよいでしょう。
息つぎの書きこみ方
息をすう場所に、しるしをつける
歌で、いちばんよく書きこむのが、息つぎの場所です。息をすうところに、小さなしるしをつけておきましょう。
- 「V」の形のしるし
- 「,」(カンマ)のしるし
- 小さな「ブレス」の文字
どのしるしをつかうかは、先生に合わせるとよいです。教室によって、よくつかうしるしがちがうこともあります。
息をすわない場所も書いておく
「ここは息をすわずに、つなげて歌う」というところには、音符と音符を、ゆるい線でつないでおくとわかりやすくなります。ことばのとちゅうで息をすってしまうくせがある場合は、とくに役立ちます。
大きくすうか、少しすうか
長いフレーズの前では大きく、短い間では少しだけ、というように、息のすい方がちがうこともあります。そんなときは、しるしの大きさをかえたり、「大」「小」と書きそえたりしておきましょう。
強弱やテンポの書きこみ方
もとの記号に、色をつける
楽譜には、もともと「p(ピアノ)」「f(フォルテ)」などの、強弱の記号が書かれています。見落としやすい記号には、丸でかこんだり、色をつけたりしておくと、歌うときに目に入りやすくなります。
ことばでメモする
記号だけでは、どう歌えばいいのかわかりにくいこともあります。そんなときは、ことばでメモしておきましょう。
- 「やさしく」
- 「だんだん大きく」
- 「ここから明るく」
- 「少しゆっくり」
短いことばで書くのがコツです。長い文章を書くと、歌いながら読むことができません。
テンポがかわるところ
曲のとちゅうでテンポがゆっくりになったり、もとにもどったりするところは、まちがえやすいところです。「ゆっくり」「もとの速さ」などと書いて、矢印でかわる場所を示しておくと、わかりやすくなります。
先生のアドバイスのメモのしかた
その場で、短く書く
レッスン中は、先生の話を聞きながら書くので、長いメモはなかなか書けません。言われたことは、そのばで、短いことばにして書きこみましょう。
- 「口を大きく」
- 「あごの力をぬく」
- 「ここは前へ」
- 「音を下げない」
書く場所は、言われたところのすぐ上
アドバイスは、言われたところの音符のすぐ上か下に書くと、どこのことだったのかがすぐわかります。楽譜のはしにまとめて書くと、あとで見たときに、どこのことか、わからなくなりがちです。
日にちを書いておく
アドバイスの横に、小さく日にちを書いておくのもおすすめです。いつ言われたことなのかがわかると、次のレッスンの前に、ふりかえりやすくなります。
書ききれないことは、ノートに
楽譜に書ききれない長いアドバイスや、体のつかい方の説明などは、別のノートにまとめておくとよいでしょう。楽譜には「ノート参照」と書いておけば、つながりがわかります。
コンクールの講評でもらったアドバイスも、楽譜やノートにうつしておくと、次の練習に生かしやすくなります。講評の生かし方は、こちらの記事も参考にしてみてください。コンクールの講評の読み方と、つぎの練習への生かし方。お父様・お母様ができること
見やすい楽譜にするための工夫
色を、決めてつかう
色えんぴつをつかう場合は、色の意味を決めておくと、ひと目でわかりやすくなります。
- 赤:息つぎ
- 青:強弱
- 緑:先生のアドバイス
色は、3色くらいまでにしておくと、ごちゃごちゃしにくくなります。
書きこみすぎない
あれもこれもと書いていくと、楽譜が書きこみでいっぱいになり、かえって見にくくなります。できるようになったことは、消していくのも、ひとつの方法です。
いま、とくに気をつけたいことだけをのこしておくと、歌いながらでも、大切なことが目に入りやすくなります。
書き直しのタイミング
書きこみがふえて見にくくなったら、新しいコピーに、大切なものだけを書きうつしましょう。書きうつしながら、「これはもうできるようになった」「これはまだ気をつけたい」と整理することが、そのまま、よいふりかえりになります。
お子様の楽譜の工夫
絵やマークをつかう
小さなお子様は、文字よりも、絵やマークのほうがわかりやすいことがあります。
- 息つぎのところに、小さな風のマーク
- やさしく歌うところに、ハートのマーク
- 元気に歌うところに、太陽のマーク
お子様といっしょに、マークを決めてみるのも楽しいと思います。
自分で書く練習も
小学生くらいになったら、先生に言われたことを、少しずつ自分で書いてみるようにすすめてみましょう。はじめは、お父様・お母様がとなりで手伝ってあげてもかまいません。自分で書いたことは、おぼえやすくなります。
ふりがなを書く
むずかしい漢字や、なれないことばがある歌詞には、ふりがなを書いておきましょう。外国語の歌の場合は、読み方をカタカナで書きそえておくのも、はじめのうちは役立ちます。
書きこみをいかす練習のしかた
- 練習の前に、楽譜の書きこみを、ざっと見返す
- 1回歌うたびに、1つの書きこみに集中してみる
- できたところには、小さな丸をつける
- レッスンの前日に、書きこみを読んで、気をつけたいことを思い出す
書きこみは、書いておしまいではなく、見返してこそ役に立ちます。練習のはじめに、ほんの1分でも見る時間をつくってみてください。
まとめ
- 楽譜に書きこむと、練習でまよわず、アドバイスもわすれにくくなる
- 書きこみは、コピーした楽譜に、えんぴつで書くのが基本
- 息つぎのしるしは、先生に合わせて。息をすわない場所も書いておく
- 強弱やテンポは、記号に色をつけたり、短いことばでメモしたりする
- 先生のアドバイスは、言われたところのすぐそばに、日にちといっしょに
- 色は3色くらいまで。書きこみすぎたら、新しいコピーに整理する
- お子様には、絵やマークをつかうとわかりやすい
楽譜への書きこみは、毎日の練習をささえる、自分だけの地図のようなものです。書きこみをいかして練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、もらったアドバイスを、また楽譜に書きこんで、次の練習に生かすこともできます。こどもの歌声グランプリ