楽譜が読めなくても歌える?楽譜のよみ方のはじめの一歩
「楽譜が読めないけれど、歌を習ってもだいじょうぶかな」 「教室で楽譜をわたされたけれど、何が書いてあるのか、わからない」
歌を習いたいと思ったとき、こんな不安をもつ方は少なくありません。お子様の習い事として歌をえらぶときにも、「うちの子、まだ楽譜が読めないけれど」と心配するお父様・お母様は多いと思います。
先にお伝えすると、楽譜が読めなくても、歌は歌えます。耳で聞いておぼえて、上手に歌っている人はたくさんいます。
ただ、楽譜が少しだけ読めるようになると、練習がぐっとらくになることも多いです。わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。そのなかで、楽譜を見ながら練習できると、先生の話もわかりやすくなり、ひとりでの練習もすすめやすいと感じてきました。
この記事では、歌う人のための「楽譜のよみ方のはじめの一歩」をまとめました。ぜんぶを一度におぼえる必要はありません。できるところから、少しずつ見ていきましょう。
楽譜が読めなくても歌える?
耳でおぼえて歌うのも、りっぱな方法
小さなお子様は、楽譜ではなく、聞いた歌をまねして歌っています。大人の方でも、カラオケなどで、楽譜を見ずに歌っている方がほとんどです。
耳でおぼえて歌うことは、まちがいではありません。むしろ、よく聞いて歌うことは、歌の上達にとってとても大切です。
少し読めると、こんなよいことがある
それでも、楽譜が少し読めると、次のようなよいことがあります。
- メロディの上がり下がりが、目で見てわかる
- 音をのばす長さや、休むところがはっきりする
- 先生に「ここの小節」と言われたとき、すぐにわかる
- 新しい曲を、自分でおぼえやすくなる
- 強く歌うところ、やさしく歌うところがわかる
楽譜は、作曲した人からの「こう歌ってほしい」というお手紙のようなものです。少しずつ読めるようになると、歌の楽しみ方もひろがります。
まずは楽譜のしくみを知ろう
五線(ごせん)
楽譜には、横に5本の線が引かれています。これを五線といいます。音符がこの線の上のほうにあれば高い音、下のほうにあれば低い音です。
まずは、「上にいくほど高い、下にいくほど低い」とおぼえるだけでも、じゅうぶんな一歩です。
ト音記号(トおんきごう)
五線のいちばん左に、くるりとまいたような形の記号が書かれていることが多いです。これがト音記号です。歌の楽譜では、ほとんどの場合、このト音記号が書かれています。
ト音記号がある楽譜では、下から2本目の線のところが「ソ」の音になる、というきまりがあります。ここから、ほかの音を数えていくことができます。
小節(しょうせつ)と小節線
五線の上には、たての線が、ところどころに引かれています。これを小節線といい、たての線と線のあいだのひとまとまりを、小節といいます。
教室では、「3小節目から歌ってみましょう」のように、小節で場所を伝えることが多いです。小節を数えられるようになると、レッスンがぐっとわかりやすくなります。
音の高さのよみ方
ドレミの場所をおぼえる
ト音記号の楽譜で、よく出てくる「ド」は、五線の下に、短い線(加線)を1本引いたところにある音です。そこから、線と線のあいだ、線の上、と1つずつ上がるごとに、「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」とかわっていきます。
- 五線の下の短い線の上 ド
- 五線のいちばん下の線の下 レ
- いちばん下の線の上 ミ
- 下から1本目と2本目のあいだ ファ
- 下から2本目の線の上 ソ
はじめから、ぜんぶの場所をおぼえなくてだいじょうぶです。「ド」と「ソ」の場所だけでもわかれば、そこから数えて、ほかの音を見つけることができます。
上がり下がりを、目でなぞる
音の名前がすぐにわからなくても、音符が上がっているか下がっているかを見るだけでも、歌の役に立ちます。
- 音符が右上に上がっていく 声も高くなっていく
- 音符が右下に下がっていく 声も低くなっていく
- 同じ高さにならんでいる 同じ音をくりかえす
聞いた歌と楽譜を見くらべながら、音符を指でなぞってみると、楽譜と音のつながりが感じられるようになります。
シャープとフラット
音符の左に「♯(シャープ)」がついていたら、その音を少し高く、「♭(フラット)」がついていたら、少し低く歌います。はじめのうちは、「何か記号がついているな」と気づくだけでもかまいません。わからないときは、先生に聞いてみてください。
音の長さと、休みのよみ方
音符の形で長さがかわる
音符には、いろいろな形があります。形によって、音をのばす長さがちがいます。
- 四分音符(黒くぬったたまに、ぼうがついたもの) 1拍
- 二分音符(白いたまに、ぼうがついたもの) 2拍
- 全音符(白いたまだけのもの) 4拍
- 八分音符(四分音符に、旗がついたもの) 半分の拍
「拍」は、歌のリズムをきざむ、ひとつ分の長さのことです。手をたたきながら「1、2、3、4」と数えると、わかりやすくなります。
休符は「休むところ」
楽譜には、音符のほかに、「休符」という記号もあります。休符があるところでは、声を出さずに休みます。
休むところは、息つぎをするチャンスにもなります。楽譜で休符の場所がわかると、「どこで息をすえばいいか」も考えやすくなります。
拍子記号
楽譜のはじめのほうに、「4/4」や「3/4」のような数字が書かれていることがあります。これは拍子記号です。
- 4/4 1小節に、四分音符が4つ分入る
- 3/4 1小節に、四分音符が3つ分入る
3/4は、「1、2、3」と数えるワルツのようなリズムです。リズムのとり方になやんでいるときは、こちらの記事もあわせて読んでみてください。リズム感をよくする歌の練習。子どもも大人もできる手拍子・メトロノーム練習
歌の楽譜でよく見る記号
楽譜には、歌い方を教えてくれる記号もあります。よく見るものを、いくつか紹介します。
- p(ピアノ) やさしく、小さめに
- f(フォルテ) 強く、大きめに
- mp・mf 少しやさしく、少し強く
- だんだん開いていく記号(クレッシェンド) だんだん大きく
- だんだんとじていく記号(デクレッシェンド) だんだん小さく
- フェルマータ(音符の上の半円に点) ほどよくのばす
こうした記号の意味がわかると、歌に強弱がつき、気持ちもこめやすくなります。気持ちのこめ方については、こちらの記事でもお話ししています。歌に気持ちをこめるには?歌詞の読みこみ方と、表情・声の色のつけ方
楽譜になれるための練習
聞きながら、楽譜を目で追う
まずは、知っている歌の楽譜を用意して、音源を聞きながら、音符を目で追ってみましょう。歌わなくても、目で追うだけでよい練習になります。
歌詞と音符を、指でなぞりながら歌う
次に、楽譜の歌詞と音符を指でなぞりながら、ゆっくり歌ってみます。「いま、ここを歌っている」とわかると、楽譜と歌がだんだんつながっていきます。
ドレミで歌ってみる
なれてきたら、歌詞のかわりに「ド・レ・ミ」で歌ってみるのもおすすめです。はじめは、短いフレーズだけでかまいません。
自分で書きこみをする
楽譜には、自分で書きこみをしてもかまいません。
- 息つぎをするところに「V」のしるし
- 先生に言われたことを、小さくメモ
- 音がとりにくいところに、音の名前を書く
自分だけの楽譜にしていくと、練習がしやすくなります。教室の楽譜を借りている場合は、書きこんでよいか、先に先生に聞いておきましょう。
お子様と楽譜
小さなお子様は、まだ楽譜を読むのがむずかしいことが多いです。はじめは、楽譜を「絵」のように見て楽しむくらいでじゅうぶんです。
- 音符の形を、「たまご」「はた」など、身近なものにたとえる
- 音符が上がったら手を上に、下がったら手を下にする
- 手をたたいて、音の長さを感じる
楽譜をいやがるときは、むりにすすめず、歌うことの楽しさを大切にしてください。お子様の様子に合わせて、少しずつふれていけばだいじょうぶです。
大人の方と楽譜
大人の方は、「学生のころに習ったけれど、わすれてしまった」という方も多いと思います。でも、一度ふれたことがあると、思い出すのは意外と早いものです。
ひとりで楽譜を読むのがむずかしいときは、教室で習うのも一つの方法です。先生といっしょに楽譜を見ながら歌うと、わからないところをすぐに聞けて、安心してすすめられます。近くの教室やオンラインのレッスンは、こちらからさがせます。歌の教室さがし
まとめ
- 楽譜が読めなくても、歌は歌える。耳でおぼえるのもりっぱな方法
- 少し読めると、練習がらくになり、先生の話もわかりやすくなる
- まずは五線、ト音記号、小節のしくみを知る
- 音の高さは「上が高い、下が低い」と、「ド」「ソ」の場所から
- 音符の形で長さがかわり、休符は休むところ、息つぎのチャンス
- 強弱の記号がわかると、歌に気持ちをこめやすい
- お子様には、絵やあそびのように楽譜にふれさせる
楽譜は、ゆっくり少しずつ読めるようになれば、それでじゅうぶんです。楽譜を見ながら練習した歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、練習をつづける楽しみの一つになると思います。こどもの歌声グランプリ