合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
「合唱をはじめたいけれど、ソプラノとアルトのちがいがよくわからない」 「自分はどのパートに入ればいいのかな」
合唱に興味をもったとき、さいしょにまようのが「パート」のことだと思います。学校の合唱で、なんとなくわけられた記憶はあっても、それぞれのパートがどんな役わりなのか、くわしく知る機会は少ないかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。ひとりで歌うソロとはちがい、合唱はいくつもの声がかさなって、ひとつの音楽になります。そのしくみを知ると、合唱を聞くのも、歌うのも、もっと楽しくなります。
この記事では、合唱のパートのちがいと、それぞれの役わり、自分に合うパートの見つけ方をまとめます。お子様の合唱にも、大人の方の合唱にもつかえる内容です。
合唱の「パート」ってなに?
声の高さでグループにわける
合唱では、声の高さによって、歌う人をいくつかのグループにわけます。このグループのことを「パート」といいます。
パートごとに、ちがうメロディーを歌い、それがかさなることで、ゆたかなひびきが生まれます。ひとりでは出せない、合唱ならではの音のあつみです。
合唱の形によって、パートの数がちがう
合唱には、いくつかの形があります。
- 混声合唱:女声と男声がいっしょに歌う
- 女声合唱:女性だけで歌う
- 男声合唱:男性だけで歌う
- 児童合唱:子どもたちで歌う
形によって、パートの数や名前がかわります。もっともよく知られているのが、混声合唱の4つのパート、ソプラノ、アルト、テノール、バスです。
4つのパートのちがい
ソプラノ いちばん高い女声
ソプラノは、女声の中でいちばん高い声のパートです。多くの曲で、主なメロディーを歌うことが多く、合唱の「顔」のような役わりです。
- 高く、明るい声がひびく
- メロディーを歌うことが多い
- 曲の印象を大きく左右する
高い音が多いので、むりに声をはり上げず、やわらかくひびかせることが大切です。
アルト 低めの女声
アルトは、女声の中で低めの声のパートです。ソプラノの下で、ハーモニー(音のかさなり)をささえる役わりをします。
- 落ちついた、あたたかい声
- メロディーのすぐ下で、ハモることが多い
- 合唱のひびきに、深みをくわえる
メロディーではないところを歌うことが多いので、はじめは「むずかしい」と感じる方もいます。でも、アルトがしっかりしていると、合唱全体のひびきがぐっとゆたかになります。
テノール 高めの男声
テノールは、男声の中で高めの声のパートです。男声の明るさや、のびやかさを受けもちます。
- 男声の中で、明るくはなやかな声
- ときには、メロディーを歌うこともある
- 女声と男声をつなぐ役わりもある
高めの音を楽に出せる男性に向いています。
バス いちばん低い男声
バスは、合唱の中でいちばん低い声のパートです。家でいえば土台、木でいえば根っこのように、合唱全体をささえます。
- 深く、どっしりとした声
- 和音のいちばん下の音を受けもつ
- バスが安定すると、合唱全体が安定する
目立つことは少ないかもしれませんが、なくてはならない大切なパートです。
そのほかのパート
メゾソプラノとバリトン
曲や合唱団によっては、4つより細かくわけることもあります。
- メゾソプラノ:ソプラノとアルトのあいだくらいの女声
- バリトン:テノールとバスのあいだくらいの男声
女声合唱では「ソプラノ・メゾソプラノ・アルト」の3つ、男声合唱では「テノール・バリトン・バス」のようにわけることがあります。
同じパートを、さらに2つにわける
「ソプラノ1」「ソプラノ2」のように、同じパートをさらに高い組と低い組にわけることもあります。曲によってわけ方がかわるので、楽譜を見るとわかります。
子どもの合唱のパート
声がわり前は、男の子も女の子も同じ高さ
声がわり前のお子様は、男の子も女の子も、だいたい同じくらいの高さの声です。そのため、児童合唱では、男女に関係なくパートをわけることが多いです。
パートの名前は、合唱団や学校によってちがう
子どもの合唱では、「ソプラノ・アルト」とよぶこともあれば、「高音・中音・低音」や「上のパート・下のパート」とよぶこともあります。2つか3つのパートにわけることが多いです。
小さなお子様の場合は、まずはみんなで同じメロディーを歌い、なれてきたら2つのパートにわかれる、という順番が一般的です。子どもの合唱については、こちらの記事にもまとめています。子どもの合唱団・合唱コンクールのこと。合唱で身につく力と、はじめ方
声がわりのころは、むりをしない
成長とともに、声がわりがはじまると、出しやすい高さがかわってきます。このころは、出しにくい高さをむりに歌わず、先生と相談しながらパートを考えていくことが大切です。
自分に合うパートの見つけ方
「出せるいちばん高い音」だけで決めない
パートを決めるとき、「高い音が出るからソプラノ」「低い音が出るからバス」と考えがちです。でも、大切なのは、いちばん高い音や低い音よりも、「長い時間、楽に歌える高さ」です。
- 何回くり返しても、のどがつかれにくい高さ
- 声がいちばん自然にひびく高さ
- 話し声に近い、楽な高さ
こうした「楽な高さ」がどこにあるかで、向いているパートが見えてきます。
声の音色(声の色あい)も手がかりになる
声には、高さだけでなく、音色があります。明るくかるい声、やわらかく深い声など、人によってさまざまです。同じくらいの高さが出せる人でも、声の音色によって、向いているパートがかわることがあります。
先生や指導者に聞いてみる
いちばん確かなのは、合唱団の先生や指導者に聞いてみることです。多くの合唱団では、入るときに声を聞いて、パートを決めてくれます。
- かんたんな音階を歌う
- 知っている歌を、少し歌ってみる
- 高い音、低い音を、むりのないところまで出す
こうしたことから、その人に合うパートを考えてくれることが多いです。わからないことがあれば、えんりょなく聞いてみましょう。
声は、年れいや練習でかわっていく
一度決まったパートが、ずっと同じとはかぎりません。練習をつづけるうちに出しやすい高さがかわったり、年れいとともに声がかわったりすることもあります。合わないと感じたら、先生に相談して、パートをかえることもできます。
パートが決まったあとの練習のコツ
自分のパートの音を、しっかりおぼえる
合唱では、まわりがちがうメロディーを歌っているので、自分のパートの音がつられやすくなります。まずは、自分のパートだけで、しっかり歌えるようにしておきましょう。
- パートごとの練習用の音源をつかう
- ピアノなどで、自分のパートの音をたしかめる
- 楽譜の自分のパートに、色をつけておく
ほかのパートも聞く
自分のパートが歌えるようになったら、ほかのパートの声にも耳をかたむけてみましょう。「ここでアルトとかさなる」「ここでバスが動く」とわかると、合唱のひびきがぐっと気持ちよく感じられます。
ハモることのコツは、こちらの記事にまとめています。ハモリの練習。ハモれるようになるコツと、家でできる練習
声をはり上げすぎない
合唱では、ひとりの声が大きすぎると、ひびきのバランスがくずれてしまいます。自分の声と、まわりの声がとけ合うくらいの大きさを意識してみてください。
のどがつかれたり、痛みやかすれが何日もつづいたりするときは、むりをせず休みましょう。よくならないときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
どのパートにも、それぞれのよさがある
目立つパートだけが、主役ではない
メロディーを歌うソプラノは目立ちやすいですが、ほかのパートがささえているからこそ、メロディーがかがやきます。アルト、テノール、バス、どのパートも、合唱にはかかせない存在です。
自分のパートを好きになる
はじめは、希望とちがうパートになることもあるかもしれません。でも、歌っていくうちに、そのパートならではの楽しさが見えてきます。自分の声がひびきの中でかさなる気持ちよさを、ぜひあじわってみてください。
まとめ
- 合唱は、声の高さでパートにわけて歌う
- 混声合唱の基本は、ソプラノ・アルト・テノール・バスの4つ
- メゾソプラノやバリトンなど、さらに細かくわけることもある
- 子どもの合唱は、男女に関係なく2つか3つのパートにわけることが多い
- パートは「楽に長く歌える高さ」と「声の音色」で考える
- 迷ったら、先生や指導者に聞いてみる
- どのパートにも、それぞれの大切な役わりがある
合唱は、自分の声がみんなの声とかさなる楽しさをあじわえる歌い方です。合唱で歌ってきたパートの歌を、ひとりで歌ってみたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよさを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ