「のどを開く」ってどういうこと?声がらくに出るからだの使い方
「先生に『のどを開いて』と言われたけれど、どうすればいいのかわからない」 「歌っていると、のどがつまったような感じがする」
歌のレッスンや合唱の練習で、「のどを開いて歌いましょう」と言われたことがある方は多いと思います。でも、のどは自分の目で見ることができません。どこを、どう開けばいいのか、わかりにくいことばですよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。その中で、いろいろな先生から「のどを開く」ということばを聞いてきました。先生によって説明のしかたはちがいましたが、どれも「のどのまわりの力をぬいて、声のとおり道を広くする」という考え方が、もとにあるように感じます。
この記事では、「のどを開く」とはどういうことか、むずかしいことばをできるだけつかわずにまとめます。家でできる練習や、お子様といっしょにできるあそび、気をつけたいことも書いています。
「のどを開く」ってどういうこと?
声のとおり道を、広くするイメージ
声は、のどの奥でうまれて、口の中や鼻のほうでひびいて、外に出ていきます。このとおり道がせまくなっていると、声がつまったように聞こえたり、出しにくくなったりします。
「のどを開く」は、このとおり道を、ゆったり広くしておくイメージを伝えることばです。のどを、むりやり大きく広げるという意味ではありません。
力を入れて開くのではなく、力をぬいて開く
「開く」と聞くと、力を入れて広げようとしてしまう方がいます。でも、のどのまわりに力を入れると、かえってかたくなり、とおり道がせまくなることがあります。
のどを開くときに大切なのは、力をぬくことです。あごや舌、首のまわりの力がぬけると、のどのとおり道は、自然とゆったりしやすくなります。
のどがしまっているときのサイン
自分では気づきにくいのですが、のどがしまっているときは、つぎのようなことが起きやすいです。
- 声がつまったように、平べったく聞こえる
- 高い音になると、のどがくるしくなる
- 少し歌っただけで、のどがつかれる
- あごの下や首すじが、かたくなっている
- 舌のつけねが、もり上がっている
あごの下に、指をかるくあてて「あー」と声を出してみてください。そこがかたくもり上がるようなら、力が入っているサインかもしれません。
のどがしまりやすい原因
姿勢のくせ
- あごが前に出ている
- 首がのびて、上を向いてしまう
- 背中がまるくなっている
- 肩が上がっている
スマホを見るときのように、頭が前に出た姿勢がくせになっていると、のどのまわりに力が入りやすくなります。
舌とあごの力
歌うとき、舌を奥に引きこんでしまったり、あごをかたく引いてしまったりすると、のどのとおり道がせまくなりやすいです。
声を大きくしようとする
「大きな声で」「遠くまでとどくように」と思うほど、のどで声をおし出してしまうことがあります。声の大きさは、のどの力ではなく、息のながれや、ひびきで作っていくイメージが大切です。
家でできる、のどを開く練習
ここからは、家でできる練習をしょうかいします。どれも、小さめの声で、らくに出せる高さで行ってください。
1. あくびの感じをおぼえる
あくびをするとき、口の奥がふわっと広がる感じがあります。この感じが、「のどが開く」イメージに近いと言われることが多いです。
- 口をかるくとじたまま、あくびをするまねをする
- 口の奥、上のほうが、ふわっと持ち上がる感じをたしかめる
- その感じをのこしたまま、「ほー」と小さく声を出す
ただし、あくびを大きくしすぎると、こんどはあごや舌に力が入ります。「あくびのはじまり」くらいの、かるい感じでじゅうぶんです。
2. おどろいたときの「はっ」
ステキなものを見て、「はっ」とおどろくとき、息がすっと入ってきます。このとき、のどのまわりがひらいた感じになる方が多いです。
「はっ」と、おどろいたように息をすってから、そのまま「あー」とやさしく声を出してみましょう。
3. 舌の力をぬく
- 舌の先を、下の前歯のうらに、かるくつける
- そのまま「あー」と声を出す
- 舌が奥に引っこんでいないか、鏡で見てたしかめる
舌の先が、前歯のうらからはなれて、奥に引っこんでしまう方は多いです。鏡を見ながら、舌がおちついている形をおぼえていきましょう。
4. あごの力をぬく
- ほっぺたの、耳の前あたりを、指でやさしくくるくるとマッサージする
- 口をかるく開けて、あごをだらんと下げる
- その形のまま、「あー」と声を出す
あごをカクカクと動かさずに、「下にストンと落とす」イメージです。
5. 「お」の口で、ひびきを感じる
「お」の口の形は、口の中が縦に広がりやすく、のどのとおり道を感じやすい母音です。「お」で、らくな高さの音をのばしてみます。
なれてきたら、「お」から「あ」に、口の中の広さをかえずに、少しずつ口の形だけかえていきます。
お子様といっしょにできる、あそびの練習
小さなお子様に「のどを開いてね」と言っても、むずかしいものです。あそびの中で、自然に感じられるとよいと思います。
あくびごっこ
「ねむいねー」と言いながら、お父様・お母様といっしょに、あくびのまねをします。そのまま「ふわぁー」と声を出してみると、やわらかい声が出やすくなります。
おばけの声
「おばけだぞー」と、口の中を広くして、ひくい「おー」の声を出してあそびます。こわい声ではなく、楽しくできるように、表情もつけてみてください。
びっくりごっこ
「あっ、ちょうちょ!」と、何かを見つけたように、おどろく顔をしてみます。そのとき口の奥が広がる感じを、お子様といっしょにたのしみましょう。
どのあそびも、1回5分くらいでじゅうぶんです。お子様があきてきたら、そこでおしまいにしましょう。おうちでの発声練習については、こちらの記事でもくわしく紹介しています。おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法
歌うときに意識したいこと
息をすうときに、準備をする
のどを開く感じは、声を出す前、息をすうときにつくっておくと、歌いはじめがらくになります。あくびのはじまりのような感じで、しずかに息をすってから、歌いはじめましょう。息のつかい方は、こちらの記事にまとめています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
高い音でも、口の奥はゆったり
高い音になると、のどがしまりやすくなります。高い音の前に、口の奥をゆったりさせることを思い出してみてください。高い声のコツについては、こちらの記事も参考になります。高い声を出すコツ。のどをしめずに、らくに高い音を出す練習
ことばは、口の前のほうで
のどを開くことばかり考えると、ことばがこもって聞こえることがあります。のどの奥はゆったりさせながら、ことばは、くちびるや舌の先で、はっきり作るイメージをもちましょう。
ついやってしまいがちなこと
- あくびを大きくしすぎて、声がこもってしまう
- のどを広げようとして、力を入れてしまう
- 舌を奥におしこんで、声をふとく聞かせようとする
- 口を大きく開けることだけを考える
「開く」は、力を入れることではありません。くるしさを感じたら、一度休んで、体をほぐしてからやりなおしましょう。
むりをしないための注意
- いたみやくるしさを感じたら、すぐにやめる
- 声がかすれたら、その日は練習をお休みする
- かぜのときや、のどが赤いときは歌わない
- 練習のあとは、水をのんで、のどを休める
のどのいたみや、声のかすれが何日もつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。お子様ののどを守ることについては、こちらの記事にもまとめています。子どもののどを守るためにできること。歌をがんばる子の毎日のケア
まとめ
- 「のどを開く」は、声のとおり道をゆったり広くしておくイメージ
- 力を入れて開くのではなく、あごや舌、首の力をぬくことが大切
- 声がつまる、のどがすぐつかれるのは、しまっているサインのことがある
- あくびの感じ、「はっ」の息、舌とあごの力をぬく練習、「お」の口の練習が家でできる
- お子様は、あくびごっこやおばけの声など、あそびの中で
- いたみやかすれがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
のどの力がぬけて、声がらくに出せるようになると、歌うことがもっと楽しくなります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があります。ジャンルは自由で、出場した方には講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ