高い声を出すコツ。のどをしめずに、らくに高い音を出す練習
「サビの高いところになると、声がひっくりかえってしまう」 「高い音を出そうとすると、のどがギュッとくるしくなる」
歌が好きな方なら、一度はこんななやみをもったことがあるのではないでしょうか。好きな歌ほど、高いところが出なくて、くやしい思いをすることもありますよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。そのあいだ、レッスンや本番で、いろいろな年代の方が高い音に向き合う姿を見てきました。そこで感じたのは、高い声は「がんばって出す」ものではなく、「力をぬいて、らくに出す」ほうが、きれいにひびきやすいということです。
この記事では、高い声を出そうとしたときに、のどがしまってしまう理由と、家でできるやさしい練習、むりをしないための注意をまとめます。大人の方だけでなく、中学生・高校生の方にも読んでほしい内容です。
はじめにお伝えしたいのは、むりは禁物、ということです。高い声の練習は、いたみやくるしさを感じたら、すぐにやめてください。
高い声を出そうとすると、のどがしまるのはなぜ?
体が「がんばろう」としてしまう
高い音を出そうとすると、多くの人は、知らないうちに体に力が入ります。
- あごが前に出る
- 首がのびて、上を向いてしまう
- 肩が上がる
- 口のまわりや、舌に力が入る
- 息を強くおし出そうとする
こうした力みがあると、のどのまわりがかたくなり、声が出にくくなることが多いです。「高い音=大きな声」と思って、強く出そうとするほど、かえってくるしくなってしまうこともあります。
声の出し方には、いくつかの「声」がある
歌の世界では、ふだん話すときのような声(地声)と、やわらかく軽い声(裏声)があると説明されることが多いです。高い音を出すときに、地声のまま、むりにおし上げようとすると、のどに負担がかかりやすくなります。
高い音になるにつれて、声を少しずつ軽くしていく。そのイメージをもつだけでも、出しやすさがかわることがあります。
高い声の前に、ととのえたいこと
姿勢
- 足を肩はばくらいに開いて、まっすぐ立つ
- ひざの力をぬく
- 頭が、上からひもでつられているようなイメージをもつ
- 肩の力をストンとぬく
- あごは引きすぎず、前にも出さない
鏡の前で歌ってみると、高いところで、あごや肩が動いていないかがわかります。
息
高い声を出すとき、息をたくさんすおうとして、肩が上がってしまう人がいます。息は、おなかやわきばらがふくらむのを感じながら、しずかにすうのがおすすめです。
はくときは、強くおし出すのではなく、細く、長く、一定にはくイメージです。ストローを口にくわえて、ゆっくり息をはく練習も、息の流れを感じるのに役立ちます。
体と顔をほぐす
- 首をゆっくり回す
- 肩を上げて、ストンと落とす
- 口を大きく開けたり、とじたりする
- ほっぺたを手でやさしくマッサージする
歌う前に1〜2分ほぐすだけでも、声が出しやすくなることがあります。
家でできる、高い声のための練習
ここからは、家でできる練習をしょうかいします。どれも、小さな声から始めて、らくに出せるはんいで行ってください。
1. ハミングで、少しずつ高くする
口をとじて「んー」とハミングします。らくな高さから始めて、半音ずつ、少しずつ上げていきます。
ハミングは、大きな声を出さなくてよいので、のどに力が入りにくい練習です。鼻のあたりや、顔の前のほうがびりびりとひびく感じがあれば、よいサインです。
2. リップロール
くちびるをかるくとじて、「ぶるぶるぶる」とふるわせながら、声を出します。そのまま、低い音から高い音へ、なめらかに上げ下げしてみましょう。
くちびるがふるえつづけるには、息が一定に流れていることが大切です。のどで声をおしてしまうと、くちびるが止まってしまうので、力みに気づく目じるしにもなります。
さいしょはうまくふるえないこともあります。ほっぺたを指でかるくおさえると、やりやすくなる人もいます。
3. サイレンの練習
「うー」や「ほー」と言いながら、救急車のサイレンのように、低い声から高い声へ、ゆっくりすべらせます。
とちゅうで声がひっくりかえっても、気にしなくてだいじょうぶです。地声から裏声に切りかわるところは、だれにでもあります。何度もくりかえすうちに、つなぎ目がなめらかになってくることがあります。
4. 「う」や「い」の母音で練習する
「あ」は口を大きく開けるので、高い音で力が入りやすい人もいます。高いところは、「う」や「い」の母音で練習してみると、らくに出せることがあります。
なれてきたら、「う」から「お」、「お」から「あ」と、少しずつ口の形をかえていきます。
5. 裏声で、やさしく歌ってみる
高いところが出ないフレーズを、まずは裏声で、小さな声で歌ってみます。裏声でらくに歌えるようになってから、少しずつ声に芯をもたせていくと、のどへの負担がへりやすくなります。
曲で練習するときのコツ
キーを下げるのは、はずかしいことではない
好きな曲が高すぎるときは、キーを下げて練習しましょう。らくに歌えるキーで、まずは1曲をきれいに歌えるようになることが大切です。
そのうえで、少しずつキーをもとにもどしていく、という練習のしかたもあります。
高いところの「前」を大切にする
高い音でつまずくときは、じつはその前のフレーズで、息をつかいきってしまっていることがあります。高い音の前に息つぎできるところをさがして、楽譜や歌詞に印をつけておきましょう。
1日の練習は短めに
高い声の練習は、のどがつかれやすいものです。
- 1回の練習は10〜15分くらいを目安にする
- 練習の前に、かならず体と声をほぐす
- 練習のあとは、水をのんで、のどを休める
- つかれたと感じたら、その日はおしまいにする
「今日は出なかった」という日があっても、だいじょうぶです。声は、その日の体調によってもかわります。
ついやってしまいがちなこと
高い声を出したい気持ちが強いと、つぎのようなことをしてしまうことがあります。
- 声を大きくすれば、高い音がとどくと思ってしまう
- 高い音の手前で、体をのけぞらせる
- 出ない音を、何度もつづけてためす
- 歌う前に、声をならさずに、いきなり高い曲を歌う
どれも、のどに力が入りやすくなる歌い方です。「出なかったら、一度休んで、小さな声からやりなおす」くらいの気持ちで練習すると、のどへの負担がへりやすくなります。
中学生・高校生の方へ
中学生・高校生のころは、声がかわっていく時期と重なることがあります。とくに男の子は、声がわりのとちゅうで、高い声が出にくくなったり、声がかすれたりすることがあります。
この時期は、高い声をむりに出そうとしないことが大切です。いまの自分の声で、らくに歌えるはんいを大切にしてください。声がわりについては、こちらの記事でくわしく書いています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
部活や合唱、好きなアーティストの歌など、中学生のボイトレについては、こちらの記事にまとめています。中学生のボイトレ。歌を習う前に知っておきたい、声変わり・部活・好きな歌とのつきあい方
むりをしないための注意
高い声の練習で、いちばん大切なのは、のどをいためないことです。
- いたみやくるしさを感じたら、すぐにやめる
- 声がかすれたら、その日は練習をお休みする
- かぜのときや、のどが赤いときは歌わない
- さけぶような声で、高い音を出しつづけない
- 長い時間、高い歌ばかりを歌いつづけない
のどのいたみや、声のかすれが何日もつづくときは、ひとりでなやまずに、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
ひとりで練習するのがむずかしいときは
高い声は、自分では「力が入っているかどうか」がわかりにくいものです。家での練習で行きづまったら、歌の先生にみてもらうのもひとつの方法です。
先生は、その人の声の高さや、くせに合わせて、むりのない練習を考えてくれます。体験レッスンのときに、「高い声が出しにくい」となやみを伝えてみてください。むりに高い声を出させず、少しずつすすめてくれる先生かどうかも、見ておきたいところです。近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- 高い声は、がんばって出すより、力をぬいてらくに出すほうがひびきやすい
- のどがしまるのは、あごや肩、首などに力が入ることが多いから
- 姿勢、息、体をほぐすことから始める
- ハミング、リップロール、サイレン、「う」「い」の母音、裏声の練習が家でできる
- 曲はキーを下げてよい。練習は短めに、のどを休めながら
- 中学生・高校生は、声がわりの時期にむりをしない
- いたみやかすれがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
らくに高い声が出せるようになると、歌える曲が広がって、歌うことがもっと楽しくなります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。お子様の部のほかに、一般やシニアの方が出られる部もあり、おうちでとった動画で応募できます。こどもの歌声グランプリ