子どもは本当に歌が好き?親がやらせているのか迷うときの考え方
「うちの子、本当に歌が好きなのかな」 「習い事を、親がやらせているだけなんじゃないか」 「本人に聞いても、好きなのかどうか、よくわからない」
お子様が歌の習い事をつづけていると、ふと、こんな迷いがうかぶことがあります。とくに、練習をいやがる日があったり、ほかの子が楽しそうにしているのを見たりすると、「このままでいいのかな」と考えてしまうかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、「子どもが習い事を本当に好きかわからない」「親がやらせているのでは」と迷うときの考え方をまとめます。先にお伝えしておくと、この記事に「こうすれば、好きかどうかがわかる」という答えはありません。お子様の気持ちは、ひとりひとりちがい、日によってもゆれるものだからです。それでも、迷ったときに見てみたいことや、気持ちの聞き方のヒントはあります。
「好き」は、いつも同じ形ではない
好きでも、いやな日はある
大人でも、好きな仕事や趣味が、きゅうにめんどうに感じる日があります。お子様も同じです。歌が好きでも、
- 遊びたいときに練習の時間がきた
- 学校でつかれて帰ってきた
- 先生に言われたことが、うまくできなかった
こんな日は、「やりたくない」と言うこともあるかもしれません。その日の「いや」だけを見て、「本当は好きじゃないんだ」と決めてしまうのは、少し早いかもしれません。
「好き」と「得意」と「楽しい」は、少しずつちがう
お子様が歌を「好き」かどうかを考えるとき、いくつかの気持ちがまざっていることがあります。
- 歌うこと自体が好き
- 先生や、教室のお友だちに会うのが好き
- ほめられることや、ステージに立つことが好き
- 上手にできたときの気持ちが好き
どれも、歌の習い事を楽しむ大切な理由です。「歌そのものが好きでないと、意味がない」と考えなくてもだいじょうぶです。どこかにお子様なりの「楽しい」があれば、それはひとつの答えかもしれません。
ことばにできない「好き」もある
小さなお子様ほど、自分の気持ちをうまくことばにするのはむずかしいものです。「好き?」と聞かれて「わかんない」と答えても、それは「好きじゃない」という意味とはかぎりません。
親がやらせているのか、気になるとき
「はじめたきっかけ」が親でも、悪いことではない
習い事のはじまりが、お父様・お母様のすすめだった、ということもあります。お子様は、自分の知らない世界を、自分で見つけにくいこともあります。親が「こんなこともあるよ」と見せてあげるのは、自然なことです。
大切なのは、はじめたきっかけより、いまのお子様のようすかもしれません。
お父様・お母様の思いを、見つめてみる
迷いがうかんだときは、ご自身の気持ちにも、そっと目を向けてみてください。
- 自分が子どものころにできなかったことを、かわりにしてほしい気持ちはないか
- コンクールの結果や、まわりの目が気になっていないか
- 「ここまでつづけたのだから」という思いが強くなっていないか
こうした思いがあっても、まったくおかしくありません。親として、ごく自然な気持ちです。ただ、自分の思いに気づいておくと、お子様の気持ちと、親の気持ちを分けて考えやすくなります。
お子様のようすから、気持ちを見てみる
ことばで聞くだけでなく、ふだんのようすにも、お子様の気持ちがあらわれることがあります。ここにあげることは、どれも「これがあれば好き」と決めるものではありません。見るときのヒントのひとつとして、考えてみてください。
ふだんの生活の中で
- 習っている歌を、だれにも言われずに口ずさんでいる
- テレビや動画で歌が流れると、耳をかたむけている
- 好きな歌の話を、自分からしてくる
- お風呂や車の中で、気持ちよさそうに歌っている
レッスンや本番のまわりで
- レッスンのあと、先生に言われたことを話してくれる
- 本番が終わったあと、「次はこれを歌いたい」と言う
- うまくいかなかったとき、くやしそうにしている
くやしがるのは、つらそうに見えるかもしれません。でも、「もっとうまくなりたい」という気持ちのあらわれのこともあります。
気になるサイン
いっぽうで、こんなようすが続くときは、お子様の気持ちに、よりていねいに耳をかたむけたいところです。
- レッスンの日が近づくと、おなかや頭が痛いと言う
- 歌の話になると、表情がくもる
- 好きだった歌を、まったく歌わなくなった
からだの不調がつづくときは、むりにレッスンに行かせず、お医者さんに相談することも考えてみてください。教室に行きたくないと言われたときの考え方は、こちらの記事にまとめています。お子様が「教室に行きたくない」と言ったら。理由の見つけ方と、休む・つづける・やめるの考え方
お子様の本当の気持ちを、聞いてみる
「好き?」より、聞きやすい聞き方を
「歌、好き?」とまっすぐ聞かれると、お子様は、親が聞きたい答えを言おうとしてしまうことがあります。答えやすい聞き方に、かえてみてください。
- 「今日のレッスンで、いちばん楽しかったのはどこ?」
- 「いま歌っている歌の中で、どの歌が好き?」
- 「もし、歌のほかに何でもできるなら、何をしてみたい?」
- 「歌の時間で、ちょっといやだなと思うことはある?」
「楽しいところ」と「いやなところ」の両方を聞いてみると、お子様の気持ちが少し見えやすくなることがあります。
どんな答えでも、まずは受けとめる
お子様が「いやなところもある」と話してくれたら、すぐに「でも、がんばろう」と返さずに、「そうなんだね」と、まず受けとめてあげてください。
「本当のことを言っても、怒られない」と感じられると、お子様は、少しずつ気持ちを話してくれるようになるかもしれません。
一度で答えを出さなくていい
お子様の気持ちは、日によってかわります。一度聞いただけで「好き」「好きじゃない」と決めず、ときどき、なにげない会話の中で聞いてみるくらいで、ちょうどよいこともあります。
迷ったときに、考えてみたいこと
「やめる・つづける」の前に、形をかえてみる
「好きかどうかわからない」と感じたとき、すぐに「やめるか、つづけるか」を決めなくてもよい場合があります。
- 練習の時間を、短くしてみる
- 歌う曲を、お子様が好きなものにかえてみる
- コンクールなどの目標を、しばらくお休みしてみる
- 発表の場を、家族の前の小さなものにしてみる
形を少しかえるだけで、お子様の表情がやわらぐこともあります。
先生に相談してみる
レッスンでのお子様のようすは、先生がいちばんよく見ていることもあります。「おうちでは、こんなようすなのですが、レッスンではどうですか」と、聞いてみてください。親の前とはちがう顔を見せていることもあります。
お子様に、えらぶ場面をつくる
「次はどの曲を歌いたい?」「今日はどこから練習する?」のように、小さなことでも、お子様がえらべる場面をふやしてみてください。自分でえらんだことは、「やらされている」より「自分でやっている」と感じやすくなることがあります。
歌が好きな子に向いている習い事については、こちらの記事でも紹介しています。歌が好きな子におすすめの習い事6つ。年れいと性格からえらぶ方法
まわりの子とくらべて、迷ってしまうとき
楽しそうに見える子と、くらべなくていい
教室やコンクールの会場では、いきいきと歌っているほかのお子様が目に入ることがあります。そんなとき、「うちの子は、あんなに楽しそうじゃない」と感じて、迷いが大きくなるかもしれません。
でも、気持ちのあらわし方は、お子様によってちがいます。大きな声ではしゃぐ子もいれば、静かに、心の中で楽しんでいる子もいます。にこにこしていないから好きではない、とはかぎりません。
お子様の「前のようす」とくらべてみる
くらべるなら、ほかの子ではなく、少し前のお子様自身とくらべてみてください。
- 前よりも、歌を口ずさむことがふえたか、へったか
- 前よりも、レッスンの話をするようになったか
- 前は苦手だった歌に、自分から向き合うようになったか
小さな変化に目を向けると、お子様なりの気持ちの動きが、見えてくることがあります。
「やらせているかも」と思えること自体が、大切
「親がやらせているのでは」と迷うのは、お子様の気持ちを大切にしたいと思っているからこそ、ということもあります。
その迷いは、お子様のことを考えている、しるしのひとつかもしれません。答えがすぐに出なくても、お子様の声に耳をかたむけつづけること。それが、いちばんのサポートになるのかもしれません。
歌を通してお子様の自信をそだてる声のかけ方は、こちらにまとめています。歌で子どもの自信を育てる。ほめ方とことばかけ
まとめ
- 好きでも、いやな日はある。その日だけで決めてしまわない
- 「好き」には、歌そのもの、人、ほめられることなど、いろいろな形がある
- はじめたきっかけが親でも、悪いことではない
- 親自身の思いに気づくと、お子様の気持ちと分けて考えやすくなる
- ふだんのようすや、答えやすい聞き方から、お子様の気持ちを見てみる
- すぐに「やめる・つづける」を決めず、形をかえる、先生に相談するなども考える
- 迷うこと自体が、お子様を大切に思っているしるし
お子様が「自分で歌いたい」と思える目標を、いっしょに考えてみるのもひとつの方法です。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ