仕事がいそがしい大人の歌の練習。時間がない社会人のための、すきま時間の使い方と練習の組み立て
「仕事がいそがしくて、歌の練習の時間がない」 「ボイトレに通っているのに、家でほとんど練習できていない」 「社会人になってから、歌の練習がつづかない」
仕事をしながら歌を習っていると、こんななやみをかかえることがあります。レッスンの日が近づいてから「また練習できなかった」と、あせってしまう方もいらっしゃると思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、いそがしい大人の方が、かぎられた時間の中で歌の練習をつづけるための「練習の組み立て方」にしぼってお伝えします。何を、いつ、どのくらいの重さでやるのかを、ご自分の毎日に合わせて考えるためのヒントです。
はじめにお伝えしたいのは、練習の時間が少ないことは、歌を習うのに向いていない、ということではない、ということです。時間が少ないからこそ、組み立て方を少しくふうするだけで、練習を進めやすくなることがあります。
時間がないときこそ、練習の「目的」をしぼる
あれもこれもやろうとすると、手が止まる
時間がないときに、発声練習も、課題曲も、苦手なところの練習も、ぜんぶやろうとすると、どれも中途半端になりがちです。「ちゃんとやる時間がないから、今日はやめておこう」と、練習そのものを見送ってしまうこともあります。
まずは、いまの自分にとって、いちばん大事な目的をひとつにしぼってみてください。
- 次のレッスンまでに、課題曲のこの部分を歌えるようにする
- 高い音を、のどをしめずに出せるようにする
- 息がとちゅうで足りなくなるところを、楽に歌えるようにする
目的がはっきりすると、少しの時間でも「今日はこれをやればいい」と決めやすくなります。
目的は、先生といっしょに決める
自分だけで目的を決めるのがむずかしいときは、レッスンの終わりに、先生に聞いてみるのもよい方法です。
- 「次までに、いちばん練習したほうがいいところはどこですか」
- 「時間があまりとれないのですが、何を優先したらいいですか」
いそがしいことを先生に伝えておくと、練習の量に合わせた宿題を考えてくださることもあります。
いそがしさに合わせて、メニューを何通りか用意しておく
「ふつうの日」と「いそがしい日」で、メニューを分ける
毎日同じ練習をしようとすると、いそがしい日にはできなくなり、「できなかった」という気持ちだけがのこります。そこで、日によって選べるように、メニューを何通りか用意しておく方法があります。
- 時間がとれる日のメニュー:発声、課題曲、苦手なところの練習まで
- いそがしい日のメニュー:かんたんな発声と、苦手なところだけ
- ほとんど時間がない日のメニュー:声を出さずに音源を聞く、口の形をたしかめる
その日のようすを見て、「今日はこのメニュー」と選ぶだけにしておくと、迷う時間がへります。
いちばん軽いメニューを、とても軽くしておく
ポイントは、いちばん軽いメニューを、「これならできる」と思えるくらいまで軽くしておくことです。
たとえば、「課題曲の音源をさっと聞く」「むずかしいところの楽譜を見て、息を吸う場所をたしかめる」くらいでもかまいません。軽いメニューでも、歌のことを考える時間を毎日のどこかにのこしておくと、次に時間がとれたとき、練習にもどりやすくなります。
自宅でできる練習メニューの組み方は、こちらの記事でもしょうかいしています。自宅でできるボイトレメニュー。10分・30分の練習の組み方を、初心者向けにまとめました
平日と休日で、練習の重さを組み立てる
平日と休日で、することを分ける
平日は仕事でつかれていて、声を出す気力がのこっていない日もあります。そんなときは、平日と休日で、練習の重さを分けて考えてみてください。
- 平日:音源を聞く、楽譜を見る、軽い発声など、短くできること
- 休日:声をしっかり出して、曲を通して歌う、録音してたしかめる
平日に「聞く・見る・考える」練習をしておくと、休日に声を出したとき、何をたしかめればいいかがはっきりします。
レッスンの日から、さかのぼって考える
レッスンに通っている方は、レッスンの日を中心に組み立てる方法もあります。
- レッスンの直後:先生に言われたことを、わすれないうちにメモしておく
- レッスンとレッスンの間:メモを見ながら、苦手なところを少しずつ練習する
- レッスンの前:曲を通して歌い、聞きたいことをまとめておく
レッスンの直後のメモは、時間がない方ほど役に立ちます。次に練習するとき、思い出す時間がいらなくなるからです。
練習の始め方を、いつも同じにしておく
時間がないときは、「何から始めよう」と考えている間に、時間がすぎてしまうこともあります。練習の始め方を、いつも同じ流れにしておくと、すぐに練習に入りやすくなります。
- 水を少しのむ
- 肩や首をゆっくり回して、体をほぐす
- 口をとじて、ハミングで声を出してみる
- その日のメニューの、さいしょの練習に入る
始め方が決まっていると、気持ちの切りかえもしやすくなります。仕事のことが頭からはなれないときも、いつもの流れをなぞるうちに、歌に気持ちが向いてくることがあります。
練習する場所と道具を、前もって整えておく
楽譜やイヤホン、録音につかうスマホなどを、いつも同じ場所にまとめておくと、さがす手間がなくなります。練習する場所も、「家ならこの部屋」「声を出せないときはこの方法」と決めておくと、すぐに動けます。
予定表に、歌の時間を書きこんでおく
仕事の予定と同じように、手帳やスマホの予定表に「歌の練習」と書きこんでおくと、時間をとりやすくなります。「時間があいたらやろう」と思っていると、あっというまに一日が終わってしまうこともあります。
予定どおりにできない日があっても、だいじょうぶです。書きこんでおくことで、歌の時間を大切にしようという気持ちがたもちやすくなります。
すきま時間は「声を出さない練習」にあてる
移動中や休けい時間にできること
まとまった時間がとれなくても、すきま時間をつかって進められる練習があります。声を出さなくてもできることを、すきま時間にあてるのがコツです。
- イヤホンで課題曲を聞き、伴奏や音の流れをおぼえる
- 楽譜を見て、息を吸う場所や、気をつけるところをたしかめる
- 自分の録音を聞いて、直したいところをメモする
- 頭の中で、曲を歌ってみる
声を出さない歌の練習は、こちらの記事でくわしくまとめています。声を出さない歌の練習。通勤中や家族がいるときにもできること
声を出す練習は、まとまった時間に回す
すきま時間に「聞く・見る」練習をすませておき、声を出す練習は、家や練習できる場所にいるときに回します。こうして分けておくと、声を出せる時間を、声を出すことだけにつかえます。
つかれた日、練習できなかった日の考え方
つかれた声で、むりに歌わない
仕事でたくさん話した日や、つかれがたまっている日は、声もつかれていることがあります。そんな日にむりに大きな声で歌うと、のどに負担がかかることもあります。
つかれた日は、軽いメニューにするか、思いきって休むのもひとつの考え方です。歌ったあとに、のどの痛みや声のかすれがしばらく続くときは、練習をお休みして、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
「できなかった日」を数えない
練習できない日が続くと、「自分はだめだ」と思ってしまうことがあります。でも、いそがしい時期があるのは、仕事をしている大人にとって自然なことです。
できなかった日を数えるのではなく、「今週は休日に、曲を通して歌えた」のように、できたことに目を向けてみてください。練習した日や、気づいたことを短く記録しておくと、あとでふりかえったとき、少しずつ進んでいることがわかります。
いそがしい時期は、レッスンの通い方を相談する
仕事が特にいそがしい時期には、レッスンの回数をへらす、オンラインのレッスンに切りかえる、しばらくお休みする、といった方法もあります。できることは教室によってちがうので、先生や教室に相談してみてください。
歌の趣味を長くつづけるコツは、こちらの記事でもまとめています。大人が歌の趣味を長くつづけるコツ。目標の立て方と仲間の見つけ方
まとめ
- 時間がないときこそ、練習の目的をひとつにしぼる
- 目的は、先生といっしょに決めるとまよいにくい
- 「ふつうの日」「いそがしい日」「ほとんど時間がない日」のメニューを用意しておく
- いちばん軽いメニューは、「これならできる」と思えるくらいまで軽くする
- 平日は聞く・見る練習、休日は声を出す練習のように、練習の重さを分ける
- レッスンの直後にメモをとり、次の練習の手がかりにする
- すきま時間は、声を出さない練習にあてる
- つかれた日はむりをせず、できなかった日ではなく、できたことに目を向ける
いそがしい毎日の中でも、自分に合った通い方ができる教室を見つけると、歌の時間をつづけやすくなります。夜や休日のレッスン、オンラインのレッスンなど、通いやすい教室をさがしてみてください。歌の教室さがし
少し先に目標があると、いそがしい中でも歌の時間をのこそうという気持ちになれます。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ