大人が歌の趣味を長くつづけるコツ。目標の立て方と仲間の見つけ方
「歌を習いはじめたけれど、仕事がいそがしくなって、だんだん行かなくなってしまった」 「ひとりで練習していると、これでいいのかわからなくなって、やる気がつづかない」
大人になってから歌の趣味をはじめた方から、こんな声を聞くことがあります。はじめたときは楽しかったのに、気がつくと何か月も歌っていなかった、ということもあるかもしれません。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。会場では、お子様だけでなく、何年も、何十年も歌をつづけている大人の方にもたくさん出会いました。そういう方たちと話していると、長くつづけている人には、いくつか共通するところがあると感じます。
この記事では、大人が歌の趣味を長くつづけるためのコツを、目標の立て方と、仲間の見つけ方を中心にまとめます。「つづけなければ」と自分を追いこむのではなく、楽しみながら歌と長くつきあっていくためのヒントになればうれしいです。
歌の趣味がつづかなくなる、よくある理由
まずは、なぜつづかなくなるのかを考えてみましょう。理由がわかると、それに合った工夫ができます。
いそがしくて時間がとれない
大人には、仕事や家のこと、子育てや介護など、いろいろな役わりがあります。いそがしい時期が来ると、どうしても趣味の時間はあとまわしになりがちです。
上達しているのか、わからない
歌は、目に見えて「できた」がわかりにくい趣味です。何か月か練習しても、自分では変化を感じにくく、「意味があるのかな」と思ってしまうことがあります。
ひとりで、やる気がつづかない
ひとりで練習していると、目標や区切りがないため、だんだん気持ちがゆるんでしまうことがあります。聞いてくれる人がいないと、張り合いも出にくいものです。
まわりとくらべて、落ちこむ
教室や合唱団で、自分より上手な人を見ると、「自分には向いていないのかも」と感じてしまうこともあります。
どれも、だれにでも起こることです。つづかなかった自分をせめる必要はありません。
長くつづけるための目標の立て方
「たのしい」を目標の一つに入れる
趣味の歌でいちばん大切なのは、歌っていて楽しいと感じられることです。目標を立てるときも、「上手になる」だけでなく、「この曲を気持ちよく歌う」「週に1回は思いきり歌う」など、楽しさにつながる目標を入れてみてください。
大きな目標と、小さな目標を分ける
目標には、大きなものと小さなものがあります。
- 大きな目標 いつか発表会で、好きな曲をひとりで歌う
- 中くらいの目標 半年で、その曲を通して歌えるようにする
- 小さな目標 今月は、サビの部分を録音して聞きかえす
大きな目標だけだと、遠すぎて、毎日の練習で何をすればいいのかわかりにくくなります。小さな目標をこまかく立てると、「できた」をたくさん感じられて、つづけやすくなります。
「時間」より「回数」で決める
「毎日30分練習する」という目標は、いそがしいと守れなくなり、守れないと自分をせめてしまいます。それよりも、
- 週に2回、5分だけでも声を出す
- 月に1回は、教室か練習の場に行く
のように、回数で決めて、時間はそのときのつごうに合わせるほうが、長くつづけやすいことが多いです。
区切りになる「本番」をつくる
発表会や、コンクール、家族の前で歌うことなど、「この日までに」という区切りがあると、練習に張り合いが出ます。大人の発表会については、こちらの記事でくわしくまとめています。大人の発表会・ライブにはじめて出るとき。準備、衣装、緊張とのつきあい方
本番といっても、大きな舞台である必要はありません。友だちに録音を聞いてもらう、家族の集まりで1曲歌うなど、小さな本番でもじゅうぶんです。
記録をのこして、ふりかえる
上達がわかりにくいという悩みには、記録が力になります。
- 月に1回、同じ曲を録音しておく
- 練習した日を、カレンダーに印をつける
- レッスンで言われたことを、1行メモにのこす
数か月たって、はじめのころの録音を聞くと、自分の変化に気づくことがあります。小さな変化でも、それが「つづけてきてよかった」と思えるきっかけになります。
歌の仲間を見つける方法
仲間がいると、つづけやすい
歌の趣味を長くつづけている方の多くは、いっしょに歌う仲間がいます。仲間がいると、
- 「来週も会おうね」という約束が、行くきっかけになる
- 悩みを話したり、練習のしかたを教えあったりできる
- 歌を聞いてもらえる喜びがある
といったよさがあります。ひとりで練習するのが好きな方も、ときどき人と歌う場をもつと、気持ちが新しくなります。
歌の教室に通う
教室に通うと、先生だけでなく、同じように歌を習っている人と出会えることがあります。グループレッスンや、教室の発表会、交流会などがある教室なら、自然と顔見知りがふえていきます。
教室によって、個人レッスン中心のところ、グループレッスンがあるところなど、しくみはさまざまです。仲間づくりも大切にしたい方は、体験レッスンのときに、教室のふんいきや、生徒さんどうしの交流があるかを聞いてみるとよいですね。
合唱団やコーラスサークルに入る
地域の合唱団や、公民館などで活動しているコーラスサークルは、仲間を見つけやすい場所です。みんなで声を合わせる楽しさは、ひとりで歌うのとはまたちがったものがあります。
大人の合唱については、こちらの記事でくわしくまとめています。大人の合唱団・コーラスのはじめ方|見学のしかた、パートの決まり方、長くつづけるコツ
歌声喫茶やイベントに行ってみる
みんなでいっしょに歌う歌声喫茶や、地域の歌のイベントも、気軽に参加しやすい場です。いきなり団体に入るのは不安という方は、こうした場から、歌が好きな人とのつながりを広げていくのもよいと思います。
オンラインでつながる
近くに教室やサークルがない方、時間が合わない方は、オンラインのレッスンや、歌の動画を見せあう場をつかう方法もあります。遠くに住んでいる人とも、同じ趣味でつながれるのは、オンラインのよさです。
いそがしい時期の乗りこえ方
「やめる」ではなく「お休み」と考える
どうしても時間がとれない時期は、むりにつづけようとしなくてだいじょうぶです。「やめた」と思うと、もう一度はじめるのがむずかしくなりますが、「今はお休み中」と考えると、また戻りやすくなります。
ほんの少しだけ、歌にふれる
いそがしいときでも、
- 好きな歌を聞く
- お風呂で1曲だけ口ずさむ
- 通勤中に、歌詞を心の中で歌う
など、ほんの少しでも歌にふれていると、気持ちがはなれにくくなります。
戻るときは、ハードルを下げる
しばらく歌っていなかったあとは、声が出にくいと感じることがあります。それはふつうのことです。いきなり前と同じように歌おうとせず、まずはハミングや、らくに歌える曲からはじめてみてください。
歌う曲を、ときどき新しくする
同じ曲ばかり練習していると、どうしてもあきてしまうことがあります。長くつづけている方は、ときどき新しい曲にちょうせんして、気持ちを新しくしていることが多いです。
- 季節に合った歌をえらぶ
- 若いころに好きだった歌を、もう一度歌ってみる
- 先生や仲間にすすめられた曲を、ためしてみる
新しい曲にふれると、「この歌も歌えるようになりたい」という、つぎの目標が自然に見つかります。
くらべる相手は、きのうの自分
教室や合唱団で、上手な人を見て落ちこむことがあるかもしれません。でも、歌をはじめた時期も、声の性質も、歌う目的も、人によってちがいます。
趣味の歌に、勝ち負けはありません。きのうの自分より、少しでも楽しく歌えたら、それはりっぱな成長です。上手な人の歌は、「すてきだな」と楽しむ気持ちで聞くと、自分の練習のヒントにもなります。
体をいたわることも、長くつづけるコツ
長く歌をつづけるには、のどと体を大切にすることも欠かせません。
- 歌う前に、肩や首をほぐす
- 水をこまめにのむ
- のどがつかれたら、むりをせず休む
- よくねむる
のどの痛みやかすれが何日もつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- つづかなくなる理由は、いそがしさ、上達の見えにくさ、ひとりのさびしさなど、だれにでもあること
- 目標には「楽しさ」を入れ、大きな目標と小さな目標を分ける
- 「時間」より「回数」で決めると、いそがしくてもつづけやすい
- 発表会などの区切りと、録音などの記録が、張り合いになる
- 教室、合唱団、歌声喫茶、オンラインなどで、歌の仲間を見つける
- いそがしい時期は「お休み」と考え、少しだけ歌にふれておく
- くらべる相手は、きのうの自分
歌は、何歳からでも、どんなペースでも楽しめる趣味です。いっしょに歌う仲間や、相談できる先生がほしいときは、教室をさがしてみてください。歌の教室さがしまた、区切りになる本番がほしい方には、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの目標を考えるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ