春の歌、高齢者の方とみんなで歌いたい曲。歌の会や施設で楽しむ工夫
「春の歌で、高齢者の方といっしょに楽しめる曲を知りたい」 「歌の会で、春の童謡や唱歌をどうえらべばいいかな」
春は、寒い冬がおわり、花がさきはじめる季節です。春の歌には、明るい気持ちになれる歌もあれば、別れや旅立ちを思い出す、しみじみとした歌もあります。高齢者の方とみんなで歌うと、歌のあとに「あのころはね」と、思い出話がひろがることもあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、高齢者の方とみんなで歌いたい春の歌を、春の行事ごとに紹介します。あわせて、思い出話のきっかけになる声かけ、春の歌ならではの歌い方の工夫、手あそびや体を動かす楽しみ方もまとめます。春夏秋冬の歌をまとめて知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。シニアに人気の季節の歌。春夏秋冬、みんなで歌いたい日本の歌と歌い方のコツ
ここでは曲名だけを紹介します。歌詞は、歌の本などでたしかめてから使ってください。
春の歌が、高齢者の方の歌の会に向いている理由
季節のうつりかわりを、いっしょに感じられる
春は、ほんの短いあいだに、外のようすがどんどんかわっていく季節です。梅がさき、ひなまつりがきて、さくらがさき、こいのぼりがあがる。春の歌を行事に合わせてえらぶと、外に出る機会が少ない方も、季節がすすんでいくことを感じやすくなります。
明るい歌と、しっとりした歌の両方がある
春の歌には、元気に声を出せる歌と、ゆったりと味わう歌の両方があります。その日の体調やみなさんのようすに合わせて、歌をえらびやすいのも、春の歌のよいところです。
人生の節目を思い出すきっかけになる
春は、入学や卒業、就職、結婚など、人生の節目とかさなる季節でもあります。春の歌をきっかけに、ご自身やご家族の節目の思い出が、ことばになってあふれてくることもあります。
春のはじまりに歌いたい歌
まだ寒さがのこるころは、春を待つ気持ちを歌った歌がよく合います。
- 早春賦(そうしゅんふ):春は名ばかりで、まだ寒いころの、春を待ちわびる気持ちの歌
- 春よ来い:春を待つ小さな子のようすを歌った、やさしい童謡
- どこかで春が:目には見えなくても、春の気配を感じる童謡
「早春賦」は、ゆったりとゆれるような歌です。ことばの意味が少しむずかしいので、歌う前に「春なのに、まだ寒いころの歌ですね」と、かんたんにお話ししておくと、気持ちが入りやすくなります。「春よ来い」は、ことばがやさしく、口ずさみやすい歌です。
ひなまつりのころに歌いたい歌
- うれしいひなまつり:ひなかざりのようすを歌った、ひなまつりの歌
ひなまつりのころは、おひなさまをかざって歌うと、場が華やかになります。歌のあとには、こんなお話がひろがることもあります。
- ご実家に、どんなおひなさまがあったか
- ひなあられや、ちらしずしなど、どんなごちそうを食べたか
- 娘さんやお孫さんのために、おひなさまをかざった思い出
男性の方には、「お姉さんや妹さんのおひなさまを見ていましたか」と声をかけると、お話に入りやすくなります。
卒業・入学のころに歌いたい歌
- 仰げば尊し(あおげばとうとし):卒業式で歌いつがれてきた、恩師への感謝の歌
- 春が来た:春のおとずれをよろこぶ、明るい唱歌
- 春の小川:小川のながれる、のどかな春の風景の歌
「仰げば尊し」は、ご自身の卒業式を思い出す方もいらっしゃる歌です。歌のあとに「どんな先生がいましたか」「学校までどうやって通っていましたか」と聞いてみると、子どものころのお話がひろがることがあります。
ただ、卒業や別れの歌は、気持ちがしんみりしやすい歌でもあります。そのあとに「春が来た」のような明るい歌を続けると、気持ちを明るく切りかえやすくなります。
お花見のころに歌いたい歌
- さくらさくら:日本で昔から歌われてきた、さくらの歌
- 花:川べりの春のようすを、はなやかに歌った歌
- 朧月夜(おぼろづきよ):菜の花ばたけと、春の夜のかすんだ月の歌
- 花かげ:さくらの花と、家族の思い出をしみじみ歌った童謡
さくらのころは、春の歌の会がぱっと華やぐ時期です。「花」は、ことばがたくさんつまった歌なので、はじめはゆっくりめのテンポで歌ってみてください。「朧月夜」は、ひとつひとつのことばをていねいに歌うと、春の夜のしずかな空気が伝わります。
お花見の思い出は、話題がひろがりやすいテーマです。
- どこへお花見に行ったか
- だれといっしょに行ったか
- お弁当に何を入れたか
こんな問いかけから、ご家族のお話や、ふるさとのお話につながることもあります。
端午の節句のころに歌いたい歌
- こいのぼり:空をおよぐこいのぼりを歌った、短くておぼえやすい童謡
- 背くらべ:柱のきずで、背の高さをくらべた思い出の童謡
「背くらべ」は、きょうだいや家族の思い出につながりやすい歌です。「柱にしるしをつけたこと、ありましたか」と聞くと、ご実家の家のつくりや、きょうだいのお話が出てくることもあります。
小さなお子様もいっしょに集まる会なら、「チューリップ」や「ちょうちょう」のような、短くてやさしい歌を入れると、世代をこえて声を合わせやすくなります。お孫さんと歌う時間のつくり方は、こちらの記事でも紹介しています。孫といっしょに歌う。シニアと子どもの歌の時間
春の歌の、歌い方の工夫
明るい歌は、はずむように
「春が来た」や「こいのぼり」のような明るい歌は、ことばを少し短めに切って、はずむように歌うと、春らしい元気さが出ます。手びょうしを入れると、リズムがつかみやすくなります。
しっとりした歌は、ことばを味わうように
「早春賦」「朧月夜」「花かげ」のようなしっとりした歌は、急がずに、ことばをひとつずつ味わうように歌ってみてください。歌う前に、どんな景色の歌なのかをお話ししておくと、思いうかべながら歌いやすくなります。
高さは、らくに出るところで
昔習った高さのままだと、高すぎて歌いにくいことがあります。伴奏をするときは、いつもより少し低めにして、「らくに出る」と感じる高さで歌ってください。むりに声をはり上げなくても、気持ちをこめて歌えば、春の歌のよさはじゅうぶんに伝わります。
手あそびや、体を動かす工夫
春の歌は、体の動きと合わせると、さらに楽しくなります。座ったままでもできる動きを、いくつか紹介します。
花がひらく動き
両手をむねの前でつぼみのように合わせ、歌に合わせて、ゆっくり花がひらくように手をひらきます。「さくらさくら」や「花かげ」のような、ゆったりした歌に合います。
ちょうちょうの動き
両手の親指どうしを引っかけて、ちょうちょうの形をつくり、ひらひらと動かします。「ちょうちょう」を歌いながら、ゆっくりと左右に動かしてみてください。手首をやさしく動かす、よい体操にもなります。
こいのぼりの動き
両うでを前にのばし、こいのぼりが風にゆれるように、ゆっくり波の形に動かします。肩がつらい方は、うでを下げたまま、手首だけを動かしてもかまいません。
体を動かすときは、むりのない範囲で、できる動きだけで大丈夫です。歌に合わせたやさしい体操は、こちらの記事にくわしくまとめています。シニアの歌体操。歌に合わせて座ったままできる、やさしい体の動かし方
春を感じる場づくり
歌の会の場所に、春のものを少し置くだけでも、気分がかわります。
- 梅やさくら、菜の花など、季節の花をかざる
- おひなさまや、こいのぼりの小さなかざりを置く
- さくら色の紙で、歌詞カードのまわりをかざる
本物の花のにおいや、かざりの色は、目や鼻からも春を感じるきっかけになります。歌詞カードは、大きな字で、ふりがなをつけておくと読みやすくなります。
春の歌の会で、気をつけたいこと
春は、寒い日とあたたかい日が、行ったり来たりする季節です。体調をくずしやすい時期でもあるので、こんなことに気をつけてください。
- 部屋の温度をこまめにたしかめ、寒くないようにする
- 歌う前に、かるく水分をとる
- 何曲か続けたら、少し休む時間をとる
- のどがつらい方は、むりに歌わず、聞いて楽しむ
花粉の季節は、鼻やのどがつらくなる方もいらっしゃいます。声のかすれや、のどのいたみが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 春の歌は、季節のうつりかわりや、人生の節目を思い出すきっかけになる
- 春のはじまり、ひなまつり、卒業・入学、お花見、端午の節句と、行事に合わせて歌をえらぶ
- 歌のあとに、思い出をたずねる声かけをすると、お話がひろがる
- 明るい歌ははずむように、しっとりした歌はことばを味わうように歌う
- 花がひらく、ちょうちょう、こいのぼりなど、座ったままできる動きを合わせる
- 体調に気をつけて、むりなく楽しむ
春の歌を、みんなで声を合わせて歌う時間は、季節のよろこびを分かち合うひとときです。春の歌をもっと楽しみたい方は、近くの歌の教室をさがしてみるのもよいかもしれません。歌の教室さがし 歌うことを、ひとつの目標にしてみたい方には、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ