鼻歌から曲をつくる。初心者でもできる、はじめての作曲あそび
「お風呂で歌っていたら、知らないメロディが口から出てきた」 「作曲ってむずかしそう。楽器も楽譜もわからないけれど、できるのかな」
ふとしたときに口ずさんだ鼻歌が、「あれ、これ、いいメロディかも」と感じたことはありませんか。じつは、鼻歌は作曲のはじまりとして、とても自然な方法です。楽器が弾けなくても、楽譜が読めなくても、鼻歌なら、だれでもメロディをつくることができます。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌を「歌う」だけでなく、「つくる」ことにも、歌の楽しさがあると感じています。
この記事では、作曲の初心者の方に向けて、鼻歌から曲をつくるやり方をまとめました。大人の方はもちろん、お子様といっしょに楽しむこともできます。
鼻歌で作曲って、できるの?
メロディは、まず「声」から生まれる
作曲というと、ピアノやギターを弾きながらつくるイメージがあるかもしれません。でも、メロディは、もともと人が声で歌うものです。声で歌えるメロディは、歌いやすく、おぼえやすいメロディになりやすいとも言われます。
鼻歌は、のどに力を入れずに、らくに出せる声です。考えすぎずに、ふっと出てきたメロディを大切にできるのが、鼻歌作曲のよいところです。
楽譜や理論は、あとからでいい
作曲には、和音(コード)や楽典などの知識もあります。でも、はじめから全部知っている必要はありません。まずは、鼻歌でメロディをつくって、のこしておくことから。知識は、つくりたくなったときに、少しずつふやしていけばだいじょうぶです。
ステップ1 鼻歌をたくさん出してみる
鼻歌が出やすい時間を見つける
鼻歌は、気持ちがゆるんでいるときに出やすいものです。
- お風呂に入っているとき
- 料理や洗いものをしているとき
- 散歩をしているとき
- ねる前の、ぼんやりした時間
「さあ、つくるぞ」と思うと、かえって出てこないこともあります。ふだんの生活の中で、自然に口ずさむ時間を大切にしてみてください。ふだんの鼻歌を歌の練習に生かす考え方は、こちらの記事でもまとめています。鼻歌やお風呂で歌うのは練習になる?毎日の「ながら歌」で歌が上手くなるコツ
知っている歌から、少しずらしてみる
まったく新しいメロディが出てこないときは、知っている歌を鼻歌で歌いながら、途中から少しずつ音をかえてみるのもおすすめです。「ここで音を上げてみたら?」「ここをのばしてみたら?」とあそんでいるうちに、自分だけのメロディになっていきます。ただし、できあがったメロディが、もとの歌にそっくりなままにならないよう、気をつけましょう。
「いいな」と思ったら、すぐ録音
鼻歌のメロディは、とてもわすれやすいものです。「いいな」と思ったら、すぐにスマホの録音機能でのこしておきましょう。音質は気にしなくてだいじょうぶです。あとで聞きかえせることが、いちばん大切です。
- 録音には、日づけや「お風呂のメロディ」など、短い名前をつける
- 1つの録音は、短くてもいい
- 気に入らなくても、消さずにのこしておく
あとで聞くと、「これ、意外といいかも」と思えることもあります。
ステップ2 短いメロディのまとまりをつくる
「4小節くらい」をめやすに
鼻歌で出てきたメロディを、短いまとまりにしてみましょう。楽譜でいうと4小節くらい、歌でいうと「ひと息で歌える長さ」がめやすです。手びょうしで「1・2・3・4」を4回たたくあいだに歌えるくらい、と考えるとわかりやすいと思います。
「よびかけ」と「こたえ」をつくる
短いメロディができたら、それに「こたえる」メロディをつくってみましょう。
- 1つめのメロディ:問いかけるように、少し上がって終わる
- 2つめのメロディ:こたえるように、下がって落ちつく
このように、2つのまとまりを組み合わせると、ぐっと「曲らしく」聞こえます。多くの歌も、このような組み合わせでできていることがあります。
くりかえしをつかう
同じメロディを2回くりかえしてから、少しかえたメロディを入れると、おぼえやすいまとまりになります。たとえば「A・A・B・A」のように、同じものとちがうものをならべてみてください。はじめはこれだけでも、りっぱな1曲になります。
ステップ3 曲の形を考える
Aメロとサビの考え方
ポップスの歌の多くは、いくつかの部分に分かれています。
- Aメロ:歌いはじめの、落ちついた部分
- Bメロ:サビに向かって、気持ちを高めていく部分
- サビ:いちばん伝えたい、もり上がる部分
はじめての作曲なら、全部そろえなくてもかまいません。「Aメロとサビだけ」のような、短い曲でもじゅうぶんです。
サビは、少し高めの音にすると目立ちやすい
サビのメロディは、Aメロより少し高めの音にしたり、長くのばす音を入れたりすると、もり上がりを感じやすくなります。ただし、自分がらくに歌えない高さにしないことも大切です。むりなく出せる音の中で、つくってみましょう。
曲の長さは、みじかくていい
はじめから3分や4分の曲をつくろうとすると、たいへんです。1分くらいの短い曲でも、完成させることのほうが大切です。1曲できあがると、「次はこうしてみたい」という気持ちがわいてきます。
ステップ4 ことばをのせてみる
メロディが先でも、ことばが先でもいい
作曲のやり方には、メロディを先につくる方法と、ことばを先につくる方法があります。鼻歌作曲では、メロディが先になることが多いと思います。
メロディができたら、「らららー」で歌っていたところに、ことばを入れてみましょう。
音の数とことばの数を合わせる
メロディの1つの音に、1つの文字がのるようにすると、歌いやすくなります。「らららら」と4つの音があれば、「あさだよ」「ゆうやけ」のように、4つの音のことばを入れてみます。合わないときは、ことばをかえるか、メロディのほうを少しかえてもかまいません。
気持ちのテーマを決める
「うれしい日」「雨の日のゆううつ」「大切な人への気持ち」など、テーマを1つ決めると、ことばをえらびやすくなります。お子様といっしょにことばを考えるやり方は、こちらの記事で紹介しています。子どもと歌詞を書いてみよう。初心者でもできる作詞あそびのはじめ方とやり方
ステップ5 のこし方と、伴奏のつけ方
楽譜にしなくても、録音でのこせばいい
楽譜が書けなくても、録音しておけば、曲はちゃんとのこります。できあがったら、はじめから終わりまで通して歌い、もう一度録音しておきましょう。
楽譜を書いてみたくなったら、少しずつ読み方を知っていくのも楽しいと思います。楽譜の読み方は、こちらの記事でやさしくまとめています。楽譜が読めなくても歌える?楽譜のよみ方のはじめの一歩
伴奏は、かんたんな音からでいい
ピアノやギターが少し弾ける方は、メロディに合う音をさがしてみましょう。メロディの終わりの音と同じ音を、低いところで弾いてみるだけでも、伴奏らしく聞こえることがあります。
楽器が弾けない方は、手びょうしや、机をトントンたたくリズムだけでも、立派な伴奏になります。音楽をつくる道具には、パソコンやスマホでつかえるものもいろいろあります。つかいやすさは人によってちがうので、まずは無理のないものからためしてみてください。
作曲をつづけるコツ
完成させることを大切に
途中で「なんだかちがう」と感じても、まずは最後までつくってみましょう。完成した曲は、あとから直すこともできます。完成させた経験が、次の曲づくりの力になります。
聞いてもらう
できあがった曲は、家族や友だちに聞いてもらうのもおすすめです。「ここがいいね」と言ってもらえると、うれしくて、また作曲したくなります。
くらべすぎない
ほかの人の曲とくらべて、落ちこむ必要はありません。はじめての曲は、はじめての曲だからこそのよさがあります。自分の鼻歌から生まれたメロディを、大切にしてください。
つくった曲を公開するときは
できた曲を動画サイトなどで公開するときは、ほかの人の曲に似すぎていないか、もう一度聞きなおしてみましょう。お子様の歌を公開するときは、顔や名前、住んでいる場所がわからないようにするなど、安全にも気をつけてください。
まとめ
- 鼻歌は、楽器や楽譜がなくてもできる、作曲のはじまり
- 「いいな」と思ったメロディは、すぐ録音してのこす
- 4小節くらいの短いまとまりをつくり、「よびかけ」と「こたえ」で組み合わせる
- Aメロとサビだけの、短い曲からはじめる
- メロディにことばをのせるときは、音の数とことばの数を合わせる
- 楽譜にしなくても、録音でのこせばだいじょうぶ
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