子どもと歌詞を書いてみよう。初心者でもできる作詞あそびのはじめ方とやり方
「子どもが、自分で歌をつくって歌っている」 「作詞って、子どもでもできるのかな。やり方がよくわからない」
お子様が、思いついたことばにメロディをつけて、楽しそうに歌っている姿を見たことはありませんか。じつは、それもりっぱな作詞のはじまりです。作詞は、むずかしい決まりを知らなくても、だれでもはじめられます。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌を歌うことと同じくらい、歌のことばにふれることは、お子様にとって楽しい体験になると感じています。
この記事では、お子様といっしょに楽しむ作詞あそびのはじめ方をまとめました。作詞の初心者のお父様・お母様でも、今日からできるやり方を紹介します。
作詞は、子どもにもできるの?
歌詞は「気持ちをことばにしたもの」
歌詞というと、むずかしく感じるかもしれません。でも、もとをたどれば「うれしい」「たのしい」「さみしい」といった気持ちや、見たもの、感じたことを、ことばにしたものです。
小さなお子様は、思ったことをそのまま口にします。その、まっすぐなことばこそ、歌詞のたねになります。大人が「上手な歌詞」を書こうとするより、お子様のほうが、自由にことばを出せることもあります。
作詞あそびで育つもの
作詞あそびをしていると、お子様はいろいろなことばにふれます。
- ことばをさがす楽しさ
- 自分の気持ちに気づくこと
- ことばのリズムや、ひびきのおもしろさ
- 「自分でつくった」という、うれしい気持ち
ただし、何かの力を育てるために、というより、まずは親子で楽しむ時間として考えてみてください。楽しいと思えることが、いちばん大切です。
作詞あそびをはじめる前に
「正しい歌詞」はない、と知っておく
作詞あそびでいちばん大切なのは、お子様のことばを、そのまま受けとめることです。ことばの順番がふしぎでも、意味がよくわからなくても、だいじょうぶです。「おもしろいね」「そのことば、すてきだね」と声をかけてあげてください。
道具はかんたんなものでいい
- 紙とえんぴつ(字が書ける子は自分で、まだの子はお父様・お母様が書く)
- 色えんぴつやクレヨン(絵をかきながらでもOK)
- スマホの録音(歌ったものをのこしておくと楽しい)
ノートを1冊用意して「歌のノート」にすると、あとから見返す楽しみもふえます。
ステップ1 知っている歌の「かえ歌」からはじめる
メロディはそのまま、ことばだけかえる
作詞の初心者には、かえ歌がいちばんはじめやすい方法です。お子様がよく知っている歌のメロディをつかって、ことばだけを入れかえてみましょう。メロディが決まっているので、ことばの長さを合わせるだけで、歌になります。
かえ歌のやり方
- まずは、もとの歌をいっしょに歌う
- 1行だけ、ことばをかえてみる
- かえたところを、いっしょに歌ってみる
- うまく入らないときは、ことばを短くしたり、のばしたりする
たとえば、朝ごはんのことを歌にするなら、「あさの パンは ふわふわ」のように、目の前のものをそのまま入れてみるだけでも楽しくなります。
音の数を合わせるコツ
メロディの音の数と、ことばの数が合わないと、歌いにくくなります。手をたたきながら、ことばを1つずつ言ってみると、音の数をたしかめやすくなります。合わないときは「ふわふわ」を「ふわ」にする、「パン」を「パンケーキ」にするなど、ことばをかえてみましょう。
なお、かえ歌はおうちで楽しむぶんには問題ありませんが、動画サイトなどで公開するときは、もとの歌のきまりに気をつける必要があります。公開したいときは、自分たちでつくったメロディで歌うと安心です。
ステップ2 ことばあつめをする
テーマを1つ決める
かえ歌になれてきたら、自分たちだけの歌詞をつくってみましょう。まずは、テーマを1つ決めます。
- 好きなたべもの
- かっている生きものや、好きな動物
- きょう、公園であったこと
- 季節のこと(雨、雪、さくら、なつやすみ)
- 家族やおともだち
テーマは、お子様が「これがいい」と言ったものにするのがおすすめです。
テーマについて、思いつくことばを書き出す
テーマが決まったら、思いつくことばを、どんどん紙に書き出していきます。たとえば「雨」なら、こんなことばが出てくるかもしれません。
- ぽつぽつ、ざあざあ
- かさ、ながぐつ、みずたまり
- かえる、かたつむり
- つまらない、でも ちょっとたのしい
音をあらわすことば(ぽつぽつ、ざあざあ)は、歌にすると、とてもリズムがよくなります。お子様が出したことばは、ぜんぶ書いておきましょう。
問いかけで、ことばを引き出す
ことばが出にくいときは、お父様・お母様が問いかけてみてください。
- 「どんな音がする?」
- 「どんな色?」
- 「さわったら、どんなかんじ?」
- 「そのとき、どんな気持ちだった?」
「正解」をさがす問いではなく、お子様が思ったことを、自由に言える問いかけが大切です。
ステップ3 短い歌詞に組み立てる
4行くらいの、短い歌詞にする
あつめたことばの中から、好きなものをえらんで、4行くらいの短い歌詞にまとめてみましょう。はじめから長い歌詞をつくろうとすると、たいへんです。短くても、りっぱな歌になります。
たとえば、こんなふうに組み立てられます。
- あめが ぽつぽつ ふってきた
- ながぐつ はいて おでかけだ
- みずたまり ぴょんと とびこえて
- かえるさんに こんにちは
くりかえしをつかう
歌詞の中に、同じことばをくりかえすところをつくると、おぼえやすく、歌いやすくなります。「ぽつぽつ ぽつぽつ」「ぴょん ぴょん ぴょん」のように、音のことばをくりかえすのもおすすめです。
終わりのことばの「ひびき」をそろえてみる
少し大きなお子様なら、行の終わりのことばのひびきを、そろえてみるのもおもしろいです。「ふってきた」「おでかけだ」のように、終わりの音が似ていると、歌ったときに気持ちよく聞こえます。むりにそろえなくてもだいじょうぶですが、気づいたら「おもしろいね」と伝えてみてください。
ステップ4 歌ってみる
メロディは、かんたんでいい
歌詞ができたら、歌ってみましょう。知っている歌のメロディにのせてもいいですし、お子様が思いついたふしで歌ってもいいです。お子様が鼻歌でつくったメロディを、そのまま生かしてみるのも楽しい方法です。
鼻歌から曲をつくるやり方は、こちらの記事にまとめています。鼻歌から曲をつくる。初心者でもできる、はじめての作曲あそび
録音してのこしておく
お子様が歌ったら、スマホで録音しておきましょう。あとで家族で聞いたり、何か月かたってから聞きかえしたりすると、うれしい思い出になります。
家族の前で発表する
できあがった歌は、家族の前で歌ってもらうのもすてきです。おうちで小さな発表会をひらくと、お子様の「聞いてもらえてうれしい」という気持ちが、次の歌づくりへの楽しみにつながります。おうち発表会の楽しみ方は、こちらの記事でも紹介しています。おうちで小さな発表会をひらこう。家族の前で歌う練習と、楽しくする工夫
年齢別の楽しみ方のめやす
3〜4歳ごろ
まずは、知っている歌のことばを、1つだけ入れかえるところから。お子様の名前や、好きなたべものを入れるだけでも、とても喜ぶことが多いです。字を書くのは、お父様・お母様がしてあげてください。
5〜6歳ごろ
テーマを決めて、ことばあつめをするところまで、いっしょに楽しめるようになってきます。短い歌詞を組み立てて、自分で歌ってみましょう。
小学生
自分で歌詞を書いたり、行の終わりのひびきをそろえたり、気持ちをこめたことばをえらんだりと、作詞らしい工夫ができるようになってきます。学校であったことや、友だちのこと、季節のことなど、テーマも広がります。
声をかけるときに気をつけたいこと
直しすぎない
大人から見ると、「こうしたほうがいいのに」と思うところがあるかもしれません。でも、お子様のことばを大人の考えで直しすぎると、作詞が楽しくなくなってしまうことがあります。お子様から「どうしたらいい?」と聞かれたときに、いっしょに考えるくらいがちょうどよいです。
くらべない
きょうだいやおともだちとくらべるのは、さけましょう。歌詞に上手・下手はありません。その子にしか書けないことばがあることを、大切にしてください。
作品を大事にあつかう
お子様が書いた歌詞を、ノートにはったり、かべにかざったりすると、「自分のことばを大事にしてもらえた」と感じやすくなります。
まとめ
- 作詞は、気持ちや見たものを、ことばにすること。子どもでもはじめられる
- はじめは、知っている歌のかえ歌からがやりやすい
- テーマを決めて、ことばあつめをする
- 4行くらいの短い歌詞に組み立てて、くりかえしをつかう
- 歌ってみて、録音や家族の前での発表を楽しむ
- お子様のことばを直しすぎず、くらべず、大事にする
お子様が自分でつくった歌や、好きな歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ