合唱とカラオケの歌い方のちがい。どちらも楽しむための声の使い分け
「合唱では先生にほめられるのに、カラオケだと声が小さいと言われる」 「カラオケになれていて、合唱で声がまわりから浮いてしまう」 「合唱とカラオケ、歌い方をどう切りかえたらいいの?」
合唱もカラオケも、歌うことにはかわりありません。でも、合唱とカラオケでは、声の出し方や、まわりとのかかわり方にちがいがあります。どちらも楽しんでいる方ほど、そのちがいにとまどうこともあるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、合唱とカラオケの歌い方のちがいを、いくつかの点からくらべてみます。どちらがよい、どちらが正しいという話ではありません。それぞれのよさを知って、場面に合わせて声を使い分けるための手がかりとして、読んでいただけたらうれしいです。
大人から合唱をはじめたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。大人の合唱団・コーラスのはじめ方|見学のしかた、パートの決まり方、長くつづけるコツ
合唱とカラオケのちがいは、まず「目的」から
合唱は、みんなでひとつのひびきをつくる
合唱は、何人もの声を合わせて、ひとつのひびきをつくる歌です。自分の声が目立つことよりも、まわりの声ととけ合うことが大切にされます。同じパートの人と声をそろえ、ほかのパートと重なって、はじめて曲ができあがります。
カラオケは、自分の声で曲を伝える
カラオケは、ひとりで、または少ない人数で、伴奏に合わせて歌います。自分の声で、曲の気持ちやことばを、聞いている人に伝えることが中心になります。声のくせや、その人らしさも、歌の味として楽しまれます。
目的がちがうので、声の使い方もかわってくる、と考えるとわかりやすくなります。
声の出し方のちがい
合唱は、ひびきのある、まるい声
合唱では、口の中を広くして、頭や顔のまわりにひびかせるような、まるい声で歌うことがあります。一人ひとりの声がやわらかくひびくと、みんなの声が重なったときに、きれいにまとまりやすくなります。
カラオケは、話し声に近い、まっすぐな声
カラオケで歌う曲は、話すときの声に近い、まっすぐな声で歌うと、ことばが伝わりやすいこともあります。マイクが声をひろってくれるので、小さな声の息づかいや、ささやくような声も、表現として使えます。
地声と裏声の使い方
合唱では、高い音を、やわらかい裏声まじりの声で歌うこともあります。カラオケでは、地声を中心に、曲によって裏声やミックスボイスを使い分けることもあります。地声と裏声については、こちらの記事でくわしくふれています。地声と裏声の違いとは?切り替えのコツと、境目をなめらかにする練習
ひびかせ方と音量のちがい
合唱は、マイクなしで遠くまで届ける
合唱では、マイクを使わずに歌うこともあります。からだ全体をひびかせて、部屋やホールのすみまで声を届けます。大きな声をはり上げるのではなく、ひびきで遠くまで届けるイメージです。
カラオケは、マイクと声のバランスで聞かせる
カラオケでは、マイクが声を大きくしてくれます。そのぶん、声を出しすぎなくても、伴奏とつり合う音量になります。マイクの持ち方や口との距離をかえることで、声の大きさや聞こえ方を調整できます。
「声が小さい」と言われる理由
合唱でひびかせる声になれていると、カラオケでマイクを使ったときに、声がやわらかすぎて、伴奏にうもれて聞こえることがあります。反対に、カラオケになれていると、合唱で声がまっすぐすぎて、まわりから浮いて聞こえることもあります。どちらも、歌い方がまちがっているのではなく、場面に合わせた調整のちがいです。
息の使い方と、ことばの伝え方のちがい
合唱は、長いフレーズを息でささえる
合唱曲には、ゆったりと長くのばすフレーズもあります。おなかからの息で声をささえ、音がゆれないように歌います。また、みんなで息をすう場所をそろえることで、歌のまとまりが生まれます。
カラオケは、ことばのリズムに合わせて息をする
カラオケで歌う曲は、ことばがつまっていたり、リズムがこまかかったりすることもあります。ことばのリズムに合わせて、こまめに息をすうことが大切になります。息つぎの場所は、自分の歌いやすさに合わせて決めてかまいません。
発音のちがい
合唱では、みんなでことばのはじまりや、のばす母音、ことばの終わりの音をそろえます。カラオケでは、自分らしいことばの言い方や、軽くくずした発音も、歌の表現として生かせます。
まわりとの合わせ方のちがい
合唱は、まわりの声を聞きながら歌う
合唱では、自分の声だけでなく、となりの人の声や、ほかのパートの音を聞きながら歌います。自分の声が大きすぎないか、音程がずれていないかを、たえずたしかめています。指揮者の合図に合わせて、テンポや強弱をそろえることも大切です。
合唱でほかのパートにつられてしまうときの練習は、こちらの記事にまとめています。合唱でほかのパートにつられるときは?つられない方法と、自分のパートをたもつ練習
カラオケは、伴奏と自分の声を合わせる
カラオケでは、合わせる相手は伴奏です。伴奏のリズムや前奏をよく聞いて、自分のタイミングで歌いだします。テンポのゆれや、ためて歌うことも、自分で決められます。
表現の自由さのちがい
合唱では、強弱や表情は、みんなで決めたとおりに合わせます。カラオケでは、どこを強く歌うか、どこでやさしく歌うかを、自分で自由に決められます。どちらにも、それぞれの楽しさがあります。
両方を楽しむための、声の使い分けのコツ
歌う前に、どちらの場面かを意識する
合唱の練習に行く前、カラオケに行く前に、「今日はみんなでひびきを合わせる日」「今日は自分の声で伝える日」と、心の中で切りかえてみてください。意識するだけでも、声の出し方がかわることがあります。
合唱のときは「聞く」を大切に
カラオケになれている方が合唱で歌うときは、自分の声を少しおさえて、まわりの声を聞く時間をふやしてみてください。口の中を少し広くして、やわらかい声を意識すると、まわりとまとまりやすくなります。
カラオケのときは「伝える」を大切に
合唱になれている方がカラオケで歌うときは、マイクを口に近づけて、ことばをはっきり伝えることを意識してみてください。話しかけるような気持ちで歌うと、ひびきだけでなく、ことばも届きやすくなります。
どちらの経験も、もう一方に生きる
合唱で身につく、息のささえや、まわりを聞く力は、カラオケでも、伴奏をよく聞いて歌う力になります。カラオケで身につく、ことばの伝え方や、表現を自分で考える力は、合唱でも、歌に気持ちをこめる助けになります。両方を楽しむことで、歌のはばが広がることもあります。
のどにむりをさせない
合唱とカラオケで声を切りかえるときに、むりな声の出し方をすると、のどが疲れることもあります。どちらの場面でも、肩や首の力をぬいて、らくに歌うことを大切にしてください。のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
先生といっしょに学ぶのもひとつの方法
合唱の声と、カラオケの声の使い分けを、ひとりで身につけるのはむずかしく感じることもあります。合唱団や、ボイストレーニングの教室では、声の出し方を、それぞれの場面に合わせて教えてもらえることがあります。教室によって、合唱向き、ポップス向きなど、とくいな分野がちがうので、体験レッスンや見学で、自分に合うところをさがしてみてください。歌の教室さがし
まとめ
- 合唱はみんなでひとつのひびきをつくり、カラオケは自分の声で曲を伝える
- 合唱はまるくひびく声、カラオケは話し声に近いまっすぐな声で歌うこともある
- 合唱はマイクなしでひびきで届け、カラオケはマイクとのバランスで聞かせる
- 合唱は息つぎや発音をみんなでそろえ、カラオケは自分の歌いやすさで決められる
- 合唱はまわりの声を聞き、カラオケは伴奏と自分の声を合わせる
- 歌う前に場面を意識し、合唱では「聞く」、カラオケでは「伝える」を大切にする
- どちらの経験も、もう一方の歌に生きる
合唱もカラオケも、それぞれにちがう楽しさがあります。声の使い分けを知ると、どちらの歌も、もっと気持ちよく楽しめるようになります。歌の世界をもっと広げたい方は、教室や合唱団をさがしてみるのもよいかもしれません。歌の教室さがし自分の歌をだれかに届けてみたい方には、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ