合唱でほかのパートにつられるときは?つられない方法と、自分のパートをたもつ練習
「ひとりだと歌えるのに、みんなで合わせると、となりのパートにつられてしまう」 「気づいたら、メロディーのほうを歌っていた」 「つられるのがこわくて、声が小さくなってしまう」
合唱をしていると、こんななやみにぶつかることがあります。とくに、アルトやテノール、バスなど、メロディーではないパートを歌うときに、ほかのパートの音に引っぱられてしまうことがあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、合唱で「つられる」なやみにしぼって、つられてしまう理由と、つられない方法、自分のパートをたもつための練習をまとめました。中学生・高校生の合唱部やクラス合唱の方にも、大人の合唱団の方にも、読んでいただける内容です。
はじめにお伝えしたいのは、つられてしまうのは、耳がよくほかの音をちゃんと聞いているからこそ起きることでもある、ということです。「自分は音がとれない」と落ちこむ前に、できることから少しずつためしてみてください。
合唱でつられてしまうのは、なぜ?
メロディーは耳に残りやすい
メロディーは、曲の中で目立つ線です。聞いた人の耳に残りやすく、ついそちらを口ずさみたくなります。自分のパートがメロディーでないときは、とくに引っぱられやすくなります。
近い音どうしは、まざりやすい
となりのパートと、自分のパートの音が近いところでは、どちらの音を歌っているのか、わかりにくくなることがあります。音が近いぶん、少しずれただけで、ほかのパートの音にすべりこんでしまうこともあります。
自分のパートが、まだ体に入っていない
自分のパートを、まだしっかりおぼえていないときは、まわりの音をたよりにして歌おうとします。そうすると、大きく聞こえるパートのほうへ、自然と引っぱられてしまいます。音取りのやり方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。合唱の音取りのやり方。自分のパートを早くおぼえる練習のコツ
自信がなくて、声が小さくなる
「まちがえたらどうしよう」と思うと、声が小さくなります。自分の声が小さいと、自分の音が自分の耳に聞こえにくくなり、ほかのパートの音ばかりが入ってきます。その結果、さらにつられやすくなる、というくりかえしになることもあります。
まずは、ひとりで自分のパートをかためる
ピアノや音源で、自分のパートだけをくりかえす
つられない方法の土台は、自分のパートを体にしみこませることです。ピアノや練習用の音源で、自分のパートだけを何回も歌ってみてください。
- はじめは音源といっしょに歌う
- 慣れてきたら、音源を小さくして歌う
- さいごは、はじめの音だけもらって、ひとりで歌う
ひとりで歌いきれるところがふえると、みんなで合わせたときにも、自分の音を見うしないにくくなります。
つられやすいところに、しるしをつける
みんなで合わせたときに、つられてしまったところを楽譜にメモしておきましょう。
- となりのパートと音が近いところ
- メロディーと同じリズムで動くところ
- 自分のパートだけ音が動かず、のばしているところ
しるしをつけたところだけをとり出して、ひとりで何回か練習しておくと、本番での心配がへることがあります。
音の動きを、ことばで説明してみる
「ここは上がる」「ここは同じ音のまま」「ここで少し下がる」と、自分のパートの音の動きを、ことばにしてみるのも一つの方法です。体の感覚だけでなく、頭でも音の流れがわかっていると、まわりにつられても、もとの道にもどりやすくなります。
ほかのパートといっしょに歌う練習
いきなり全員で合わせず、二つのパートから
全部のパートで合わせると、音がたくさん聞こえて、つられやすくなります。はじめは、自分のパートと、もう一つのパートだけで合わせてみてください。
- メロディーのパートと、自分のパート
- 自分のパートと、そのすぐ上か下のパート
二つのパートで歌えるようになったら、少しずつパートをふやしていきます。
ほかのパートを「聞かない」のではなく「聞きながら歌う」
つられたくないあまりに、耳をふさいで歌う方もいます。たしかに一時的には歌いやすくなりますが、合唱は、ほかのパートの音と重なって、ひびきが生まれるものです。
ほかのパートを聞かないようにするより、「いま、自分の音とほかの音が重なっている」と感じながら歌うことをめざしてみてください。はじめはむずかしくても、くりかえすうちに、重なりを楽しめるようになることもあります。ハモリの感覚をつかむ練習は、こちらの記事にまとめています。ハモリの練習。ハモれるようになるコツと、家でできる練習
少しずつ、ほかのパートの音を大きくしていく
家で練習するときは、ほかのパートの音源を小さめに流しながら、自分のパートを歌ってみましょう。歌えるようになったら、ほかのパートの音を少しずつ大きくしていきます。
いきなり同じ大きさで流すより、少しずつ慣れていくほうが、つられない感覚を育てやすくなります。
立ち位置や耳の使い方の工夫
同じパートの人の声を聞く
練習のとき、同じパートの人のそばに立てるなら、その声をたよりにするのもよい方法です。自分ひとりでがんばるのではなく、パートのみんなで一つの線をつくる、と考えると、気持ちが少し楽になります。
片方の耳に、そっと手をあてる
自分の声が聞こえにくいときは、片方の耳のうしろに、そっと手をそえてみてください。手が小さなついたてになって、自分の声が耳にとどきやすくなることがあります。
ただし、本番ではできないことも考えられます。練習のときに、自分の声の聞こえ方をたしかめるための工夫として使ってください。
まわりの音がにぎやかすぎるときは、相談を
ほかのパートの声がとても近く、どうしても自分の音が聞こえないときは、指導の先生やパートリーダーに相談してみましょう。並び方を少しかえるだけで、歌いやすくなることもあります。
練習のときの気持ちの持ち方
つられても、止まらずにもどる
合わせの練習でつられたとき、すぐに歌うのをやめてしまうと、自分の音にもどるきっかけがなくなります。つられたと気づいたら、次のフレーズのはじめから、自分のパートにもどることを意識してみてください。
「つられない」ことだけでなく、「つられても、もどれる」ことも大切な力です。
自分の声を、録音してたしかめる
みんなで合わせたときのようすを録音しておくと、どこでつられたのか、あとから落ちついて聞くことができます。思っていたより歌えているところもあれば、気づかなかったずれに気づけることもあります。
声を小さくしすぎない
つられるのがこわいと、声をひそめたくなります。でも、声が小さすぎると、自分の音がわからなくなってしまいます。無理に大きくしなくてよいので、自分の耳にとどくくらいの声で歌うことを心がけてみてください。
のどに痛みが出たり、かすれが続いたりするときは、無理をせずに休みましょう。続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
本番の前に気をつけたいこと
はじめの音を、しっかり心にもつ
本番では、緊張で音がわからなくなることもあります。歌い出す前に、自分のパートのはじめの音を心の中でならしておくと、落ちついて入りやすくなります。
つられやすいところを、前もって思い出しておく
楽譜につけたしるしを、本番の前に見なおしておきましょう。「ここはとなりのパートと近い」とわかっているだけで、気持ちの準備ができます。
パートのみんなと声をかけあう
本番前に、同じパートの人と「ここ、気をつけようね」と声をかけあうのもよい方法です。ひとりで不安をかかえるより、みんなで確かめあうほうが、心強く歌えることがあります。
つられやすさは、少しずつかわっていく
はじめはつられて当たり前と考える
新しい曲を練習しはじめたばかりのころは、まわりの音に引っぱられやすいこともあります。練習をかさねるうちに、自分のパートの線が少しずつはっきりしてきます。はじめからつられないことをめざすより、きのうより少しもどりやすくなった、という小さな変化に目を向けてみてください。
歌える日と歌えない日があってもいい
体調や気持ちによって、同じところでもつられる日と、つられない日があります。うまくいかない日があっても、それまでの練習がむだになるわけではありません。あせらずに、また次の練習で自分のパートをたしかめていきましょう。
まとめ
- 合唱でつられるのは、メロディーが耳に残りやすいことや、音が近いことが理由になることもある
- 自分のパートが体に入っていないと、まわりの音に引っぱられやすい
- まずはひとりで自分のパートをかため、つられやすいところにしるしをつける
- いきなり全員で合わせず、二つのパートから少しずつ合わせる
- ほかのパートを聞かないのではなく、聞きながら自分の音をたもつことをめざす
- つられても止まらず、次のフレーズからもどる練習をする
- のどに痛みやかすれが続くときは、無理をせずお医者さんに相談する
自分のパートをたもてるようになると、合唱のひびきの中にいる楽しさが、もっと感じられるようになります。ひとりで歌う力をためしてみたいときには、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ