外国語の歌詞を暗譜するコツ。イタリア語・ドイツ語の歌をおぼえる方法
「イタリア歌曲の歌詞が、なかなか頭に入らない」 「ドイツ語の歌を暗譜で歌うことになったけれど、どこから手をつければいいの?」
声楽の発表会やコンクールでは、外国語の歌を楽譜を見ずに歌う(暗譜で歌う)ことが多いです。日本語の歌なら、ことばの意味から自然におぼえられますが、外国語の歌詞は、知らないことばの音のならびに見えてしまい、おぼえにくく感じる方がたくさんいます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。外国語の歌を暗譜で歌うのは、子どもでも大人でも、ひとつの大きなかべだと感じています。
この記事では、外国語の歌詞を暗譜するコツにしぼって、イタリア語やドイツ語の歌をおぼえる方法をまとめます。日本語の歌詞を早くおぼえるコツは、こちらの記事に書いています。子どもが歌詞と曲を早くおぼえるコツ。暗譜がにがてな子も楽しくできる6つの方法
外国語の歌詞がおぼえにくい理由
意味がわからないと、音のならびになってしまう
ことばの意味がわからないまま、音だけで歌詞をおぼえようとすると、頭の中では意味のない音のならびになってしまいます。ひとつでもまちがえたり、とちゅうでわすれたりすると、そこから先がつながらなくなりやすいのです。
読み方があいまいなまま歌っている
つづりと読み方の関係があいまいだと、毎回ちがう発音になったり、歌詞カードを見ないと不安になったりします。読み方がしっかり決まっていないことばは、おぼえにくく、わすれやすいものです。
メロディといっしょにしか、おぼえていない
いつもメロディにのせて歌っているだけだと、歌詞はメロディの一部としておぼえられます。すると、本番で緊張してメロディがゆれたとき、歌詞までいっしょにとんでしまうことがあります。
暗譜をはじめる前の準備
1 ことばの意味をしらべる
まず、歌詞の意味を知ることからはじめましょう。外国語の歌曲の楽譜には、日本語の訳がついているものも多くあります。訳がないときは、辞書や対訳の本などでしらべてみてください。
- 曲ぜんたいで、何を歌っているのか
- 1行ずつ、だいたいどんな意味か
- 大切なことば(たとえば「心」「愛」「花」など)は、どれか
1語ずつの意味をぜんぶおぼえる必要はありません。「この行は、だれかをよんでいるところ」「ここで気持ちがかわる」くらいがわかるだけでも、おぼえやすさがかわります。
2 楽譜に、意味を書きこむ
しらべた意味は、楽譜の歌詞の上や下に、えんぴつで小さく書きこんでおきましょう。とくに、気持ちの大切なことばには印をつけておくと、あとで歌うときの手がかりになります。
3 読み方を、先生にたしかめてもらう
自分で読み方をつけたら、一度先生に聞いてもらうのがおすすめです。まちがった読み方でおぼえてしまうと、あとで直すのに時間がかかります。イタリア語の発音のきほんは、こちらの記事でもまとめています。イタリア歌曲の発音のきほん。声楽をならう子ども・大人のために
外国語の歌詞をおぼえる練習
1 メロディなしで、声に出して読む
まず、メロディをつけずに、歌詞をふつうの声で読みます。はじめはゆっくり、1行ずつで大丈夫です。
- 1行を読んだら、楽譜を見ずにくりかえす
- できたら、つぎの行とつなげて読む
- 2行、4行と、少しずつ長くしていく
歌詞を「ことば」として口になじませておくと、メロディにのせたときも、ことばがくずれにくくなります。
2 リズムにのせて読む
なれてきたら、歌のリズムに合わせて、歌詞を読んでみましょう。手でひざを軽くたたきながら読むと、リズムがつかみやすくなります。音の高さはつけず、リズムとことばだけをそろえます。
3 意味を思いうかべながら読む
読みながら、その行の意味や場面を思いうかべてみてください。「ここは、遠くの人を思っている」「ここは、春の野原」など、頭の中に絵ができると、ことばがその絵にむすびつき、わすれにくくなります。
4 書いておぼえる
紙に、歌詞を何も見ずに書いてみるのも、よい練習です。書いてみると、つづりや、ことばの順番があいまいなところがはっきりします。書けなかったところは、そこだけをくりかえし読みましょう。
5 メロディにのせて、少しずつ
ことばがなじんできたら、メロディにのせて歌います。いきなり全曲を通すより、1フレーズずつ、楽譜を見ずに歌ってみるのがおすすめです。つまったところは、楽譜にもどってたしかめ、またすぐに楽譜をとじて歌います。
6 とちゅうから歌いはじめる練習
暗譜でよくあるのが、「はじめからなら歌えるけれど、とちゅうからだと出てこない」ということです。曲をいくつかの場面に分けて、それぞれの場面の頭から歌いはじめる練習をしておくと、本番でつまったときも、つぎの場面から立てなおしやすくなります。
ドイツ語・イタリア語、それぞれのコツ
イタリア語の歌のコツ
イタリア語は、つづりと読み方の関係がわかりやすく、母音がはっきりしたことばです。
- 母音をていねいに読むと、ことばが口になじみやすい
- 同じことばが、くりかえし出てくる曲も多い
- くりかえしの順番がかわるところに、印をつけておく
イタリアの古い歌曲は、同じことばを何度もくりかえすことが多く、「何回目に、どのことばが来るか」でまちがえやすいものです。楽譜を見て、くりかえしのならびを、先に整理しておきましょう。
ドイツ語の歌のコツ
ドイツ語は、子音が多く、ひとつのことばが長くなることもあります。
- 長いことばは、いくつかの部分に分けて読む
- 子音のならびを、ゆっくり口で何度も言ってみる
- 文のさいごに大切なことばが来ることもあるので、意味のまとまりで読む
ドイツ語の歌曲は、詩そのものを大切にして作られた曲が多いので、詩の意味を知ることが暗譜の大きな助けになります。ドイツ語の発音のきほんは、こちらの記事でもまとめています。声楽のドイツ語・フランス語の発音のきほん。はじめての外国語の歌で気をつけたいこと
毎日の暗譜のすすめ方
短い時間を、何回かに分ける
外国語の歌詞は、一度に長い時間おぼえようとするより、短い時間を何回かに分けたほうが、頭にのこりやすいと感じる方が多いです。
- 朝に、歌詞を声に出して1回読む
- 家事や移動のあいだに、頭の中で歌詞をたどる
- 夜に、楽譜を見ずに1回歌ってみる
声を出せない場所でも、歌詞を頭の中で思い出す練習はできます。
自分の読み声を録音して、聞きながらおぼえる
先生にたしかめてもらった読み方で、自分の声で歌詞を読み、スマホで録音しておくのもよい方法です。家事や散歩のあいだに聞きかえすと、目で読むだけより、耳からもことばが入ってきます。
録音を聞くときは、ただ流すだけでなく、ときどき止めて、つぎの行を自分で言ってみましょう。「聞く」と「思い出す」をくりかえすと、頭にのこりやすくなります。
楽譜をはなす日を、先に決めておく
「この日からは、楽譜を見ずに練習する」という日を、カレンダーに書いておくのもおすすめです。目じるしがあると、それまでに少しずつおぼえようという気持ちになりやすくなります。
本番の数週間前には、楽譜をはなす
本番が近づいてから暗譜をはじめると、気持ちがあせってしまいます。曲にもよりますが、本番の数週間前には楽譜をはなして歌えるようにしておくと、のこりの時間で、表現の練習にとりくみやすくなります。
本番で歌詞がとんでしまったら
どんなに練習しても、本番で歌詞が一瞬出てこないことはあります。そんなときは、つぎのことを思い出してください。
- 表情をかえず、母音だけでもメロディをつづける
- つぎのフレーズや、つぎの場面の頭から歌いなおす
- 歌い終わったら、いつもどおりにおじぎをする
外国語の歌では、聞いている方がことばのまちがいに気づかないことも多いです。止まらずに歌いつづけることを、いちばん大切にしましょう。
まとめ
- 外国語の歌詞は、意味を知らないと音のならびになり、おぼえにくい
- 暗譜の前に、意味をしらべて楽譜に書きこみ、読み方を先生にたしかめる
- メロディなしで読む、リズムで読む、意味を思いうかべる、書くの順に練習する
- メロディにのせたら、1フレーズずつ、とちゅうからも歌えるようにする
- イタリア語はくりかえしのならび、ドイツ語は長いことばと意味のまとまりに気をつける
- 短い時間を何回かに分け、本番の数週間前には楽譜をはなす
外国語の歌詞が自分のことばのように口から出てくると、歌の表現もぐっと自由になります。暗譜できた歌を聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、外国語の歌に取り組んだ成果を知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ