練習・発声のコツ

声楽のドイツ語・フランス語の発音のきほん。はじめての外国語の歌で気をつけたいこと

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「こんど、はじめてドイツ歌曲を歌うことになった」 「フランス歌曲の発音が、どう読めばいいのか、まったくわからない」

声楽を習っていると、イタリア語の歌のつぎに、ドイツ語やフランス語の歌にとりくむことがあります。でも、見なれないつづりや記号が多くて、とまどってしまう方も多いと思います。

わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。外国語の歌は、ことばの読み方がわかるだけで、ぐっと歌いやすくなります。

この記事では、ドイツ歌曲・フランス歌曲の発音にしぼって、はじめての方がおさえておきたいきほんをまとめました。イタリア語の発音については、べつの記事でくわしくお話ししています。イタリア歌曲の発音のきほん。声楽をならう子ども・大人のために

なお、発音の細かいところは、歌う曲や先生の考え方によってちがうこともあります。この記事は「入り口」として読んでいただき、くわしいところは、かならず先生にたしかめてください。

はじめに知っておきたいこと

カタカナだけにたよりすぎない

外国語の歌詞に、カタカナで読み方をふると、はじめはとても便利です。でも、カタカナでは書きあらわせない音も、たくさんあります。

  • カタカナは「だいたいの目安」としてつかう
  • 先生のお手本や、ていねいに読んでいる音源をよく聞く
  • 自分の読み方を録音して、お手本とくらべる

耳で聞いて、まねすることが、いちばんの近道です。

歌の発音と、ふだんの話しことばはちがうところもある

声楽では、ことばをはっきり伝えるために、ふだんの会話より、ていねいに発音することがあります。また、むかしからの歌い方のならわしで、話しことばとはちがう読み方をするところもあります。だからこそ、歌の発音を教えてくれる先生の話が大切になります。

ドイツ歌曲の発音のきほん

ドイツ語は「書いてあるとおり」に近い

ドイツ語は、つづりと読み方の決まりが、わりとはっきりしています。決まりをいくつかおぼえると、はじめて見る単語でも、読めるようになっていきます。

ウムラウト(ä・ö・ü)

母音の上に点が2つついた文字を、ウムラウトといいます。

  • ä(たとえば「Mädchen」) 「エ」に近い音
  • ö(たとえば「schön」) 「エ」の口の形のまま、くちびるを丸める
  • ü(たとえば「grün」) 「イ」の口の形のまま、くちびるを丸める

ö と ü は、日本語にない音です。舌の位置はそのままで、くちびるだけを前に丸めるのがコツです。鏡を見ながら練習してみてください。

母音の組み合わせ

  • ei(たとえば「mein」) 「アイ」と読む
  • ie(たとえば「Liebe」) 「イー」とのばす
  • eu・äu(たとえば「Freude」) 「オイ」に近い音

ei と ie は、まちがえやすいところです。「うしろの文字で読む」とおぼえておくと、わかりやすいと思います。

ch の読み方

ch は、前にある母音によって、音がかわります。

  • a・o・u のあと(たとえば「Nacht」) のどのおくで、息をこするような音
  • それ以外(たとえば「ich」) 「ヒ」を息だけでささやくような音

どちらも、声をつけずに、息の音だけで出します。強くやりすぎると、のどに力が入るので、やさしい息で練習しましょう。

子音の読み方で気をつけたいもの

  • w(たとえば「wie」) 「ヴ」に近い音
  • v(たとえば「Vater」) 多くの単語で「フ」に近い音
  • z(たとえば「Herz」) 「ツ」の音
  • 母音の前の s(たとえば「Sonne」) 「ズ」に近い音
  • 単語のはじめの st・sp(たとえば「Stern」) 「シュト」「シュプ」

語尾の音

単語のおわりにある b・d・g は、音がかわって、それぞれ p・t・k に近く読みます。たとえば「Tag」は、さいごが「ク」に近い音になります。

また、語尾の「-er」は、はっきりした「エル」ではなく、軽い「ア」に近い音で歌うことが多いです。このあたりは、先生によって教え方がちがうこともあります。

子音をていねいに

ドイツ語の歌は、子音がことばの意味を伝える、大切な役わりをもっています。子音をはっきり発音すると、ことばが聞きとりやすくなります。

ただ、子音を強くしすぎると、メロディーがとぎれてしまいます。母音でしっかり歌って、子音は短く、すばやく、と意識してみてください。ドイツ歌曲そのものの楽しみ方は、こちらの記事でもしょうかいしています。リートとは?ドイツ歌曲の楽しみ方と、はじめて歌うときのコツ

フランス歌曲の発音のきほん

フランス語は「読まない文字」が多い

フランス語は、つづりに書いてあっても、読まない文字がたくさんあります。

  • 単語のおわりの子音は、読まないことが多い(たとえば「nuit」の t)
  • h は、読まない(たとえば「heure」)
  • ただし、おわりの c・r・f・l は読むことも多い

例外もたくさんあるので、1つずつ辞書や先生のお手本でたしかめていきましょう。

鼻母音

フランス語には、鼻にぬけるようにひびかせる母音があります。これを鼻母音といいます。

  • an・en(たとえば「enfant」)
  • on(たとえば「mon」)
  • in・ain(たとえば「matin」)

日本語の「ン」のように、舌をうわあごにつけて音をとじないのがポイントです。母音をのばしながら、息の一部を鼻のほうへ流すイメージで歌います。

母音の読み方

  • u(たとえば「lune」) 「イ」の口の形で、くちびるを丸める
  • ou(たとえば「amour」) くちびるを丸めた「ウ」
  • eu(たとえば「fleur」) 「エ」の口の形で、くちびるを丸める
  • oi(たとえば「soir」) 「ワ」に近い音
  • ai・è・ê(たとえば「rêve」) 口を少しひろめにした「エ」

ドイツ語の ü とフランス語の u は、とても近い音です。片方を練習すると、もう片方にも生かせます。

語尾の e

単語のおわりの e は、話しことばでは読まないことが多いです。でも、歌では、その e に音符がついているときは、軽く、あいまいな「ウ」と「エ」のあいだのような音で歌うことがあります。

ここは、フランス歌曲ならではのところです。楽譜を見て、音符があるかどうかをたしかめ、先生にどう歌うかを聞いておきましょう。

つなげて読む音(リエゾン)

ふだんは読まない語尾の子音が、つぎの単語が母音ではじまるときに、つながって読まれることがあります。これをリエゾンといいます。

たとえば「les amis」は、「レ・アミ」ではなく「レザミ」のように、つなげて読みます。

どこでつなげて、どこでつなげないかには決まりがあり、歌では先生の考え方によってもちがうことがあります。楽譜に、つなげるところのしるしを書きこんでおくと、まちがえにくくなります。

r の読み方

フランス語の r は、ふだんの会話では、のどのおくで出す音が多いです。歌では、舌先を軽くはじく音で歌うこともあります。どちらで歌うかは、曲や先生によってちがうので、レッスンでたしかめてください。

練習のすすめ方

1 ことばだけを、ゆっくり読む

いきなり歌うのではなく、まずは歌詞をゆっくり読む練習からはじめましょう。

  • 1行ずつ、先生のお手本をまねして読む
  • 読めないところに、えんぴつでしるしをつける
  • なれてきたら、リズムに合わせて読む

2 母音だけで歌ってみる

子音をぬいて、母音だけでメロディーを歌ってみると、声のつながりがよくなります。そのあとに子音をもどすと、なめらかに歌いやすくなります。

3 意味を知っておく

ことばの意味がわかると、どの単語を大切に歌えばよいかが見えてきます。1つ1つの単語の意味を、楽譜の下に書いておくのもおすすめです。

4 録音してくらべる

自分の発音を録音して、お手本とくらべてみましょう。ちがうところに気づくことが、上達への第一歩です。

のどをいためないように

外国語の音を出そうとして、のどや口のまわりに力が入りすぎることがあります。つかれたら休み、むりをしないでください。痛みやかすれがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。

まとめ

  • カタカナは目安として、お手本をよく聞いてまねする
  • ドイツ語は、ウムラウト、ei と ie、ch、語尾の音、子音のていねいさがポイント
  • フランス語は、読まない文字、鼻母音、丸い母音、語尾の e、リエゾンがポイント
  • まずはゆっくり読む、母音で歌う、意味を知る、録音してくらべる
  • 細かいところは、曲や先生によってちがうので、レッスンでたしかめる

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