子どもが歌詞と曲を早くおぼえるコツ。暗譜がにがてな子も楽しくできる6つの方法
「曲は歌えるのに、歌詞がなかなかおぼえられない」 「2番と3番がまざってしまう」
歌のコンクールでは、歌詞や楽譜を見ずに歌う「暗譜(あんぷ)」が決まりのことが多くあります。この記事では、子どもが歌を楽しくおぼえるコツをお伝えします。
まず「意味」からおぼえる
いちばん大切なのは、歌詞の意味をわかってからおぼえることです。意味がわからないままだと、「音のならび」を丸暗記することになり、とてもたいへんです。
とくに昔の童謡には、今は使わないことばがよく出てきます。そのことばの意味を、いっしょに調べてみましょう。意味がわかると、おぼえやすさも、歌い方もかわります。
おぼえにくい子に多い3つのつまずき
「うちの子は暗譜がにがて」と感じるとき、たいていは次のどれかが原因になっています。原因がわかると、合う方法もえらびやすくなります。
| つまずき | よくあるようす | 合いやすい方法 |
|---|---|---|
| ことばの意味がわからない | 歌詞をとちゅうで言いまちがえる、ことばがぬける | 意味を調べる、絵にかく |
| 番の区別がつかない | 1番と2番がまざる | 番ごとの「はじめのことば」をおぼえる |
| メロディーがあやふや | 音がゆれて、ことばも止まる | たくさん聞く、ハミングで歌う |
ことばとメロディー、どちらでつまずいているのかを見てあげるだけでも、練習がずっと楽になります。
コツ1:絵にかいてみる
歌詞の場面を、番ごとに絵にかいてみましょう。1番は朝、2番は昼……のように、場面のちがいがはっきりすると、番がまざりにくくなります。
「絵本づくり」のようにすると、小さなお子様も楽しんで取り組めます。
コツ2:曲をたくさん「聞く」
歌う練習の前に、まずはたくさん聞きます。車の中や、お風呂のあとなど、生活の中でさりげなく流しておくと、いつのまにかお子様が口ずさむようになります。
コツ3:短く分けておぼえる
一度に全部おぼえようとせず、「今日は1番の前半だけ」のように、小さく分けましょう。1日に一つ、小さな「できた」をつみかさねるイメージです。おぼえたところまでを歌ってから、つぎへ進むと、だんだん長く歌えるようになります。
コツ4:番ごとの「はじめのことば」をおぼえる
番がまざるいちばんの理由は、「つぎは何番だっけ?」とわからなくなることです。各番のいちばんはじめのことばだけを、「1番は○○、2番は△△」とおぼえておくと、まよいにくくなります。
「1番はあさの絵、2番はひるの絵」のように、絵を指さしながらおぼえるのもおすすめです。
コツ5:歌いながら体を動かす
歌詞にあわせて、手や体で「ふりつけ」をしてみましょう。体でおぼえると、ことばが出てきやすくなります。本番では動かさなくても、練習のときに使うだけで効果があります。
コツ6:ねる前に「1回だけ」
ねる前に1回だけ歌う、または曲を聞く。これを習慣にすると、おぼえやすいという声もよく聞きます。「練習しなさい」ではなく、「おやすみの歌」のように楽しく。
年れい別:おぼえ方の工夫
字がまだ読めない幼児のお子様
歌詞カードは使わず、親が歌って聞かせ、まねっこで少しずつおぼえます。絵カードを番ごとにならべて、「つぎはどの絵かな?」とクイズにすると、楽しみながら順番がわかるようになります。
字が読める小学校の低学年のお子様
大きな字で歌詞を書いた紙を、冷蔵庫やトイレなど目に入る場所にはっておくのもよい方法です。読めることばがふえると、意味を自分で考えられるようになります。
小学校の高学年のお子様
自分で歌詞をノートに書き写してみると、ことばの一つ一つに目がいきます。「このことばは、どんな気持ちで言っているのかな」と、表現のメモもいっしょに書いておくと、暗譜と表現の練習が同時にできます。
親がいっしょにできる「暗譜ゲーム」
ひとりでくりかえすより、親子で遊びにしたほうが、ずっとおぼえやすくなります。
- 歌詞のとちゅうで親が止まり、続きをお子様に歌ってもらう「つづきはなあに?」
- 親がわざとまちがえて歌い、お子様に見つけてもらう「まちがいさがし」
- 歌詞の一部をハミングにして、そこだけお子様がことばで歌う「あなうめ歌」
- 番の絵カードをばらばらにして、正しい順にならべる「ならべかえ」
とくに「まちがいさがし」は、お子様が先生役になれるので、よろこんでくれることが多い遊びです。
いつまでにおぼえればいい?
本番の直前までおぼえるのに必死だと、「ただ思い出して歌うだけ」になってしまい、表現まで気持ちがまわりません。
めやすは、本番の1か月くらい前までに、歌詞を見ずに歌えるようになっておくこと。そこから、ことばの気持ちや声の出し方をじっくり練習できます。
本番までの4週間の進め方の例
曲がきまってから本番までの進め方を、一つの例として紹介します。曲の長さやお子様のペースにあわせて、ちょうせいしてください。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 1週目 | たくさん聞く。歌詞の意味を調べて、場面の絵をかく |
| 2週目 | 1番から少しずつ分けておぼえる。暗譜ゲームで遊ぶ |
| 3週目 | 全部の番を通して、歌詞を見ずに歌ってみる |
| 4週目 | 歌詞はおぼえた前提で、気持ちや声の出し方の練習 |
本番が近い場合は、この流れをぎゅっとちぢめて、「聞く→分けておぼえる→通す」の順番だけ守りましょう。
本番で忘れたら?
どんなに練習しても、緊張でことばがとんでしまうことはあります。そんなときは「とまらずに、『ラララ』でもいいから歌いつづけようね」と、前もって約束しておくと安心です。さいごまで歌いきることが、いちばん大切です。
緊張とのつきあい方はこちら。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
おぼえるときに気をつけたいこと
- 何度も大きな声で通して歌いすぎない(のどがつかれます。聞く・口ずさむ練習もまぜる)
- 「まだおぼえてないの?」と言わない(あせるほど、ことばは出てこなくなります)
- まちがえたところだけを、せめるように直さない
のどのつかれを感じたら、その日は歌わずに「聞くだけ」「絵を見るだけ」の日にしても十分です。
よくある質問
歌詞カードを見ながら練習してもいいの?
はじめのうちは、見ながら歌っても大丈夫です。ただ、ずっと見ていると、目でたよる練習になってしまいます。少しおぼえてきたら、カードをうらがえして歌い、こまったときだけめくる、というように、だんだんはなしていきましょう。
外国のことばの歌は、どうおぼえる?
意味がわからないことばは、いちばんおぼえにくいものです。先生に読み方を教えてもらい、日本語の意味をいっしょに書いておきましょう。ことばを話すように読む練習を、歌うより先にしておくと、メロディーにのせやすくなります。
何度やっても同じところでまちがえます
同じところでまちがえるのは、そこに「つまずきのもと」があるしるしです。そのことばの意味がわかっているか、前の番と似ていないかを見てみましょう。まちがえやすいところだけ、色をかえて絵にかくのもおすすめです。
練習をいやがるときは?
その日は、歌わずに曲を流すだけにしましょう。聞いているだけでも、おぼえる力ははたらいています。「今日はお休み」の日があってもよいのです。つぎの日に、お子様が自分から口ずさんでいたら、それだけで十分な進歩です。そっと「おぼえてきたね」と声をかけてあげてください。
まとめ
- まず歌詞の意味をわかってから
- つまずきの原因(ことば・番・メロディー)を見つける
- 絵にかく、たくさん聞く、短く分ける
- 番ごとの「はじめのことば」をおぼえる
- 体を動かす、ねる前に1回、親子で暗譜ゲーム
- 本番の1か月前までにおぼえるのがめやす
おぼえる時間も、お子様といっしょに曲の世界を楽しむ時間になりますように。