舞台袖での待ち方。出番前に緊張してもあわてない、心と体のととのえ方
「舞台袖に入ったとたん、急にどきどきしてきた」 「出番前の舞台袖で、何をして待てばいいのかわからない」 「前の人の歌が聞こえてきて、よけいに緊張してしまう」
歌の発表会やコンクールでは、控室を出てから舞台に出るまでのあいだ、舞台袖で待つ時間があります。暗くて、しずかで、すぐ近くにステージがある場所です。ここで緊張が強くなるのは、ふしぎなことではありません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、舞台袖での待ち方にしぼってお話しします。舞台袖で気をつけたいこと、出番前の舞台袖での過ごし方、緊張したときの息と体のととのえ方、歌い出す直前の気持ちの切りかえ方をまとめました。お子様にも、大人の方にも使えるように書いています。
本番前に、お父様・お母様がお子様にかけることばについては、こちらの記事にまとめています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
舞台袖は、どんな場所?
ステージのすぐとなりにある、待つための場所
舞台袖は、ステージの横にある、客席からは見えないスペースです。出番が近い人が、ここで順番を待ちます。
会場によって、広さや明るさはちがいます。いすがあるところもあれば、立って待つところもあります。係の方がそばについて、出るタイミングを教えてくださる会場もあります。
舞台袖で気をつけたいこと
舞台袖は、ステージとつながっています。袖での音や動きが、客席や、いま歌っている人に伝わってしまうこともあります。
- 話すときは、とても小さな声にする。できれば話さない
- 足音を立てないように、ゆっくり歩く
- 幕や、ステージの機材にさわらない
- 決められた場所から、前に出すぎない
そして、どれとも同じように大切なのが、会場のきまりと係の方の指示にしたがうことです。待つ場所、並ぶ順番、袖に入るタイミングは、会場ごとにちがいます。わからないことがあれば、小さな声で係の方にたずねてください。
舞台袖に入る前に、すませておきたいこと
舞台袖に入ってからでは、できないこともあります。控室を出る前に、次のことをたしかめておくと、袖では待つことに集中しやすくなります。
- お手洗いをすませる
- 衣装や髪、靴に、くずれがないかを見る
- 楽譜や、手に持つものがあるなら、そろっているかを見る
- 水を少し飲んでおく(袖に飲み物を持ちこめるかは、会場のきまりにしたがう)
- 伴奏者の方と、はじめの合図をたしかめておく
お子様の場合は、お父様・お母様がいっしょに袖まで入れないこともあります。控室を出る前に「ここからは、係の方の言うことをよく聞いてね」と、ひとこと伝えておくと、お子様も安心しやすくなります。
出番前の舞台袖での過ごし方
まずは、まわりのようすに目をなじませる
舞台袖は、明るいステージにくらべると暗いことがあります。入ったらすぐに動かず、足もとや、まわりのようすに目をなじませてください。段差やコードがないかを見ておくと、出るときにあわてにくくなります。
前の人の歌との、向き合い方を決めておく
舞台袖では、前の人の歌がよく聞こえます。上手に聞こえて、不安になることもあるかもしれません。
前の人の歌をどう聞くかは、前もって決めておくと楽です。
- 「すてきだな」と思いながら、おうえんする気持ちで聞く
- 自分の歌の、はじめの部分を頭の中で思いうかべて、前の人の歌は聞き流す
- 歌のことからはなれて、自分の息に気持ちを向ける
どれがよいかは、人によってちがいます。ふだんの練習や、ほかの本番で、自分に合うものをためしてみてください。頭の中で歌をなぞる練習については、こちらの記事でも紹介しています。歌のイメージトレーニングのやり方。本番の前に、頭の中で歌う練習
声は出さずに、体をととのえる
舞台袖では、声を出して練習することはできません。かわりに、音を立てずにできることをしてみましょう。
- 肩をゆっくり上げて、すとんと下ろす
- 首を、小さくゆっくり回す
- 手のひらを、にぎって、ひらく
- 足のうらで、床をしっかりふむ感じをたしかめる
- 口を軽くあけて、ほおや口のまわりの力をぬく
大きく動くと、まわりの人や機材にぶつかることがあります。その場で、小さく、ゆっくり動くのがポイントです。
舞台袖で緊張が強くなったときに
ゆっくり、長めに息をはく
緊張しているときは、息が浅く、速くなりがちです。舞台袖では、音を立てないように、口や鼻からゆっくり、長めに息をはいてみてください。はききったら、自然に息が入ってきます。これを何回か、くりかえします。
歌の練習でつかう息のはき方と同じなので、ふだんから練習しておくと、袖でも思い出しやすくなります。
「どきどきしているな」と気づくだけでいい
どきどきを、むりに消そうとしなくてもだいじょうぶです。「いま、わたしは緊張しているな」と、心の中で気づくだけで、少し落ちつくこともあります。
緊張は、本番を大切に思っているからこそ、出てくるものでもあります。「どきどきしていても、歌える」と考えてみるのも、ひとつの方法です。
手や足がふるえるとき
手や足がふるえてきたら、足のうらに気持ちを向けて、床をふむ感じをたしかめてみてください。ひざを、少しだけゆるめるのもよいでしょう。体のふるえとのつきあい方は、こちらにくわしくまとめています。本番で手や足がふるえるとき。歌の発表会で体のふるえとつきあう方法
なお、緊張のせいだけではなく、気分が悪い、息が苦しいなど、いつもとちがうと感じたときは、がまんせずに、すぐ係の方に伝えてください。お子様にも、前もってそう伝えておくと安心です。
歌い出す直前の、気持ちの切りかえ方
自分だけの「合図」を決めておく
名前がよばれたり、係の方から合図があったりしたら、いよいよ出番です。その直前に、自分だけの小さな合図を決めておくと、気持ちを切りかえやすくなります。
- 衣装のすそを、そっとととのえる
- 胸に手をあてて、ひと息はく
- 心の中で「いってきます」と言う
- はじめの音を、心の中で思いうかべる
ふだんの練習のはじめにも同じ合図をしておくと、本番でも「いつもの練習と同じ」という気持ちになりやすいかもしれません。
はじめのひとことを、頭の中で決めておく
歌い出しの音や、はじめのことばを、頭の中でそっとたしかめておきます。歌い出しがはっきりしていると、ステージに出てからも、落ちついて歌い出しやすくなります。
ステージに出る一歩を、ていねいに
袖からステージへの一歩は、ゆっくり、ていねいにふみ出してください。あわてて出ると、そのいきおいのまま歌い出してしまうこともあります。ステージでの入場やおじぎのしかたは、こちらの記事でまとめています。ステージでのおじぎ・入場・退場のマナー。子どものはじめての本番に
お子様と大人、それぞれのポイント
お子様の場合
お子様は、舞台袖という場所そのものが、はじめてのこともあります。暗さや、しずかさに、とまどうかもしれません。
- 「袖は、暗くてしずかな場所だよ」と、前もってお話ししておく
- 「わからないことは、係の方に小さな声で聞いていいよ」と伝える
- 袖でできる「肩すとん」や「ゆっくり息をはく」を、おうちでいっしょに練習しておく
お父様・お母様は、袖に入るまでの見送りで、「たのしんできてね」と笑顔で送り出してあげてください。
大人の場合
大人の方は、「ちゃんとしなければ」と思うほど、袖で考えごとがふくらんでしまうことがあります。
- 歌の細かいところを、袖で何度も確かめすぎない
- 気持ちを、息や足のうらなど、体のほうに向ける
- 自分の合図をして、あとは練習してきた自分にまかせる
袖では、新しいことをしようとせず、いつもどおりをくりかえすくらいの気持ちで、じゅうぶんです。
ふだんの練習から、舞台袖をイメージしておく
舞台袖での待ち方は、本番の日だけでなく、ふだんの練習でもためすことができます。
- おうちのドアの外で少し待ってから、部屋に入って歌いはじめる
- 待っているあいだに、息をはく、肩を下ろす、合図をする、を順番にやってみる
- 歌いはじめる前に、はじめの音を頭の中で思いうかべる
本番と同じ流れを何回か通しておくと、舞台袖に入ったときに「いつもの手順をすればいい」と思えることがあります。
まとめ
- 舞台袖は、ステージのすぐとなりにある、待つための場所
- 話し声や足音に気をつけ、会場のきまりと係の方の指示にしたがう
- お手洗いや身じたく、伴奏者との合図は、袖に入る前にすませておく
- 前の人の歌をどう聞くか、前もって決めておく
- 声は出さずに、肩や首、手、口のまわりを小さく、ゆっくりほぐす
- 緊張したら、ゆっくり長めに息をはき、「緊張しているな」と気づく
- 体調がいつもとちがうときは、すぐ係の方に伝える
- 歌い出す直前の、自分だけの合図を決めておく
- ふだんの練習から、袖で待つ流れをためしておく
舞台袖での待ち方は、何回か本番を重ねるうちに、少しずつ自分のものになっていくこともあります。歌の目標のひとつとして、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ