本番で手や足がふるえるとき。歌の発表会で体のふるえとつきあう方法
「ステージに立ったら、手がふるえて、マイクや楽譜を持つのがこわかった」 「発表会で、足ががくがくして、立っているだけでせいいっぱいだった」
歌の本番で、手や足がふるえてしまうことは、子どもにも大人にもよくあることです。声はまだ出せても、手足のふるえが気になって、歌に集中できなくなってしまう方もいます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、本番で手が震える、発表会で足が震えるというなやみにしぼって、体のふるえが起きるわけと、本番の前や歌っている間にできる工夫をまとめました。声のふるえではなく、手足のふるえとのつきあい方のお話です。お子様の発表会をひかえたお父様・お母様にも、読んでいただけるとうれしいです。
本番で手や足がふるえるのは、体の自然なはたらき
きんちょうすると、体は「がんばるモード」になる
人は、きんちょうすると、体が「さあ、がんばるぞ」という状態になります。心臓がどきどきしたり、手に汗をかいたり、筋肉に力が入ったりするのは、そのためです。
手や足のふるえも、このはたらきのひとつといわれています。体が本番にそなえて準備をしている、と考えることもできます。けっして、心が弱いからでも、練習が足りないからでもありません。
ふるえを止めようとすると、もっとふるえることも
「ふるえちゃだめ」と思えば思うほど、体に力が入って、ふるえが大きくなることがあります。手をぎゅっとにぎりしめたり、ひざをかたくのばしたりすると、筋肉がつかれて、かえってがくがくしやすくなります。
ふるえは、むりにおさえこむより、「ふるえていても歌える」と受け入れるほうが、落ちつきやすいことが多いです。
客席からは、あまり見えていない
自分ではとても大きくふるえているように感じても、客席からは、ほとんど気づかれていないことがよくあります。照明がまぶしかったり、客席とステージがはなれていたりするので、細かなふるえは目に入りにくいのです。
「自分が思うほど、まわりは気にしていない」と知っておくだけでも、少し気持ちが楽になります。
本番の前にできる準備
本番と同じかっこうで練習する
本番の服やくつで、何度か練習しておきましょう。ふだんとちがうくつだと、足元が不安定になって、ふるえを感じやすくなることがあります。
- 本番のくつで、立って歌ってみる
- かかとの高いくつは、立ちやすさをたしかめておく
- 楽譜やマイクを持つなら、持ち方も練習しておく
- 手をどこに置くかを決めておく
本番と同じ形で練習しておくと、体が「これはいつもの歌だ」と感じやすくなります。
人前で歌う練習をしておく
家族や友だちの前で歌ってみるなど、人に見られながら歌う練習をしておくと、本番のふんいきに少しなれることができます。
スマホで動画をとってみるのもおすすめです。カメラを向けられるだけでも、少しきんちょうするものです。動画を見返すと、「思ったより、ふるえは見えない」と気づくこともあります。
本番が近づいてきたころのすごし方は、こちらの記事にもまとめています。コンクール前の1週間のすごし方。練習・体調・こころの準備
体をあたためておく
寒い場所では、体がこわばって、ふるえやすくなります。待ち時間は、うすい上着をはおったり、手をこすり合わせたりして、体をひやさないようにしましょう。
手先がつめたいと、ふるえを強く感じることがあります。手をにぎったりひらいたりして、血のめぐりをよくしておくのもよいと思います。
本番直前にできること
力を入れてから、ぬく
ふるえが気になるときは、あえて一度、体に力を入れてから、ぬいてみましょう。
- 両手をぎゅっとにぎって、少しがまんしてから、ぱっとひらく
- 肩をぐっと耳に近づけてから、すとんと下ろす
- つま先立ちになってから、かかとをゆっくり下ろす
力を入れてからぬくと、「力がぬけた感じ」がわかりやすくなります。何回かくり返してみてください。
息を長くはく
きんちょうすると、息が短く、あさくなりがちです。息を吸うことより、はくことを意識して、口からゆっくり長く息をはいてみましょう。
はききったあとは、自然に息が入ってきます。これを何回かくり返すと、体が少しずつ落ちついてくることが多いです。
足のうらに意識を向ける
待っている間は、足のうらがゆかについている感じに、意識を向けてみてください。かかと、足の指のつけ根、足の外がわと、順番に重さを感じていきます。
足元に意識が向くと、ふわふわした感じがへって、どっしり立てるように感じる方が多いです。
ステージの上でできる工夫
足のふるえには、立ち方の工夫を
足がふるえるときは、立ち方を少し見直してみましょう。
- 足は、少しだけひらいて立つ
- ひざを、ぴんとのばしきらない
- 重さを、かかとにかけすぎない
- 体の重さが、両足に同じくらいずつのる感じにする
ひざをかたくのばすと、足に力が入って、がくがくしやすくなります。ほんの少しだけゆるめておくと、立ちやすくなることが多いです。歌うときの立ち方のきほんは、ふだんのレッスンでも先生にたしかめておくと安心です。
手のふるえには、手の置き場を決める
手のやり場にこまると、ふるえが気になりやすくなります。手をどうするか、先に決めておきましょう。
- 体の前で、手を軽く重ねる
- 両手を、体の横に自然に下ろす
- 楽譜を持つときは、両手で下から支える
- マイクを持つときは、もう一方の手をそえる
マイクや楽譜は、指先だけでつまむように持つと、ふるえが伝わりやすくなります。手のひら全体で、やさしく包むように持つと、安定しやすいです。
目線を決めておく
目線がきょろきょろすると、気持ちも落ちつきにくくなります。客席のうしろの方や、かべの一点など、歌う間に見る場所を決めておくとよいでしょう。
目線が定まると、体のゆれも少しおさまりやすくなります。
歌に意識をもどす
ふるえに気づいたら、「ふるえているな」とだけ思って、すぐに歌に意識をもどしましょう。
- 次の歌いだしの音を思いうかべる
- 息つぎの場所を思い出す
- 歌の場面を、頭の中でえがく
ふるえのことを考えつづけるより、歌のことを考えているほうが、体は自然と落ちついていくことが多いです。
お子様の手足がふるえるとき、お父様・お母様ができること
「ふるえても、だいじょうぶ」と伝える
お子様が「手がふるえる」と言ってきたら、「ふるえちゃだめ」ではなく、「ふるえても、だいじょうぶだよ」と声をかけてあげてください。「体ががんばろうとしている合図なんだって」と伝えるのもよいと思います。
本番前のことばかけについては、こちらの記事でもくわしくお話ししています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
いっしょに体をほぐす
待ち時間に、手をにぎったりひらいたり、肩を上げ下げしたりする体操を、親子でいっしょにやってみましょう。お父様・お母様もいっしょに動くと、お子様も楽しい気持ちで体をほぐせます。
終わったあとは、歌えたことをみとめる
本番が終わったら、ふるえていたかどうかより、「最後まで歌えたね」と、できたことをみとめてあげてください。ふるえがあっても歌いきれた、という経験は、次の本番の自信につながります。
ふるえを気にしすぎないための考え方
ふるえは、本番を大切に思っているしるし
手や足がふるえるのは、それだけ本番を大切に思っているからです。どうでもいいと思っていたら、ふるえは起きにくいものです。ふるえを、自分の気持ちのあらわれとして、受けとめてみてください。
回数をかさねると、なれていくことも
人前で歌う回数がふえると、体が本番になれて、ふるえが小さくなっていくことがあります。もちろん、何度出てもきんちょうする方もいます。それでも、「ふるえても歌える」という経験がふえると、ふるえとのつきあい方が上手になっていきます。
気になるときは、相談を
ふるえがあまりに強い、ふだんの生活でもふるえが気になる、という場合は、むりをせず、お医者さんに相談してみてください。
まとめ
- 本番で手や足がふるえるのは、きんちょうしたときの体の自然なはたらき
- ふるえを止めようとすると、かえって力が入ってふるえやすくなる
- 本番と同じかっこうで練習し、人前で歌う練習をしておく
- 直前は「力を入れてからぬく」「息を長くはく」「足のうらを感じる」
- 足はひざをのばしきらずに立ち、手は置き場や持ち方を決めておく
- お子様には「ふるえても、だいじょうぶ」と伝え、歌えたことをみとめる
ふるえがあっても、歌はちゃんと届きます。人前で歌う経験を少しずつかさねたいときは、自分のペースで出られる場所をえらぶのもひとつです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、ステージに立たずに、家で落ちついて歌を録画できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、次の本番へのはげみにもなると思います。こどもの歌声グランプリ