ステージでのおじぎ・入場・退場のマナー。子どものはじめての本番に
「はじめての発表会。歌の練習はしてきたけれど、おじぎや出入りのしかたは、どうしたらいいの?」 「ステージに出たら、どこに立てばいいのか、子どもがわからなくならないか心配」
はじめての本番が近づくと、歌のこととあわせて、こんな心配が出てくるお父様・お母様も多いと思います。歌の練習にくらべて、ステージでのふるまいは、なかなか練習する時間がとれないものですよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールや発表会に出てきました。会場では、小さなお子様が一生けんめいおじぎをする姿を、何度も見てきました。そのたびに思うのは、ステージマナーは「きれいにできるか」よりも、「お子様が安心して歌い出せるか」のためにあるということです。
この記事では、はじめてステージに立つお子様のために、入場、おじぎ、歌っているあいだ、退場までの流れと、おうちでできる練習のしかたをまとめます。会場によって決まりがちがうこともあるので、最後は主催者の案内にしたがってくださいね。
ステージマナーは、なぜ大切なの?
見ている人への「よろしくお願いします」
おじぎや入場のしかたは、聞いてくれる人への「よろしくお願いします」「聞いてくれてありがとう」の気持ちをあらわすものです。むずかしい決まりをおぼえるというより、あいさつの一つと考えると、お子様にも伝えやすくなります。
お子様の気持ちをととのえる時間になる
ステージに出て、立つ場所まで歩き、おじぎをする。この流れが体にしみこんでいると、歌い出す前に気持ちを落ちつける時間になります。何をすればいいかがわかっていると、それだけで不安が少し小さくなります。
緊張しやすいお子様へのことばかけは、こちらの記事にまとめています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
入場のしかた
呼ばれる前に、そでで待つ
発表会やコンクールでは、自分の番が近づくと、ステージのそで(客席から見えない横の場所)で待つことが多いです。そででは、こんなことを伝えておくと安心です。
- 前の人が歌っているあいだは、しずかに待つ
- 前の人が歌い終わって、おじぎをしてから動く
- 係の人に「どうぞ」と言われてから出る
小さなお子様の場合は、係の人やお父様・お母様が、そでまでつきそえることもあります。会場によってちがうので、事前に聞いておくとよいですね。
背すじをのばして、ふつうの速さで歩く
ステージに出るときは、走らず、ゆっくりすぎず、ふつうの速さで歩きます。
- 顔を少し上げて、前を見る
- 手は体の横に、自然に下ろす
- 足もとばかり見ない
ステージの床には、立つ場所に小さな印(テープなど)がはってあることがあります。リハーサルがあれば、その場所をいっしょにたしかめておきましょう。
立ったら、ひと呼吸おく
立つ場所に着いたら、すぐにおじぎをするのではなく、客席のほうを向いて、ひと呼吸おきます。この「ひと呼吸」があるだけで、あわてた感じがなくなり、落ちついて見えます。
おじぎのしかた
基本のおじぎ
子どものおじぎは、むずかしく考えなくてだいじょうぶです。次のような流れを、ゆっくりやってみてください。
- 足をそろえて、まっすぐ立つ
- 手は体の横か、前で軽く重ねる
- 心の中で「いち」で頭を下げる
- 「に、さん」で止まる
- 「し」でゆっくり顔を上げる
頭を下げるときは、首だけをかくんと曲げるのではなく、腰から上をすっとたおすイメージです。小さなお子様なら、「おへそを見るように」と伝えるとわかりやすいことがあります。
おじぎのタイミング
おじぎをするのは、多くの場合、次の2回です。
- 歌いはじめる前(入場して、立つ場所に着いたとき)
- 歌い終わったあと(さいごの音や伴奏が終わってから)
伴奏がある場合、歌い終わってもピアノの音がのこっていることがあります。伴奏が終わるまで待ってから、おじぎをするのが、ていねいな形です。
ピアノの先生といっしょに出る場合は、二人でそろっておじぎをすることもあります。どちらに合わせるのか、本番の前に先生とたしかめておきましょう。
拍手が聞こえたら
おじぎのとき、客席から拍手が聞こえることがあります。拍手は「がんばってね」「よかったよ」という気持ちです。にこっとできれば十分です。むりに笑顔をつくらなくても、だいじょうぶです。
歌っているあいだのふるまい
歌い出す前の準備
おじぎのあと、伴奏がはじまる前に、少しだけ準備の時間があります。
- 足を肩はばくらいに開いて、しっかり立つ
- 肩の力をぬく
- 遠くの客席のほうを見る
伴奏の人がいる場合は、目で「お願いします」と合図をすることもあります。合図のしかたは、先生とあらかじめ決めておくと安心です。
まちがえても、止まらずに歌いつづける
本番では、歌詞をまちがえたり、声がうら返ったりすることもあります。そんなときも、できるだけ止まらずに、さいごまで歌いきることを目標にしておきましょう。
「まちがえても、そのまま歌っていいんだよ」と、前もって伝えておくだけで、お子様の気持ちはずいぶんらくになります。
手や体の動きは、自然に
手をどうしたらいいか、まようお子様も多いです。基本は体の横に自然に下ろすか、前で軽く重ねる形です。曲に合わせてふりつけをする場合もありますが、コンクールでは決まりがあることもあるので、要項をたしかめてください。
退場のしかた
おじぎのあと、ひと呼吸おいてから動く
歌い終わっておじぎをしたら、すぐにくるっと向きをかえるのではなく、顔を上げたあと、ひと呼吸おいてから歩き出します。
- 来たほうのそでに戻ることが多い
- 走らず、ふつうの速さで歩く
- そでに入るまでが本番と考える
歌い終わってほっとすると、つい早足になったり、そでに入る前に気をぬいたりしがちです。「そでに入るまでが歌の時間だよ」と伝えておくと、さいごまで落ちついたふるまいになります。
うまくいかなかったと思っても
本番のあと、「まちがえちゃった」と、そでで泣いてしまうお子様もいます。それだけ一生けんめいだったということです。ステージを歩いて戻ってこられたら、それだけで大きな一歩です。
おうちでできるステージマナーの練習
リビングを「ステージ」にする
おうちのリビングに、立つ場所の印を決めて、ドアのところを「そで」にしてみましょう。
- ドアの外で待つ
- お父様・お母様が「どうぞ」と声をかける
- 歩いて印の場所まで行く
- ひと呼吸おいて、おじぎ
- 1曲歌う(短い部分だけでもよい)
- おじぎをして、ドアまで戻る
家族がお客さん役になって拍手をすると、お子様も本番に近い気持ちで練習できます。
動画にとって見てみる
スマホで練習のようすをとって、いっしょに見てみるのもおすすめです。自分のおじぎや歩き方を見ると、お子様自身が「もう少しゆっくりのほうがいいかな」と気づくことがあります。
そのときは、直すところを言う前に、まず「おじぎ、きれいだったね」と、できているところを伝えてあげてください。
何度も同じ流れをくりかえす
ステージマナーは、知っているだけでなく、体がおぼえていることが大切です。本番の1〜2週間前くらいから、歌の練習のさいごに1回だけ、入場からおじぎ、退場までを通してやってみると、自然に身についていきます。
服そうとくつのこと
動きやすく、きちんと見える服を
発表会やコンクールの服そうは、会によってさまざまです。決まりがない場合は、
- 体をしめつけず、息がしやすい服
- 歩きやすいくつ(はきなれたもの)
- 長すぎるすそやかざりは、つまずかないかたしかめる
といった点を気にしておくと安心です。新しいくつは、本番の前に家で何度かはいて、歩く練習をしておきましょう。
髪型も、かんたんにまとめる
おじぎをしたときに、髪が顔にかかって前が見えなくなることがあります。長い髪のお子様は、顔まわりがすっきりするように、まとめておくとよいですね。
お父様・お母様に気をつけてほしいこと
「きちんとしなさい」より「こうするといいよ」
マナーを伝えるとき、「ちゃんとしなさい」と言われると、お子様はかえって緊張してしまいます。「こうすると、もっとかっこよく見えるよ」「ゆっくりおじぎすると、すてきだね」と、やり方を前向きに伝えるのがおすすめです。
完ぺきをもとめすぎない
はじめての本番で、すべてを完ぺきにできる必要はありません。おじぎがちょっと早くなっても、歩く速さがかわっても、それも大切な経験です。お子様が「また出てみたい」と思えることが、なによりです。
はじめての発表会の準備については、こちらの記事でもくわしくまとめています。子どもの歌の発表会、はじめての準備と当日の流れ
まとめ
- ステージマナーは、聞いてくれる人へのあいさつであり、お子様が落ちつくための時間でもある
- 入場は、ふつうの速さで歩き、立つ場所で「ひと呼吸」おく
- おじぎは「いち」で下げて、「し」で上げるくらいのゆっくりさで
- 歌い終わったら、伴奏が終わるのを待ってからおじぎをする
- 退場は、そでに入るまでが本番
- おうちのリビングで、入場から退場までを通して練習してみる
- 完ぺきをもとめず、できたところをたくさんほめる
ステージでのふるまいは、本番を何度か経験するうちに、少しずつ自然になっていきます。はじめての本番の前に、もう少し気軽に歌を発表する場がほしいときは、こどもの歌声グランプリも見てみてください。オンラインの動画審査だけで出られるので、会場に行かずに、おうちで本番の気持ちを味わえます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけにもなります。動画でも、はじめと終わりにおじぎをして歌ってみると、ステージマナーのよい練習になりますよ。こどもの歌声グランプリ