歌のイメージトレーニングのやり方。本番の前に、頭の中で歌う練習
「本番の前に、イメージトレーニングをするといいと聞いたけれど、何をすればいいの?」 「頭の中で歌うだけで、ほんとうに練習になるのかな」
コンクールや発表会が近づくと、こんなふうに思う方も多いと思います。歌のイメージトレーニングは、声を出さずに、頭の中で歌ったり、本番の様子を思いうかべたりする練習です。本番の前のイメトレは、スポーツの選手もよく取り入れている方法として知られています。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌のイメージトレーニングのやり方にしぼってお話しします。頭の中で歌う方法、本番の流れを思いうかべる方法、お子様といっしょにするときの工夫までをまとめました。
歌のイメージトレーニングとは
頭の中で、歌っている自分を思いうかべる練習
歌のイメージトレーニングは、目をとじて、歌っている自分を頭の中で思いうかべる練習です。声は出さずに、メロディやことば、息、体の感じを、できるだけくわしく思いうかべます。
声を出す練習とちがって、のどをつかわないので、のどを休めたい日や、声を出せない場所でもできます。
イメトレで、たしかめられること
イメージトレーニングをすると、次のようなことをたしかめられます。
- 曲を、はじめから終わりまで、しっかりおぼえているか
- 息をすう場所が、決まっているか
- どこを強く、どこを弱く歌いたいか、自分でわかっているか
- 本番の流れを、思いえがけているか
頭の中で歌ってみて、とちゅうでつまったり、あいまいになったりするところは、まだ準備がたりないところです。イメトレは、自分の歌を見なおす時間にもなります。
声を出す練習のかわりではない
イメージトレーニングは、声を出す練習のかわりではありません。声を出す練習と組み合わせることで、歌を仕上げるのに役立つ方法です。声を出す練習でできるようになったことを、頭の中でくりかえして、自分のものにしていくイメージです。
イメトレの前の準備
しずかで、落ちつける場所をえらぶ
はじめのうちは、しずかで、落ちつける場所でやってみましょう。
- いすにすわる、またはらくな姿勢で横になる
- 目をとじる
- 何回か、ゆっくり息をすってはく
体の力がぬけて、気持ちが落ちついてから、はじめるのがコツです。ねる前のふとんの中も、やりやすい場所のひとつです。
曲を、しっかりおぼえておく
イメージトレーニングは、曲をおぼえていないと、うまくできません。まずは、声を出す練習や聞く練習で、メロディと歌詞をしっかりおぼえておきましょう。
楽譜を見ながら、頭の中で歌うところからはじめてもかまいません。なれてきたら、楽譜を見ないでやってみましょう。
頭の中で歌うイメトレのやり方
はじめの音を、はっきり思いうかべる
頭の中で歌うときは、はじめの音の高さを、しっかり思いうかべることが大切です。前奏があるときは、前奏から頭の中で流してみましょう。
伴奏の音、テンポ、歌い出しのタイミングを思いうかべてから、歌いはじめます。
できるだけ、くわしく思いうかべる
頭の中で歌うときは、なんとなく流すのではなく、できるだけくわしく思いうかべます。
- ことばを、ひとつずつ、はっきり思いうかべる
- 息をすう場所で、実さいに少し息をすう
- のばす音の長さを、きちんとかんじる
- 強く歌うところ、やさしく歌うところを、思いうかべる
- 歌っているときの、口の形や表情も思いうかべる
声の感じ、体の感じ、まわりの音まで思いうかべられると、より本番に近いイメトレになります。
「いちばんよかった歌」を思いうかべる
イメージトレーニングでは、うまく歌えている自分を思いうかべるのがおすすめです。レッスンで「よかったね」と言われたときの歌や、気持ちよく歌えたときの感じを思い出してみましょう。
うまくいかなかったときの歌を、何回も思い出すより、うまくいった歌を思い出すほうが、気持ちよく練習できます。
ゆっくり歌って、むずかしいところをたしかめる
むずかしいところは、頭の中で、ゆっくり歌ってみましょう。音がとぶところ、ことばが早いところ、高い音のところなどを、ゆっくり、ていねいに思いうかべます。
頭の中でゆっくり歌えたら、次は、ほんとうのテンポで思いうかべてみます。
本番の流れを思いうかべるイメトレ
会場に着いてから、歌い終わるまで
歌だけでなく、本番の流れ全体を思いうかべる方法もあります。
- 会場に着いて、受付をする
- 控室で、出番をまつ
- 名前をよばれて、ステージに出る
- おじぎをして、立つ場所に立つ
- 前奏を聞いて、歌いはじめる
- 歌い終わって、おじぎをして、ステージを下りる
はじめて出る会場でも、流れを頭の中で何回かたどっておくと、当日に「次は何をするんだっけ」とあわてにくくなります。会場の写真が見られるときは、写真を見ながら思いうかべると、イメージしやすくなります。
動画審査のときのイメトレ
動画で出るコンクールのときも、イメトレは役に立ちます。
- カメラの前に立つ
- 立つ位置と、目線をたしかめる
- 録画をはじめて、少し間をとってから歌いはじめる
- 歌い終わったら、すぐに動かず、少しまってから録画を止める
撮影の流れを思いうかべておくと、とる日の準備もしやすくなります。
うまくいかないときのイメトレ
「もしも」のときを思いうかべておく
本番では、思っていたとおりにいかないこともあります。そんな「もしも」のときを、イメージトレーニングで思いうかべておく方法もあります。
- 歌詞を少しまちがえても、そのまま歌い続ける自分
- 音がはずれても、次の音から立てなおす自分
- 伴奏とずれても、伴奏を聞いて合わせる自分
うまくいかない場面を思いうかべるときは、かならず「立てなおして、最後まで歌いきる」ところまで思いうかべましょう。さいごは、気持ちよく歌い終わる自分で終わるのがコツです。
気持ちがつらくなるときは、むりをしない
イメトレをしていて、かえって不安が大きくなるときは、むりに続けなくてもだいじょうぶです。そんなときは、楽しく歌えている場面だけを思いうかべたり、イメトレをお休みしたりしてください。
本番の前の気持ちの整え方や、ことばのかけ方は、こちらの記事でくわしく書いています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
お子様といっしょにするイメトレ
お話のように、声をかける
小さなお子様には、目をとじて、お話を聞くようにイメトレをしてみるのがおすすめです。お父様・お母様が、やさしく声をかけてあげましょう。
- 「ステージに出たよ。明るいね」
- 「おじぎをしたね。ピアノの音が聞こえてきたよ」
- 「さあ、心の中で歌ってみよう」
お子様が頭の中で歌っているあいだは、しずかに見守ってあげてください。
終わったら、「どうだった?」と聞く
イメトレが終わったら、「どうだった?」「どこがいちばん楽しかった?」と聞いてみましょう。お子様が、自分のことばで歌のことを話せると、歌への気持ちがはっきりしてきます。
「ここがむずかしかった」と言ったときは、そこをいっしょに声に出して練習してみるのもよいと思います。
長くやりすぎない
お子様は、集中できる時間が大人より短いことが多いです。曲をひととおり頭の中で歌ったら終わり、くらいの短い時間でじゅうぶんです。楽しい時間として終われるようにしましょう。
イメトレを続けるコツ
毎日の決まった時間にする
イメージトレーニングは、短い時間でもできます。ねる前、朝おきたとき、通学や通勤のときなど、毎日の決まった時間にすると、続けやすくなります。
声を出す練習とセットにする
声を出して練習したあとに、同じところを頭の中でもう一度歌ってみるのもおすすめです。声を出したときの感じが新しいうちに、頭の中でくりかえすと、思いうかべやすくなります。
本番の前日と当日
本番の前日や当日の朝は、むずかしいことをせず、気持ちよく歌える自分を思いうかべるくらいにしておきましょう。本番の朝のすごし方は、こちらの記事も参考にしてください。本番の日の朝のすごし方。起きてから歌うまでにできること
まとめ
- 歌のイメージトレーニングは、頭の中で歌っている自分を思いうかべる練習
- まずは曲をしっかりおぼえてから、しずかな場所ではじめる
- ことば、息、強さ、表情まで、できるだけくわしく思いうかべる
- うまく歌えたときの感じを思い出すのがおすすめ
- 本番の流れや、動画をとる流れを思いうかべておくと、あわてにくい
- うまくいかない場面は、立てなおして歌いきるところまで思いうかべる
- お子様とは、お話のように、短い時間で楽しく
イメージトレーニングは、どこでもできて、のどをつかわない練習です。声を出す練習と組み合わせて、本番の歌を仕上げていきましょう。イメトレで思いえがいた歌を、実さいにとどけてみたいときは、こどもの歌声グランプリにも挑戦してみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、次の本番に向けたイメトレのヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ