心のこと・声かけ

秋の歌、高齢者の方とみんなで歌いたい曲。思い出話がひろがる歌の会の工夫

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「秋の歌で、高齢者の方といっしょに歌いたい曲を知りたい」 「秋の童謡や唱歌を歌って、思い出話がひろがる歌の会にしたい」

秋は、月がきれいに見え、虫の声がひびき、山や木々が色づく季節です。秋の歌には、しみじみとした歌もあり、ゆっくり味わいながら歌うことができます。歌のあとに、ふるさとの景色や家族のことを、ぽつりぽつりと話しはじめる方もいらっしゃいます。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、高齢者の方とみんなで歌いたい秋の歌を、秋の行事や場面ごとに紹介します。そして、歌のあとに思い出話がひろがる声かけのしかたや、秋の歌ならではの歌い方の工夫、手あそびや体を動かす楽しみ方もまとめます。春夏秋冬の歌をまとめて知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。シニアに人気の季節の歌。春夏秋冬、みんなで歌いたい日本の歌と歌い方のコツ

ここでは曲名だけを紹介します。歌詞は、歌の本などでたしかめてから使ってください。

秋の歌が、思い出話のきっかけになる理由

しっとりした歌が、心をほぐしてくれる

秋の歌には、ゆったりとしたテンポの歌もあります。そうした歌は、急がずに歌えるので、息つぎもしやすく、歌いながら景色を思いうかべる余裕が生まれます。気持ちがほぐれると、自然とお話もしやすくなります。

家族やふるさとを歌った歌がある

秋の歌には、家族を思う歌や、ふるさとの夕暮れを歌った歌があります。歌のなかの景色と、ご自身の思い出がかさなって、「うちの田舎もこうだった」と、お話がはじまることがあります。

実りや食べものの話題につながる

秋は、お米や栗、柿など、実りの季節でもあります。食べものの話は、だれでも入りやすい話題です。歌から食べものの思い出へと、お話がひろがることもあります。

お月見のころに歌いたい歌

  • 月:まるい月を見上げる、短くてやさしい唱歌
  • うさぎ:月を見てはねる、うさぎを歌ったわらべうた
  • 十五夜お月さん:十五夜の月に語りかける、しみじみとした童謡

「月」や「うさぎ」は、短いことばのくりかえしなので、歌詞をおぼえていなくても声を合わせやすい歌です。お月見のころは、すすきやおだんごのかざりを置いて歌うと、行事らしさが出ます。

歌のあとには、こんな問いかけがおすすめです。

  • お月見のとき、何をおそなえしたか
  • おだんごを、家でつくったことがあるか
  • 月のもようが、何に見えると教わったか

秋まつりのころに歌いたい歌

  • 村祭(むらまつり):秋の村のおまつりの、にぎやかな歌

「村祭」は、たいこの音が聞こえてくるような、明るい歌です。手びょうしやひざをたたいて、リズムをとりながら歌うと、おまつりの楽しい雰囲気が出ます。

  • ふるさとのおまつりでは、どんなものが出ていたか
  • おみこしや山車(だし)を、見たり引いたりしたか
  • おまつりの日に、どんなごちそうを食べたか

おまつりの話は、地域ごとにちがいがあるので、いろいろな方のお話を聞きくらべるのも楽しいものです。

実りの秋に歌いたい歌

  • 案山子(かかし):田んぼに立つかかしを歌った、ほのぼのとした唱歌
  • どんぐりころころ:池に落ちたどんぐりを歌った、かわいらしい童謡
  • 里の秋:秋の夜、家族を思う気持ちを歌った、しずかな歌

「案山子」は、田んぼの風景につながる歌です。「稲刈りを手伝ったことはありますか」と聞くと、子どものころの家の手伝いのお話が出てくることがあります。「どんぐりころころ」は、小さなお子様もいっしょに歌える歌なので、お孫さんと集まる会にも向いています。

「里の秋」は、家族を思う、しみじみとした歌です。ゆっくり、ことばをていねいに歌ってみてください。

紅葉のころに歌いたい歌

  • 紅葉(もみじ):山の紅葉の美しさを歌った唱歌
  • まっかな秋:秋のまっかなものを、いくつも歌った童謡
  • 小さい秋みつけた:身のまわりに、小さな秋を見つける童謡

「まっかな秋」や「小さい秋みつけた」を歌ったあとは、「みなさんにとっての秋は、どんなものですか」と問いかけてみるのもおすすめです。柿、さんま、きのこ、運動会など、いろいろな答えが出てきて、話がはずみます。

紅葉がりの思い出をたずねるのもよいでしょう。「どこへ紅葉を見に行きましたか」「だれと行きましたか」と聞くと、旅行やご家族のお話につながることがあります。

秋の夕暮れを思い出す歌

  • 赤とんぼ:夕やけと赤とんぼの、なつかしい童謡
  • 夕焼小焼(ゆうやけこやけ):夕方の帰り道を思い出す童謡
  • 虫のこえ:秋の夜に鳴く、いろいろな虫の声を歌った唱歌
  • 故郷の空:秋の夕空に、ふるさとを思う歌
  • 旅愁:秋の夜に、遠いふるさとを思う歌

「虫のこえ」は、虫の鳴き声をまねることばが出てくる歌です。そこだけ、みんなで声の大きさをかえたり、手びょうしを入れたりすると、楽しく歌えます。

「赤とんぼ」や「夕焼小焼」は、子どものころの帰り道を思い出しやすい歌です。「夕方、どんな遊びをしていましたか」「家に帰る合図は何でしたか」と聞いてみると、昔の遊びのお話がひろがります。「故郷の空」や「旅愁」は、ふるさとをはなれた経験のある方の心にひびくこともある歌です。

秋の歌を、しっとり歌う工夫

テンポは、ゆっくりめに

秋の歌は、ゆっくりめのテンポで歌うと、歌のもつしみじみとした雰囲気が伝わります。伴奏をするときは、みなさんの息つぎに合わせて、急がずに進めてください。

歌う前に、景色をお話しする

「夕やけ空に、とんぼがとんでいる歌ですね」のように、歌う前にどんな景色の歌かを話しておくと、思いうかべながら歌いやすくなります。

高さは、らくに出るところで

昔習った高さのままだと、高すぎることがあります。少し低めの、らくに声が出る高さで歌ってください。大きな声でなくても、ことばをていねいに歌えば、気持ちはじゅうぶんに伝わります。

思い出話をひろげる、声かけのコツ

答えやすい問いかけからはじめる

「どう思いましたか」のような大きな問いかけより、「どこで」「だれと」「何を」のように、答えやすい問いかけからはじめると、お話しやすくなります。

話したくない方には、むりに聞かない

秋の歌は、別れや、もう会えない家族を思い出すきっかけになることもあります。お話しするのがつらそうな方には、むりに聞かず、そっと次の歌にうつりましょう。

聞いた話を、次の歌につなげる

「さっき、おまつりのお話が出ましたね。では、おまつりの歌を歌いましょう」のように、出てきたお話を次の歌につなげると、会に一体感が生まれます。歌の会の進め方は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。高齢者施設・デイサービスの歌の会。みんなで歌いやすい童謡・唱歌のえらび方と進め方

手あそびや、体を動かす工夫

赤とんぼの動き

人さし指を立てて、とんぼに見立て、歌に合わせて、ゆっくり空をとぶように動かします。目で指を追いかけると、目の体操にもなります。

落ち葉の動き

両手を高く上げ、葉っぱがひらひらと落ちてくるように、ゆっくり手を下ろします。「紅葉」のような、ゆったりした歌に合います。

おまつりのリズム

「村祭」に合わせて、ひざをたたいたり、手をたたいたりします。ひざと手をかわりばんこにたたくと、頭の体操にもなります。手あそび歌で頭の体操をする工夫は、こちらの記事にまとめています。歌で頭の体操。手あそび歌や歌あそびで楽しむ、シニアの方の工夫

体を動かすときは、むりのない範囲で、できる動きだけで大丈夫です。

秋を感じる場づくり

  • すすきや、紅葉した葉、どんぐりや栗をかざる
  • お月見のおだんごのかざりを置く
  • 赤や黄色、だいだい色の紙で、歌詞カードのまわりをかざる

本物の木の実や葉っぱは、手にとってさわることもでき、秋を感じるきっかけになります。

秋の歌の会で、気をつけたいこと

秋は、朝夕と昼の気温の差が大きくなる季節です。空気も少しずつかわいてきます。

  • 部屋の温度をこまめにたしかめ、寒くないようにする
  • 歌う前や、曲と曲のあいだに、かるく水分をとる
  • 何曲か続けたら、少し休む時間をとる
  • 体調がすぐれない方は、むりに歌わず、聞いて楽しむ

声のかすれや、のどのいたみが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

まとめ

  • 秋の歌には、しっとりした歌もあり、家族やふるさとの思い出につながる
  • お月見、秋まつり、実りの秋、紅葉、秋の夕暮れと、場面に合わせて歌をえらぶ
  • 答えやすい問いかけで、思い出話をひろげ、次の歌につなげる
  • 話したくない方には、むりに聞かない
  • 赤とんぼ、落ち葉、おまつりのリズムなど、座ったままできる動きを合わせる
  • 気温の差やのどのかわきに気をつけて、むりなく楽しむ

秋の歌を、みんなで声を合わせて歌う時間は、思い出を分かち合うあたたかいひとときです。秋の歌をもっと楽しみたい方は、近くの歌の教室をさがしてみるのもよいかもしれません。歌の教室さがし 歌うことを、ひとつの目標にしてみたい方には、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ

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