高齢者施設・デイサービスの歌の会。みんなで歌いやすい童謡・唱歌のえらび方と進め方
「デイサービスで歌の時間を担当することになったけれど、どんな曲をえらべばいいの?」 「高齢者の方に人気の童謡を、一覧で知りたい」
高齢者施設やデイサービス、地域のサロンなどで、歌の会や歌の時間をまかされる方は多いと思います。音楽の専門家でなくても、ちょっとした工夫で、みなさんが参加しやすい会にすることができます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌は、うまく歌えるかどうかより、声を出して楽しむことがいちばん大切だと感じています。
この記事では、施設や地域の歌の会を進める方に向けて、高齢者の方に人気の童謡・唱歌の一覧、曲のえらび方、会の進め方、気をつけたいことをまとめます。季節ごとの歌の歌い方は、こちらの記事でも紹介しています。シニアに人気の季節の歌。春夏秋冬、みんなで歌いたい日本の歌と歌い方のコツ
高齢者の歌の会で、童謡・唱歌がえらばれる理由
多くの方が子どものころに歌っている
童謡や唱歌は、学校や家庭で、むかしから歌われてきた歌です。多くの方が子どものころに歌った経験があるので、楽譜がなくても、メロディーを思い出しやすいことが多いです。
ことばがやさしく、テンポがゆったり
童謡や唱歌は、ことばがやさしく、テンポもゆったりした歌が多いので、はじめて会に参加する方でも、ついていきやすいのがよいところです。
季節を感じられる
春の小川、夏の海、秋のもみじ、冬の雪など、季節を歌った曲がたくさんあります。季節に合った歌をえらぶと、「もうそんな時期ね」と、会話のきっかけにもなります。
高齢者に人気の童謡・唱歌の一覧
ここでは、むかしから広く歌われてきた童謡・唱歌の中から、歌の会でつかいやすい曲を、季節ごとにまとめました。参加される方の年代や、地域によって、なじみのある歌はちがいます。あくまで、えらぶときのめやすにしてください。
春の歌
- 春の小川
- 朧月夜(おぼろづきよ)
- どこかで春が
- こいのぼり
- 茶摘み(ちゃつみ)
夏の歌
- 海(うみはひろいな)
- 夏は来ぬ
- 浜辺の歌
- 七夕さま
秋の歌
- 赤とんぼ
- 紅葉(もみじ)
- 村祭り
- 里の秋
- 夕焼け小焼け
冬の歌
- 雪
- 冬景色
- たき火
- お正月
季節を問わず歌いやすい歌
- ふるさと
- 七つの子
- 靴が鳴る
- 故郷の空
このほかにも、参加されている方から「この歌が好き」というリクエストが出ることもあります。一覧にない歌でも、みなさんがよく知っている歌なら、とり入れてみてください。
みんなが歌いやすい曲のえらび方
1. よく知られている曲を中心に
はじめての会では、多くの方が知っている曲を中心にえらびましょう。知らない曲ばかりだと、歌えずにだまってしまう方が出てきます。
参加される方に「どんな歌が好きですか」と、前もって聞いておくのもよい方法です。
2. 短めで、くりかえしの多い曲
1番から3番まで長く続く曲は、とちゅうで歌詞がわからなくなる方もいます。はじめは、1番だけを歌う、または、短めでくりかえしの多い曲をえらぶと、参加しやすくなります。
3. 高すぎない曲
年をかさねると、高い声が出にくくなる方も多いです。音の高さが、あまり上下しない曲や、高い音が少ない曲のほうが、みなさんで声を合わせやすくなります。
4. 季節や行事に合わせる
季節の歌や、ひな祭り、七夕、お月見などの行事に合わせた歌をえらぶと、会がもり上がりやすくなります。その日のテーマを決めて、2〜3曲をえらんでみるのもおすすめです。
歌いやすくするための工夫
キー(音の高さ)を下げる
学校で習ったときの高さのままだと、高すぎると感じる方が多いかもしれません。伴奏をつかうときは、キーを少し下げると、みなさんが歌いやすくなることが多いです。
カラオケの機械や音源をつかうときは、キーをかえる機能をつかってみましょう。ピアノやキーボードで伴奏するときも、ひくめの調でひくと歌いやすくなります。
テンポをゆっくりに
テンポが速いと、ことばを追いかけるだけでせいいっぱいになります。いつもより少しゆっくりのテンポで歌うと、ことばをかみしめながら歌えます。
座ったまま歌えるようにする
立って歌うのがむずかしい方もいらっしゃいます。いすに座ったまま歌えるように進めると、どなたでも参加しやすくなります。座ったままできる体の動かし方は、こちらの記事にまとめています。シニアの歌体操。歌に合わせて座ったままできる、やさしい体の動かし方
歌詞カードは大きな文字で
歌詞カードをつくるときは、つぎのことに気をつけると読みやすくなります。
- 文字を大きくする
- 行と行のあいだを広くする
- むずかしい漢字には、ふりがなをつける
- 1曲を1枚におさめる
- 白い紙に黒い文字など、見やすい色にする
大きな紙やホワイトボードに歌詞を書いて、前にはる方法もあります。
なお、歌詞を印刷してくばったり、ほかの場所にのせたりするときは、著作権のきまりに気をつける必要があります。むかしの曲でも、作詞者や作曲者によって、あつかいがちがうことがあります。くわしくは、施設の担当の方や、著作権を管理している団体の案内などでたしかめてください。
歌の会の進め方の例
1回の会を、30分から45分くらいで進めるときの例です。施設の時間や、参加される方の様子に合わせて、調整してください。
1. はじめのあいさつ(3分)
その日の日づけや季節の話をして、会の流れをかんたんに伝えます。「今日は秋の歌を3曲歌いましょう」など、見通しがあると安心して参加できます。
2. 体と声のじゅんび(5分)
- 肩を上げて、すとんと下ろす
- 首を、ゆっくり左右にかたむける
- 口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と言う
- 「はー」とゆっくり息をはく
むりのない範囲で、できる動きだけで大丈夫です。
3. よく知っている曲を1曲(5分)
さいしょは、だれもが知っている曲で、声を出すことになれてもらいます。
4. 季節の歌を2〜3曲(15分)
歌の前に、「この歌はどんな景色を歌っているでしょう」と、少し話をはさむと、思い出話が出てくることもあります。歌のあいだに、ひと息つける時間をとりましょう。
5. リクエスト曲や、みんなで歌う曲(5〜10分)
参加されている方のリクエストにこたえたり、手びょうしをつけて歌ったりします。
6. おわりのあいさつ(2分)
「今日もたくさん声が出ましたね」と、みなさんの参加をねぎらって、会をしめくくります。つぎの会で歌う曲を予告しておくと、楽しみにしてもらえます。
会を進める人が気をつけたいこと
上手に歌うことをもとめない
歌の会は、うまく歌うための場ではありません。声が小さい方や、歌詞をまちがえる方がいても、注意せず、その方なりの参加を大切にしましょう。聞いているだけで楽しんでいる方もいらっしゃいます。
体調を見ながら進める
- のどがかわかないよう、水分をとる時間をつくる
- つかれた様子の方がいたら、休んでもらう
- 長い時間、続けて歌わない
体調のことで心配なことがあるときは、施設の看護師さんや職員の方と相談しながら進めてください。
歌のよさを言い切りすぎない
歌うことを楽しいと感じる方は多いですが、体や心への効果は、人によってちがいます。「歌えば元気になります」などと言い切らず、「今日は楽しかったですね」と、その日の気持ちを大切にしましょう。
声の大きさをくらべない
みなさんで歌うと、声の大きな方の声がよく聞こえて、ほかの方が歌いにくくなることもあります。進める人は、「今日はやさしい声で歌ってみましょう」など、声の大きさをそろえるひと言をかけると、みなさんが安心して声を出しやすくなります。
進める人も楽しむ
会を進める人が楽しそうにしていると、参加される方も、自然と声が出やすくなります。完ぺきにやろうとせず、みなさんといっしょに歌を楽しむ気持ちで進めてください。
まとめ
- 童謡・唱歌は、多くの高齢者の方になじみがあり、歌の会でえらびやすい
- 季節ごとに曲をえらぶと、会話のきっかけにもなる
- よく知られた曲、短めの曲、高すぎない曲をえらぶ
- キーを下げる、テンポをゆっくりにする、座って歌うなどの工夫をする
- 歌詞カードは大きな文字で。印刷するときは著作権のきまりもたしかめる
- 上手に歌うことをもとめず、体調を見ながら、みなさんで楽しむ
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