心のこと・声かけ

80代・90代でも歌を楽しむ。体にむりのない歌い方と、家族ができるサポート

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「年をとって、前のように声が出なくなった」 「80代の母に、何か楽しめる趣味をもってほしい」 「90代の父が、むかしの歌を口ずさんでいる」

80代・90代になっても、歌は楽しめます。大きな声で上手に歌うことだけが、歌の楽しみではありません。聞く、口ずさむ、手拍子をする、みんなの歌に耳をかたむける。どれも、歌の楽しみ方のひとつです。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、80代・90代の方が歌を趣味として楽しむときに、体にむりのない歌い方と、ご家族ができるサポートをまとめました。ご本人にも、ご家族にも読んでいただけるように書いています。

なお、歌うことで体がこうなる、という言い切りは、この記事ではしません。体調や体の変化については、かかりつけのお医者さんに相談しながら、ご本人のペースで楽しんでください。

80代・90代の歌の楽しみ方

「上手に歌う」より「心地よく歌う」

年をかさねると、声の高さやはり、息の長さがかわってくることがあります。前と同じように歌えなくても、それは自然なことです。

大切なのは、上手に歌うことより、歌っていて心地よいかどうかです。

  • 好きな歌を、小さな声で口ずさむ
  • 歌は聞くだけにして、手やひざでリズムをとる
  • 歌いやすいところだけ、いっしょに歌う

どの楽しみ方も、すてきな歌の時間です。

むかしなじみの歌を楽しむ

若いころに聞いていた歌や、学校で歌った唱歌、ふるさとの民謡など、ご本人になじみのある歌から始めてみるのもよい方法です。歌をきっかけに、むかしの話がひろがることもあります。

ただ、どんな歌が好きかは人それぞれです。新しい歌に興味をもつ方もいます。ご本人に「どの歌が好き?」と聞いて、えらんでもらうことを大切にしてください。

体にむりのない歌い方

すわって歌ってもいい

立って歌うと、足もとがふらついたり、つかれやすかったりすることもあります。いすにすわって、せなかを背もたれから少しはなし、足のうらを床につけると、楽な姿勢で歌えます。ひじかけのあるいすだと、立ったりすわったりするときにも安心です。

声の大きさや高さは、むりをしない

大きな声を出そうとしたり、高い音をむりに出そうとしたりすると、のどに負担がかかることもあります。

  • 自分が出しやすい高さで歌う
  • 高いところは、ひとつ下の音で歌ったり、ハミングにしたりする
  • 音源があるなら、キー(音の高さ)を下げてみる

カラオケの機械や音楽のアプリには、キーをかえられるものもあります。

こまめに休けいし、水分をとる

歌の時間は、短めに区切ってみてください。歌と歌のあいだに休けいをはさみ、少しずつ水分をとりましょう。のみものは、ご本人がのみやすいものをえらんでください。

体調がよくない日は、聞くだけにする

つかれている日や、体調がすぐれない日は、むりに歌わず、聞くだけにしてもかまいません。

  • のどの痛みや、声のかすれが続く
  • 歌っているときに、むせることがある
  • 息が苦しくなる、めまいがする
  • いつもとちがう体の変化がある

こんなときは、歌うのをお休みして、かかりつけのお医者さんや耳鼻科などに相談してください。

耳や目が気になるときの工夫

耳が聞こえにくいとき

音が聞こえにくいと、歌に合わせにくく感じることもあります。

  • 音源の音量を、ご本人に合わせて調整する
  • スピーカーを、ご本人の近くに置く
  • まわりの雑音が少ない、静かな場所で歌う

補聴器をつかっている方は、音楽を聞くときの調整について、補聴器のお店や耳鼻科で相談してみるのもひとつの方法です。

目が見えにくいとき

歌詞カードの字が小さいと、読むのがたいへんです。大きな字で、行のあいだをあけて書くと、読みやすくなります。紙を手に持たなくてもよいように、目の高さに立てかけておくのもよい方法です。

歌詞をおぼえるのが不安な方は、こちらの記事も参考にしてみてください。シニアが歌詞をおぼえるコツ。あせらず、楽しくつづけるための工夫

家族ができるサポート

いっしょに歌う、いっしょに聞く

身近なサポートのひとつは、ご家族がいっしょに歌の時間を楽しむことです。じょうずに歌えなくても、ならんで同じ歌を聞くだけで、ご本人にとってうれしい時間になることもあります。

  • 好きな歌を流して、いっしょに口ずさむ
  • 歌のあとに「この歌、いつごろ聞いていたの?」と話を聞く
  • 遠くに住んでいるなら、電話やビデオ通話で歌を聞かせ合う

お孫さんといっしょに歌う楽しみ方は、こちらの記事にまとめています。孫といっしょに歌う。シニアと子どもの歌の時間

歌える道具を用意する

ご本人が自分で歌を流せるように、道具を用意するのもサポートのひとつです。

  • ボタンの少ない、つかいやすい音楽プレーヤーやラジオ
  • 好きな歌を集めたCDや、音楽アプリのリスト
  • 大きな字の歌詞カード

むずかしい操作がいらないように、ご家族が前もって準備しておくと、ご本人がひとりのときにも歌を楽しめます。

歌の場への行き帰りを手伝う

地域の歌の会や、施設でのレクリエーション、歌の教室など、外で歌う場に通いたい方もいます。行き帰りの手伝いや、はじめて行くときのつきそいなど、ご家族ができることもあります。

最近は、家にいながら受けられるオンラインのレッスンもあります。スマホやタブレットのつかい方を、ご家族がいっしょに練習してあげるのもよい方法です。おうちでできるオンラインの歌のレッスン。スマホが少し不安なシニアの方へ

「やりなさい」ではなく「いっしょにどう?」

ご家族として、歌を楽しんでほしいという気持ちが強くなると、つい「歌ったら?」とすすめたくなります。でも、気がのらない日もあります。

「やりなさい」ではなく「いっしょにどう?」と声をかけ、ことわられたら、その日はそっとしておきましょう。ご本人が楽しいと思えることを、なにより大切にしてください。

おうちでの歌の時間の流れ

おうちで歌の時間をつくるときは、流れをざっくり決めておくと、ご本人もご家族も楽に始められます。

はじめは、ゆっくり体をほぐす

いすにすわったまま、肩をゆっくり上げ下げしたり、首をゆっくりかたむけたりします。どこかに痛みがあるときは、むりに動かさないでください。口を大きくあけたり、すぼめたりして、顔のまわりをほぐすのもよいでしょう。

好きな歌を、聞くところから

いきなり歌うより、まずは好きな歌を流して、聞くところから始めます。耳がなれてきたら、歌いやすいところだけ、いっしょに口ずさんでみましょう。

歌のあとは、おしゃべりの時間に

歌い終わったら、その歌にまつわる思い出や、季節の話をしてみてください。「この歌を聞くと、何を思い出す?」と問いかけると、話がひろがることもあります。歌うことと同じくらい、話すことを楽しみにされる方もいます。

施設に入っている方の場合

施設に入っている方は、施設の歌のレクリエーションに参加できることもあります。どんな歌の時間があるのか、職員の方に聞いてみてください。

面会のときに、ご家族が好きな歌を流したり、いっしょに口ずさんだりするのもよい方法です。ただし、まわりの方への音の配慮や、施設のきまりがあるので、前もって職員の方に相談しておきましょう。体調のことで気になることがあれば、施設の職員の方や、お医者さんにたずねてください。

歌の場をえらぶときに見ておきたいこと

外の歌の会や教室に通う場合は、次のことをたしかめておくと安心です。

  • 会場の入り口や階段、トイレがつかいやすいか
  • すわって参加できるか
  • 休けいの時間があるか
  • 体調がよくないときに、休みやすいか
  • 先生やスタッフが、年れいに合わせた進め方をしてくれるか

見学や体験ができるところなら、ご家族もいっしょに行ってみるとよいでしょう。近くの歌の教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがし

まとめ

  • 80代・90代でも、歌はそれぞれのペースで楽しめる
  • 上手に歌うより、心地よく歌うことを大切にする
  • すわって歌う、出しやすい高さで歌う、こまめに休けいして水分をとる
  • 体調がよくない日は聞くだけにする。体の変化があるときはお医者さんに相談する
  • 耳や目が気になるときは、音量や歌詞カードの字の大きさを工夫する
  • 家族は、いっしょに歌う・聞く、道具を用意する、行き帰りを手伝うなどでサポートできる
  • 「やりなさい」ではなく「いっしょにどう?」と声をかける

歌は、何歳になっても、ご本人とご家族をつなぐ時間になってくれることがあります。ご家族みんなで、歌の楽しみを見つけてみてください。ご本人が人に歌を聞いてもらうことを楽しみにされているなら、こんな場もあります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ

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